同人イベントではないが、九州・福岡で興味深いイベントが開催されたので、少し取り上げたい。
このイベント、本音を言うと自分も情報掴むのが非常に遅かった。
存在を知ったのがイベント開催当日の4月29日。もっと早めに知っていれば何とか都合つけて九州に行ったのに…と悔やまれる所である。

今回紹介したいイベントは、福岡県遠賀郡芦屋町にて開催された町の行事、「あしや人形感謝祭」(以下「人形祭」と表記)。
今回で8回目のこのイベント、平たく言えば捨てられた人形とかを供養したりする行事(だったと思う)の筈で、町の毎年春の恒例行事であった。(主会場は町内の「岡湊神社」であり、ここで「人形納め」の神事を行っている)
しかし今春のこのイベントは、激しい方向に、大きく舵を切った。
取り敢えずあしや人形感謝祭の公を式WEBサイトでもご覧頂ければ一目瞭然であるが、今年はローゼンメイデンをイメージキャラに起用するという大胆な方向転換に出た。
撒きますか 撒きませんか」と題し、「とらのあな」等の同人店舗にチラシを配布するなど、神事でありながら告知手法に同人誌即売会の要素を取り入れた点も見逃せない。(希望者にチラシ郵送のサービスも実施していたようだ)
当日の会場構成も、メインの神事は岡湊神社で実施されたが、芦屋町民会館でグッズ即売会が行われた点にも注目したい。
即売会開催は10:00であったが、開場前に100人が列をなしたようだ。
下手な同人誌即売会よりも盛況っぽい。
実際、即売会会場にも一般人・ヲタ入り乱れて多くの来訪があったようだ。
(売り物についてはシェログ様に詳しい)

更に、JR九州バスとのタイアップで、こんなバスツアーも実施された。
色々な意味で突っ込み所の多いバスツアーであるw
何故ツアーの終点がとらのあな福岡店(天神なので便利と言えば便利な終着地点ではあるが)なのかだとか、タイトルが「真紅バスでゆく あしや人形感謝祭  〜のりますか のりませんか〜」だったりだとかも気にはなる。
しかし、最も注目したいのは「真紅バス」にする為にJR九州所有の真っ赤なボディのバス「REDLINER」を用意し、そこにローセンメンデンの真紅を貼り付けラッピングバスにしてしまう。真紅への徹底的なこだわり具合が伺える。
(ラッピングバスについては、アキバエキスプレスさんがコミケで運行されるバスを思い浮かべれば判り易いと思われる)

とは言え、そのこだわりが功を奏し、このバスツアーは僅か1週間程度の募集期間でありながら満員御礼となった。1週間で満員となるバスツアーは中々無い。異例の大人気ツアーと言えようが、徹底的に真紅にこだわり、ヲタに特化したのが勝利の要因であろう。

今回、この「あしや人形祭」は多くの人の注目を浴びた。
これまでの人形祭、そして芦屋町の存在は世間的には全く注目を浴びなかった。人形祭も、地元の人が参加するだけのこじんまりとした催事だったように思う。
しかし、今回ローゼンメイデンを起用するという奇策に出たお陰で、(ヲタ中心とは言え)町外から数百人規模の参加者を呼び込む事に成功し、祭事の盛り上げに大きく寄与した。
また、これまで人形祭を、芦屋町を知らなかった層に、その存在を知らしめた。


(あくまで一部のヲタ中心ではあるものの)世間に人形祭及び芦屋町の存在を知らしめた事、(ヲタ中心とは言え)新しい参加者層の開拓に成功した事、全てローゼンメイデンの起用が生み出した効果と言えよう。
真紅の起用を通じ、芦屋町がヲタのパワーを町おこしに見事活かす事が出来た、と言っても良かろう。

これまでにも、佐賀県大和町(現・佐賀市)が自治体マスコットキャラ「まほろちゃん」を起用して人気を博したり、和歌山県みなべ町及びみなべ川森林組合がびんちょうタンを起用したり、とキャラクターで町おこしの一端を担わせる戦略を打ち出した自治体はあった。
ただ、(観光客が来訪するなどの)目に見える実績を残したか、といえば否である。

ヲタの動員力は馬鹿に出来ない。それは、コミックマーケットやコミックシティ等大規模なイベントの動員力を見れば、充分お察し頂ける事と思う。
残念ながら、みなべ町や大和町は、ヲタの動員力を上手く取り入れる事が出来なかった。
今回の芦屋町の取り組みは、ヲタの動員力を上手く取り込んだ成功例として、注目に値するであろう。
今後ヲタのパワーを町おこしに活かそうという自治体(そんな自治体あるのか?激しく疑問だが)がもしあるとすれば、芦屋町の成功事例は大きく参考になるだろう。