5月3日、東京ビッグサイト西館にて、(主に男性向け)オールジャンル同人誌即売会「コミック・キャラクターズ」が開催された。

このイベントは、男性向けオールジャンル同人誌即売会「コミックレヴォリューション」の2005年4月の開催終了に伴い登場した、レヴォ後釜狙いの新興イベントである。
レヴォ後釜を狙うイベントは他にも幾つか存在するが、キャラクターズは立ち上げ当初よりレヴォ後継を目指す考えを明言、方向性が最も明確であった。
それは、当時のキャラクターズ主催の挨拶文から伺い知る事ができる。
「同人誌即売会(イベント)は、同人誌に関わる私たちの重要な土台です。
 同人誌の委託販売は数年前に比べ格段に浸透しました。弊社コミック流通部門におきましても、委託同人誌の取扱量・売上高は毎年右肩上がりです。
 しかし、その根源が同人誌即売会にあることは言うまでもありません。もし、同人誌即売会が無くなれば、同人誌サークルが本を発行する機会は減り、市場縮小につながります。
この春、男性同人誌界にとって重要なイベントのひとつが、幕を閉じられました。
しかし私たちは何もせずに市場の縮小を招くようなことはしたくない、と考えました。」


*このコメントは、現在キャラクターズ公式サイトに存在を確認していない為、当時のキャラクターズサイトより、三崎尚人様主宰「同人誌生活文化総合研究所」内「ポスト・コミックレヴォリューションを巡って」に引用された文章を再引用させて頂いている。


私見では、やはり同人世界は「同人誌即売会」の開催があってこそ発展できるもの、と考えている。
4月29日付「大規模同人誌即売会の存在意義について」でも論じさせて頂いたが、特に大規模イベントになればなる程、同人世界における存在の重要性は高まると考える。

主催の(株)ユウメディアは、全国各地で同人誌即売会「コミックライブ」を開催し、主に東京以外(札幌、東北、東海、神戸、中四国、九州等々)の各地方における同人誌市場を牽引されている。コミックライブはマナーの低下・低年齢化等の運営課題はあるものの、同人誌即売会の開催を通じ、地方における同人世界の開拓に大きく貢献している。
その自負をお持ちゆえなのだろう。キャラクターズ立ち上げに当っても、同人誌市場を縮小させず維持する為の開催である事を明言している。その志は立派であり、かつ共感できる。

但し、それはその志を持つ者が、立派な即売会(※)を開催できる力量を持っていればこそ通用する話である。

※この場合、「立派な即売会」は「一般もサークルも多数参加して賑わいを見せる即売会」程度の意味に定義して下さい。例えば、少なくともコスカ・例大祭・キャッスル・都産祭あたりの規模?


残念ながら、コミックキャラクターズは、その力量に欠ける即売会であったと言わざるを得ない。
キャラクターズの主催氏は、2005年4月下旬、「キャラコミ」を大阪や名古屋で開催の際、運営面でのトラブルを起こしてサークルから大顰蹙を買っている。
その直後、2005年5月のキャラクターズ開催決定の報である。
キャラコミでの汚名を返上し切れない中での新規イベント開催は、サークル集めにも大きな足枷になり、不利に働いたと思う。大手サークルの誘致も思うようでは無かった模様だ。
同じユウメディアの主催であっても、男性向け部門は、名古屋のコミックライブや都内のオンリーとは天地の開きがある。安定した開催を続けるこれらのイベントに対し、男性向けイベントは低迷していた。

そんな中、第一回のコミックキャラクターズが、2005年10月初旬、東京ビッグサイト西館にて開催された。
何とか300超のサークル数は確保したものの、2,000sp募集を謳いレヴォの後継を明言した事を考えると、物足りない数字ではある。また、同時期に開催した新興イベント「コミックキャッスル」(1,200sp参加/2,000sp募集)にも大きく水を空けられてしまっている。
会場もビッグサイトを利用した所為かもしれないが、閑散ぶりが目立ち、イベントとしては明らかに失敗だったと言えよう。

そんな状況でありながら、コミックキャラクターズは第2回開催を決め、その日程は2006年5月3日と報じられた。ゴールデンウイーク真っ只中、一見良い日を押さえたように思う。
だが、冷静に考えてみると、都産貿では毎年このゴールデンウイークはオンリーイベント花盛りの日である。
昨年2005年開催の都産貿イベントを例に取ると、5月3日はSDF主催「RAG-FES」「雛見沢村綿流し祭」、コスカ主催「帝國メイド倶楽部」等が開催、5月4日は「博麗神社例大祭」「SWEET SCRAMBLE」等のオンリーが開催されている。実績と定評のオンリーが多数開催される都産貿軍団と、新興イベントがガチでやり合う事は少々無謀だったように思える。
事実、この後「都産祭」「帝國メイド倶楽部」の2006年5月3日開催が発表され、キャラクターズはこれらのイベントと競合を強いられる事になった。

この段階で、キャラクターズは危機感を持ち、競合に競り勝てるような対応を取らねばならなかった。だが、特に何も手を打たなかった。せいぜい申し込み締め切りを延長し、サークルに門戸を開いた程度である。キャッスルで追い込み受付を行った「都産祭」とは対照的である。
結果は当然、都産祭やメイド倶楽部の圧勝である。都産祭はご存知の通り600超サークルより参加を受け、メイド倶楽部も160以上のサークルより参加を受けた。
一方、コミックキャラクターズのサークル参加数は約80。流石に大阪で開催された伝説のイベント「コミック・キングダム」(7sp参加/1,000sp募集)よりはマシだが、2,000sp募集で充足率は僅か4%。当然の結果なのかもしれないが、非常に寂しい結果である。


この「コミックキャラクターズ」に、5月3日一般参加させて頂いた。
午前中、都産祭やメイド倶楽部に逝っていた事もあり、午後の参加となったが、その有様は、私の想像を遥かに凌駕する、目を覆わんばかりのものであった。

キャラクターズは、同じユウメディア主催の「COS-DAY」「宝島フリーマーケット」と同時開催、西3・4ホール(西館2階/コミケでは企業ブースに利用)を3イベントで分け合っての開催であった。
先ず、コミックキャラクターズの会場に行くのに一苦労である。
キャラクターズの入場を案内する看板が無い。同じユウメディアのCOS-DAYや宝島の入場を示す看板は立っているのに、である。色々探してCOS-DAYの受付担当に、キャラクターズの入場口を聞く。どうやら、宝島の入場窓口の隣に位置するらしい。慌てて移動する。
カタログ販売の受付は宝島と兼任のようで、そこでキャラクターズのカタログを購入する。販売受付の右に行くと宝島だが、左に行くとキャラクターズとの事。ちなみに、キャラクターズ入り口を示す看板は、存在しなかった。

会場に入った瞬間、物凄いどんよりとした空気が漂った。
会場到着は13:30少し前だが、既に殆どのサークルが撤退ないし欠席しており、80サークルとは言うものの実際に残っているサークルは僅か20余り。1つの島に1サークルしか残っていない島すらあった。
各サークル共澱んだ空気が漂っていた。西館の左端は窓が無く、開放感に欠ける。それが、このイベント全体に漂う、葬式の如き暗い雰囲気をより促進させていた感がある。
無論、一般参加者は、私以外、誰も居なかった

一見しての感想であるが、明らかにユウメディアはこのイベントを見捨てている、と感じた。
先述の通り、イベントの看板・POP類が一切無かった事は、これを裏付けている。
また、本部に常駐するスタッフも僅か1人。この閑散ぶりを考えると、1人いれば充分なのかもしれないが、1人しか要員を配置しない事は、それだけキャラクターズを捨てている事の証左でもある。

同時開催イベントとの配置構成からも、その意図は読み取れる。

今回の配置略図もご参照願います


キャラクターズは「コスプレ可」のイベントである。
コスプレブースも用意してある。
だが、コスプレをするには、同時開催のCOS-DAYの受付でコス登録を済ます必要がある。
しかし、その為には、一般人も参加するフリーマーケット会場を横切る必要がある。距離にして50〜100mは離れている。果たして、そこまでしてキャラクターズ会場でコスを披露するレイヤーはいるであろうか。
・・・当然の如く、広大なコススペースには、人は誰も居なかった。

COS-DAYの配置は、屋外を撮影スペースに使う関係上、屋外に出易い右端に置くのは当然であろう。
だが、その左にキャラクターズを配置し、宝島はその左に配置すれば良かったのではないか。そして、時間が経った所でキャラクターズ・COS-DAY間の相互入場を行うべきではなかったか。そうすれば、キャラクターズ側にコスを披露しつつ買い物にするCOS-DAY参加者も出てくる。キャラクターズとの相乗効果で、僅かでも賑わいをもたらす事ができたはずだ。

そうせず、左端にキャラクターズを置かれても、キャラクターズ参加者的には「隔離」されているようにしか見えない。実際そのつもりなのかもしれないが、そうなれば主催側がキャラクターズを捨てている事は明白だ。

イベントにサークルが来ないのは仕方ない。努力しても、サークルが来ない時は来ないのだから(無論、サークルが来るに越した事はないし、それが一番の理想ではあるが)。
だが、来ないなら来ないなりに、当日参加して頂けるサークル・一般が楽しめる為にに何が出来るのか。主催はそれを考えるべきだ。それがイベント運営の在り方(の一つ)である。
今回の当日の状況を見る限り、残念ながら、主催側がそれを考えてくれたとは到底思えない。
閑散イベントである以上に、それが残念でならない。

本日現在、コミック・キャラクターズ次回開催はアナウンスされていない。
恐らく、このイベントを最後に終了、撤退するであろう。明らかに超の付く赤字イベントであり、興行的にも成立し得ない筈だし。
だが、最後のイベントがこのような、言わば投げやりとも言える運営で終わってしまった事、つくづく残念でならない。
このような残念な出来事が、同人世界で今後起こらない事を願いたい。