10月15日、金沢開催の東方オンリー「るなフェス(ルナティックフェスティバル)」について語りたい。

そもそも、男性向けのオンリーイベントは東京での開催が殆どである。地方での開催は殆ど見かけない。関西地区ではいささかのオンリーが開催されるも、それ以外の地域での開催は殆ど見かけない。
只でさえ狭い男性向けジャンルである。東京大阪でさえ苦戦しているオンリーは多々あるというのに、地方になればもっと大変になろう。

範囲を広げ、男性向けオールジャンルにしたところで、東京・大阪以外ならば、規模が大きくとも仙台・杜の奇跡の140サークル参加や名古屋・メンコミの110前後。松山・静岡で30前後。金沢や札幌は20前後。オールジャンルでもこの程度である以上、オンリーにしたら極小サークル数になるのは自明の理である。
実際、ここ最近の(男性向けジャンルの)地方都市開催オンリーを見てみると…

・愛媛県松山市開催「熱血アニメで行こう」 10サークル
・広島県尾道市開催「神様にお願い」 10サークル
・福岡県福岡市開催「毒を喰らわば皿まで」 12サークル

何処もサークル集めには大変苦労している。在京・在阪サークルをかき集め、やっとこの数字である。
兎に角、地方での男性向けジャンルのオンリー開催には、大変な苦労が伴う事だけは否めない。

そんな中、東方オンリーが金沢で開催されるとの報を聞いた。
男性向け、地方都市開催というだけで苦戦フラグが立ちまくり。如何に元気のある東方ジャンルと言えども、サークル集め大変なのでは?と心配になった。
以前、私はイベント主催団体「連合団体プラステ」を取り上げた事があるが、この団体が北陸で定期的に開催している、ギャルゲ系オールジャンル&企業出展の複合型イベントに、「こみフェス」というイベントがある。
今回の「るなフェス」は、元々この「こみフェス」でスタッフを務めていた若手が、自分が東方好きだから地元で開催したい、と意欲を持ち企画した事が契機である。
最終的に、「こみフェス番外編」と銘打ち、こみフェスと同日同会場で併催。「るなフェス」の名で開催を決めた。
言わば、「るなフェス」は、「こみフェス」の弟分のようなものか。

地方・男性向けという厳しい条件に心配したが、蓋を空けて見れば、「るなフェス」は30数サークルを集める事に成功した。(sp数にすると推定40sp?)
東方紅楼夢は約300sp(京都開催)、博麗神社例大祭は約600sp(都内開催)、東方まんがまつりは約120sp(名古屋開催)。確かに、大都市圏のオンリーに比べれば物足りないかもしれない。
だが、地方のオンリーは、10〜20サークルがデフォルトである事を忘れてはならない。地方都市開催のオンリーで、30サークル以上も集めた例は余り無い。それを考えると、「るなフェス」の30数サークルは、大健闘と言えよう。

では、何故「るなフェス」がここまで大健闘を見せたか。
理由は色々あるが、一番大きな理由は、主催者が「するべき事をしっかり行った」ことにある。
以前、杜の奇跡(仙台)や東方まんがまつり(名古屋)の成功について、地元のみならず、大都市圏でしっかり告知する事は大切な告知要素であると指摘した(参考/6月29日付「杜の奇跡の快挙」、2月6日付「東方まんがまつりは凄いらしい」)
今回の「るなフェス」も、私が確認しただけでも、「コミックマーケット」「こみっく☆トレジャー」「コミックコミュニケーション」等の都市部大規模イベントでチラシ配布を実施している。また、「東方兎月祭」「東方不敗小町」等の都内オンリーでもチラシを配布している。主催氏は北陸在住で、無論全てのイベントに足を運んだ訳ではなかろうが(都内のこみフェススタッフ経由で配布したケースもありえよう)、兎月祭のように、北陸から遠征して挨拶回りに励んだイベントもある。

北陸は、大阪に出るにも、東京に出るにも、案外不便な場所である。
距離は300〜400km、新幹線も通っていないため、所要時間は4時間と結構かかる。
そんな状況下でありながら、積極的に都市部に足を運んだ主催氏の頑張りは、ジャンルに対する情熱が無いと出来ない事である。これは素直に「良く頑張った」と讃え評価すべきであろう。
主催氏に情熱があるからこそ、サークルもそれに応じたのかもしれない。

特筆すべき事としては、東方サークルの有志連合が、「るなフェス」合わせに合同誌を制作する事(詳細は「金沢合同」のページ参照)。
主催は恐らくノータッチ、サークルの間で盛り上がって合同誌企画に至った模様だ。
メインで動いているサークルは6サークルだが、協力サークルは40以上。実に豪華な顔ぶれである。
趣旨からして、基本的に金沢限定での頒布のようだ。だが、それゆえに一般参加者の中でも、これ目的で金沢への遠征を真剣に考える層も現れている
これは主催の功績ではないが、主催がサークルへの告知を真剣に行わなければ、るなフェスの存在はサークルに知れ渡らず、こんな企画も生まれなかった。間接的だが、主催がしっかり告知を行った事の効果が、ここにも現れている。

また主催にとって幸運な事として、同人ショップ「ホワイトキャンパス」の全面的協力を得られた事がある。
金沢店の店長氏は、ご存知の方はご存知の事であろうが、同人世界において非常に顔の広い方であり、かつ同人イベントに対する理解の深い方である。北陸本専の時も、本専の趣旨に賛同し、自らチラシ配布協力を申し出ている。「るなフェス」でも、有形無形の支援に努めており、かつ企業出展と言う形でも協力している。
ホワイトキャンパスは恐ろしい程に東方シリーズに力を入れている。下手すると店の品物の過半数が東方作品で占めそうなくらいの勢いなほどに。
「るなフェス」に協力する事は、店の売上げ増にも繋がるメリットがあるから、会社的にも協力は当然の選択肢なのだろうが、「るなフェス」にとっては有り難い話である。
東方に力を入れるショップが地元にお店を構えている、という地理的条件は、「るなフェス」にとってプラス材料だと思う。

こんな具合に、「るなフェス」は、一般・サークル・企業。それぞれが激しく盛り上がる形で当日を迎える事になる。
兄貴分イベントの「こみフェス」とカタログ共通化を行う予定であり、普段少し閑散気味な「こみフェス」も、「るなフェス」効果で盛り上がる事だろう。「こみフェス」側も、参加スペース16spと少ないものの、有名サークルが遠征参加する等、面白い顔ぶれである。
流石に都心オンリーのような阿鼻叫喚の宴はありえないだろうが、少なくとも、過去の「こみフェス」に比べれば相当激しく盛り上がるのではないかと思う。
・・・自分も今回の「こみフェス」「るなフェス」はまじに行きたいですよ。所用があって行けないのが悔やまれますorz


だが、「こみフェス」側を見ると課題は大きい。
今回盛り上がるのは、あくまで「るなフェス」効果であり、「るなフェス」の主催が良く頑張ったからの盛リ上がりである。「こみフェス」側の力ではない。
寧ろ、サーバー代の払い忘れらしいが、こみフェスのドメインが一時期機能せず、サイトを閲覧できない状態になる、なんてお粗末な事もあった。WEBサイトは、チラシと並びイベントの「顔」である。それが表示されないのは如何なものか?コミックキャッスルで、ケットコムの主催さんにドメイン横取りを許した苦い思い出から1年、その時の反省が余り生かされていないように思える。

サークルの集まりにしても、るなが30数サークル、こみが16sp。サークル数でも主従逆転している。るなフェス側から見れば「るなフェスよくやった」なのだが、こみフェス側から見れば「こみフェスだらしないべ?」になる。
だが、それもある意味当然かもしれない。「るなフェス」は大規模イベントは無論、東京のオンリーにもこまめに顔を出し、告知に努めた。当たり前にするべきことを、当たり前にこなしたから、「るなフェス」は結果を出せた
「こみフェス」には、折角の兄弟イベントである「るなフェス」の、こういった良き取り組みを見習い、告知力を高めて欲しいと願う。

金沢及び北陸3県の同人市場を考えると、個人的な見解だが、男性向けでも40〜60spぐらいの潜在的ニーズはあると思う。今は10〜20spで推移してるが、告知や事前運営がもっとマトモになれば、その位の規模拡大は充分可能であろう。「こみフェス」に、その可能性は充分残されている。
弟分の「るなフェス」の躍進を刺激にし、見習うべき所は見習い、「こみフェス」にも奮起して頂きたい、そう心より願っている。