先日11月23日、長野県は松本市開催の同人誌即売会「COMIC FACTORY」(以下、コミックファクトリーorファクトリーと表記)にサークル参加させていただいた。
「ファクトリー」に関するレポートは後述させていただくが、その前に、最近活況を呈しつつある長野県の同人誌即売会事情について語ってみる事にする。
長野県の即売会は、以前に比べ開催数が減った、と言われている。
だが、即売会の活性化は、単純に即売会数の増加に比例するものではない
肝心な事は、地域一番手の即売会の規模がどれ程のものか、である。
即売会は、規模が大きければ大きい程、求心力は高まる。買い手は、より多くのサークルに出会えるというメリットがあるから、規模の大きい即売会を選ぶ。買い手が増えれば増えるほど、サークルも売りやすくなるから、サークルの参加意欲も沸く。
他の即売会も、当然、地域一番手の即売会でチラシを撒いて告知に励むが、地域一番手即売会の規模が大きければ大きいほど、その告知効果も上がる。地域一番手即売会の規模は、そのまま密接に他即売会の動向を左右する。
(よく私は、福岡ヤフードーム開催の「コミックシティ」が、九州の他同人誌即売会に与える影響は非常に大きい、と申し上げている。それはこの主張の「焼き直し」でもある)
少子化の現状、市場規模が縮小しており規模拡大は難しかろうが、サークル数を減らさず、せめて現状規模を維持して貰いたいものである。


県内一番手の「コミックファクトリー」は、現在180sp前後の参加サークル規模を維持している。
松本市の人口は約20万。市場規模を考えると、超のつく大健闘であろう。堅調に運営を続け、サークル数も落ち込みが無い。この即売会についての詳細は後述するが、地域一番手たるファクトリーが頑張っているからこそ、他の即売会も健闘できる。

「ファクトリー」に次ぐ二番手の即売会は、同じく松本市開催の「Mega Maniac」。過去3回開催、来年3月15日に第4回目を開催予定だが、特徴的な事はコスプレを禁止しつつ、参加資格に「当日同人誌が1種類以上ある事」と定めている所
グッズ・便箋の頒布を否定してはいないが、最低1種類は同人誌が置いていなければならない。「本」が必要ということで、年齢層はやや高めだ。実質的に「本オンリー」と言えようか。
地方即売会は放っておけばグッズ・便せんのみのサークルばかりに成りかねないが、その兆候を牽制しつつ同人誌の頒布を奨励している。純粋に、同人誌の売り買いを求めている層には参加しやすいであろう。
他、「ヨドバシサンクス」と称する「本閲覧コーナー」も設置され、一般参加者にももっと気軽に同人誌に触れ合う機会を設けている。
総じて見て、ファクトリーはグッズ・便箋サークルも含めあらゆる表現を許容するスタンスを取っているが、「Mega Maniac」は「同人誌の売買」という部分を重視していると思う。
地元のカードショップ・ゲームショップ等、既存店舗以外への告知先開拓にも積極的だ。

長野県内の同人世界の衰退に「何とかしたい」との思いから、地元サークルが興した即売会であり、サークル的視点の強い即売会であるが、それゆえにサークルの共感も得やすいのだろう。参加サークル数も、100sp超と健闘を見せている。
ファクトリーが地域一番手の即売会たることは揺るぎの無い事実だが、二番手の「Mega Maniac」もファクトリーを脅し得るポジションにつけている。ファクトリーにとっても、良い刺激になるだろう。


2009年1月11日には「参加費を格安(=ワンコイン)に抑えたい」というコンセプトの元、「ワンコインマーケット」が開催を控えている。
会場は、松本駅から徒歩圏内の「松本市駅前会館」。コンセプトは面白く、お金の無い学生の受け皿として期待したいが、WEBが無いのが告知面でマイナスポイントか。携帯サイトでも充分なので(寧ろ若人を集めるなら携帯サイトの方が効果的かもしれない)、何か告知サイトを作った方が良いのでは?

アリスのお茶会」も、松本駅より徒歩15分。「上土ふれあいホール」にて定期開催を続けている。募集数は40spと小規模だが、スタッフもコスプレでお出迎えする等、コスプレにも理解がある。
ファクトリーやメガマニアックスに比べ、ターゲットとする年齢層は少し低めだろうか?

ファクトリーが前回はコスプレ無し・今回はコスプレをサークルのみ限定、メガマニアックスはコスプレ無し。最有力の2即売会がコスプレを絞る傾向にあり、コスプレのみの参加者には少し厳しいものがあるかもしれない(その分、同人誌にも目を向けて欲しいとの思いもあるが…)。
コスプレ者の受け皿となるのは、コスプレオンリーイベント「イレブン☆ファイターズ」であろうか。12月21日、先述の上土ふれあいホールにて開催予定。今回第8回目と、結構息長く続いていると思う。

こうして見ると、松本市は大小様々なタイプの即売会が開催され、どの即売会も安定感がある
全国何処の地域でも地方即売会の衰退が目立つ中、松本は地域一番規模のファクトリーが、サークル数現状維持。他にも様々な即売会が開催されており、地方都市の中では元気ある部類に入るのではなかろうか。

県内各地の同人者を取り込める立地条件も、松本にとってはプラスだろう。
長野市からも電車で1時間以内、諏訪・岡谷等からも中央線1本。伊那市等南信地区からも高速バスが出ており、上田市等東信地区を除き県内殆どの地域よりアクセスがし易い。

また、もう一つ、地元密着の画材屋「福槌屋」の存在も見逃せない。
チラシ設置・イベント当日の出店・サークル申込みの代理受付…とイベント主催に対し大変協力的なこの画材屋さん。
今回、ファクトリー終了後この画材屋さんにお邪魔したが、店主が非常に熱心な方であった。私が同店にお邪魔した時、店主が腐女子な若いお嬢さん方に、どんな画材が良いかを親身になって考え、熱心に講義していた。若い子をの同人活動を応援したいとする店主の意気が伝わるし、こういう方に画材の使い方を教われば、上達の度合も違って来よう
ファクトリー以下松本の同人市場は活気に満ちているが、こういう店主の存在が松本の活気を後押ししているのではないか。
普通の店舗なら、チラシ設置までは協力的だが、この画材屋は、描き手の上達もサポート。一般店舗に比べ2,3歩踏み込んだ形で、地域同人に貢献していると思う。


一方、北信地区は、人口37万都市の長野市を擁するにも関わらず、即売会の世界は物足りない。
昔は「コミックライブ」が定期開催を続けていたが、松本のようにサークルが集まらず…というかサークル数が減少を続け撤退。2005年に復活したが、翌年再撤退と上手く行かない。
ライブが撤退した地域に、新しい即売会が興れば良いのだが、残念ながらこれと言った即売会が育っていない。
20万都市の松本でこれだけの即売会が成立している。倍近い人口を誇る県都なら、松本に匹敵するポテンシャルはあると思うのだが…

少し期待を寄せているのが「本のみの市」。地方では今流行りの本オンリーで、来年1月に5回目を迎える。5回目で「FINAL」との事だが、当日チラシ配りに伺った主催さんにお話を伺ったところ、新イベントを企画しているとの事。
そもそも本以前にオールジャンルが無い、このままじゃまずい、という事で本に拘らずオールジャンルの即売会を開催する模様だ。今回FINALとの事だが、「発展的解消」と捉え、次の動きに期待したい処である。
特徴的な事としては、会場内での現金取引が制限されている為、「金券」で即売会の頒布・取引を行う所。面倒臭そうだし、果して買い手はこれで本を買ってくれるのだろうか?と少々心配の感もあるが、主催氏曰く、皆多めに金券化しそれを無意識のうちに使おうとするので、現金の時に比べかえって財布のヒモが緩くなるとか。売上も現金の時より良くなるらしいw

他、長野アークスホールにてオールジャンル「クリエイティブ・ヒーロー」も開催される。
2回目の開催が来年2月、つい最近開催が決定したばかりで、準備期間の短さがネックになりそうだが、県内の即売会やショップを積極的に回り、告知に励んでいただきたいものである。

東信地区はオールジャンル「風林火山」が定期開催を継続している。今年8月開催の即売会は40サークル超、中々健闘している。
南信地区は飯田市「ワンダーランド」がファクトリーに足を運び、積極的に告知を図った。
伊那市の老舗イベント主催「I.C.I」は、近隣の松川町でも開催と積極的だ。
これらの即売会も、地元同人者を温かく受け入れる即売会として頑張って頂きたいものである。

現在の長野県内の同人事情は、長野県の中央部に当たる松本市で盛況を見せており、これに刺激を受ける形で長野等他地域も頑張っている、という印象だ。
その中心に立つ存在は、やはり地域一番手の優良即売会「コミックファクトリー」であろう。
次回、このファクトリーについて、詳しく語りたい。