あまたの数ある鋼の錬金術師オンリーだが、主人公兄弟のキャラオンリー「Alchemist's Children」は、今秋11月3日の開催で4回目を迎え、5,6回目の開催も決定している人気オンリーである。
毎回100以上のサークルを集め、サークル募集は早期に満了する。
今秋のオンリーも、6〜7月には既に満了していた、と記憶している。
非常に安定した人気を誇るオンリーイベントである。

このオンリーイベントに、ちょっとした問題点が沸き起こった。
2006年2月、6月に第2回・第3回目のオンリーが開催されるが、この時、コスプレイヤーの要望に応じ【会場外の野外で撮影会を実施】という、少々首を傾げる行為が、主催判断の元行われた。
野外・公道は一般人も通行する。会場の全電通ホールは、休日の人通りは比較的少ないものの、それにしてもコスプレなんぞ非常に目立つ格好を野外におっ放す、という判断は軽率だったように思う。

これに対し、一部参加者有志より疑問の声が上がり、野外コスプレを問題視する「まとめサイト」が設立された。
まとめサイト側から主催側への申し入れが行われ、主催側もこの申し入れに耳を傾けた。結果、11月3日の4回目オンリーは、野外コスプレ自粛、会場内のみコスプレ可という形になった。

今日の記事では、このオンリーの当日に至るまでの経緯、このような騒動の起こった経緯や背景、当日の様子など、自分が見た範囲で、かつ第三者的な立場から掘り下げてレポートさせて頂きたい。
【問題の起こった背景】
問題の起こった背景として、私は以下の3点を取り上げたい。
(こういうのは本来まとめサイトが行うべき事と考えるが、まとめサイトでそこまで言及が無いので、補足的に自分の方で取り上げたい。)

(1)サークル参加数の殺到
 このオンリーの主催氏は、活動経歴も長いベテランのサークルさん。活動実績も充分あり、イラストもそれなりのレベル。女性向けは、主催者のサークル活動実績が、オンリーの信頼度を測る指標の一つとなる。主催氏の実績は、サークルが安心して参加するにふさわしい実績であり、多くのサークルが参加するのも決して不思議な事ではない。
 事実、このオンリーは、開催3〜4ヶ月前に設定される一次募集締め切りの段階で、サークル満了を果たしている。

(2)会場キャパシティの限界
 ただそこで問題になってくるのは会場のキャパシティの問題、である。
 会場の全電通はそんな大きいホールでもない。どんなに無茶しても200spが限界のキャパシティだし、自分の見立てでは、140spを超える規模になればコスプレ用のスペースをホール内で調達する事自体が難しいように思える。
 この「Alchemist's Children」は、140spは余裕で突破するイベントである。ホール内でのコススペースは工面し辛くなってくる。
 そうなると、コスプレさんはどうすれば良いのやら?…野外にコスプレイヤーを誘導した一因がここにある。

(3)コスプレイヤーの増加
 元々、鋼オンリーでコスOKのオンリーは、そんな多いわけではない。
 ケットコムの鋼オンリー一覧をざっと眺めての印象だが、全体の約半分が「コス禁」を謳っている模様である。となると、レイヤーがコス可のオンリーに流れるのは当然の流れである。ましてや、東京開催、しかも毎回満了御礼の人気オンリーとなれば、尚の事である。
 過去開催のオンリーで、野外コスプレを敢行した原因の一つは、コスプレイヤーの増加。そして、それに伴いレイヤーからの「撮影場所の確保」を要求された事に対しての措置が「野外コスプレ」である。

 上記3点、会場キャパでは賄い切れない来場者の多さが、野外コスプレを生んだ背景と分析するが、もう1点見逃せない要素を指摘したい。

(4)コスプレに対する主催側の認識の甘さ
 …主催側を責めるつもりで書く訳ではないのだが…ここは指摘しておきたい。
 野外コス誘導も首を傾げるが、それ以外でもコスプレに対する無策が目立つ。
 人が大挙して押し寄せ混雑が予想されるイベントならば、コスに対して何らかな規制を導入するのは当然の事である。コス禁も一つの方向性である。また、事前登録制にすることでレイヤー流入に一定の歯止めを掛けることもできる。
 しかし、このオンリーは特に何も策を講じていない。講じたのは野外コス…
 コスプレに関して、全般的に認識が甘いように思える。

 だが、それもある意味当然の事。
 考えて頂きたい。主催はレイヤーではない。サークルである。
 サークルは自分の本を書く事に専心する。(稀にコス・サークルの両立を果たすサークルは居るが)普通、サークル者はコスの事を余り知らない
 そりゃあ、コスに対する認識が甘くなってしまうのは、ある意味当然の事である。

 今回このような認識不足を主催が露呈した背景には、主催周辺に、コスに長けた人材が居ない、という部分を指摘しておきたい。


【上記問題の解決策】
(1)〜(3)の問題については、単純に会場の小ささの問題である。これは、会場をより広い会場にすれば解決する話である。
私は、7月11日付「まとめサイトの書き方」においても、次回以降の開催は(サークル数も全電通では賄い切れない多さだし)もっと広い会場で開催してコスにも門戸を開いてはどうか、と提言した。

次回は2007年は都産貿浜松町館2階の利用。
2階は688屐数字上では全電通大ホール(約100坪≒330屐砲稜椶旅さ。一見してこれで会場キャパ問題は解決に見える。
ただし、全電通のように長方形のホールではない。行かれた方はご存知だと思うが、いびつな形をしており、サークル配置は案外難しい。
机も他会場に比べ幅が広く、机の幅を考慮して配置計算をしないと、大変な事になる。

浜松町は、男性向けオンリーの開催が多いが、2階利用は平均100sp前後。今回11月の第4回目オンリーは140sp集めたが、机の幅やいびつな会場の形を考えると、果たしてこの140spの数を都産浜松町2階に押し込める事が出来るのか
上手く工夫をしないと、全電通の時より厳しい状況にもなりかねない。

私は最初浜松町での次回開催と聞き、180sp+コススペースとしても、半面借りて何とか賄えるだろうと思った。3〜5階を借りるとばっかり思っていた。
3〜5階の半面なら、約800峩。充分賄える広さであろう。
だが、実際に会場として予約したのは、浜松町の2階(688屐法これは、3〜5階の半面よりも狭い。かつ、いびつな形であり、配置で苦労する為、男性向けの主催も余り使いたがらない。
今からでも遅くない。2階開催を他階開催に振り替えられないものか?
2階のキャパシティを考えると、コススペースどころかサークルの配置場所確保ですらも難儀すると思う。

(4)については、コスプレに強い参謀的人材の補充が必要かと。
主催は元々サークル者で、コスプレには疎い部分がある。
それゆえ、野外コスもそうだが、全般的にコスに対する認識が弱く、総じて無策であった。コスに強いブレーンが一人居れば、対応方も随分異なる筈である。
逆にそういう人材が見つけられないならば、思い切ってコス禁にした方が、混乱は少なくて済むような気がする。


【当日までの経緯】
まとめサイトと言えば、全般的に主催の非を片っ端から列挙しただけ、何を言いたいのが要点が纏められていない傾向がある。まとめてないのに「まとめサイト」とはこれいかに。
「まとめサイト」ではなく「列挙サイト」と言った方がより適切なまとめサイトも多い。
このAlchemist's Childrenまとめサイトも、余計な主催の非を列挙する傾向にあり、7月11日付「まとめサイトの書き方」でもその点を指摘、批判した事もあった。

だが、まとめサイト側も様々な意見を聞きながら、表現・表記に工夫を図った。
問題点も「野外コスプレの是非」一点に絞って追求した。
周辺意見を集約しつつ、8月にメールにてまとめサイト側と主催側でやり取りを図った。
(参考:まとめサイト内 8月11日 まとめサイト管理人→AC主催
            8月16日 AC主催→まとめサイト管理人

参加者有志からの申し出を受け、主催側も再考。野外コス禁止を決断、という結果になった。
以前、東方オンリー「博麗神社例大祭」開催スケジュールの変更がサークル参加者から要請され、主催側もそれを受諾した。ポイントを一つに絞って訴えを分りやすくした事、提案が具体的で実現可能の余地が残されていた事から、主催側も判断を下した。
今回も、余計な事は言わず、野外コス自粛一点に絞り要求したのが奏功したものと思われる。

同人誌即売会は、主催「だけ」で創る物ではない。サークル・一般といった参加者が居てはじめて成立するものである。
一般だろうとサークルだろうと、即売会に「参加」する人間である。
参加する人間だからこそ、必要があれば主催に意見を言う権利はあると思う。そして主催も、それがマトモな主張であれば、耳を傾ける必要がある
鋼オンリーにしても例大祭にしても、ポイントを絞ってマトモな主張にしたからこそ、主催も耳を傾けた訳である。


【当日レポ】
午前中は伺かオンリーでスタッフやっていた事もあり、午後に訪問。
ちょっとだけ顔を出したが、特に大きな混乱もなく。レイヤーもロビー周辺で3〜4人撮影やっていた程度である。野外コスは無かった模様。
一般・レイヤーが思った以上に少なかった、という側面はあるものの(ジャンルのピークは過ぎた、ということか)、大きな混乱もなく終わったのは何よりである。
まとめサイト側の当日イベントレポでも特に改めて問題視する動きはない。
この「野外コスプレ問題」は、ひと段落ついたと考えるのが妥当であろう。


【主催側の工夫点】
当日自分が拝見した、主催側のオンリーに対する工夫や趣向について紹介したい。

1.シールラリーの実施
 サークルでグッズや同人誌を購入すると、シールが貰える。シールを一定数集めると、主催側で用意した景品をプレゼント。大手サークル以外、中手・小手サークルへの買い物を奨励する側面があり、面白い施策だと思う。
 女性向けで多い企画だが、個人的には大手サークルにばかり買い物の集中する男性向けジャンルの方が向いている企画のような気がする。

2.ビンゴゲーム
 13:30頃から開始、と販売時間内での開催。
 女性向けは結構サークルの販売時間内に開催するケースが多く、男性向けはアフターで実施するケースが多い。私見だが、サークルにとっては貴重な販売時間が失われるので、販売時間内での開催は、サークルのハレーションを呼ぶ点が懸念され、余り好ましい時間設定とは言えない。
 ただ、主催側がイベントを盛り上げようと頑張っている心意気は充分に伝わる。

3.パズルゲーム
 非常に凝ったパズルゲームがパンフレットに挟み込まれている。サークルの暇潰しに最適か?
 パズルゲームをクリアすると、主催から景品が貰える。
 用意する主催側の手間ヒマが尋常ではないので、余り見かけないのだが、面白い取り組みの一つとして注目したい。

他にも、特製の買い物袋を全員に配布した点、全電通近辺の飲食店ガイドマップがやたら細かく親切だった点も取り上げたい。前者特製の買い物袋は、ちょっとした気持ち程度の配慮だが、その気持ちが嬉しいものである。後者は、イベントに関係ない所で妙に凝ってるなあ、という印象があるが、まあそこは主催が開催するイベントだし、参加者の不満にならない限りにおいては主催がやりたいようにやって頂くのは決して悪い事ではないので。


以上、長々と鋼オンリー「Alchemist's Children」について述べさせて頂いた。
次回は2007年2月18日、都産貿浜松町館での開催。都産もだいぶ取り辛くなっているようだが、よく取れたなあ、というのが正直な感想。
今までとは勝手の違う会場なので、浜松町開催の他のオンリーにでも参加してみて、導線やら何やら研究すれば、何かが見えてくるのではないかという気もする。(男性向けオンリーは掃いて捨てるほどあるし、女性向けも高天原主催のイベントが定期的に開催されている)
いずれにせよ、次回オンリーも無事に、かつ盛況に終わることを祈念したい。