本日7月2日は、松江市・くにびきメッセ開催のオールジャンル同人誌即売会「花鳥風月」に参加した。
島根・鳥取のいわゆる山陰地方はあ、県自体の人口も少なく、同人誌即売会の数も少ない。この両県で他に開催されているイベントは、ユウメディア主催「おでかけライブin米子」、鳥取市開催の個人主催イベント「273」「月面着陸」ぐらいである。

その中でも「花鳥風月」は既に60数回開催。10年以上の歴史を持つ、実績と伝統のある老舗イベントである。
サークル数も、常時300〜400を集め、年5〜6回とコンスタントに開催されている。
山陰地区という、市場的にも小さい規模の地域で、これだけ多くのサークル数を集めつつ、かつ定期的に多くの回数開催されている事自体、驚きの話である。
(松江は20万都市であるが、同規模の都市では福井市(27万)は個人主催イベントが50sp〜80sp、おでかけライブは撤退。佐賀市(20万)もコミックネットワークや個人主催イベントが80〜100sp未満である。
また、sp数で同規模のオールジャンルは、広島コミケ(300〜400sp)、コミックライブin小倉(400〜500sp)等100万人規模の大都市開催のものばかり。
花鳥の突出・健闘ぶりはこうしたところからも伺えよう)

随分前から花鳥の存在は知っており、非常に気になっていたイベントの一つだが、今回、念願叶って山陰に行く機会を得た。山陰行きは急遽決まった話だったので、サークル申込締切には間に合わず、残念ながらサークル般参加はならなかったものの、いち一般人として一般参加させて頂いた。

以下、花鳥の特徴をレポートさせて頂く。
先ず、地方イベントの特色として、コスプレ・ラミカ・便箋
地方イベントを多く手がけるユウメディアのイベントなどは、この3つが代名詞になってしまうほど、何処の地方に行ってもこの3つは目立つ。
花鳥もご多分に漏れずコスプレ・ラミカ・便箋は盛んだ。
中でもラミカの盛んさは他地方に比べ突出しており、ラミカで50〜100種類を販売する「ラミカ特化サークル」もあるぐらいだ。
まあ、同人誌即売会な以上、同人誌の頒布・販売が本義な気がするが、中高生が同人世界に入ってくる「とっかかり」「きっかけ」になる事を考えると、一概にラミカを否定する事はできないし、そもそもここまでラミカが徹底してると、それはそれで神の領域な気もするがw
無論、同人誌を頒布・販売しているサークルも多いが、一緒にラミカを作っているサークルも多い。花鳥においてラミカは一つの「文化」になっているかもしれない。

一方、あくまで花羅の私見であることを前置きするが、コスに関しては意図的に制限を設けているかのように見受けられた。
ユウメディアのイベント等では、名古屋のコミックライブに見られるように、サークルカットすら描かず作品の一つも出さず、コスプレの荷物をおきたいが為だけにサークル申込をする輩が多い。(それを許す主催元もどうかと思うが)
これに対し花鳥は若干の工夫を図っている。

花鳥のコススペースは、信じられないぐらい狭い。どれぐらい狭いかと言うと、会場内で販売している画材屋より狭いし、委託コーナーのスペースの3分の1以下。多分、会場面積の30分の1ぐらいじゃないかと。
そう言った理由から「意図的に小さくしているかも?」とも思ったのだが、それが功を奏している(と言って良いのかはわからないが)のだろう。
地方イベントにありがちな、「コス栄えてサークル閑散」の状況にはなっていない

コススペースを狭くすれば、レイヤーはそこに溜まる事も無い。
レイヤーも色々巡回して、サークルの本やラミカを漁っている。
意図的かどうかは判らないが、コススペースが狭いのは紛れも無い事実。コススペースが狭いゆえ、サークルもそれなりに賑わっている。
サークルも、人が来れば次も参加しようと考える。リピーター化する。
花鳥が多くのサークルを集めているのは、当然リピーターが多いから。コスを狭くする運営は、サークルのリピーター化にも繋がっている。コスとサークルの余計な軋轢を避ける意味でも、一つの見識ではないかと思う。


難点を挙げるとすれば、主催氏が現役サークル(現在も活動中。今はネウロ本出してる)という事もあるのかもしれないが、ジャンル分けがアバウトすぎる事。
普通、ジャンル配置図は、各配置ごとに区分けしたものを公表しているが、花鳥の場合はこんな感じ

A列→銀魂・テニプリ・デスノート・ミスフル・Dグレ・BLEACH
B列→マガジン・リボーン・ワンピ・その他ジャンプ系・サンデー・創作


ってな具合で、この列の中にどのジャンルがある、って部分までしか案内していない。
ガタケやライブなどはジャンル区域を細かく分けたジャンル配置図を用意しており、それに比べると不便を感じざるを得ない。ここの部分は、ガタケやライブを見習って欲しいと思う。
(本専もそうだが、サークル上がりのオールジャンル主催は、自ジャンル以外はどうして勉強不足になりがち。自分の知らないジャンルのジャンル分けは、非常に適当になる傾向がある。ジャンル変動に追いつくのも大変とは思うが、主催業務を通じて少しずつ勉強して欲しいもの)

特に男性向けは何がなんだかわけわかめ状態であり…というか所謂男性向けジャンルの配置がバラバラであり、探すのに一苦労。男性向けはどうせ少ないんだし、纏めた方が親切な気がする。

という訳で課題もそれなりにあるとは思うが、全般的に運営にもソツが無く、サークルも多く参加している、良きイベントと思う。
山陰の同人世界を牽引する、山陰No.1のイベントであろう。
山陰にはアニメイトも無く、ショップ関係は不毛の地であったが、今年3月コミサイトという同人ショップも開店した。「コミサイト」は山陰唯一のアニメショップであり、夕方来訪したが品揃えも一通り揃っているし、客足も良い。コミケカタログの販売も行う模様だ。
こういったショップとも協力を図りつつ、山陰の同人世界の発展に頑張って頂きたいものである。


【追記】
会場「くにびきメッセ」6階では、何処かのお店が会議室を借りて会場を設営し、アニメキャラグッズ・同人誌の出張販売所を設けていた。
花鳥風月とのハシゴ組も多く、それなりに盛況であった。
大手サークルも見受けられ、委託同人誌のレベルは花鳥風月本体より高いような。
花鳥との関係がイマイチ不明ですが。

【追記2】
花鳥の会場の中を歩くと、制服を着たガードマンが巡回している。
ガードマンが会場内を巡回するイベント等初めててあり、流石に少し驚いたが、花鳥風月のサイト内にはこのような事が書いてある。

<会場で嫌がらせ>

何を考えているのか知りませんが。某団体による毒ガスばら撒き事件が世間をにぎわせていた頃、迷彩服にガスマスクを被って参加していたバカがいました。参加者さんからも何とかして欲しいという苦情続出しました。
(中略)
こういうのに限らず、行動が不審な人がいたら注意して観察することです。
ちなみにウチは自衛手段としてガードマン雇ってます。
もうあんな下らないことで神経すり減らしたくないので。



会場内の安全に心を砕いている事、昔大変なトラブルがあった事が伺える記述である。会場の危機管理という部分も考えねばならず、主催と言うのは大変な物である事を、改めて実感した次第である。