STRIKE HOLE

同人関係者に役立つ補助金の申請を支援します。補助金申請通らなかった方は、ご相談ください!採択される確率を、確実に上げます。 サークルとしては、同人誌即売会・アニメ聖地町おこしの評論中心にやっています。 【ジャンル解説】同人評論→真面目系、政治評論・電波→アレなアイタタ評論。真面目系とアホ評論の二本立てです。

2012年03月

3/25 熊本市開催・東方オンリー「幻想肥後之祭典」

熊本という地域は、同人の盛んな土地なのか、盛んじゃない土地なのか、いまいち量り切れない。
同人誌即売会は、「COMIC NETWORK LAMBDAX」他幾つかの即売会が定期・継続開催されるものの、サークル数は多くて100程度。福岡は元より、鹿児島に比べても規模が小さい。
ただ、同人ショップは「メロンブックス」「らしんばん」が市内一等地に設けられている。潜在的な同人需要ならあるのかもしれない。
同人が盛んなのか盛んじゃないのか、いまいち分かりにくい熊本県。ここでも東方オンリーが立ち上がった。それが今回ご紹介させていただく「幻想肥後之祭典」である。

第一回目の開催は昨年1月。
主催氏は熊本在住ながらも、全国各地の東方オンリーに遠征しサークル参加し続けている、サークル者である。
自身の遠征先の東方オンリー、加えて地元の即売会でも、積極的にチラシを撒き告知に臨んだ。
東方オンリー・地元即売会両方に告知という、地方の東方オンリーが取るべき告知策を、抜かりなく実践した。
その甲斐あって、約100spのサークル参加。大雪に見舞われながらも、来場者は数百人。原作者・ZUN氏が立ち寄るという嬉しいサプライズもあった。
第一回目の幻想肥後は、これまで熊本で開かれた即売会実績を大きく上回る参加者数であり、超のつく快挙と言える。

今回3/25に開催された、第二回目の幻想肥後は、募集spを200spとして、昨年夏より募集が始まった。
今回のサークル集めは、前回の比ではない貪欲さだった。
地元全国各地の東方オンリーを中心に積極的にチラシを配布。前回に比べ、九州島外での告知が、大幅に強化された。
締め切りは今年の1月下旬であったが、締め切り前には「入金?サークルカット?そんなの後でいいからとりあえず申し込め!」と露骨にサークル参加を煽るイラストを掲載。
更に締め切り後も【ロスタイム】と称しサークル参加を募集し続けた。
その「ロスタイム」は、2月下旬にまで及んだ。

STRIKE HOLEは、即売会というもの、数を多く集めた即売会ほど、高く評価する傾向にある。(もちろん数が全てとも思わないので、数が集まらなくとも評価の高い即売会も数多いが)
だから、主催がサークルを集めようとする努力は、当然評価したいと思っている。
主催氏のサークル集めにかける飽くなき努力や執念に対して、深い敬意を抱きたい。
…とは言えども、ここまで露骨さを見せるサークル集めは、流石にお目にかかった事が無い。
一体、主催氏に何があったのだろうか?

先月、東方椰麟祭に参加した折、私は主催氏とお話させていただく機会に恵まれた。
今回の会場である【興南会館】は、今年限りで閉鎖となり、次年度以降の利用は不可能。
次回開催するのであらば、代替会場の候補はある。だが、会場が広く(会場費用が高く)、一定数(確か三桁の数だったと聞いた)のサークル参加が無ければ赤字が過大になる。幻想肥後も店仕舞いせねばならない。
だからこそ、今回は可能な限り多くのサークルを呼び込み盛り上げた上で、その勢いを次回に繋げたい。
主催氏より、そういうお話をいただいた。
主催氏のサークル集めにおける執念と必死さは、次年度以降を見据えての事である。気持ちは理解できる。

ならば、参加サークルは200sp超を「目指す」のではなく「死守する」べきだ。最低200spは必達すべき。私はそう申し上げた。
参加サークル規模が、100sp台と200sp台とでは、与えるイメージが大きく違うからだ。
200sp台の方が、盛り上がっているという印象も強く、勢いも次回に持ち込みやすくなる。
最悪知り合いの1sp参加サークルに拝み込んで、sp増やして参加してもらうようお願いしてでも、200spの大台を必達すべきだ。そんな無茶な事まで申し上げたw
幸いにも、主催氏の努力の甲斐あり、そんな無茶せずとも200spの大台を達成した。

サークルは集まった。ならば一般参加者はどうだろうか?
主催氏は、とあるインターネット上の番組に出演し、一般参加者にできる限りサークル作品を購入して欲しいと呼び掛けたほどだ。
今回の幻想肥後は、九州島外も含め遠征参加者が多い。せっかく交通費かけて熊本に遠征しても、買い手に恵まれなければ、次回開催しても、熊本に遠征してくれないだろう。
地元のサークルは残ってくれるかもしれないが、数は決して多くない。新しい会場を賄いきれず、幻想肥後は終わらざるを得ない。
主催氏は元来、各地の東方オンリーに遠征参加するサークル者だ。その経験から編み出された、サークルの心理に迫った、現実的な分析だ。そう私は思った。
言葉を変えれば、現実を直視し、先を見据えた上での強い危機意識の表れ、と言えよう。

では、実際はどうだったか。
10時前の段階では一般待機列約100人と少なめ、一般入場開始直前には、300〜400程度か。
初動は、期待するほど多くはなかった。
ただ、時間が経過しても人出が弱まることは無かったので、後続の参加者もそれなりにはいた。
サークル参加者も含め、少なくとも1000人の大台は達成しただろう。1200〜1500程度に達した可能性もある。

通路が広めに取ってあるせいか、人出はそれなりにあるものの、通路移動に不便は来さない。
殺伐としておらず、買い手も焦る事無く、じっくりサークルを回れた。
買い手の購買意欲も高めだったと思う。
結果、サークルの個差はあろうが、それなりの手応えを感じたサークルさんも多かったのではなかろうか。
何とか、サークルさんの次回参加に、繋がりそうだろうか…?
運営側から、サークルさんに記念品としてクリアファイルも配布されたが、そういう気遣いも実る事を願いたい。

今回特筆すべき企画としては、地元酒造を巻き込んで販売した「東方焼酎」。
地元熊本の特産品・球磨焼酎を用い、パッケージには東方シリーズの登場人物・伊吹萃香をあしらった萌え酒である。
一本2500円とやや高めだが、熊本土産代わりに購入したサークルさんも多かった。
勿論一般参加者にも好評で、会場後しばらくは、お酒が最大手、長蛇の列であった。

東方オンリー会場内でのお酒の販売は、過去幾つかの即売会で実施された。
酒販免許、東方二次創作のガイドライン双方の問題をクリアする必要があるが、酒業者に著作権者たるZUN氏の承諾を得た上で、企業出店として販売させるのが、一番分かりやすいと思う。
(東方と酒販の件については、暇があれば別途論じたい)

全般的に見て、この「幻想肥後之祭典」は、過去の熊本の即売会では前例の無い多くの参加者を呼び込み、大成功を収めた即売会であった。
熊本同人界において金字塔を建て、熊本同人の歴史の1ページに名を残す即売会とも言えよう。
この成果は、この主催氏だからこそ成し得た成功であり、他の主催だったらこれほどの成果を挙げられたか?
サークルを集めた背景には、主催氏が遠征先の即売会で告知に励んだ事や、サークル経験を生かしサークル心理に立てたからこその分析と危機意識とがある。
つまり、主催氏がサークル者であり、サークル者としての経験の賜物として、今回の成功が存在するのである。


しかしながら一方、主催氏がサークル者だからこその「マイナス面」もあった。
次回以降の継続開催を目指すに当たっては、このマイナス面も指摘した上で、改善を図っていただきたいと私は考える。

最大のマイナス面は、主催氏のイベント運営経験やスタッフ経験が、ほぼ皆無に等しい事である。
主催氏は他の東方オンリーにも顔を出しているが、あくまで、サークル活動の一環としての参加だ。スタッフとして参加している訳ではない。
他の東方オンリーの主催は、自身が「運営初心者」たる事を自覚し、他のイベントで積極的にスタッフとして参加し、経験を積もうと心がけている方が少なくない。
同じ初心者主催でも、そういう方々に比べると、幻想肥後主催氏の運営経験は、極めて乏しいと談じざるを得ない。

運営経験が無くても、周りの皆さんの力を借りてイベントを回すことはできるだろう。
実際、前回は大9州東方祭スタッフが全面バックアップした。
今回も、大9州・例大祭・紅楼夢各関係者の連合軍が、当日の運営に入り切り盛りした。
彼らの助力で、即売会自体は円滑に回していけただろう。
ただ、経験が皆無である以上、彼ら助っ人軍団に運営を丸投せざるを得ず、彼らへの依存度もその分高くなる。
逆に言えば、依存度が高いが故に、彼らが何らかの理由で手伝えなくなったその時に、イベントは回らず空中分解するリスクも抱えている、とも言えよう。
遠方からの遠征者にいつも頼れる訳じゃない。その可能性は、決して低くない。

今回、宅配業者が遅延し、宅配搬出の受付が14時開始予定の所、1時間以上も開始の遅れるトラブルがあった。
遠征参加者の多いこのオンリー、交通機関の都合上早めの撤収を予定されるサークルさんの存在も想定される。サークルに迷惑が掛かり、余り宜しくない。

これは、宅配業者の遅刻であり、主たる非は宅配業者側にある。
ただ、そうであっても、宅配伝票を朝搬入の際ヤマトから受け取る、本部で宅配受付を行う。この2つの段取りをくむだけでも、サークルを待たせずに済んだのではないか。
主催氏の段取りもまた、反省すべき部分である。
正直、スタッフなり主催なりの経験がもう少し備わっていれば、経験から来る「気付き」もある。段取りの甘さも、もう少しは改善されたのではないか。
これ以外にも何点か指摘すべき点はあるが、余り挙げ連ねるのも粗探しっぽいので割愛。
ただ、これらは皆、主催氏の経験がもう少しあれば、防げた案件である。

という訳で主催氏には、次回以降を見据え、他イベントでスタッフとしてお手伝いをしつつ、経験を積まれる事をお勧めしたい。
主催氏は、サークル者だ。これまでは、他イベントに行ってもサークルとして参加していた。
その活動を犠牲にしてまでスタッフをしろとまでは申さないが、ならば設営撤収・アフターイベントなど、サークル頒布を阻害しない時間帯を中心にスタッフ活動に従事しても良いだろう。

主催氏がスタッフとして活動する事は、経験値を増やしスキルを磨くだけに止まらない。
今回主催氏は、大9州・紅楼夢・例大祭等様々な東方オンリーの経験者から、助力を得た。
これらのオンリーにてお手伝いをする事により、今回手伝って貰った事のご恩返しとなるし、彼らとキブアンドテイクの関係を築ける。
人間関係が強化されれば、次回も手伝って貰えるかもしれない。
…というか、自分のイベント手伝って貰いました。でも相手方のイベントはサークル参加しますから手伝えません…それはちょっと虫が良すぎるのでは?
汗を流し助けて貰ったら、自分も汗を流す。その方が清々しいし、理解も得られるだろう。


大9州・紅楼夢・例大祭等、他のオンリーでお手伝いする事は、手伝って貰った事へのご恩返しとなる。
また、主催氏が不足しがちなスタッフ経験を積める機会でもあり、運営スキルも向上できる。
今からでも遅くない。これらのイベントに、スタッフとしてお手伝いする事を、お勧め申し上げたい。

【常時TOP期間終了】2012年 STRIKE HOLEサークル参加情報

STRIKE HOLE 2012年のサークル参加情報をお知らせ致します。


【頒布物ご紹介】
(新刊)「STRIKE HOLE同人誌即売会見聞録2012」(400円)
 全国各地の同人誌即売会をめぐっての評論・レポート本、最新刊です!
 2012年4月以降に来訪した即売会をレポート。 「全国制覇」を目標に、未訪問県の即売会に足を運んでいる関係上、地方のオールジャンル即売会のご紹介が多め。
★店舗への委託を予定

「新生党/日本新党/新党さきがけ 全議員軌跡」(200円?)
 STRIKE HOLE初の政治評論本!
 1993年の「新党ブーム」牽引役となった「新生党」「日本新党」「新党さきがけ」の3党に所属していた全ての議員の動向を、完全追跡。これら新党所属議員の、「政党渡り歩き」から、55年体制後の混乱の政界が見えてくる・・・かも?
★コピー本のため、即売会頒布のみ



(その他既刊)
「STRIKE HOLE同人誌即売会探訪・拾遺集〜今昔即売会列伝〜」(400円)
全国各地の同人誌即売会を評論・レポート本です。
過去の同人誌に収録しきれなかった「昔」の即売会と、主に2012年に来訪した「今」の即売会。即売会の今昔を渡り歩く、というコンセプトです。
★grepさん、大須マニアックスさんに委託

「コーマニズム宣言2011」(400円)
 同人誌即売会評論・探訪記「コーマニズム宣言」シリーズの最新刊。2011年来訪の20近い即売会を紹介する、2011年の総決算的作品。東北から沖縄まで色々な即売会があります。
★在庫僅少 委託先からは引き揚げました


【サークル参加予定イベント】
9/30 Comic Stream(福岡/オールジャンル/F−10)
11/3 我は唯一神(東京・蒲田pio「スキマフェスティバル」枠内の開催/泡沫候補中心選挙オンリー/参加申込済・主催サークルです)
11/4 文々。新聞友の会(京都/東方オンリー/参加申込済)
11/18 コミティア(東京ビッグサイト/創作オンリー/参加申込済)
11/25 七味(長野/オールジャンル/参加申込済)
12/23 東方晴天祭(岡山/東方オンリー/参加申込済)
1/13 こみっく☆トレジャー(大阪/オールジャンル/参加申込済)

3/18 名古屋市・東方オンリー「東方名華祭」

3月18日、私は名古屋市内で定期・継続開催されている東方オンリー「東方名華祭」にサークル参加させていただいた。

会場の「サンライフ名古屋」は、名古屋で長年に渡り、小規模なオンリーイベントを中心に多くの同人誌即売会で愛用され続けてきた会場だ。
名華祭も、この会場ならやりたい事が色々できるという事で、この会場を愛用し、そしてこの会場にこだわり続けてきた。
募集spを超過しても、敢えて会場拡大を行わず、落選サークルを出しても尚、この会場での開催にこだわり続けていた。

今回の名華祭は、今まで愛用してきた会場「サンライフ名古屋」の最後のイベント。サブタイトルに「〜さよならサンライフ〜」と銘打たれての開催だ。
同様に、会場への送別を兼ねた同人誌即売会に、新大阪センイシティのクローズを受けて企画された「新大阪送別会」というものがある。
これと名華祭、どちらに参加すべきか迷ったが、この日3月18日は、東方シリーズ原作者・神主ことZUN氏の誕生日という記念すべき日である。(ちなみに私の誕生日でもあるw)
神主の誕生日という記念すべき日、という部分が決め手となり、名華祭への参加を決意した。

やはり今回は「最後のサンライフ」という名華祭にとっては節目の時。
最後だし参加しようとするサークルさんも多かったようで、サークル申込は約200と大変多い。募集spの倍の申込みだ。
流石に私も抽選落ちを覚悟したが、運良く当選し、無事にスペースをいただける事となった。
当選の僥倖に、心底感謝したいものである。

「最後のサンライフ」という効果は大きく、一般参加者も例年より多い。
サークル入場開始後の朝10時の時点で、一般待機列は約200人。
サンライフ一階の駐車場を待機列に充てての運用だが、駐車場は頑張っても300人が限界。駐車場から溢れたら、道路を挟んで対面の歩道に列を形成した。
一般入場開始直前には、350〜400人は並んでいたと推察される。

とはいえ、サンライフは狭い会場だ。
400人以上いっぺんに入れたらパンク必至である。
そこで駐車場待機者約300人を1班としての「入れ替え制」を取った。1班に付制限時間は1時間、時間を過ぎれば後の待機者と入れ替えという構図だ。
実は、前回の名華祭も入れ替え制だったが、前回は2回の入れ替えで済んだ。
だが、今回は3回目の入れ替えに突入…!
3回目の入れ替えが落ち着き、13時30分頃にようやく、カタログ完売&フリー入場となった。

フリー入場が宣言された後も、1〜2回目の入場者が復帰し落ち穂拾いを始めた事もあって、会場内は人が絶えることは無い。
カタログが完売したので正確な人数は不明だが、総参加者は1000の大台越えは確実。1200〜1300以上行っている可能性もあろう。
前回を凌ぐ盛況…いや殺伐・阿鼻叫喚の宴であったw

名華祭の特色は、狭い会場を効率的に活用し、楽しくかつ凝った企画を実現させている所だ。
以前私は、名華祭について、「会場をフルに使って楽しい事やってる欲張りイベント」と評した。
…だが私は、その評価を訂正したい。
名華祭は、「欲張りイベント」と言うよりも、寧ろ「やりたい放題なイベント」と評すべきであろうw

名華祭の名物に、東方カラオケというものがある。
名華祭を「欲張りイベント」「やりたい放題イベント」たらしめている象徴的存在のこの企画。
東方アレンジ曲をカラオケで歌えるという人気の企画で、大9州東方祭に招聘された事もある。
サークル名・曲名・原曲等から検索可能で、字幕やプロモーション動画も完備。カラオケボックス顔負けの優れものだ。
以前は2階の実験室で営まれていたが、今回は、3階の第2研修室での営業。
カラオケボックスちっくなソファーが用意され、雰囲気も、よりカラオケボックスらしくなる。
空いた実験室は、コスプレ更衣室として運用。会場活用における無駄の無さもまた、名華祭の特長である。

2階の体育館は、以前のように、昼はコスプレ広場。夕方はアフターイベント会場としての活用。

そして1階の活用もまた、隙がないw
今回は1階和室も活用している。
PCを10台以上設置、「緋想天則」のフリーゲームコーナーとして運用している。
…この名華祭という即売会、会場のサンライフ名古屋を隅から隅まで知り尽くし、活用し尽くしている。
ここまで徹底的に、限られた会場を使い尽くした即売会は、正直他に見ないw
…そりゃあこの会場にこだわりたくなるよなあ、と妙に納得である。

この即売会の「やりたい放題」のクライマックスは、14時30分・即売会終了時の演出である。
突如として会場内にプロモーション動画が上映される。
会場の参加者皆が戸惑うが、曲が分かると、会場内から「えーりん!えーりん!」の掛け声。
やがてそれは会場全体に広がり、会場全体が「えーりん!えーりん!」の大合唱…!
それが、今回の名華祭終了の合図となった。…別の意味で終了してそうな気もするがw
うーん、まあ、盛り上がったからこれでいいのかな(汗)

こうしてサンライフ最後の名華祭は、無事に終了した。
次回の開催は未定、主催氏に聞いても言葉を濁されてしまったので(汗)、恐らく検討中なのだろう。

名華祭の特長は、東方カラオケ等に見られる徹底的な「やりたい放題」感、そして、それがもたらす会場内の雰囲気の良さ・楽しさだと思う。
その良さを維持するためにも、これらの企画を受け入れてくれる会場を探すところから始めるべきだろう。
但し、今の名華祭の企画全てを受け入れてくれる会場も皆無のはず。多少の企画削減も、仕方ない事かもしれない。

せっかくこれだけ多くの人々が参加してくれる即売会だ。
何とか次の会場を見つけ、次回開催を決めていただきたい。
そして、会場が変わる以上、従来の企画全てを今まで通り行うことは難しいだろうが、可能な限り企画も残していただきたい。私はそう考える。

最後に、今回名華祭で見られた、心温まる光景について触れたい。

名華祭は今回、先述した新大阪センイシティの送別会的即売会「新大阪送別会」とバッティングしてしまった。
新大阪送別会でも、東方・レティプチオンリーが開催されており、僅かながらも名華祭とはサークルの食い合いになっている。
しかしながら、両即売会ともバッティングをいがみ合う事無く…逆にお互いが、開催への祝意を示す花を贈り合い、敬意を示し合っている。
★尚、これはあくまで【スタッフの有志からの贈呈】という形であり、イベントの会計から出たものではない。スタッフ個人個人がポケットマネーで費用を捻出している。

互いが互いの即売会の成功を願う、一種の「エールの交換」と言えよう。
バッティングに陥いるのは残念だが、決していがみ合う事無く、互いの開催を祝うその姿勢は、大変清々しい。
最近私は、とある即売会の関係者が、同日開催の他イベントの参加者を罵る…なんて恥ずかしい事例を拝見し残念な思いを抱いていた。
そんな中だからこそ、名華祭・新大阪送別会両イベント間(の有志)に見られたこのエピソードは、非常に心打たれる物として映ったのであった。

3/12 滋賀県米原市「びわこそうさくマーケット&びわこみっ!」

3月12日、私は滋賀県米原市で開催された創作オンリー「びわこそうさくマーケット」にサークル参加させていただいた。

滋賀県の同人事情を申し上げると、県内での同人誌即売会は、数年前の「コミックライブ」撤退以降、皆無に等しい。
一昨年開催された「まいばらこみゅにけっと2010」は、200サークル・約1500人を集めた一大イベントとして成功を収めた。個人的には2010年開催の即売会で三指に入る良即売会、とまで評価してたのだが…その後が無いのが残念。
それ以外では、豊郷町で「けいおん!」オンリーが定期的に開催される程度か。
豊郷の「けいおん!」オンリーは、全般的に好評、成功を収めるものの、あくまでけいおん!好きが集うオンリーイベントだ。滋賀の同人者皆のニーズを満たす役割までは求められないだろう。

いずれにせよ、「まいばらこみゅにけっと」の成功以後も、滋賀の即売会空白状態は変わらない。
そんな中、一年半ぶりに米原で開催された即売会が、創作オンリー「びわこそうさくマーケット&びわこみっ!」である。
(これ以後、略称の「びわこみ」と表記します)


私が「びわこみ」立ち上げの報を聞いた時、米原では久々の即売会開催という事で、大変嬉しく思った。
…ただ、オールジャンルならともかく、創作オンリーというカテゴリーだ。オールジャンル・まいこみのように、サークルがちゃんと集まるのか?との心配も頭を過ぎる。

但し、「びわこみ」は、「まいこみ」のカラーを相当色濃く継承した即売会でもある。
一例を挙げると、会場・滋賀県立文化産業交流会館へのアクセス案内として、車来場者向けに動画での案内を取り入れているが、これは「まいこみ」を踏襲している。
他、サイトの構成・チラシのサイズ(イベントチラシでは珍しいA4サイズ)等、まいこみの雰囲気を受け継いだ部分が極めて多い。
サークルも一般も、事実上のまいこみ後継イベントとして捉えた方も、少なからずいらっしゃるだろう。
結果、今回の「びわこみ」は、「まいこみ」参加組のリピーターが目立つ。
「まいこみ」が良かったから、事実上の後継イベント「びわこみ」にも参加しよう。そういう一種の「リピーター組」が、「びわこみ」の参加サークルを底上げしている。
結果、サークル参加規模は70sp弱。
創作オンリーという限られたジャンルでありながらのこの数字は、中々の健闘であろう。

この「びわこみ」の特徴としては、「創作オンリー」とはいうものの、1キャラのみ、二次創作を許容している事である。
mixi「オタな滋賀人」コミュにて考案された、琵琶湖擬人化キャラ「びわ子」。これの二次創作を可としている。
いや、より正確に申せば、創作オンリー「びわこそうさくマーケット」と、びわ子オンリー「びわこみっ!」の併催という構図だ。
残念ながら、びわ子サークルは、70sp中の数サークル程度で、余り多くはない。
ただ、どのサークルも、滋賀愛に溢れつつ力作揃いだったとお見受けした。

会場は、まいこみと同じ「滋賀県立文化産業交流会館」。米原駅から徒歩5分程度の好立地だ。
まいこみの時は大ホール利用だったが、びわこみは、まいこみほどに規模が大きくない。
大ホール脇にある小部屋「研修室」を利用した。
研修室を2部屋利用しての対応だが、片方は土足厳禁の部屋(普段はダンスや卓球で利用?)だ。床にシートを貼って対応した。
また、この部屋は大きな鏡があるが、鏡には見えず錯覚してしまい、衝突等事故の恐れもある。そこで、黒の衝立を設置し鏡を遮蔽する事で、事故を防ぐ工夫も図られた。

一般来場者は、流石に少なかった。
初動20〜30人程度で、初動数百人のまいこみとは、比ぶべくも無い。
一部色紙サークルに長蛇の列ができた以外は、至って平穏。まったりとした雰囲気で終始した。
ただその代わり、創作オンリーとしての特性もあろうが、参加者は年長者中心。私のサークルの頒布物とは相性良かったのか、何故か多数来場したまいこみよりも売れた…一体何故だw

規模が小さい即売会だからこそ目立つ、良き点も取り上げたい。
これは小規模な即売会だからこそ成し得た事だろうが、主催氏が全サークルに挨拶回りされていたマメさが印象に残った。
「冷暖房の暑さ寒さは大丈夫ですか?」などとお伺いを受けつつ、多少のお話をさせていただく。
主催氏の気遣いに感謝しつつ、マメさにも感心する。
規模の大きい即売会での挨拶回りは難しいが、規模の小さい即売会だからこそできる事である。
参加サークルからの生の声を聞きつつ、顔の見える運営を目指す。そういう姿勢が好印象だった。
小規模だったからこそ、その分参加者とのコミュニケーション、交流が図れた即売会だったと言えよう。

米原は、大阪方面・名古屋方面・そして北陸方面を結ぶ結節点であり、交通の要衝である。
名古屋・関西・北陸三方面それぞれの窓口、とも言える。
見方を変えれば、米原の即売会は、地元の同人者のみならず、名古屋・関西・北陸それぞれから参加者を取り込む事が出来る。そういう地理的なアドバンテージを持つ場所だ。

だからこそ、米原/滋賀県は、同人需要の充分ある土地柄と言える。
一昨年秋まいこみが大成功、今回びわこみも順調に運営している。
運営がちゃんとしてれば、サークルも付いて来る。
後は、誰か継続・定期開催してくれる方がいないのか?そこがポイントだろう。
まいこみは大盛況即売会ながらも一回限りで終わり、びわこみも次が明言されていない。
どちらも主催がサークル者という事もあり、イベントに力を注げば注ぐほどに、自身のサークル活動を犠牲にせざるを得ないジレンマがある。両立できればベターなのだろうが…
滋賀の同人は、即売会の需要は充分ある。後は、ちゃんとした運営で、即売会を継続的に開催できる体制の整備ないしは人材の登場、そこが課題になると思う。

2/19 横須賀のオールジャンル即売会「FREAKS」

たまゆらオンリーが開催された2月19日、横須賀市内では、もう一つ即売会が開催されていた。
地域の同人者をターゲットとして開催される、地元密着型のオールジャンル同人誌即売会「FREAKS」http://freaks.boy.jp/である。
地域の同人誌即売会に数多く来訪する、「地方即売会マニア」の私としては、折角横須賀まで足を来たのに、地元イベントのFREAKSに参加しないのも勿体無いw
幸い、汐入からFREAKS会場・横須賀市文化会館まではバス一本で行ける。
汐入のたまゆらオンリーを辞した私は、FREAKS会場の横須賀市文化会館に急行した。

今回のFREAKSは、同じ主催が営むコスプレイベント「CFR」との併催という形式を取っている。
どちらかと言うとコスプレイベントの方の開催回数が多く、コスプレイベントをメインに手掛けている印象。
「FREAKS」カタログには、勇者屋主催「コスプレ博」のチラシが差し込まれており、コスプレイベント主催同士の横の繋がりを感じさせる。
小さい事例ではあるが、そういう部分からも、同人誌即売会よりもコスプレイベントとしての活動の方がメインなのかな?と感じさせた。

昨年の同じ時期、私は横須賀開催の別主催によるオールジャンル同人誌即売会「BLACK ROSE」を訪れた。
この即売会との差異をどうしても比較して見てしまうのだが、「BLACK ROSE」に比べると、コスプレイベントとしての色が、どうしても濃く見える。

参加サークルは、今回50sp規模。
この横須賀の会場は、80〜100spがキャパシティであり、今回は少し数を落としている模様だ。
パンフレットを拝見すると、過去は満了や落選もあったとのこと。少し不調の印象。
コスプレ色の強さが、サークルの参加意欲に影響しているかもしれない。次回以降、コスプレイベント「CFR」と、同人誌即売会「FREAKS」は主催が別々になり、互いに独立して運営するという体制の変更があるので、その中で流れが好転する事を期待したい。

新体制に移行すると共に、FREAKSには、サークル参加受付の方法について、再検討を図る事をお勧めしたい。
現在のサークル受付方法は、他の即売会と異なり独特の方法ではあるが、その方法がいささか裏目に出ており、またサークル参加数の減衰に繋がっている可能性もあるからだ。

FREAKSは、サークル参加費を当日払いとしている。
しかしその一方、サークルの欠席・ドタキャンもあるようで、抽選に漏れた参加者の不満の種ともなっている。自分が落ちたのに、当選したサークルが欠席なのは、流石に不愉快に感じて然るべきだろう。
そこでFREAKSは、「キャンセル待ち」「オーバーブッキング」といった制度を取り入れ、空きスペースを減らし、参加できるをサークルを増やそうと対応している。
そこは良いとして、問題は、欠席サークルに対しては、今後抽選で不利となる可能性を示唆している点だ。
その措置は、サークルの参加を萎縮させることにも繋がる。抽選で不利と分かっていて、その即売会に率先して参加しようと思うだろうか?

そもそもの根元は、サークル参加費を当日払いにするという、FREAKSの制度に起因すると私は考える。
サークル参加費の当日払いは、金払ってないからと気軽にドタキャンできる。安易な欠席を助長している。
ここは他の即売会のように、申込時に先払いとした方が良い。先にお金を支払わせた方が、お金を払っているから勿体無いから、とサークルの出席を促し、キャンセルを減らせる。
当日の空きスペを減らしたいのなら、例えば、期限を定め何時までのキャンセルなら返金に応じるか等を定め、抽選漏れのサークルに振り分けるだのオーバーブッキング制度だのを、取れば良いと思う。

キャンセル待ちやオーバーブッキング制度は、できる限り多くのサークルが参加できるようにする制度だから、それ自体は否定しない。
改善のポイントは、サークル参加費支払いのタイミングでは無かろうか?
そこを改善すれば、安易なキャンセルを減らせる。「抽選の不利」という、サークルが参加を忌避するリスクを含む制度を発動せずとも済む。
申込システムの改善、再検討をお勧めしたいものである。

2/19 横須賀市・たまゆらオンリーイベント 「たまゆわ〜るど 1回目、なので。」

最近は、実在の街並みや風景をモデルに描かれる、漫画やアニメの作品が急増している。
更には、そのモデルとなった街を「聖地」と称し、そこを観光で訪れる、所謂「聖地巡礼」のヲタ観光客も増えている。
(もっとも、ドラマ・映画等の舞台を訪れる「聖地巡礼」は今に始まった事ではないのだが…例えば島根県亀嵩駅の蕎麦が有名なのは、松本清張が小説「砂の器」を出してからだし…)

同人界について申せば、最近は「聖地」でのオンリーイベント開催が増えている印象。
「東方風神録」の舞台・諏訪での開催。「けいおん!」の舞台・豊郷小旧校舎群での開催。アイマス双海姉妹の聖地(なのか?)十勝での開催。
…様々な「聖地」で即売会も開催されるようになりつつある。

今回私が参加した、たまゆらオンリーイベント 「たまゆわ〜るど 1回目、なので。」http://team-ops.info/tm1/も、聖地開催のオンリーイベントである。
「たまゆら」の舞台は、メインが広島県竹原市であるものの、横須賀も舞台に含まれている。
正確には、横須賀市の汐入が舞台なのだが…京急線・汐入駅前の「産業交流プラザ」で開催されたのが、この「たまゆわ〜るど」である。

主催は、TEAM Operations。男性向けジャンルのオンリーイベントを数多く主催し、特に四コマ漫画系統のジャンルでオンリーを多く開催する。
ただこの団体、比較的マイナーなジャンルでオンリーイベントを開催する傾向にあり、そのせいだろうがサークル参加数も余り恵まれない。
数は少なくとも、そのジャンルを本当に好きな方が集ってくれれば…とするお考えなのだと思う。

今回のたまゆらオンリーにしても、たまゆらは確かに人気のあるアニメだが、「同人的に」人気があるかどうかとなると、また別の話である。
私が見た限り、たまゆらジャンルのサークルさん、オンリーが開催できる程度に数が居たのだろうか…?とは思った。

とは言え、聖地開催という事が少しアドバンテージになったのだろうか?
参加サークルは16サークル18sp。数は決して多いとは言えないが、最低限オンリーイベントとしての体を成すだけ集める事が出来たようで、私も少し安心した。

という訳で2/19当日は、京急線に乗り、一路横須賀市は汐入へ。
会場は駅前で決してアクセス的に悪くないが、大田区産業プラザPiO最寄り駅・京急蒲田や川崎市産業振興会館最寄り駅・京急川崎とは違い、快速特急が止まらない。汐入に行くには、途中の金沢文庫辺りで各駅停車への乗換が必要だ。
結局、品川から1時間弱を要し、少し遠い印象。
そういう距離的な制約もあってか、一般来場者もさほど多くない。終始まったりと進行している。
参加者数は少ないが、交流的な要素をメインに、本当にそのジャンルを好きな人が集まっている小規模なオンリーイベント、という印象だ。
ただ、小規模だからこそ、ささやかながらも「光る取り組み」が目に付いたのだろうか。
「たまゆら」が好きな主催氏だからこそなし得た工夫が、散見された。

一番見応えあったのは、主催氏ご自身が聖地・竹原を来訪されての、写真展示。
ドサクサに紛れ主催氏の自宅(と思しき)写真も展示されている意味不明展開もあったがw、十分楽しめる。
ただ、欲を申すならば、もう一つの聖地にして、今回の開催会場でもある汐入の写真が展示されていれば、もっと良かったかも…?とは思った。

この他、交流的な要素に重きを置いているのか、カフェスペースを用意している。
椅子テーブルを配置、お茶菓子や飲み物も用意され、セルフサービスにて食べ飲み放題。
竹原で仕入れたのだろうか?「たまゆらポテトチップス」なんてのもあったりするw

他、たまゆらグッズの展示コーナー等も用意され、見て楽しめる仕掛けが様々備わっていた印象だ。

サークル数は決して多くはないが、このオンリーに合わせ新刊を出したサークルもいらっしゃる。
会場のある建物内には、横須賀名物・海軍カレーを食せる喫茶店もあったが、それをテイクアウト、会場内自サークルにに持ち込んでお召し上がりのサークルさんもいらっしゃった。
勿論、のんびり周囲のサークルさんや一般参加者さんと歓談されるサークルさんもいらっしゃった。
サークルさんも、自分のペースで、のんびりとこの即売会を過ごされたようだ。
穏やかな時の流れるイベントであったと感じる。

今回のたまゆらオンリー、たまゆら同人者が決して多くないという事情や、横須賀が遠距離という事もあり、来場者に恵まれたとは決して言えない。
来場者が少なければ、即売会の楽しみの一つである【作品の売買】については余り期待できないだろう。
即売会のもう一つの楽しみである【参加者間の交流】に力を入れ、参加者の満足度を高めようとするのは、ある意味自然な流れである。
カフェスペースを設置し、交流し易い環境を整えようとする工夫は、注目に値しよう。

これに加え、聖地巡礼の写真やキャラグッズ等の展示を多く揃えた事も、特記すべき工夫である。
一般参加者も、サークル数が少ない以上、サークルを回るだけだとあっという間だ。
これらの展示を用意する事で、足を運んだ参加者の楽しみに、彩りを添える。イベントの楽しみが、更に増す。
それに、これらの展示は、聖地らしさを演出する効果もあると思う。

参加者が少ないのは確かに残念だ。
だが、参加者数だけが全てではない。
このオンリーでは、展示や企画を豊富にする事で、参加者の満足度を少しでも高めようと試みている。
小規模な即売会だからこそ、こういう工夫も、より輝きを増す。
今回のたまゆらオンリーは、小規模な即売会が参加者に楽しんで貰うために最善を尽くそうとする姿勢を見せてくれた即売会として、小規模なオンリーの戦い方の一例として、一つのお手本になり得る良即売会であったと思う。

2/12広島市開催・東方オンリー「東方椰麟祭 第三幕」

2月12日、私は広島市内で開催された東方オンリー「東方椰麟祭」に参加した。

STRIKE HOLEは、今回所用の入る可能性あり、一旦は、サークル参加を事実上断念した。
だが、都久志祭実行委員会様と協議の上、都久志祭実行委員会様の売り子をすることを条件に、STRIKE HOLEの作品を頒布できる、という内容で合意。急遽作品持参で参加する事とした。

椰麟祭は、一昨年2月に第一回目が開催された。広島では異例の150sp1500人が参加し盛況を見せた。
主催者が皆素人ながらも、主催経験者からノウハウを熱心に勉強、或いは東方オンリーを中心に全国各地即売会にて熱心に告知…他に類を見ない努力で、主催初心者のハンディを挽回。サークルを集めつつ、見事に運営をこなしていった事は、称賛と驚嘆をもって論じるべきであろう。
昨年開催時は、前回実績に倍増の300sp・2000人の来場で成功を収めた。
この規模より大きい東方オンリーは、例大祭・紅楼夢・大9州の3つのみ。「ククク…奴は東方オンリー四天王中最弱…」とは言え四天王の一角に名を連ねた、と個人的には思う。
今回は290sp台と微減だが、落選サークルを数十サークル出している。申込数ベースでは、前回以上の勢いだ。

一般参加者も、前回以上に足を運ぶ方が増えた模様だ。
朝9時過ぎには、屋内待機列は収容可能数の約300人を突破。
屋内に入りきらない一般参加者は、屋外(ビッグサイト等でのシャッター前に相当?)に誘導するが、屋外への誘導を始める時間は前回よりも早まったそうな。
また、昨年はカタログが残ったようだが、今回はカタログ前売りを実施できたこともあろうが、12時少し前には完売との事。
恐らく、前回比で2割増しぐらいの来場者と推定される。
参加者層としては、中高大と学生男子がやや多い印象もあるが、老若男女満遍なく来訪していたと思う。


前回の椰麟祭において、私は幾つかの問題点を指摘した。
サークル案内の発送の遅さや、スペースナンバー・配置場所の分かりにくさと言った、サークルに対する案内の不親切さを、反省点として取り上げた。
しかしながら、今回の椰麟祭においては、その点は大幅に改善された模様だ。

また、個々のスタッフの動き等、運営面におけるオペレーションも、相当向上している。
過去の椰麟祭での経験もあるし、大9州東方祭や東方四国祭等他地域イベントで経験も積んだ方もいらっしゃる。
経験の蓄積により熟練度が上がり、運営力が向上した、と考えられよう。

思えば椰麟祭の主催達は、同人イベント運営経験無しの初心者だった。サークル経験もスタッフ経験も、皆無同然だった。
しかし彼らは、熱心な努力と頑張りで初心者としてのハンディを埋め、今に至っている。
確かに、元々の経験が浅いので、その経験の浅さが表出し失敗する事もある。
だが経験を積み、或いは失敗や反省点の改善にも励んでいる。
そういう努力の結果として、イベントの運営力も少しずつだが成長していると思う。


椰麟祭の名物企画として、「幻想郷物産展 廣島の市」http://toho.momiman.com/というものがある。
広島名物の製品と「東方」とをコラボさせた物販企画である。

一番人気は、広島名物もみじまんじゅうの東方バージョン「東方椛饅頭」。
元となるもみじまんじゅうの品質の良さも相まって、第一回目からの定番企画として未だ衰えぬ人気。今回も、椛饅頭に長蛇の列が押し寄せた。
椛饅頭は、椰麟祭最大の名物であり、かつ他地方から椰麟祭への遠征者を呼び込み、椰麟祭の来場者を底上げする原動力の一つになっている。

昨年からは、ケータリングサービスも実施された。
昨年は八雲一家に因んだお弁当や、秋姉妹に因んだ大学芋など、東方キャラに絡めたメニューを提供するが、需給の読みが甘かったのか、売れ残りを多く出したのが残念だった。

これに対し今年は、椰麟祭新主催の意向もあるが、遠征者の多さにも配慮してか、東方から離れ広島B級グルメのメニューを提供した。
お稲荷の中にうどんが入る変わり種の「遍照寺うどん」や、お好み焼きの一種「しゃもじ焼き」、さらにはその場で炭火焼きにて、瀬戸内海の名産でもある牡蠣まで提供された。
値段も一品あたり200〜300円程度、全般的に安価である。
広島の味覚を手軽に味わえるこれらのメニューは、総じて好評だったものの、調理に時間が掛かりすぎたのが難点。
注文を受けてから調理を始めるシステムのため、一回注文してから給仕まで数分レベルでかかる。
動かぬ牛歩列が形成され、30〜60分待ちは当たり前。これは何とかして欲しかった。
お弁当等、注文即給仕の出来る屋台を出し選択肢を広げる、ケータリング屋台の数を増やし商品の供給力を強化する、それが出来ないなら提供メニュー数を調理に時間を要しないものだけに絞る…そういった工夫が必要に思えた。
ただ、ここの料理の味はなかなか悪くない。今回諦めたり料理にありつけなかった皆様は、広島市内で店舗を構えているから、そこでリベンジされると良い。
「KOUBOUICHIスタジアム広島」というお店で、広島駅近くの「カープロード」にお店を構えているとのこと。


さて、今回の椰麟祭、「主催が交代した」という話は皆様ご存じだろうか。
前回までの主催が一身上の都合で主催を降り、前回までの副主催が主催に昇格し、催事に当たった。
同人イベントというものは、主催のキャラクターによって左右される。言わば属人的な性質を持つ。そういう傾向にある。
だから、主催が変わるという事は、イベントに新風を吹き込める一方、その変化に参加者が戸惑うリスクもある。
既に出来上がってるものを引き継ぐ、という難しさもある。

しかしながら、今回の椰麟祭、運営形態に大きな変更は無い。
確かに新主催になり、ケータリングの内容が変わる、スタッフさんから参加サークルに椰麟祭特製パッケージのチロルチョコが配られるサービスが登場、コスプレイヤー向け集合写真、イラストコンテストの登場…小さい変化は散見した。
しかし、全体のカラーに大きな変化は無い。
穏やかな変化であり、参加者も戸惑うことなく済んだ思う。

現主催も、前主催の時代から幹部スタッフとして貢献してきた。
また、前主催は、今回も幹部スタッフとして現主催を支えた。
主催が変わったとは言え、実質的には役割分担の割合が少し変わっただけの話だ。
だからこそ主催が変わっても、イベントのカラーが変わらず、ソフトランディングで済んだのだろう。
主催が変わっても、イベントはこれまでのカラーを維持。これも、継承の一つの在り方であろう。

椰麟祭は今回も無事に終了、成功を収めた。
では、次回以降はどうなるのか。最後に、今後の「課題」について論じたい。

三回続けて、「椰麟祭」というイベントの、即売会としての個性や形も見えてきた。
無事成功を収め、東方椰麟祭というイベントは、完成の域に達したと言えよう。

但し、その完成度は「落とし穴」ともなり得る。
完成されたイベントは、変化を好まない。今上手く行ってるものを、わざわざ変えようとは思わないものだ。
だが、その変化の無さが故にマンネリを生み、飽きが来る。
成功し完成されたイベントの多くがその罠に陥り、規模縮小や衰退の憂き目を見ている。
椰麟祭が直ちにそういう状態になるとは決して思わないが、今後開催を繰り返す内に、そういう事態に陥る危険性はある。
…つまり、人気と勢いが持続している今の内に、先の事も少し考えてみようではないか?という事だ。

今後どういう変化を付けマンネリを防ぐべきか?
そういう観点から、2〜3年先を考えてみても良いだろう。

また、椰麟祭の将来的なビジョンについて考えても良いだろう。
具体的には、2年後、3年後、5年後…椰麟祭はどう在るべきなのか?どのぐらいの規模の即売会にしたいのか?将来的にはどんな即売会を目指したいのか?
そんな論点から、将来の椰麟祭像を模索する。
「その先」のビジョンを描いてみれば、今後椰麟祭を営む上での目標が定められ、運営のモチベーション維持に繋がるといったメリットもある。
漫然と即売会を開くとマンネリになりそうだが、目標を持って即売会に臨めば、漫然さも消える。マンネリ防止にもなろう。

色々考えて頂きたいが、考えに詰まったら、サークル参加者にお礼の挨拶回りでもしながら、サークルさんの声を聞くのも良いだろう。
参加者の生の声が、ヒントとして生きるような気もする。
あ、個人的な要望としては、今後の広島の同人界を「主催」「スタッフ」として支えていける「後進の育成」についても考えて欲しいと思ってみたり…


これまでの努力の甲斐あってか、椰麟祭は成功を収め、即売会としても完成の域に達した。
しかし、そこで気を良くするだけでは何も変わらない。
「勝って兜の緒を締めよ」という言葉もある。イベントが成功した今だからこそ、少し先を見据え「将来」について考える事をお勧めしたい。

1/29 札幌・同人誌中心オンリー「Elysian」 久々の参加

元々北海道の東方オンリー「東方神居祭」へのサークル参加を決めていたSTRIKE HOLEであったが、同日に「Elysian」がバッティングしているとの話を思い出した。
バッティング自体は残念ではあるものの、折角開催しているのなら2年ぶりに顔を出してみようと思い立ち、「東方神居祭」への遅刻を覚悟で「Elysian」にも顔を出す事とした。

※2年前に参加した時のレポートは、以下ご参照いただきたい。

2009年03月15日付「3/1 札幌市「Elysian」 アフターイベント「座談会」議事録

2009年03月19日付「3/1札幌開催「Elysian」の躍進の秘密に迫る

2009年03月25日付「3/1 北海道札幌市 本オンリー「Elysian」参加レポ続きを読む
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同人イベント評論のポリシーとしては、「否定的な事は極力抑えて前向きな提言を目指す」「男性向け・女性向けの枠、地方・都会の枠に囚われない評論を目指す」の2点を常に念頭に置く所存です。
コンテンツツーリズム・アニメ聖地町おこしの研究・評論も時折やります。
どうぞ宜しくお願い致します。

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