こみフェス」という北陸開催、主に男性向けを対象とした同人誌即売会がある。

金沢市、及び隣県・富山県の魚津市で開催。
金沢なら20-40sp、魚津なら10-20sp程度を集め、定期的に開催されている同人誌即売会である。

また、企業参加の受け入れにも積極的で、minori等のゲームメーカー、金沢の同人系ショップ「Grep」等が「こみフェス」に参加している所は、「こみフェス」の大きな特徴だ。
魚津開催時の一般参加者は100-200人。サークル数の割に一般参加者数は多いが、これらの企業参加が一般来場者数の増加を後押ししている。
もっとも、企業目当ての参加者はサークルの目が向かず、企業ブース盛り上がれどサークル閑散、という課題はあるが…

主催氏は、過去には同人誌即売会を開催する企業に勤め、同人誌即売会でメシを食った事もある、言わば「同人誌即売会のプロフェッショナル」とも言うべき存在
2005-06年には「コミックキャッスル」を復活開催、1000sp超のサークルを集め、成功に導いた実績を持つ。
ノウハウ・実績ともに申し分の無い「名主催」の一人である。
主催氏の長年の実績、培ってきたノウハウ、人脈…そういったものをフル活用すれば、即売会の成功は疑うべくも無かろう……普通はな

しかし現実を見ると、過去にも当ブログで取り上げた事もあるが、氏の主催する即売会は軒並み低迷している。サークル参加数一桁なんぞしょっちゅうだ。

「こみフェス」も例外ではない。東方オンリー「るなフェス」と併催の時こそ相応に盛り上がるものの、それ以外の時は低落傾向だ。
そんな現状を憂慮してか、9月28日「こみフェス」では、「交流会」が開催された。議題は、「どうすればこみフェスは盛り上がるか」。
盛り下がりの現状を素直に認め、前向きに今後を議論しようとする試みそのものは意欲的で、一定の評価を下したい。
私も地方即売会を積極的に応援する身。本来ならば富山に馳せ参じたい所であったが、残念ながら同日にひぐらしオンリー「オヤシロさまがみてる」に参加した為、「こみフェス」への参加は叶わなかった。
そこで、当ブログ上にて、「こみフェス」が盛り上がる為の改善策をご提案申し上げたい。
【こみフェスの置かれる現状】

常連さんには申し訳無いが、参加サークルを見るといつも同じ顔触れ。
常連さん的には、知り合いとお会い出来るから、地元北陸を盛り上げたい、そういった思いが、(主催に不満を感じつつも)参加する事のモチベーションとなっていよう。
だが、常連サークル以外にも、北陸在住のサークルさんは山ほど居る。彼らを取り込めているとは決して言い難い。
つまり、「こみフェス」は特定常連のみの参加で成り立っている、極めてクローズドな即売会になってしまっている。

新規参入組も無ければ、特定常連を除き「リピーター」というものが存在しない
この状況では、サークル数も縮小傾向。盛り上がらないのも当然だ。
これが、現在の「こみフェス」の置かれる現状だ。

当日の「交流会」席上にて、こみフェスを盛り上げる方法として、女性向けサークルを誘致するとか痛車を呼ぶとか案が出たようだが、ピント外れも甚だしい。
現状を正しく認識し、弱点をピックアップ。その弱点を改める事こそが、こみフェス盛り上げに繋がる唯一の方法ではないか。

大体、男性向け中心の即売会に女性向けを投入して場の調和が保てるのか。男性向け層と女性向け層は「世界」が違う。両者の調和は、福岡のtenjin.beが取り組むものの苦戦している例を挙げるまでもなく、中々に難しいものがある。
それに、今の「男性向けオールジャンル」という看板を外す事にも繋がり、こみフェスのアイデンティティーが失われることにもなりかねない。
痛車を呼んで盛り上げなんぞ、勘違いも甚だしい。痛車が来るから盛り上がるのではなく、「盛り上がる所に痛車が来る」のだ。
確かに岡山「ぶちすげぇコミックバトル」では、即売会内で痛車展示会が開催されているが、あれだって元々ぶちすげぇに痛車が集まり、それを見た主催側が会場内に痛車を呼び込んだに過ぎない。ぶちすげぇという盛り上がるイベントあるからこそ、痛車も集うのだ。

という訳で、この花羅が、交流会で提案された内容よりも、遥かに「盛り上がり」に効果のある方法を提案する。


【新規参入サークルの開拓の必要/告知を徹底せよ】

先ず、こみフェスの現状の一つ【新規参入サークルが居ない】

何故、新規参入サークルが居ないか。それは告知が足りないからだ
告知が足りないから知名度も無く、サークルに知れ渡らない。

今回、チラシはどの程度配ったのだろう。地元では配ったのかも知れない。
しかし、東京「サンシャインクリエイション」・大阪「こみっく☆トレジャー」といった大規模即売会で配布した形跡が無い
幾ら地方開催とは言え、男性向けジャンルのサークルは、地方から都会に遠征して活動するケースが多い。北陸在住の男性向けサークルの大半は、東京や大阪に繰り出して活動している。
都会の大規模即売会で告知していない以上、告知が充分だったとは、決して言い難い。

(注:先日、ショップも即売会も無い地方都市での告知方法を、福井県敦賀市「BUTTERFLY」の事例を元に解説させて頂いたが、男性向けジャンルの即売会にそれを当てはめてはならない。サークルの活動フィールドが都会への展開である以上、男性向けは、都会=東京・大阪での告知を積極的に行うべきと考える)

次回開催を来年3月に仮定すると(「るなフェス」が3月開催の為、これと同時開催と推測)、10月・2月サンクリ、1月トレジャー。この当たりは最低でも押さえたい。
オンリーならば、11月のコミティア・東方紅楼夢・コスチュームカフェ・ボーカロイドマスターと言った有力オンリーも押さえたい。可能ならば、毎週都内の何処かで実施されるオンリーを全て押さえたい。毎週ごとのリストは、@++さん辺りが分かりやすく纏めてくれるだろうから、それを参考にしようw

東京だけでは片手落ちだ。地元のオールジャンル即売会での告知も必須だ
確かに、地方のオールジャンルは九割が女性向け。男性陣にとってはアウェイだw
だが、残り一割は男性向けだ。
数は少ないが、必ず男性向けサークルは存在する。その一割を取り込む為に、決して地元を軽視してはならない。
秋開催・地元金沢の即売会は必須だし、余裕があれば福井や富山の「コミックライブ」にも告知を図りたい。

即売会でのチラシ配布は、サークルを集める為のチラシ配布なのだから、サークルに行き届かなければ無意味。チラシ置き場だけでお茶を濁さず、サークル机上全スペースに配布べきである。

ショップへの展開も大切だ。幸い金沢には、男性向けのお店が数店舗存在し、他地域に比べ恵まれた環境だ。これらのお店を確実に押さえ、更にBOOKSなかだ等の地元の書店、北陸三県のアニメイトも押さえたい。
全国展開している男性向けなショップの本部にお願いし、全国各店舗に置いて頂く、という手もある。


確かに、大変な労力を要するが、ショップに関しては、丸1日時間を潰す覚悟と綿密な訪問計画さえあれば、北陸三県程度すぐに網羅出来る。決して出来ないレベルの話ではない。
オンリー全てを網羅するのは難しいかもしれないが、サンクリ・トレジャーで参加全サークルへの机上配布ぐらいなら出来るはず。てか、他の主催は、大規模即売会での全スペース配布程度、皆普通にこなしている

勿論、チラシにコート紙の利用は論外だ。サークルカット書くに当たり、コート紙じゃ書きにくい。
小さな事かもしれないが、そういった細かい気遣いを、サークルはシビアに見ている。
舐めてるとサークルは離反、リピーター化しない。決して甘く見てはならない。




【参加サークルリピーター化の為に、サークル目線を養おう】

今、【リピーター化】と申し上げたが、幾らサークルを新規で集めても、サークルが離反すれば意味がない。
幾ら新規開拓で50サークル集めたとしても、その50サークルが離反すれば、新規開拓しても成果とはならない。
折角苦労して告知した末に参加頂いたサークルさんだ。次回以降も継続して参加頂きたいものである。

では、その為には何が必要か。

普段より私は、「サークル目線」という言葉を多用している。
主催には、サークルの身になって物を考えて頂きたいとの思い故だ。

主催がサークルの身になって物を考えれば、サークル側の主催に対する印象も良くなる。
主催の印象が良くなれば、サークルも「我々の事をちゃんと考えてくれるんだ」と感じ、次回以降も参加しようと言う気になる、すなわちリピーター化に繋がる。
リピーター化すれば、次回以降サークル集めも楽になる。
巡り巡って、主催のプラスになる。

私が日々「サークル目線を養え」と主張するのは、決して主催を叩く為では無い。主催のメリットになる事だからこそ、そう主張しているに過ぎない。

一番手っ取り早く「サークル目線」を養える方法は、自分がサークルとして物を作り参加する事だ。サークルはどういう気持ちでいるかを実感できるはずだ。見える世界も広がり、お勧めしたい。
(余談だが、女性向けはサークル出身者が主催を務めるケースが大半。男性向けの半専業イベンターに比べるとノウハウは乏しいが、サークル出身ゆえサークル目線に立てる所がアドバンテージかな、とも思う)

翻って、現状の「こみフェス」はどうか?

今回の「交流会」開催時間にしても、13時から開催…しかも「サークルの意見を聞きたいから」という理由で、サークルスペースの間近で実施した。

この施策は、残念ながらサークル目線に立っているとは言えない。極めて大切な重要な問題を抱えている。その問題とは何か?

…とここまで書いた所で、そろそろ長文書きすぎて疲れたので、これを次回までの「宿題」とさせていただきたいw