随分先へ先へと延ばし続けてきた「コミックキャッスル2006春」レポートだが、そろそろ細かく論じさせて頂きたい。
キャッスルについては過去何回か事あるごとに論じさせて頂いている。
当ブログは、このイベントに対しては、比較的擁護調で論じていた。これは初回1,200spを集めスタートダッシュに成功した事への評価の気持ち、容赦無さ過ぎるアンチの叩きに対する反発心に起因するだろう。
しかし、今回のキャッスルの事前運営の杜撰さ(「事前運営」であり当日の運営では無い事にご留意願いたい)を見るにつけ、正直そろそろ擁護の限界に達してるような気がしてきた。

先ず、今回のコミックキャッスル2006春について、良かった点を簡単に申し上げたい。

サークル数900spと一定数を集め、サークル・一般共にそれなりに多く参加した事
 中堅〜準大手クラスのサークルが、多数参加した点も評価したい。
 同人誌即売会の基本たる「同人誌の売り買い」を充分満喫できる規模、レベルであった。個人的には、売る方でも買う方でも十二分に楽しめたと感じた。

・前回より明らかにスタッフの頭数が少なく、一人当たりの負担が大きかったにも関わらず、大きな事故も無くイベントを無事に終えた事。スタッフの奮闘と力量に深い敬意を表したい。

普通に考えれば、それなりにサークルも一般も参加した。事故も起こらずに済んだ。
そういう意味では「成功」と評しても良かろう。
規模的にも「ちょっと前のサンクリの規模」という評価が多い。
もう少し回数を重ね実績を積んでいけば、サンクリのような安定感あるイベントに化けるかもしれない。但し、それは普通に滞り無い運営を見せた場合の話である。

残念ながら、この「コミックキャッスル」は、お世辞にも「滞りない運営」とは言えない。
(何度も言うが当日運営は良く頑張ったと思う。ここで問題にする「運営」とは、事前運営の事である)
コミックキャッスルの運営に関する問題点は、一言で言えば「参加者への応対不足」。これに尽きるであろう。

既に前回から問題になっている苦情の一つに「メールで問い合わせしても返事が無い」「電話で問い合わせても繋がらない」というものがある。相変わらず改善が図れていない様子である。

サイトの更新も全くおざなりな状態が続いている。「一般参加案内」「サークル参加案内」など必要な事項は、イベントが終わった今でも公表されていない
カタログの書店販売の方法も問題だ。カタログ前売りは、この規模なら行われて当然であり、それ自体は否定はしない。問題は、何処の書店に卸したのか、一切明記されていない事。気がついたら知らぬ間に書店にカタログが並んでいたという状況は、参加者に対しても委託先店舗に対しても不親切では無いか。

カタログと言えば、今回のカタログは広告のページ数が少ない。前回はブロッコリー
色の濃いイベントで、ブロッコリーだけで20数ページの広告を占めていた。
今回は、アマチュアイベント含め僅か6ページと破格の少なさ。
原因は明白である。広告掲載要綱の発表遅れこそ最大の要因だ。
具体的には、3月9日あたりに広告掲載要綱をWEBで発表。この時トップページにはこう書いてあった。

「広告出したい所は、3月13日午前中までに原稿を提出して下さい」

前代未聞、たった5日間の募集である。これで印刷会社2社から広告をいただけた事自体、奇跡かもしれない。
コミックキャッスルは、昨年秋の段階で第二回の開催を決定していた。本来その時点で企業広告・企業参加要綱等を用意し、webでも公開するべきだった。
1,000sp前後規模の即売会であれば、広告出稿に価値を見出す企業も充分ある。コミコミやガタケット等、同規模の即売会が少なくとも7〜8社から広告を取っている以上、キャッスルも同程度はいける筈である、本来ならば。そのぐらいの価値はある。
1社3万として7社から広告が来れば21万である。それだけの収入が得られれば、赤字ならば補填の足しになるし、黒字ならばスタッフへの打ち上げをもっと豪勢にする事もできよう。いずれにせよ、これだけの収入を、キャッスルは自らの不手際で自ら失っている。正に自業自得であるが、応対の拙さでキャッスル自身が損していると言えよう。

他にも、WEB関連だけとってみても、タイトルが未だに「コミックキャッスル2005 - オフィシャルホームページ」となっているし、今は撤去されてはいるがバナーもついこないだまでは2005年秋のものが残っていた。
敏感な参加者ならば、これを見ただけでイベントの信頼性を測り不参加を検討するであろう。

これらの応対の不足を改善しない限り、参加者のイベントに対する信頼は損なわれる一方である。そしてそれは、今後のサークル参加数、一般参加数にも響く。所謂「コミックメモリーズ化」、閑散イベントへの道をひた走るだけであろう。

カタログ構成も非常に残念である。
サークルリスト・注意書き・配置図だけの非常に簡素なものであり、内容も薄い。
サンクリ程の充実さを敢えて求めるつもりも無いが、せめてジャンル分けの案内ぐらいは欲しいもの。大規模なオールジャンルならばコミケもシティもライブもサンクリも、皆ジャンル配置に関する案内は欠かせない。
大規模なオールジャンルでジャンル案内を行わないイベントにお目にかかったのは初めてである。ジャンルを重視するタイプの買い手に不親切な構成に思える。

また、前回のカタログで冒頭に記された、主催の挨拶が今回無くなった点も見逃せない。
以前自分は、主催氏の挨拶に理念が感じられない無い旨批判させて頂いたが、今思えば挨拶してるだけまだマシである。最低限の儀礼としても、主催氏の対参加者向けの挨拶は不可欠な筈である。
今回は挨拶も何も無い為、このイベントの存在意義やら理念やら主催氏の考え方やらの諸々を、前回にも増して知り得る事が出来ない。
コミックキャッスルは、果たして何の為に存在しているのであろうか。


私が見出すコミックキャッスルの意義は、やはり「ポストサンクリ」としての立場にあると考える。

Cレヴォ化するサンクリは、今回こそ落選サークル数を最小限に抑えたが、今後落選数が減る保証は無い。落選サークルは、発表の場を失う。サンクリに近い(少し下回る程度の)規模のイベントは、サンクリの滑り止め的な役割も期待される。
人出の度合いとしては、サンクリほど殺伐せず、しかし閑散でも無い。じっくりお気に入りのサークルを開拓したい買い手にとっては適度な混雑のイベントとも言えよう。

また、もし万が一(昨年レヴォのごとく)サンクリが消えたら、受け皿となるイベントが必要になろう。
レヴォの穴は、レヴォより少し小さめの規模で運営を続けたサンクリが見事に埋めた。もし何かの弾みでサンクリが開催できなくなったとしたら、その穴を埋めるイベントはサンクリより少し小さいイベント−キャッスル−になる筈だ。

以上の点より、キャッスルは、男性向けイベント「第二勢力」としてのポジションを維持し、男性向け同人市場を牽引すべき存在と期待している。本来ならば。
ただ今回、キャッスルは次回開催を発表しなかった
これだけの大規模なイベントなら、今回のイベントにて、半年後の次回イベントの告知・発表を入れて然るべき…というかそれが当たり前である。
それが無い、という事は次回キャッスル開催予定無し、と言う事なのか?

ただあそこまで事前運営がお粗末だった以上、一般・サークルの信頼を上積みする事は困難だ。寧ろ信頼をすり減らすだけだ。回数を重ねるほど参加者・規模を減少させ、何度も申し上げるように「コミックメモリーズ化」への道を辿る事は必須。
それを考えると、キャッスルが今回打ち止めとすると、それは引き際としては最善のタイミングなのかもしれない。