最近、イベントにおけるマナーの低下を嘆く方が増えているような気がする。
大半の参加者は、マナーをしっかり守ってイベントに臨まれている事とは思うが、一部の参加者には心無い方がいらっしゃるようで。
先日、金沢の同人誌即売会主催団体「KAC」のWEBサイトを拝見したら、まあ、何というか・・・・軽く凍りましたねw

以下軽く引用
>金コミ64においてコスプレーヤーによる会場を汚す行為が起こりました。
>化粧又はボディペイントによって会場の床や洗面台が汚され、被害が発生しています。
>会場を汚した方の謝罪を求めます。汚した本人達は汚れをそのままにして帰りました。
(後略)

こういう事やってると、会場側から警戒されて、会場を貸してもらえなくなる可能性がある。やった当の本人達は、自分達がやった事の重大性を、何処まで認識しているのか?
先日参加した「COMI☆CAN」という和歌山の同人誌即売会でも、何かトイレでいたずら書きがあった、とか何とかで主催氏が非常に警戒し、ピリピリされていた様子であった。(COMI☆CANレポは後日うp予定)
こう言ったド厨房なマナー違反は、会場を貸して貰えなくなる等、自分達の活動場所が失われる事により、見返りとなって戻ってくる。その点を、参加者各自は深く認識するべきであろう。
それでは、即売会のマナーを誰が啓蒙するのか。
一昔前の即売会は、同人誌即売会への新規の参加は口コミ、参加ルールも先輩からの教えで学んでいった、という話を聞く。
昔は、先輩が啓蒙役を果たしていたのだろう。
現在は、ネットの発展・各種媒体での注目等もあり、啓蒙も口コミもなくコミケに参加する方も増えてきていると思う。実際、自分自身もネットでコミケの事を知り、即売会のマナーはカタログ等独学で覚えていった人間である

一般参加者がマナーの啓蒙役になる事は考えにくい。
一般参加者は、基本的にサークルやイベント主催から発信されるものを受け取る側、所謂「受け手」である。
受ける側が啓蒙の発信元になる事は、考えづらい。

となると、サークルないし主催が啓蒙の発信元として期待できるが、正直、サークルにその役割を期待するのは、厳しいものがあろう。
サークルは、締切に追われながらより良き作品を作ること、及びその作品を一人でも多くの方に手に取って頂けるよう必死に販売する事、そこに意識が集中している。

そうなれば、残る人間は「主催」しかいない。
主催は、イベントを円滑に進行させる為に、諸々のルールを策定する側の人間である。ルールの策定を通じ、マナー啓蒙も行える

また、マナー漫画が代表的であろうが、カタログを通じて参加者に啓蒙を図る事もできる(その記事を参加者が何処まで目を通してくれるのかは別問題だが)。
特に、サンシャインクリエイションの早朝来場に関する啓蒙活動、コミックシティにおける「事務局から一言二言!!」等、参加者のマナー向上を目指した啓蒙の取り組みは継続的、粘り強さを感じる。このような主催の取り組みを、私は高く評価したい。

尤も、主催はイベントに関わる事全ての面倒を見て、イベントに関わる事柄全てに責任を負うのが業務である。
業務の一環として啓蒙活動を行うのは当然、という見方も出来よう。

だが、他の参加者に啓蒙の取り組みは期待できない。
個人ブログで啓蒙を諮る、という手もあるが、アクセス数が多くないと啓蒙効果は薄い。(それでも、取り組んで頂けるのならば、状況の改善にちょっとでも貢献できるので有難いのだが…)

結局の所、啓蒙活動を行う事の出来る人間は【主催】のみ、となる。主催がやらなきゃ誰も啓蒙する奴はいなくなる。
主催のマナーに関する啓蒙役としての期待は、今まで以上に高まる。そう私は考えている。
主催の皆様には、マナーに対する啓蒙の旗振り役として、今まで以上の期待を寄せたいし、より一層マナー啓蒙に関する意識を高めて頂きたいと願う。主催の負担が大きくなるのは辛い所だが、今はそういう時代じゃないかという気も。


さて、啓蒙するのは、マナーだけに限らなくとも良い。
マナー啓蒙では無いが、非常に興味深い「啓蒙」の取り組みをご紹介したい。
本年4月30日に開催される、男性向けオールジャンル期待の同人誌即売会「COMIC1」。有力サークルも参加を表明し、現在2次申込を受け付け中。サンクリやGWの都産祭などとの日程近接が非常に気になる所ではあるが、スタッフブログ「COMIC1準備会日記」の中に、注目すべき企画を発見した。

参考・引用/同日記1月21日付「「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」知ってますか?」より

>去年の暮れに、「第7回バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守
>る研究会」からの報告者が取りまとめられました。
>(中略)
>COMIC1当日、閉会後に有識者を招いて現状の報告と関連の動き、
>即売会の方向についてのトークイベントを短い時間ですが開催したいと
>思います、詳しくはサークルマニュアル・イベントカタログにて掲載し
>ます。


バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」とは、警察庁が有識者を招いて、過去7回にわたって議論された会合である。
あくまでこれは「答申」であり、今後の方向性を「提案」付けるものに過ぎず、「決定」ではない。現時点では、同人世界に直接的な影響を及ぼすとは考えられない。

しかしながら、過去の議事録を紐解くと、同人に関する話題がしばしば散見する。

第6回議事録より】
・(PCソフトの審査組織「コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)」からのヒヤリングの中で)ソフ倫の審査を受けずに作られているアニメとして、同人ソフト系が約600タイトル存在している事を指摘。
・「同人」という言葉が議事録に頻出。同人誌が特殊な販路で販売されている、という点を委員が認識している(審査を通らずインディーズ・ゲリラ的に販売している印象を委員はお持ちのようだ
・座長発言より「世の中にある程度出て、こういうものを許していいかどうかです。こういうものを見る自由というのをせめて同人誌だけに押し込むとかね。同人誌の世界でもまずいというのか、いずれにせよ、そこのところをどうするかというのが非常に重要なポイント」

最終報告書より】
「なお 数人単位のグループで制作されるコミック(いわゆる「同人誌」)は専門店や即売会において販売されている。このようなコミックの中には子どもを性行為等の対象とする内容を含むものがあり、全体像の把握は困難であるものの相当数が制作・販売されている。(中略)業界団体の自主規制については、一定の効果が表れていると考えられるが、自主審査を経ずに制作・販売されているコミック等も多数存在する」と現状を把握しつつ、今後の指針については「同人誌等の即売会等についても、イベントの主催者に対し、子どもを性行為等の対象とするコミック等を18歳未満の者に売らないための対策の強化を求めていくべきである」としている。


この答申を拝見する限りでは、今後同人活動が「禁止」される事は有り得ない
だが、即売会主催に対し、何らかの「要請」するという程度の事は充分有り得よう。
悲観的になる必要は無いが(不安を煽る人間に乗せられてはいけない)、決しては油断は出来ない。
参加者、特に表現の送り手側たるサークルと、表現の場の提供者たる即売会主催者には、関心を持ちつつ現状を正確に把握するべき事案である、と私は考える。

そこでこの「COMIC1」におけるトークイベントは、現状を把握しつつ、皆に今後の事を考えて貰う格好の機会になるであろう、と考える。
昨今取り巻く状況を啓蒙する、絶好の機会である。
即売会は「お祭り色」が強いゆえ、このような真面目な討議の場を即売会に設ける事自体考えにくい。極めて稀な試みであろう。
が、このような取組は、昨今の規制を巡る現状に対する「COMIC1」の意識の高さの現われでもある。「COMIC1」の試みに、私は深い関心を持ちつつ注視して参りたいと考えている。
無論、当日はトークイベントを拝聴させて頂く予定である。