随分と間が空いてしまったが、5月27日、九州最大規模の同人誌即売会「コミックシティ福岡」(福岡ヤフードーム開催)に参加させて頂いたので、そのレポートを記させて頂きたい。
(私信:某様大変お待たせ致しました)

「コミックシティ」と言えば、「女性向け」に特化した同人誌即売会、という印象が強い。大阪開催のシティにしても、都心開催のシティにしても、女性参加者が圧倒的多数。9割5分以上は女性参加者と言っても過言ではなかろう。

だが、福岡に関しては様相が少々異なる。
確かに、福岡も女性参加者が圧倒的に多い。
しかし、その一方、サンシャインクリエイションで福岡のチラシを配布する等、男性向けサークルへのアピールにも積極的である。
その結果か、福岡に関しては、男性層参加者も決して馬鹿にできない数を叩き出している。
昨年11月の福岡シティは、総参加サークル約1600sp。その中で、男性向けに色分けされるジャンルでのサークル参加数は、約100sp前後。一般参加者は、概算で男女比は3:7ぐらいである。

まあ、それでも圧倒的に男性向けが少ないのには変わり無い。
しかし、他地域のシティだと、男性向け系のサークルは全体の1%あるかないか(スパコミで100/14000とか、大阪で30/4500とか)の世界。それに比べれば男性比率は相当高いと言えよう。
同じ福岡開催、約20年の歴史を持ち、同じドームを使い1000sp規模の即売会を開催されている「コミックネットワーク」だって、そのぐらいの比率だ。

だが、2年前ネットワークに参加した時でも、男性が少なく肩身の狭い思いをした、という訳ではない。となると、福岡に関しては、シティに参加しても肩身の狭い思いをせずに済むだろう、という計算が働く。
また、九州地場の即売会「コミックネットワーク」に以前参加したから、今度は「シティ」に参加すれば両方見比べて何かブログで書けるかもしれない。そう言った思いもあり、福岡シティへの参加を決めた次第である。
…と言っても、福岡シティは、極めて普通の同人誌即売会。
取り立てて特筆すべき要素がある訳ではない。
ただ、当たり前の事を当たり前に、そして丁寧にこなしていた、という印象である。
それゆえに、参加しての感想としては、「居心地の良い、参加して楽しい即売会だった」という結論になるのだが。

だが、その当たり前の事をこなせていない即売会、九州に関しては、残念ながらお見かけする頻度が高いように感じる。


【サークル案内発送】
サークルは、頒布物=荷物が多く、宅配便による搬入が欠かせない。
搬入の段取りや準備もあろうから、少し早めに、余裕を持っての案内発送が欠かせない。
案内発送時期は、主催ごとに個体差があるが、殆どの即売会は、3週間前に案内を発送している。遅くとも2週間前がデッドライン、と私は考える。
2週間前を切っての発送は批判する程ではないものの余り良い気分はしないし、1週間前を切っての発送は論外、青竜刀を振りかざすしかない。

九州は、サークルへの案内発送が、何故か伝統的に遅い傾向にある。

話題の夢彗星主催・ドージンワークオンリー「ソーラは俺の嫁」(6月17日蒲田PIO開催/開催は都内だが九州人の主催という事で取り上げる)は、前日に初めて案内が届き、余りに直前過ぎると不参加を決め込んだサークルもいらっしゃったようだ(ソース:@++様・6月16日付「6/16 ソーラは俺の嫁 レポート」より )。
コミックネットワークは、私が参加した時は開催1週間前の到着で済んだが(それでも遅いと思う)、酷い時は2日前だの前日だの、或いは開催が終わってからサークル案内が到着した、という脳内思考が停止&フリーズする事態を引き起こした。しかも1回だけじゃない。私が知ってる限り最低2回はそういう事態を起こしている。
期待の即売会「tenjin.be」ですらも、1週間前発送、発送時期は明らかに遅い(但し、WEB上のサークルサポート用ページにて、宅配の発送案内を掲載しフォローイングを図っている)。

一方、コミックシティは、今回の到着は5月5日頃。約3週間前、余裕のある発送時期だ。
んなのサンクリにせよコミコミにせよオンリーイベントにせよ、その位の時期には発送しており、決して珍しい事、特筆すべき事ではない。当たり前の事を当たり前にこなしているに過ぎない。
しかし、九州島内のサークルさんの立場から考えると、ネットワーク他九州開催即売会のサークル案内の遅さに慣れてしまっているw そこでシティが常識的な発送時期で攻めてくれば、それだけで物凄い親切な即売会に映るであろう


【カップリング対応】
普通の即売会(の申込用紙)は、ジャンル記入欄があって、それとは別にジャンル補足欄もある。【ジャンル補足欄】には、女性向けならカップリングを入れるし、男性向けでもメインキャラ名を入れるケースが大半だ。
配置時には、そのデータを元に、同じキャラ同士で纏める。
女性向けの場合、同じカップリングで纏めるのは当たり前だし、カップリングにしても同じ受キャラのカップリング同士を隣接させ、逆カップリングのサークル同士が隣接するような事態が決して無いよう配慮している。

コミケ以下、殆ど全ての即売会がカップリングには注意しており、私に言わせればカップリング対応は「常識」の世界、カップリングに配慮しない即売会はそれだけで青竜刀対象になりかねない。
何故そこまで私が申し上げるか。カップリングが逆のサークル同士は水と油、大変相性が悪いからである。ちなみに、攻が違っても受が同じなら、比較的親和性は高い。だから受キャラ同士で配置を纏める訳だ。

九州においては、tenjin.beのように、ジャンル補足欄をちゃんと用意する即売会もそれなりに多い。
しかし、驚愕の事実であるが、九州にはそれが出来ていない即売会が意外とある。

かの「コミックネットワーク」はその代表的存在である。この即売会は、ジャンル記入欄は存在するが、ジャンル補足欄が一切存在しない。ジャンル補足欄が存在しないという事は、ジャンル補足欄=カップリングに基づいた配置を行わない、という事でもある。結果、テニプリ100サークルが氷帝だろうと青学だろうと逆カップリングだろうと全てごっちゃとなる。
これがどれだけ恐ろしい事か理解出来ない主催は、即刻主催業を降りて頂いて結構である

CM-EX九州主催「ゲトパフォコミュケ」(12月9日・福岡唐原郵便局開催)は、18年の歴史を誇る即売会だが、色々な意味で驚きを隠せない。参加申込書を入手したが、記入欄には住所・氏名・ペンネーム・サークル名しか書く項目が無い。
…カップリング記入(ジャンル補足)欄は無論、ジャンル記入欄すら存在しない
ネットワークがジャンル記入欄あるだけまだマトモに見えてしまう。
他にも、チラシの誤字脱字の多さは中学生レベルだとか、まあ色々突っ込みどころは多いが、キリが無いので割愛する。
てか、こんな即売会が18年も続く九州って、凄い寛容な土地柄じゃね?

…まあ、そういう即売会が幅を利かせる地域である以上、そこで(シティのように)普通にカップリング対応をしてくれる即売会が現れれば、それだけでサークル的には物凄い親切な即売会に感じてしまうのだろう。


【オンライン告知の不実行/サークル対応】
先述した「コミックネットワーク」「ゲトパフォコミュケ」は、昔ながらの小為替と申込書を同封し、私書箱に郵送する方法を取っている。しかし、それ以外の方法は一切無い。
今流行り、サークル的にも便利なオンライン申込なんてのは存在しない。
いや、それ以前にWEBサイトすら存在しない。私がこの両イベントにリンクを張っていないのは、サイトが存在せず、URLも存在しないからだ。

今は、サークル・一般問わずインターネットで情報を入手する時代。
サイトの1つや2つ無ければ、ケットコムでも登録してもらえないし、告知力は格段に減少する。折角即売会を開催しても、告知力が弱ければサークルも来なかろう。
また、サイトが無ければ、メール等オンラインで主催と質問・やり取りする機会が失われる。返信用封筒同封で私書箱に質問の手紙を出すしかないが、返信にも時間が掛かり、急な用件の時など、参加者的にも不親切だと思う。

…まあ、サイトが無くて当たり前な即売会が幅を利かせる地域である以上、そこで(シティのように)普通にサイトが存在して、しかもオンライン申込・決済までできる即売会が現れれば、それだけでサークル的には物凄い親切な即売会に感じてしまうと思う。
それにシティは、これは法人運営の長所だが、質問があればメールでも良し、事務所に電話して尋ねる事も可能である。疑問点があっても、返信用封筒付で手紙を出す、なんてまどろっこしい事せずに済む。電話一本で一発解決だ
ネットワークで、参加者が手紙を出してもまともに返信が戻ってこない現状を鑑みると、サークル応対に関して、シティとネットワークに雲泥の差を感じる。

そういえば、先述した夢彗星主催・ドージンワークオンリー「ソーラは俺の嫁」も、サークル募集締切日になってもサイトが閲覧できない状況、という至極考えられない展開を呼んだ。
主催氏は早急な対応を取らず何週間か放置していた。その理由として、私は以下の仮説を挙げさせて頂きたい。
九州の老舗「コミックネットワーク」は、シティに離されるものの、サイト無しで1000spを集めている。ネットワークの現状を見て、サイトが無くとも募集にはそんな影響を与えない、とサイトの告知力を過小評価してしまったのではないか。過小評価する=危機感を感じなかった、という事で、サイト修正が遅れに遅れてしまったのではないか、と考える。



今、【サークル案内発送】【カップリング対応】【オンライン告知の不実行/サークル対応】の3点を取り上げ、残念ながら、九州には不親切な即売会が多い事を指摘した。
特にコミックネットワークの不親切ぶりは群を抜いており、直接間接様々な方法で主催側に提言を行った事もあるが、改善の気配は全く無い。しかも、よりによってネットワークが九州地区では代表的な即売会である以上、他の九州即売会も、ネットワークを見本に、サークル申込用紙を作り、サークル案内を発送する。
シティは、当たり前の対応を取ったに過ぎないが、それでも既存即売会との相対評価となると、親切さは際立つ

もう一つ申し上げよう。コミックネットワークは、20年近くの歴史を誇り、九州各県での実績も豊富だ。一方、シティは福岡に進出して10年にも満たない。九州においては、「コミックネットワーク」はシティ以上の「ブランド」である
しかし、今の即売会サークル参加実績を見ると、今年1月のネットワークは1000sp強。年々参加数は凋落を続けており、3桁に落ち込むのも時間の問題である。(いや、ネットワークのブランド力が無ければ、あの運営じゃ100sp来れば御の字かもしれないが)
一方、九州では新参のシティは、1500sp以上をキープし、この規模を維持ないし漸増。サークル数でもネットワークを追い抜くどころか引き離しにかかっている。

サークル者の、ネットワーク離れ&シティ支持は、数字が雄弁に語っている。
古参でブランド力もある老舗・ネットワークが、何故新参のシティに抜かれたのか?九州の即売会主催者は、一度その理由をじっくりと考えるべきであろう。そして、彼らが手本にすべきは、ネットワークではなくコミックシティである事に気付けば、九州の即売会主催のスキルアップにも繋がると思う。

(余談だが、九州即売会経験者が東京に進出して即売会を開催し、残念ながら失敗に終わるケースを最近見かける。理由は色々あろうが、大本の原因として、運営に問題の多いコミックネットワークを手本にしている点を指摘させて頂きたい)



【当日レポ】
当日の事を全く書いていないので、箇条書き形式にて少々。

・私の初動は「有葉と愉快な仲間達」ですが何かw
 シティ最大手の長蛇の列だが、東京とはやっぱり違って穏やか。5分で買えたよママン!

・有葉はシティ最大手だが、それ以上に長蛇の「最大手」は、実はコスプレ(更衣室)列な罠w
 福岡シティは、コス隆盛を極める九州の同人事情に呼応したのか、コミックシティの中では唯一コスOKの即売会である。

・色々な方とお話しつつ気付いた事ではあるが、九州は即売会自体が大変少なくなってきている。また、九州在住でも都内で主催業務を行う人も多く(具体的な即売会名の列挙は避けるが、私の知ってる限りでも2桁には達する)、サークルだけじゃなく主催も【九州からの人材流出】が進んでいるような。地元でマトモな即売会を開催できる「人材」が、地元九州から輩出される事に期待したい。

・福岡シティは、コスプレイベントとしても「九州最大級」のイベント。コスプレイヤーの数も相当多い。但し、一部地域のようにサークルが肩身の狭い思いをする事は無かったと感じる。コス・サークル間のバランスが上手く取れている

・今回、ドーム会場内における、サークルスペース/コススペースの面積比は8:2ぐらい。
コス者の数は相当いるも、サークルスペースに充てる面積を広く取る事で、サークルも肩身の狭い思いをせず、それがコスとサークルのバランス取りに繋がっていると感じる。

・ただ、これは現状規模のサークル参加数(約1600sp前後)ゆえに成立している。仮にネットワークの規模(約1000sp)にまで落ちたら、相当広い空きスペースが出、それをコスプレスペースに充てなければならない。すると、コスとサークルのバランスが崩壊し、(九州のコス人口の多さを考慮すると)コスの勢力が急激に強まり、サークルの肩身は狭くなる。サークルは行き辛くなり、サークル数は益々減少…と他地方のごときサークル数のデフレスパイラルとなる。
 コミックシティが九州で同人誌即売会としての体を保つには、現況スペースを何とかして死守して頂くより他に無かろう

・というかシティが【九州同人最後の砦】なのかもしれない。シティが無ければ、ネットワークはあの体たらくでもう私も諦めてるし、「tenjin.be」だって今後の成長に期待したいが現状はまだまだの域。シティ以外に、地域の同人を牽引できる即売会が存在しないのが、九州・福岡の辛い所である。
 という訳で、当分シティには九州同人世界の牽引役として頑張って頂く事になろう。
 秋のシティは、福岡ヤフードームでのプロ野球「クライマックスシリーズ」の開催の絡みもあり、会場確保・開催決定には至っていない様子。日程調整は難航しているのかもしれないが、何とか秋にも開催頂きたいものである。