画材・文具の製造を主力事業とする「螢┘好ぁ」が主催する、「コミックワールド」というオールジャンルの即売会がある。
以前は全国展開を図り、東京都昭島市や宇都宮・藤沢・大阪等、ユウメディアや一時期のコミックシティ同様に、手広く即売会を開催していた。
地方同人即売会の全体的な下降傾向もあり、残念ながら幾つかの地域で撤退。現在は京都・大宮・山梨・横浜の4箇所のみの開催に留まっている。

その「コミックワールド」に、先日こんなお知らせが掲載されていた。

>■ コミックワールドにご参加頂いている皆様へ ■
>
>いつもコミックワールドにご参加頂き誠にありがとうございます。
>突然ではございますが、この度コミックワールドは
>8月3日の『コミックワールドin横浜49』の開催を もちまして、
>いったんお休みさせて頂きたいと思います。
>
>今まで応援して下さった皆様、本当にありがとうございました。
>またお会いできる日を楽しみにしています。
>
>コミックワールド・イベント事業部一同

同人誌即売会「コミックワールド」の開催を、全て「休止」する、というお知らせである。


ここで私が気になるのが、現在4箇所で開催されし「コミックワールド」の内、山梨のコミックワールドについて。
個人的な事情だが、山梨は知り合いも多い。知り合いの家に遊びに行くついでに即売会にも参加するのも悪くないな、とばかりに山梨のコミックワールドへのサークル参加を一時期検討していた事すらあった。(スケジュールが合わず結局断念、その話は流れてしまったが…こんな事ならサークル参加しておくべきであった)

他のワールドならまだしも、山梨のワールドの中止だけは看過できない
京都・横浜・大宮ならば、即売会に行きたければ、東京や大阪のオンリーがある。オールジャンルも関東ならシティやサンクリ・COMIC1、関西ならシティ・トレジャー・コミコミがある。これらの即売会に顔を出す事も出来る。
県内にだって、地域に根ざした即売会が幾つか存在する。

だが、山梨県の即売会は「コミックワールド」一つしか無い。
東京に行くにも、距離的にいささか遠く、地元に根ざした即売会の存在は重要だ
2007年09月30日付「仙台の同人誌即売会「仙台コミケ」に参加しました」において、地方で即売会が存在する事の重要性を力説させていただいた。
仙台の同人を支えるのは「仙台コミケ」だが、山梨においては「コミックワールド」がその役割を担う。
そして、山梨において、ワールドの代わりは存在しない。

更に言えば、県内唯一のコスプレイベントであった、ハイジの村のコスプレイベントも、意味不明な理由で開催中止となった
そこにコミックワールドまで無くなれば、オタクな皆様が集えるイベントは、山梨県内に一つも残らなくなる。
ワールドの山梨撤退は、山梨から同人の灯が消える事を意味する。由々しき事態である。

気になった私は、「コミックワールドin山梨」の今後を知りたく、主催さんに電話で真相をお尋ねした。
【コミックワールド「休止」 主催側の弁】

「コミックワールド休止という事ですが、横浜だけじゃなく全地域か」

「休止は四ヶ所全部です」

「例えば甲府だと、ケットコムによれば秋開催の情報も書いてある。これも中止という事か」

「その通り。7月のワールドをもって一旦お休みさせていただく」

「何故中止になったのか」

「会場が取りにくくなったから」


「それはどこの会場か」

「…全部です」

「四ヶ所もあって全部会場が急に取れなくなった、というのは不自然。一ヶ所ぐらいは確保出来るんじゃないすか」

「四ヶ所の即売会をセットで運営しており、この四ヶ所は一心同体、一部地域だけの開催も有り得ない」

「コミックライブさんは、例えば既存の会場が無くなった時、他の会場を探して開催に漕ぎ着けた。他の会場を探して開催する、という選択肢はなかったのか」

「今までの会場は使い馴れた会場であり、他の会場は考えていない」

「では、「休止」という事だが、何時再開するのか」

「会場が取れないし再開の目処は付かない、答えられない」


要旨としては、大体上記のようなやり取りをさせていただいた。
残念ながら、山梨も休止対象の模様だ。
尚、海外の「コミックワールド」は、現地の別の主催者に引き継ぐとの事。



【「休止」する理由の曖昧さ】

「会場が取れなくなった」事が、今回「休止」を決めた理由のようだが、ケットコムでは秋のコミックワールドのスケジュールも既に掲載されている。(そしてそれに、赤字で「開催中止」と注釈が付いているのが今の状態)
ケットコムが、根拠無く即売会情報を載せる事はあり得ない。主催から所定のフォームで報告を受けるとか、サイトで開催情報を確認するとか、一定の根拠が無ければ掲載はしない。
(今は削除されているが)秋のコミックワールドの開催がサイト等で発表され、それを基に、ケットコムも登録している模様だ

秋のスケジュールが発表されているという事は、会場が手配されている、という事だ。
経験豊富な企業主催が、箱を押さえずに発表なんて有り得ない。
会場を押さえ、秋のスケジュールを発表。しかし、何かがあって開催中止を決断、今日の「休止」アナウンスに至ったと見るべき。

残念ながら、秋のスケジュールを発表しておきながら中止にしている以上、その理由「会場が取れない」という主張を信じる事は出来ない

「何か」があったのだろうとは思うが、その「何か」が一体何なのかを伺い知る事は出来ない。
主催自らが、3秒で看破されるような見え見えの言い訳を吐き、それが真相と強弁しているわけだし。結局、憶測で物を語るしかない。
そう言えば、この会社は今年の初頭に、同人誌紹介雑誌「コミックテクノ」を休刊している。
休刊の理由が「石油代他物価の高騰」という休刊理由としては生まれて初めて聞く理由であった。あの知らせを聞いた時も、「値上げするとか他に色々手段はなかったのかよ?」と首を傾げつつ、心の中で突っ込みを入れたものだw

別に採算が取れずに中止、撤退。それならば残念だが仕方無い、と諦めが付こう。
だが、コミックワールドと言いコミックテクノと言い、中止の理由付けに無理を感じる
とりあえず、何か隠している、本当の理由は別にあるのだろう、と考えざるを得ない。

この会社は、毎年5月にビッグサイトで開催する「ワールドホビーフェスティバル」も今回でファイナルとしている。
これも、ワールド「休止」・コミックテクノ休刊と同じ文脈で捉えるべきなのかもしれない。

いずれにせよ、この会社の言い分に怪しさを感じるのは、果たして気のせいなのか。



【今後の山梨の同人事情】

理由が如何なるものであれ、ただ一つ言える事は、山梨からコミックワールドが消える、という残念な事実。
山梨で同人関係者が集える機会が消失してしまった。山梨の同人世界におけるダメージは、非常に大きい。
コミックライブあたりが山梨に進出してくれないものか…と期待したいが、ライブもサークル数減少が厳しい。採算が取れずに撤退の地域も多く、過度の期待は禁物だ。

唯一期待できる動きは、沼津で定期的に即売会を開催されている「コミックチャレンジ」の動き。
この即売会は非常に活動的で、秋に甲府での即売会開催を予定している。また、コミックファクトリーのお膝元・長野県松本市でも開催を決めている。
本来ならこの即売会の動きを、全面的に支持したいところだ。

だが、この即売会には、ある種の致命的な問題点がある。
ぶっちゃけ、青龍刀でも振りかざしながらフルボッコで批判しまくっても良いレベルなのだが…ボロクソに叩いて即売会が潰れても、山梨には何も残らない。
山梨の同人は、現状この即売会に期待するしかない。

という訳で、この即売会のヤバい点については敢えて触れない。
主催氏にこちらから「ここ改めた方が良いのでは?」とメールを送る予定である。問題点を、直してくれる事に期待したい。 改められる事が無い場合は、また対応を考える。
サイトも存在するようだが、現状では敢えてリンクを貼らない。不味い点が直ったらリンクを貼ろうと思う。

ワールドが撤退し、山梨から同人の灯が消えようとしている現状。
その穴を埋める存在に「コミックチャレンジ」は成り得るのか。或いは、ライブの和歌山撤退後に勃興した「comic ex-L」の如く、新しい即売会が山梨に登場するのか?
今後の山梨同人の動向に、注目したい。
そして、ワールドの穴を埋める即売会の出現を願いたい。