既に終わった即売会だが、10月23日に開催された「コミックキャッスル2005」、及びこれに対する同人業界評論ライター・三崎尚人さん「同人誌生活文化総合研究所」(以下「同人総研」と表記)内に掲載されたコミックキャッスル評論「「コミックキャッスル2005」がやってしまったこと」について論じさせて頂く。

参考資料:
@すのすけblog」様 「ポストレヴォのその後
よつばの。」様 「rebirth
同人誌生活文化総合研究所」内
 「「コミックキャッスル2005」がやってしまったこと」
  ※以下「コミックキャッスル2005が〜」と表記
 「ポスト・コミックレヴォリューションを巡って」

新生コミックキャッスルを語る上において、これらの評論を大いに参考にさせて頂いた。
これらの評論は、本論を語る上での最重要資料であり、感謝と敬意を持ちつつ論を進めさせて頂きたい。
私も10月23日当日、コミックキャッスルに一般参加させて頂いた。
当日運営に関して言えば、「「@すのすけblog」様にもあるように、レヴォの後釜という視点で見ると厳しい評価になってしまう。段取り余り良くないかな?というのが正直な印象。
しかし、敢えて擁護視点で申し上げれば、今回がイベント初回である事を忘れてはならない。初回ゆえスタッフも段取りに慣れず、組織としてもフィットしていない。
30回近く回数を重ね手馴れた運営の「Cレヴォ」「サンクリ」と比べるのは酷ではないかと。
キャッスルも、回数を重ねてスタッフ諸氏が慣れてくれば、また違うのではないか、とも思う。

但し、今回のスタッフに素人は居ないはずである。
皆イベント経験者、それも普段サンクリやらレヴォやらコミケットやらでお見かけする方々が多くスタッフ参加されていた。某有名オンリーイベント主催団体のスタッフも、多くお見かけしている。

同人総研「コミックキャッスル2005が〜」内で

> これらと並行して行われたのがコミックキャッスル準備会の体制作りということになる。
>NKT、高天原といった即売会運営グループのメンバーが参画し、さらにその人間関係で、クリエイション事務局やコミケット準備会のスタッフの一部もこれに関与していくことになる。


との文章も、自分の目撃を裏付けていると思われる。

これらのスタッフは何回何十回とイベントの運営に携わっておられ、スタッフとしての個々の力量は相応のものをお持ちである。

思うに、「コミックキャッスル準備会」の組織は出来立てホヤホヤゆえ未成熟。それを個々のスタッフの力量がカバーした。今回はそういう構図なのでは。
今回、色々混乱はあったようだが、特段大きな事故も無く済んだのは、彼らスタッフ個々の力量が長け、イベント慣れしているがゆえの賜物と思う。
(そう言えば何処かで「キャッスルは傭兵集めまくりだ」みたいな話もお聞きした)

当日運営「のみ」で言えば、サークルも一般もそこそこ集まって賑わった。でも大きな混乱も無く済んだ。まずまずの結果を残せたのではないかと思う。
個人的には、全くの新規から立ち上げて1,000sp以上のサークルを集めた事は大きく評価したいと考えている。「成功」と評しても良い。


しかし、それはコミックキャッスル主催氏の手柄ではない。
もし彼にその力があるのならば、コミックメモリーズ立ち上げの時に既に成功しているはずである。
同人総研「コミックキャッスル2005が〜」には、是空とおる氏の大手サークルへのコネクションにより70〜80程度の大手サークルが招待された、とある。是空氏が大手サークルを招待したからこそ、「第一次サークルリスト公開」とかで豪華な顔触れが来るぞとPRできた。
そしてそれが期待感となり、一般・サークルの参加に繋がった。
是空氏については過去彼の主催イベント「ハートフルコミュニケーション」での大顰蹙を買った経緯(同人総研に「表立って動けない」とあるのはそういう事情から)もあり、多くの方が是空氏には否定的なようだが、それでも敢えて申し上げる。
是空とおる氏こそがコミックキャッスル2005成功における最大功労者と判断できよう。


但し、一方でキャッスルの主催氏、そしてキャッスルの今後に対しては、相当危なっかしい部分を感じている。

1.主催としての理念の薄さ

 前回メモリーズ論評でも触れたが、何を目的にイベントを立ち上げたのか、何をしたいのかが全く見えて来ない。キャッスル2005カタログ内・主催氏挨拶文を拝見する限り、「場を用意したい」という事しか書かれていない。
 私に言わせれば、場を用意するならサンシャインじゃなくてもいいだろ。何故サンシャイン?何故2000sp募集?そんなでかいイベント開いて何をしたいの?と突っ込みを入れるしかない。
 非常に厳しい言い方で申し訳無いが、「大規模イベントを開いて名を上げたい」位の野心しか感じ取れないわけである。(いや、野心を持つことは否定しないけど、サークルはイベンターの野心に賛同して参加するわけじゃないし…)

 尤も、実際の結果を見ると、募集2000spには及ばないものの、是空氏の大手サークル誘致の効果は大きく堂々1,200spを集めている。言葉汚いが、大手サークルさえ集めれば、主催の理念がどんなヘナチョコなものであっても、サークルも一般も来る。
 それが大規模イベント・・・いや男性向けイベントの現実なのだろう。


2.是空とおる氏の離脱

 今回は1,200sp集めたとは言うものの、是空とおる氏の大手誘致こそが最大の功績であり、主催の功績ではない。主催が大手を誘致できるのなら、既に過去のメモリーズで実施し、今頃メモリーズは1000sp前後規模のイベントとして定着している。
 同人総研によると、次回以降是空氏は離脱との事。

>是空氏や責任者クラスの多くは、次回への協力は基本的にはしないというスタンスを取っている。

キャッスルスポンサーのブロッコリーにも大手との繋がりはある為、多少は大手を誘致できるであろうが、是空氏離脱による影響は決して少なくは無かろう。
いずれにせよ、今回のように大手を呼べなければ、メモリーズの二の舞になる。



3.スタッフの忠誠心(ロイヤリティ)

スタッフに関しても、内紛があったとか色々話は聞いているが、責任者クラスの多くが次から協力をしない、という点気がかりである。
組織作りも1からやり直さないといけないのも辛かろう。
今回は義理人情で手伝った方も多いだろうが、サンクリのように「理念」に賛同してスタッフ協力する人間が増えないとまずいような気がする。理念に賛同してのスタッフは、忠誠心(ロイヤルティ)が高い。
スタッフの忠誠心(ロイヤリティ)が無ければ、毎回1からメンバー集めて、の繰り返しになり、組織としていつまでも成長しないのでは、と懸念される。
やはり主催氏には、イベントの理念を固めていただく事が必要に思う。
また、主催氏に求心力が無いとの話も気がかりである。滅多な事は申し上げられないが、スタッフのロイヤリティ上昇の為にも、組織内における荒療治も必要なのかもしれない。


4.同人総研の露骨過ぎる批判

 「「コミックキャッスル2005」がやってしまったこと」を読む限りにおいては、何があったかは知らないが、同人総研は相当キャッスルや主催氏を嫌っているようである。「よつばの。」さんが仰るように良い事は一つも書いていない。
 これを見たサークルや一般が次の「コミックキャッスル2006」(4月2日開催)に参加するとはとても思えない。まあそれが同人総研・三崎さんの狙いなのだろうが。
 三崎さんの今回の評論に関する問題点は後述するが、正直書き過ぎじゃないかと思う。

 同人総研・三崎尚人さんは昔から同人業界に関する評論を手がけ、同人評論の第一人者とも言える。影響力についても楽観出来るほど小さくは無いと思う。この論文がどれだけキャッスルに影響を与えるのかが気になる。


私が考えるに、都内男性向け大規模イベントを巡る状況が、キャッスルが潰れサンクリの一人勝ちになる状況は決して好ましいものではない。
サンクリはスタッフも運営も洗練され、理念も備わっている。非常に良いイベントだと思う。
ただ、自分の個人的な感覚で恐縮だが、ちょっと生理的になじめない部分がある。(つっても4月のサンクリ、サークル参加予定ですがw)
そういう人も多少は居る。レヴォだって生理的になじめなくてサンクリだけ参加してる人もいるわけだ。個々のサークルに各々の価値観が異なる以上、サンクリ一個しか選択肢が無いのは如何なものであろうか。
サンクリがあって、それに対抗する勢力があって(第三の勢力が出てきたら需給バランスが崩れ余り宜しくないが)2つの大規模イベントが互いに切磋琢磨する状況の方が、サンクリ一極集中よりも良いのでは。
そういう訳で、キャッスルにはサンクリの対抗勢力としての役割を期待したいが、今のままでは崩壊の危険が心配される。
次回以降継続開催する為には、ー膾鼎慮鯊悗盪詭遒貌れた組織立て直し大手誘致体制の再構築M念の追求・見直し この3点が最低欠かせないように思われる。
この点を踏まえ、次回以降継続開催が出来るよう組織力を固めて頂きたいと願う。



一方、今回非常に残念なのは、「同人総研」のキャッスル評論である。
確かに、言っている事は8〜9割方間違いは無いだろう。
ただ、書き方が非常に残念である。

評論を行う以上、一歩引いて眺めてみたり、多面的に物事を捉えてみたり、と物事を相対化させるべきである。評論が単なる主観や感情の吐露になったら評論とは言えない。
少なくとも、私は批判をする時でも、必ず擁護視点を入れて多面的なアプローチを試みるようにしている。普段の同人総研のレポートも、肯定・否定双方の意見を冷静に論じている。
今回の同人総研キャッスル評は、徹底的なネガティブキャンペーンに終始し、感情的になりすぎている。「よつばの。」さんも仰るように、もっとクールに論じるべきであると考える。
(今回は、単なる内情暴露であって、とても評論と言えないような・・・)


池上茜氏とみつみ美里氏のサークル参加問題についても、本当に書いて良い内容だったか熟考すべきであった。
みつみ氏を参加させる為に池上氏を故意に落とした、と同人総研は書いている。
ただ、池上氏自身はご本人のサイトで「郵便事故で参加受け付けて貰えなかった」旨の事を書いている。キャッスル主催氏も故意に落としたとは公に認めていない。
状況的に限りなく黒に近いような雰囲気はあるものの(だってあれだけ招待攻勢するんなら、池上氏の実績考えると普通招待対象じゃないかね?)、両当事者が公的に認めておらず、かつキャッスル主催氏が意図的に池上氏を落とした決定的な証拠も無い以上、第三者たる三崎氏が断言する事は少々勇み足ではなかろうか。

三崎氏は、この一件により「みつみ氏も池上氏も今後キャッスルには参加しないであろう」との見解を述べられているが、私は、この話を三崎氏が取り上げ事大化させたことこそが、両サークルのキャッスル参加を難しくしているように思えてならない。
2chで同様の話がされても、所詮2chで済む。当事者であってもスルーできる。
しかし、同人総研で公にされれば、一定の権威と評価を得ているサイトの信頼性ゆえに、「事実」として捉えられる。スルーはしにくくなる…。
それも踏まえ、両サークルの参加を牽制する狙いでこういう事書いたような気もするが。


そしてスタッフ参加者に猛省を、とあるがこれについても反発せざるを得ない。
要約すると「バカ主催の元でスタッフやってるお前らもバカだ」という主張だ。
スタッフもキャッスル準備会の一員、準備会に不手際があれば末端とは言え所属している以上責任は問われる。そういう意味合いにおいては正論だ。
しかし、何か問題が起こった場合困るのは参加者だ。問題が大きくなれば今後のサンシャイン利用禁止の危険もあり、そうなるとキャッスルだけの問題ではなく、サンクリ等他イベントにも飛び火する。
今回キャッスルに協力したイベンター諸氏は、他でもイベントを手がけているスタッフが多い。スタッフ経験豊富な以上、会場利用禁止のリスクには敏感だ。何か問題があってからじゃ遅い。それが判っている以上、内部的に不満を抱えていても、我慢してスタッフ業務を頑張ったのではないか。
イベンター心理を考慮すると、余りにも酷な言い草では?

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、の心境なのでしょうか、三崎さん。


とは言え、三崎さんの論評は、今回も光る物が多い。
ブロッコリーが債務超過となった事に触れ、また企業ブースでのキャラクタービジネス(ブロッコリーはこっちが本業)の興行の低調さを理由に、キャッスルのスポンサーを継続できるかという問題を指摘されている。
また、男性向けオンリーでの「流行ジャンル」の乱立傾向が、ジャンルの発展よりもジャンルの消費加速に繋がっている、との指摘・懸念も一目に値する。

また、今年5月執筆「ポスト・コミックレヴォリューションを巡って」では、ポストCレヴォの動きをほぼ正確に、かつ判り易く伝えている。(青ブーブー通信社「コミックトレジャー」の東京参入、虎の穴の即売会参入の可能性を指摘している点も面白い)

三崎氏は、普段は豊富な勉強量・情報量を元に、鋭い洞察を繰り出している。
私も耳を傾ける点が多いと思う。
それゆえに、今回の感情的・一面的な論評(というか感情的なゴシップネタ暴露?)には失望を隠せないのが正直なところである。5月の「ポストCレヴォ論」で上がった株を、今回の「キャッスル論」で自ら下げてしまったような気がするのは、果たして気のせいであろうか。



【2005年11月28日補記】
コミックキャッスルさんを語る上でどうしても欠かせない事が一つあったが、書き忘れていたので補記。

キャッスルが開催されたその日は、蒲田PIOで「コミッククリエイション」が開催され、また仙台では男性向けオールジャンル「杜の奇跡」が開催された。
このバッティング、同人界の共存共栄の観点から見ると余り好ましくは無い。
(サンクリとテニプリオンリー、シティと都産貿オンリーのような男性向け・女性向けのバッティングなら層が被らず住み分けできるだろうが、男性向け同士のバッティングは宜しく無いのでは。)

また、杜もコミクリも長年の開催で実績を積み上げてきたイベントであり、新興者として、先輩イベントに対する「配慮」がもう少しあっても良かったのではないか、と思った。
(注:3イベントの中では、お城が一番最後の後出しでの発表であった)

特にクリエイションは、普段のサンクリスタッフの一部がお城に狩り出され、一種のスタッフ争奪合戦になっていたようだ(最終的に、サンクリの混対系がお城に逝き、企画系がコミクリみたいな感じで自然と住み分けられた模様だが)。
クリエイション的には、結構迷惑だったのではないか。

このバッティング、意図的なのかか止む無くなのかは不明だが、正直気が利かないような気がする。
お城も逝きたいが、杜もコミクリも共に魅力あるイベントであり、(ごく一部だとは思うが)お城と杜とコミクリと、どれに逝けばいいのか迷った人もいるのでは。

ちなみに自分はこんなスケジュールだった。

10:00〜12:00 お城の舞踏会
13:00 大宮駅から新幹線
14:30すぎ 杜の奇跡

 ※断腸の思いでコミクリ断念

いや・・・激しくハードでした(汗

キャッスルも、今回のバッティングに関しては、もう少し考えて欲しかったように思う。有力イベントのバッティングは、サークルにもスタッフにも一般にも、ともに辛いものである。