9月17日、東北最大級のオールジャンル同人誌即売会「仙台コミケ」に参加させていただいた。
東北地区の同人誌即売会参加は、昨年夏開催・男性向けオールジャンル「杜の奇跡」以来、実に一年ぶりのことである。
仙台コミケは、「コミックライブ」でおなじみユウメディアが主催する同人誌即売会であり、年4〜5回ベースで開催。杜が男性向けなのに対し、仙台コミケは主に女性向け中心のオールジャンル。参加は中高生中心、典型的な地方開催のオールジャンル同人誌即売会であると言えよう。

なぜ私はこの同人誌即売会に参加したかというと、理由は一つ。
夏期休暇を取り、羽柴誠三秀吉の温泉等東北・北海道観光に励んでいたわけだが、帰りは太平洋フェリーの豪華クルーズ客船「きそ」に乗ってのんびり船旅を…と考えており、そのスケジュールが苫小牧16日発→仙台港に9月17日朝到着
そして、「仙台コミケ」の会場「夢メッセみやぎ」までは、仙台港から歩いて1km圏内

これも何かのご縁である。
・・・地方開催即売会を応援するこの花羅が、このご縁に参加しないわけにはいくまいw

という訳で、仙台港から徒歩20分、夢メッセみやぎに馳せ参じた次第であるw
仙台コミケの参加者は、中高生中心、若い世代の女の子が多い。
もう少し上の年齢になると、東京志向が強まり(東京の方が売れてサークルの方がやりがいもあると思う)どうしても離れて行ってしまうもの。地元の若い女の子中心の客層になるのは、何処の地域でもそうなのだろうが、致し方ない部分もあろう。

しかし、考えてみて頂きたい。
サークルさんが同人活動を始めるのって、果たして何時頃なのか?
私のように20代後半になって初めて同人の世界に飛び込んだ人間もいようが、大半の皆さんは、中学・高校時代に同人活動を始めている
この即売会の主力参加層は学生だ。という事は、同人入りたての、初心者を受け入れる即売会とも言える。彼(女)らが同人にハマることで、同人の面白さを覚え、同人世界にハマる…いや定着していく。同人人口を増やし、同人の裾野を広げる働きがあることを忘れてはいけない。

また、ここで経験を積んで腕を磨けば、将来化けて大手サークルにのしあがるかもしれない。ここで育ったサークルが、将来の大手サークルとしてコミケやシティ・サンクリ等で活躍する訳である。地方即売会の若いサークルさんは、将来の実力サークルの「卵」とも言える。

仙台コミケをはじめ、地方の同人誌即売会は、将来の有望株が同人を始めるとっかかりであり、育つ場所でもある
我々大規模即売会、レベルの高いサークルに慣れている連中は、こういった地方即売会を、得てして「コスプレ・ラミカ・便せんのオンパレードな厨イベント」と見下す傾向にあるが、一方で、同人の裾野を広げる役割がある事や、将来の同人作家の登竜門としての役割もある事を見逃してはいけない。自戒の念を込めて、そう申し上げたい。


偉そうなお題目はともかくとして、今回の「仙台コミケ」では、若手育成の観点から良き取組となる企画があったので、それをご紹介したい。
これは印刷会社「太陽出版」とのコラボ企画であり、急きょ開催が決定した企画である(その証拠にパンフレットにはこの企画が反映されていない。パンフ印刷完了後に決まった企画であろう)。

その名も、「コピー本コンテスト」。
サークルさんが、自身作成のコピー本を提出してエントリー。参加者に投票してもらい、優勝者の本は、太陽出版がオフセットで100部無料印刷、という企画である。

初心者サークルが、いきなりある程度のロット数を必要とするオフセットから入ることは、殆ど皆無に等しい。まずは、少部数の刊行が可能な、コピー本から入る。
こういったサークルが、オフセットの良さを知ることができれば、自身のサークル活動にも幅が出てくる。オフセットの本を捌こうと、サークル活動にもより積極的になろう。
また、コンテストという形式を取ることにより、サークルさんにも競争意識、上を目指す意識が芽生え、それがサークルのレベルアップにつながるという側面もある。
そしてそれは、同人誌即売会そのものの活性化にも寄与する。

印刷会社側としても、これでオフセット印刷の良さを知ってもらえれば、コピー本サークルを、自らの顧客に取り込む事が出来よう。

サークル・印刷会社・即売会側、全てにメリットのある企画であり、若手育成の観点からも面白い企画であると思う。

惜しむらくは、急な決定であり、参加サークルへの告知が当日になってしまった事。当日告知だと、本の出来上がった後、「今さら遅いよ」と考えるサークルさんもいらっしゃろう。
事前に告知が出来ていれば、サークルさんも製作段階から気合を入れるであろうから、よりレベルの高い争いになったであろう。その点だけが残念でならない。

ただ、試みとしては非常に面白い、若手育成の観点から意義深い試みであることは事実である。
全国各地の他の即売会主催の皆様も、親しい印刷会社と組んでみて、仙台コミケの企画に見習ってみてはいかがであろうか。


仙台コミケは、最盛期には1500サークルを集めたものの、少子化の流れの中、サークル数は400サークルに落ち込んでしまっている。
最盛期に比べれば寂しさはあろうが、それでも、まだまだ多くの若者が積極的にサークル活動に励んでいる。
年長の世代を集めるのは難しいかもしれないが、若い世代の活躍の場、としての役割は意義深い。今回の仙台コミケは「仙台コミケ159」。159回目の開催で息が長いが、今後も、地元宮城の若い世代の受け皿として、初心者の登竜門として、末永く続いてほしいものである。