STRIKE HOLEの花羅は、基本的に、同人誌の世界においても、【表現に関するガイドラインの制定は必要】という立場を取っている。

参考:
2007年03月24日「同人誌と表現を考えるシンポジウム
2007年10月22日「成年向け同人のガイドライン
2007年10月23日「昨日付「成年向け同人作品のガイドライン」に関する補足
2007年11月22日「コスカ式ガイドラインについての論考

周囲の意見を聞きながら、微妙に考え方の変わっている部分もあるが、【ガイドラインとして「形」にまとめる事で業界内部での自浄力をアピールできる効果、および一般・サークルへの啓蒙効果】を重んじ、原則賛成の立場を取っている所に変わりは無い。
昨秋、コスチュームカフェが、会場の都産業貿易センターと折衝して取り決めたガイドラインについても、課題は残るものの肯定的に捉えている。

ただ、私のようなガイドライン肯定論者は、同人世界においては少数派のようだ。
同人世界の有力者の多くは、ガイドラインに対しては否定的な見解の方が多い。その理由としては、ガイドラインの存在が縛りとなり【表現が委縮する】という部分である。
ガイドライン肯定派の自分だが、その論理は分かる。
だからこそ、ガイドライン肯定ではあるものの、ガイドラインは絶対視せず、随時改訂や見直しを加えていく事も併せて必要である、と申し上げていた。


分からないのは、最近の児童ポルノ法の改訂に関するお話。
児童ポルノ法における、単純所持の禁止範囲に図画も含めようとする動きには、私も反対だ。その内詳しく書くかもしれないが、私の反対理由は下記の通り。
児童ポルノ法は、性的虐待を受ける児童を護る為のものである。図画に関しては「被害者不在」。図画規制の動きは、児童ポルノ法本来の趣旨を大きく逸脱しており、筋が通らない。自分達が「見たくない」ものを抑え込む為に、児童ポルノ法を「利用」している感すらある。

ただ、人によっては反対理由として、こんな事言い出す奴が居るのですが。

規定内容が曖昧で、捜査機関の恣意的解釈によって一般市民が逮捕されかねない。表現の世界が委縮する。

確かに規定が曖昧だと、捜査機関の解釈、法運用が全てになる。警察の匙加減で全てが決まってしまう。刑法175条だって、時勢により適用基準が変わっている。あれこそ警察の匙加減次第で全ての決まる世界だが…。

(捜査機関の解釈が全ての世界なら、尚更、法条文に一喜一憂する必要は無い。反社会的行為を行うか否かで、摘発されるか否か決まるようなものだから、自分が時々申し上げているように、「社会との調和」を考える方が規制を受けずに済むと思うのだが…このあたりは今回の本筋とは関係無い為、別途論じる機会を設けたい。/参考:2008年04月27日付「本当は賛成したい、しかし賛成できないcomic1の見本誌寄贈」など)

今までは、自分のガイドライン制定論など、【細かく定める事が表現の委縮に繋がる】との理由で否定されていた。
児ポ法改正反対の動きの中で、今度は逆に、【曖昧ゆえに表現の委縮になる】というこれまでのガイドライン否定論とは、相反する理屈が登場している。

…明確化(=ガイドライン)と曖昧とどっちが「表現の委縮」になるのか。ハッキリしやがれってんです。
今までガイドラインに否定的だった諸氏は、「曖昧」を理由に児ポ法に反対すると、上記で論じたように、そこに論理的矛盾が生じる。児ポ法改定への反対は構わない、寧ろ歓迎するが、今までとは食い違った事を言って欲しくない。
反対するならするで、取ってつけたような、後で矛盾を簡単に指摘されてしまうような理由ではなく、筋の通った反対論を主張して欲しいものである。


最後に。ではお前はどう思うのか、という話になるのだが…。

私は、条文は曖昧が良いだろう、とする立場。
条文で細かく規定された日には、息苦しくなり、それこそ本当に表現が委縮する。

ただ、曖昧だと目安が示されず、それはそれで困りもの。
何所までの表現が許容されるのか判断がつかなければ、それはそれで表現の委縮に繋がる
前述の通り、一般・サークル参加者への「分かりやすさ」という部分から、大まかな「目安」としてのガイドラインが必要、という立場だ。

但し、そのガイドラインを警察あたりに作って貰っても結構困る。
条文よりも、法律の運用、匙加減の方が遙かに重要だ。実際の法律の運用者である警察からの言葉は、曖昧な条文よりも遙かに重く、強制性も伴う。
…「目安」なので強制力があっても困る。表現委縮も懸念される。

あくまで、即売会主催者らが、会場側との取り決めの中で自主的に制定したガイドラインが望ましい。ただ、規定内容はあまり細かくするとそれもそれで息苦しくなるので注意が必要なのだが…
そこは、主催者がサークルや一般参加者の意見も汲み取りながら、会場と対話をしつつ、常時模索し続けるしか無いだろう。