冬コミでは、会場、特にサークル机上にて、多くのイベントチラシが配布された。
サークル参加者的には、余りにも多いチラシの数に閉口される向きもあるかもしれないが、その一方でコミケは対サークル告知の重要箇所である事を忘れてはならない。
イベントを開催し成功させる為には、多くの参加者が集うコミックマーケット。ここでの告知は欠かせないものである。
サークル机上への配布は、即売会の成功に向け努力する、主催側の熱意の現れであることを承知置きいただき、チラシの多さについてはご容赦いただきたいものである。
(逆に言うと「地球☆侵略」や「コミックキングダム」のやうに、ここでロクにチラシを撒かないイベントについては、正直「もう知らん」って感じでしょうか)

その中で、恐ろしいまでに労力をかけ、3日間全スペース配布の荒行を成し遂げた同人誌即売会が2つある。
3日間毎日配布して計35,000sp。脅威の配布計画を実行に移したイベント、4月福岡開催「tenjin.be」、6月金沢開催「北陸本専2」。この両イベントについて本日は取り上げたい。
コミックマーケットにおけるチラシ配布の制限時間は、即売会終了後(設営日は設営終了後)の2時間。1時間に1,000sp配布できたとしても、2時間で2,000sp。1日13,000spを配布するには、単純計算で6〜7人の人足が必要だ。
人足の調達も必要だし、中々やろうとして出来る事ではない。
1日人を集めるだけでも大変なのに、3日間全てに人を集めるとなると、人集めだけでも相当の難しさ、である。
主催側に、即売会にかける並々ならぬ熱意が無いと、このような荒行、達成できるものではない。

3日間35,000sp配布。この荒行を達成した、という事は、それだけ即売会へのサークル集めに飽くなき執念を燃やし、努力を重ねた事の証である。
実際にこれが、(サークル参加など)何処まで成果を上げるかは別問題だが、ここまで努力を積み重ねた事そのものを、私は高く評価したい。そして、同時にその努力が成果として報われる事も、切に願いたい。

北陸本専は、一昨年の立ち上げ以来、当ブログでは何度も注目し、記事とさせて頂いた。
綿密な告知計画、サークルからの多くの協力、主催の熱意。評価できる点は非常に多く、地方で同人誌即売会を開催する連中は一度本専に視察に来い、とまで書いた程である。実際、一般来場者は少なめだったかもしれないが、募集100spを満了、成功を収めた。
昨年12月に第2回開催を発表、懸案だった地元最大イベントの主催元「KAC」とも一定の関係構築を果たし、更なる飛躍が期待できる即売会である。

tenjin.beは新参のイベント。但し、主催元「NPO法人ProjectArbalest」の代表氏は、過去に長崎県佐世保市開催・オールジャンルの同人誌即売会「あるばれすと」や、ラグナロクオンラインオンリー「らぐけっと」(福岡市開催)を成功させた実績をお持ちの方である。
経験と実績は非常に大きく、不利な条件の多い地方都市において、如何に同人誌即売会を成功させ得るかを熟知している逸材である。
懸念点としては、地元小イベントとの関係はそこそこ出来ているものの、地域一番手の即売会「コミックシティ」「コミックネットワーク」、大手の「コミックライブ」等主要即売会との接点が少ない事。これらの大規模即売会との兼ね合い、協力体制の構築が出来れば良いのだが…。
即売会を主催するNPO法人、という形態に注目し、当ブログでも昨年記事とさせて頂いた。


この両イベントが、何故コミケ参加全スペースへのチラシ配布という荒行を実施したか。
本専、tenjin.beの両イベントには、大きな共通点がある。

地元の同人世界を活性化し、盛り上げたい思い
・地元の既存イベントはコス&ラミカ中心、「同人誌」の存在が少ない
・同人誌を思う存分売り買いできる環境が欲しい
・じゃあ自分達で、自分の地元に同人誌を普通に売り買いできる環境を創ろう→開催決定
・形態は、オンリーというよりも、事実上オールジャンルの同人誌即売会
・でも地元のサークルさんは同人誌を売り買いできる環境のある、東京・大阪に流れてしまっている
・地元のサークルさんを地元に呼び戻したい
彼らの即売会の活動舞台である都内・大阪の大イベントで告知しなきゃ

両イベントが、コミケ全sp配布などという荒行に走った理由は、ここにある。
オールジャンルの即売会を開く以上、対象はありとあらゆる全てのサークルとなる。地元のサークルがどのサークルかなんてワケワカランし、取り合えず全部撒いとけ、って所か。
(都心で活動する)一人でも多くのサークルさんにチラシを手に取って頂き、一人でも多くのサークルさんに、自分の地元に戻って頂きたい。そういう願いから、全サークル配布を敢行したのだろう。
成果が何処まで現れるかは、正直未知数ではあるが、少しでも効果の上がる事を期待したい。


また、両イベント双方に言える事であるが、地元での告知。これも、忘れてはならない大きな要素である。
都市部に寄りすぎる余り、地元での告知が疎かになると、一般来場者数にも響くのでご注意いただきたい。

北陸本専は、全般的にマメに告知をされているとは思うが、男性向けショップへの展開が正直甘い。「グレップ」「リブロハウス」等、金沢は伝統的に男性向けの同人ショップが多い。ホワイトキャンパスだけでなく、これらのショップへの展開も果たすべきであろう。地元の即売会で言うならば、KAC主催「こみたい」「金コミ」での配布は絶対行うべきだし(関係改善で配布し易くなる事を期待)、男性向けなら「こみフェス」での配布も展開するべきだろう。
富山・福井のコミックライブでの告知など、隣県での展開も図りたいところである。

tenjin.beは、九州最大の都市での開催。福岡は大都市であり、ショップ関係の告知箇所も多い。福岡には大小合わせて10近い同人ショップがある。メイド喫茶も2桁の数に達する多さであり、メイド喫茶での告知も一案である。
更に言うと、福岡から100km圏内には熊本、小倉もある。熊本にも小倉にも、幾つかの同人ショップ、メイド喫茶がある。これらのお店にも、どんどん告知を仕掛けて欲しい。佐世保時代の経験を生かし、長崎県内の同人ショップへの告知も良い。
地元の即売会で言うなら、地元最大イベント「コミックネットワーク」が、1月21日に福岡ヤフードームにて開催される。シティほどに人は集まらなくなったものの、1,000sp超の大規模即売会としてのポジションはキープし続けている。ここでの告知は無論必須である。
また、福岡ではオンリーイベントも月2〜3回ベースで開催されている。オンリーでの告知も欠かせないファクターだろう。
小倉のコミックライブ、熊本のコミックネットワークなど、隣県での展開にも目を向けたい。

何れにせよ、両イベントとも、東京に目を向けている点は高く評価したい。
でも、全てのサークルが東京・大阪に参加している訳ではない。そして、一般参加者は基本、地元の人間である。
そこを考えると、地元での告知。都心に気を遣うばかりに、地元が疎かになっては本末転倒であろう。厳しい事申し上げるようで恐縮だが、(都心も大切だが、同時に)地元での告知にも力を入れ、当日盛り上がるよう頑張って頂きたい、と切に願っている。

北陸本専、tenjin.be。両イベントの飛躍に、心からの期待を寄せたい。