過日、石川県が同人誌即売会を開催する「らしい」という噂が流れ、当ブログでもこの件を取り上げた。
詳細は当ブログ09月14日付「2009/3/29 「石川県主催 同人誌即売会」に関する怪」をご覧いただきたいのだが、ソース元は、金沢で同人誌即売会を定期開催されているKAC。サークル案内や当日会場内にて、石川県主催の即売会が開催される旨、アナウンスされた模様だ。
まあ、地元で実績を積み上げ、一定の信頼を築き上げたKACの言う事だ。そりゃ皆信じるだろう。

だが、当ブログの見解は逆であった。
KACは即売会開催に関し、県からの協力要請を断った身、部外者に過ぎない。
部外者の情報を過信し、石川県から正式発表があった訳でも無いのに、石川県の主催を確定事項として扱うのは疑問である、とした。
寧ろ、県にノウハウが無くKACが協力しない以上、即売会を開ける見込みは無い。即売会を開かず、他のイベントに方向転換を図るであろうと予見した

先日、石川県より公式の発表が成された模様で、KACの即売会でも、カタログ折り込みにて、石川県からのチラシが配布された模様だ。
果たして、その内容は如何に?
結論を申し上げると、同人誌即売会の開催は無し。「石川まんが祭り」と称し、県主催マンガコンテスト(これは9月の時点で早々に地元紙で報道されていた)の表彰式や、地元出身有力漫画家(永井豪氏・土方しげる氏)の原画展を予定している模様だ。(詳細は「同人誌な部屋」様に詳しい)
会場も、当初言われていた「産業展示館」ではなく、「石川県立音楽堂」となった。石川県音楽堂はシアター形式の施設で、同人誌即売会を開催するには適さない。同人誌即売会の目は、ほぼ無くなったと見て良いだろう

結果として、私の予見は的中した模様だ。
ただ、この件に関し、とある方からこういう指摘も頂いたので、この場で取り上げたい。

今回の一件は、県とKACとの認識のズレが基となっている。
県にとって同人誌即売会は、数ある候補企画の一つに過ぎないが、KACは同人誌即売会を基幹企画と認識していたのではないか。
これを踏まえて考えると、両者の動きが理解しやすくなる。

成る程、この指摘は頷けるものがある、と感じた。
県は同人誌即売会が開けるノウハウが無いから他に方針転換するだろう、と私は予想したが、寧ろ幾つかの候補企画の中の一つが消えただけ、と考えた方が自然かもしれない。
9月の即売会で、あくまで水面下交渉中・未発表の企画を、KACは不特定多数に暴露した。
情報の取り扱いが軽率なんじゃないかとか、オフレコの内容を不特定多数に晒すのは仁義としてどうよ?とか思ったが、KACが同人誌即売会を県の基幹事業と捉えていたなら、KACの行動原理も分かるような気がする。
絶対県はやる気だと思い込み、不特定多数に語ったのだろうと推測できる。

KACが結果として「デマ」語ってしまった事は否めぬ事実であり、情報発信における軽率の謗りは免れないだろう。
だが、KACの名誉の為にも申し上げるが、11月2日開催「こみたい」では、石川県主催の「まんが祭り」のチラシを配り、また即売会の開催は無い旨のアナウンスをされた模様だ
最低限のフォローイングを果たしている事も、ここで強調しておきたい。

気になるのは、これまで県に批判的だったKACが、「まんが祭り」には協力団体に名を連ねている所。
いや、県相手に突っ張っても自分が苦しくなるだけ。共存共栄を図る方が良いだろうから、KACの選択は賢明だと思うが…前回「県に協力しない」と明言していただけに、この転身は謎である。

考えられる理由としては、

・即売会じゃないから態度を軟化させた
・これ以上県に喧嘩仕掛けても仕方無いと判断した


といった辺りが考えられようか。
取り敢えず、県とKACは和解した、という事で捉えておこう。

石川県も「まんが祭り」開催内容を正式発表し、KACも次回開催の日程が迷走していたが、11月2日「こみたい」にて3月20日開催と発表した。
今回の騒動は、これで収束したと見て良いだろう。