前回の続きです。
今回は、昨年冬に立ち上がった即売会【COMI☆CAN】についての感想と、及び和歌山同人世界の活性化についての考えを述べさせて頂きたい。
【コミカン】

2ch和歌山同人スレ発祥の新興即売会。主催挨拶曰く、「手に手を取って和歌山を元気にしていこうという感じで」即売会を開催していきたい、との事。
和歌山同人を活性化したい、との思いから即売会を立ち上げた模様だ。
即売会の立ち上げ、主催活動は思った以上にエネルギーの要る作業。仕事や家事の合間を縫って行う、金も人手も労力も要る、非常に大変な作業である。これを実行に移すとなると、相当のヤル気が無いと出来ないだろう。そのやる気は、大いに評価し、同時に応援して参りたい。

2ch発祥と言うのも善し悪しである。
スレッドでコテハン持って書き込んで、○○たん神!と持ち上げられている内は華である。だが、悪意の人間が入ると手のひらを返したように激しく粘着される。自分自身も、高い授業料だったがそれを実地で体験した事があるので良く分かる。
(余談だが、この手のイベントスレで粘着する人間は、大抵過去に喧嘩別れした元スタッフか、主催と揉めたサークル、と相場が決まっているw これも、自分の経験則から、ほぼ間違い無いと見ている。…普通の買い専やサークル参加者には、粘着する「動機」が無い)

コミカンの主催氏は、コミカンスレに常駐し、どんなレスにも一つ一つ答えて言った。それで持ち上げられている内は良い。
だが、一旦悪意の追求が入ると、常駐している以上、延々それに答えていかねばならない。主催がいくら回答しても、悪意が有る以上納得する訳がない。延々ループし続け、主催は永遠に回答の義務を持つことになる。
(同じルーツが2ch発でも、北陸本専は、企画を立ち上げの段になるとスレを離れ、COMI☆CANのように2ch色を全面に出さず、普通のイベントとして運営している。2chとは一定の距離を置く事も、即売会においては大切な事なのかもしれない)

ここで主催氏が、スレへの回答という余計な労力を取られた事は、イベント開催に当たっての大きなマイナスポイントであったと思う。叩かれ追求される事自体、傍から見て余り良い印象を持てない。
今は反省してスレを離れているようだが、もっと早くスレを離れた方が良かったのかもしれない。
但し、粘着叩きが勃発した中もたらされた諸々の混乱に際し、コミケを模して拡大準備集会を実施。参加者の疑問に答えようとした姿勢は、主催の誠意を感じる。

昨年12月の第一回開催は、スペ代無料と大盤振る舞いなこともあり、30〜40spと新興イベにしては好調な出足だった。
しかし、今回は地元随一の即売会「エクセル」とバッティングしたのが痛かった。参加者の多数が、実績のあるエクセルに行くのは当然の話。参加11sp、と即売会としては非常に厳しい結果に終わった。
会場に行ってみたら、スタッフ何人かと、サークルは4〜5サークル…。一般参加者は、自分以外誰もおらず、非常に寂しい雰囲気が漂っていた。

何故、このような惨状になってしまったのか?

一つには、他イベントとの日程調整を怠った事が挙げられる。実績ある既存イベントと、たった1回の開催実績しかない新興イベント。新興でも、COMIC1のように、主催本人が他の即売会での主催活動を通じて実績・信頼を積み上げている訳でもない。ならば、どちらに人が流れるか。火を見るより明らかである。
コミカンは、エクセルとの交流・接点が無い為、事前調整が一切出来なかったとの事だが、私に言わせれば、接点が無かったとしても、エクセルの本拠「JA会館」の空き状況を確認すりゃ、エクセルの日程は見当付く
いつも申し上げている事だが、イベント主催同士が潰し合いする事は、何らの意味を持たない。一方のイベントが潰れても、もう一方のイベントに人が流れるとは限らない。寧ろ、他イベントと協力・連携を取る事の方が、即売会活性化への近道となるという事実は、トレジャーとコミコミの事例を見ればお分かり頂ける筈である。
イベントを主催するのなら、視野・アンテナ・交友関係を広げ、バッティングを極力防ぐよう努力する。それも、イベンターの大切な務めである。

エクセルとコミカンとで、交換広告を行った形跡も無い。
YUTTYがエクセルに広告を出し告知を図ったのとは対照的だ。
本当に即売会を成功させたいのなら、そして本当に地元同人世界の活性化に寄与したいとお思いならば、何故既存即売会とのコミュニケーションを取ろうとしなかったのか?
既存即売会との相互扶助は、地域同人の発展に欠かせないファクターであり、これを怠った点は、大いに反省すべきである。


二つ目には、告知不足の問題がある。

少なくとも、「エクセル」は、WEBでの告知は無いものの、オフラインでは県外・県内問わず積極的に告知を行っている。
和歌山にはO-TRAP,ex-Lshopと2つの同人店舗があり、エクセルはここでもチラシを置いている。YUTTYとの交換広告等、県内他イベントでの取り組みも積極的だ。県外では、コミックシティ大阪や大阪府内の同人店舗でも告知に取り組んでいる。

一方、コミカンはどうか。和歌山県内の店舗、イベントともに告知した形跡は無い。
大阪での告知も、10月シティでは目撃したが、1月シティでは目撃していない。エクセルがやっているような、赤ブーブー通信社のアマチュアイベント支援システムも活用していない。店舗での告知も無い。
後発イベントは、先輩イベントの二倍三倍努力しないと太刀打ちできないのに(こみっく☆トレジャーだって並々ならぬ努力を長年継続した結果に今がある)、2chでのスレ対応に追われ、そういったオフライン、リアル世界での告知を怠った
エクセルの足下にも及ばぬ告知力。告知でコミカンに勝っているのは、WEBが存在する事だけ、である。

そして、オフラインでの告知が弱い、チラシを撒いていないという事は、「サークル申込書の入手が出来ない」という事でもある。
WEBで申込用紙のダウンロードが出来れば、まだ遥かにマシなのだが、それが出来ておらず、大阪シティ以外でロクにチラシを撒いていないとなれば、申込用紙を入手する術は無い。申込用紙をサークルが入手できる環境に無ければ、サークル参加者が少なくなるのは当たり前の話である。
(※同じ和歌山のYUTTYは、WEB上から申込用紙をダウンロードできるようにしている)

今回のコミカンは、明らかに告知不足から来る失敗でもある。
コミカンが今後継続して即売会を開催し続けたいのならば、この点を重く見て反省せねばならない。



「コミカン」の良い所として挙げるとすれば、イベントカタログが綺麗で見やすい所だろうか。エクセルの粗い印刷を見た後という事もあり、尚更それを感じたのだが、良い印刷会社を使っていると思う。デザインも工夫されており、それなりに読み易い。
同人にまつわる諸法令を啓蒙する目的だと思うが、同人に関係ありそうな法令をピクアップして抜粋している点も面白い。だが、抜粋するだけでは、細かい字で書いてあることもあり、それに目を通す人等居ない。本当に啓蒙したいのなら、連載コラムでもやって読みやすくする事で啓蒙を図るべきだと思う

公共交通機関利用者への参加費用割引、という試みも、他では無い面白い試みである。帰りの切符を用意すれば、一般参加費用を100円割引するというシステムだ。趣旨は、環境への配慮、との事。
(東京や大阪等都市部の人間には想像できないかもしれないが)地方は車社会。即売会会場に車で来場する参加者も決して少なく無い。この取組自体は面白いと思う。
だが、私に言わせれば、一番マイカーを利用しそうな参加者層は、「サークル」である。サークルは同人誌を抱え、荷物も多い。車利用率は高くなる。この割引制度は、あくまで一般参加への割引制度であり、サークルへの割引ではない。一番車を利用しそうなサークルへの割引が無いのは、割引制度の趣旨を考えると、少々片手落ちの感がしないでも無い。

サークルで思い出したが、イベントパンフの何処を見ても、宅配便に関する規定が無いのですが…
サークルは荷物が多い。まさか全員手搬入しろ、と言うつもりでもあるまい。宅配便の手配は、即売会開催に当たり必要不可欠である。全国何処のイベントに行っても、本部で宅配便の受付は行っている筈なのだが…その点がどうなっているのかも、気になる。もし宅配便規定が抜け落ちているようなら、早急な整備を求めたい。



【今後のビジョン】
という感じで、元々「即売会の良い点を褒める」のがスタンスの当ブログにしては、異例な程批判の文言が多いような気がする。
コミカンは、主催未経験の方が右も左も分らぬ状態から新規参入、チャレンジ精神の高い即売会である。主催氏には、和歌山の同人世界の活性化を図りたい、という大きな志がある。その志、初心を忘れていなければ、常に自分のイベントの悪い点を直し、より良い即売会になるよう取り組んでくれる筈だ。
主催氏は、当ブログをご覧になっているようだ。当ブログとして、これらの点を次回以降の運営の参考に生かして頂きたい、そしてより良い即売会を開いて頂きたい。そう期待するからこそ、批判ばかりになってしまったものの、今回自分が参加して気になった点を全て書き出したつもりである。


今後の「コミカン」の歩む道だが、どうも余りにもエクセルを意識しすぎているような気がする。
月イチ開催というエクセル並のハイペース開催、エクセルの半額以下のサークル参加費用。明らかにお小遣いの少ない地元の中高生狙い、(同じ地元中高生対象の)エクセルを非常に意識しているような気がする。
だが、私に言わせれば、安定・定期開催のエクセルと同じ土俵で戦った所で、実績の差で敗北は確定、である。

和歌山の即売会事情への不満…というか地元随一の即売会「エクセル」への不満になるのだが…私は前回、エクセルの対象年齢層(=中高生)との世代間ギャップが、地元即売会への不満の原因である、と指摘した。年長者になればなるほど、地元を捨てシティやコミケットに流れてしまう。
コミカン立ち上げは、既存即売会への不満が発端だ。コミカンは、これらの不満を汲み上げるべきで、年長者をターゲットにした即売会を志向するのが筋である。しかし現実はエクセル同様中高生対象、エクセルの後追い・エクセルの劣化コピーで終わってしまっている。
ターゲットを同じ中高生にしたところで、エクセルに勝てる訳は無い。


エクセルと同じ路線を進んでも、コミカンは絶対に成功しない。
コミカンが生き残る為には、エクセルには無いもの、具体的にはコミケットやシティに流れた年長者をターゲットにした即売会。これを志向しないと、エクセルとの差別化にもならず、厳しい展開になるのではないかと思う。
以前、私は金沢の同人誌オンリー「北陸本専」や福岡のオールジャンル「tenjin.be」の取組を紹介した(参考:1月3日付「2007年に注目する地方発同人誌即売会」)。
これらの即売会の如く、「都会に流れた地元のサークルをこっちに呼び戻したい」という方向で、都市部の大イベントでの告知に力点を置く、という方策を取っては如何だろう。
男性向けならサンクリ・COMIC1・トレジャー・コミコミ、女性向けならコミックシティ(大阪やHARUやSUPER)がお勧め。コミティアやJ−GARDENも良いかも。…交通費かかるから強くはお勧め出来ないが、1つの「アプローチ」として検討の価値はあると思う。

もし、コミカンがこの路線を歩むのであれば、和歌山にはタイプの異なる2つの即売会が存在する事になる。
低年齢層対象、同人世界への入り口的な要素の強い「エクセル」。年長者対象、エクセル「卒業」後の受け皿な「コミカン」。2つの即売会の住み分けが上手く出来るし、両即売会の相乗効果も期待できるであろう。


エクセル同様の、月イチハイペースも気になる所である。
月イチ開催としても、既にエクセルも月イチ開催。明らかなイベントの供給過多となり、サークル側が息切れする
また、主催側も、事前告知等充分な準備をし切れない中、当日を迎えることになる。
私は、3ヶ月に1回ぐらいのペースに開催を抑え、充分な準備期間を確保した上で開催に臨むべきと考える。時間があれば、過去の即売会を振り返り自省する事で、今後に繋げる事もできる。告知の時間も充分に取る事が出来る。今のままクオリティの低い即売会を量産するのなら、ペースを落とし、1回1回のクオリティを高めるよう努力するべきでは無かろうか。


・・・と、延々コミカンには耳の痛い事を申し上げてきたが、逆に言うとそれは、コミカンが今後変わってくれる事を期待して、の事である。
若い即売会なので、今後の主催氏の対応如何で、幾らでも成長できる即売会である。
その「成長」を期待して、厳しい事中心になってしまったが、敢えて論じさせた次第である。

今回、コミカンに参加された、某男性向けサークルさんとお話させて頂いた。
ハルヒ本とか出していたので明らかに男性向け、本来ならコミカンと同日開催の、大阪トレジャーに行くべきサークル、とも言えよう。
コミカンに参加するより、規模も来場者も多いトレに参加した方が、自分の作品も捌けた事であろう。しかし、そのサークルさんは、敢えてコミカンを選んだ。
私は、そのサークルさんに、コミカンを選んだ理由を尋ねた。回答は明白であった。

「地元を盛り上げたいから」

コミカンは、このようなサークルの想いにしっかり応えられるような即売会づくり。それを是非目指して頂きたいと思う。このサークルの期待と想いを、決して忘れてはなるまい。