同人誌即売会というもの、事前の「告知」を如何に行うか。
事前の告知は、即売会の成功/失敗の鍵を握る重要な要素である。

事前告知をしっかりこなせば即売会の成功が約束される、という訳では決して無い。
しかし、事前告知を怠ればサークルも一般も来ずに閑散イベント化するのは自明の理。少なくとも、事前告知無くして即売会の成功は無い、という事だけは断言できる。
(例:事前告知らしい告知の全くなかったオンリーイベント、シティでもトレジャー・コミコミでもチラシを撒かず1000sp募集に対し7spしか集まらなかった大阪のコミックキングダム
そして、過去成功した即売会、当ブログや当サークル刊行物「コーマニズム宣言第4章〜こんな即売会に行ってきました〜」で紹介した良即売会は、一つ残らず全ての主催がこまめな告知を行っている。

告知機会は大別して3つ、「インターネット上」「同人誌即売会」「同人系ショップ」での告知となる。
ネット上の告知であれば、ホームページを立ち上げ、ケットコムや同人誌即売会検索しすてむ等のサイトに登録する。サークルさんにリンクを貼って紹介して貰う、等の方法が一般的だ。
即売会であれば、コミケ・サンクリ・コミックシティ・COMIC1等の大規模即売会で配布する。開催地域での他即売会での告知も重要だ。オンリーなら、同ジャンル他即売会での告知も大切だ。
ショップなら、開催地域の店舗は必須。余力があれば、他地域の店舗も押さえておきたい。全国展開する店舗相手なら、本部にお願いして全店舗に置いて貰う方法もあろう。

しかし、そこで自分が思った事は一つ。
同人誌即売会もショップも無い地方都市で行う同人誌即売会は、何処で告知を行うべきなのか?
自分の町での即売会は自分達のみ、他に即売会を行う団体は無い。
ショップも無い。都心部の即売会やショップでチラシを撒くとしても、肝心の地元で告知する場所が無い。そもそも、地方即売会の主力参加層たる中学生・高校生はお金が無く、都心部に頻繁に通う事は難しい。都心部で告知しても見てくれない可能性が極めて高く、効果は薄い。さあどうするべきか。
9月23日、福井県敦賀市で開催されたオールジャンル同人誌即売会「BUTTERFLY」は、その答えを提起している。
敦賀市は人口6万人程度の小規模地方都市。
敦賀では他に同人誌即売会は存在せず。地元の同人者は福井市開催の同人誌即売会、少し余力のある方なら大阪や京都に出て機会を求める、という状況だ。無論、ショップも無い。効果的に告知できる個所が大変少なく、告知するにも悩ましい。

しかし、この「BUTTERFLY」は、30弱サークル(sp数は40強)を集め、即売会としては成功の部類に当たろう。市場規模を考えると、超の付く大健闘だ。
では、敦賀のこれほどまでの大健闘の秘訣は何か?同サイト内の告知協力店舗一覧にその答えが隠されている。

敦賀では無いものの、同じ県内(福井市)で開催される即売会「コミックライブ」「コミックワンダー」で告知を図っている。近県ないし隣県開催の即売会でチラシを撒く事は、一つのアプローチになろう。

そして、注目すべきは店舗での告知。
申込書は福井市内の画材屋・アニメ系ショップ、地元・敦賀市の本屋に置いて貰う。

それにプラスして、「ポスター」での告知を最大限に活用している所も面白い。
ポスター設置店舗は非常に多く、地元のコンビニエンスストア・スーパー・書店等を中心に協力を受けている。
その数、約30か所。東は鯖江市から西は小浜市まで、敦賀市近辺の地域一帯を網羅している
個人的に面白いと感じた取り組みは、JR駅という公共施設を活用した事。
JRは−特に地方のローカル線は−中高生が通学の足として利用する比率が高い。即売会の参加者層と一致し、案外効果的な告知方法かもしれない。

オンライン申込も完備しているので、ポスターで即売会の存在を知った参加者は、ホームページにアクセス。オンライン申込、もしくは申込用紙をダウンロードして申込、という構図だ。チラシ「のみ」に頼るよりも、より効果的にサークル参加を促せると思う。

今回、「BUTTERFLY」がサークル集めに成功した背景としては、このような形で小まめな告知を行ったが一つの要因となろう。
即売会もショップも無く、告知のアテに悩む地方主催にとっては、敦賀の成功事例に学ぶ所は多い。敦賀を参考にしつつ、応用を利かせれば良かろう。

「BUTTERFLY」は、単に地方都市で成功した即売会というだけでは無く、地方都市での告知のあり方の一例を提起している。
「BUTTERFLY」の告知のあり方が、他の地方主催にとって参考になる事を願いたい。