東方紅楼夢」への参加で京都に赴いた折、近隣地区の同人誌即売会にも参加させていただいた。
参加即売会は11/2奈良女子大開催「COMIC☆PARTY」、11/3名古屋「コミックパラダイス」。
共に、学生が【課外活動】の一環として主催する同人誌即売会であり、会場も学校内だ。

都会の即売会は、良くも悪くもノウハウに長けた、歳も取ったベテランイベンターが主催を務めるが、今回の即売会の主催は学生さんだ。ノウハウ面では都内即売会主催の足元にも及ばないが、若さゆえのパワーが彼女らの強みだ。
若い力を生かし、どんな即売会が出来上がるのか。興味を持った自分は、「紅楼夢」の行き帰りに両即売会に参加を決めた。
【奈良女子大「COMIC☆PARTY」】

近鉄奈良駅から徒歩約10分で会場の奈良女子大へ。
この日、同大学では「恋都祭」(「ことさい」と読むらしい)という名の文化祭が開催されており、文化祭の中での出し物の一環としての「同人誌即売会」である。

主催は漫研。会場は体育館を利用。体育館たなので土足不可、入口で靴を脱いで中に入る形式だ。
普通の即売会は会議机を用いるが、ここの即売会は学校机を用いている所が特徴的…というか学校らしさを感じる。体育館なので、床を傷めないようシートを敷くなど工夫も図っている。

即売会として見ると、約80サークル参加
アットホームな雰囲気でそこそこの活気もあり、即売会としては悪くない。
ただ、気になる点としては、グッズ・ラミカ・便箋のサークルが、他の一般的な地方即売会に比べても、明らかに多すぎる。
同人誌を含まないサークルが、ライブとかコミコンとかに比べても全然多い。…全体の八割ぐらいが【同人誌を含まないサークル】だった印象だ。
確かに、サークル活動をお手軽に始められ、同人の「とっかかり」としてグッズ・ラミカ・便箋も意義はあると思う。
だが、あくまで「同人誌即売会」。メインは同人誌だと思う。
…せめてコピー誌でいいから、同人誌に挑戦するサークルさんがもう少し増えてもいいのではないか。「漫研」が主催する即売会なのに、「漫画」が少ないのも…という思いもある。
自分が「同人誌を欲しい」という立場ゆえなのだろう。この即売会に少々の物足りなさを感じた。

運営面については特に問題は無く、無難にまとまっている印象。

尚、余談だが東方サークルが2-3サークル居た事も申し添えておきたい。
女性中心のオールジャンル(←地方のオールジャンルは女性向けが7-8割)、しかも隣県で巨大規模の東方オンリーが同日開催という中でも東方サークルが居るとは驚きだ。それだけ東方サークルの層は厚いという事か。


【名古屋コミックパラダイス】

この即売会は、市内のデザイン系専門学校「あいち造形デザイン専門学校」の学生さんによる主催の即売会。
名古屋を代表する大規模即売会「コミックライブ」に近い雰囲気を予想、女性中心の超アウェイを見込む。

サークルは165sp参加の満了御礼。ヘタリア・リボーン・Dグレが多い印象。それに次ぐのは何故か東方w
…東方多いな。8サークル位居てリボーンあたりに肉薄する勢力。
東方程ではないが、ボーカロイド・ひぐらし等男性向けの文脈で捉えられるジャンルも食い込んできている。
地方オールジャンルのお約束に洩れず、女性向け色が強い筈なのに(実際来場者の九割は女性)、何故か男性向けっぽいジャンルが食い込んでいる点が意外な展開。少々驚いた。
東方にせよボーカロイド・ひぐらしにせよ、地場で開催されしオンリーが皆成功を修めている。地域でのオンリーの開催が、その地域におけるジャンル熱の高まりに寄与しているのかもしれない。


11時に開場。
学校の大教室(もしくは講堂?)を利用しての即売会で、サークル机は奈良同様学校机だw
ざっと一瞥しての印象だが、参加者の男女比は1:9。男性的には圧倒的アウェイなのは否めない。

頒布物に「本」を含むサークルは、全体の7割ぐらいか。名古屋のコミックライブと同じぐらいの本率。

ただ、特筆すべきは、オフセット印刷本のサークルが大変多い事。オフセットは入稿だの印刷会社に大金先払いだの、コピー誌に比べハードルは高く、オフセで出すサークルは気合の入ったサークルとも言える。
ライブもここも学生が参加者の大半だが、ライブで出る本が、コピー本中心なのとは対照的。ここに出るサークルさん、本作りの意識が高い方が多いのではないか?
或いは、地道に継続開催を続ける本オンリー「本命」の存在が影響しているのか?

昨日の奈良が物足りなかったのとは対照的で、この日は若い割にはやけにレベルが高く、「五年後が楽しみ」な素質あるサークルが多かったと思う。


【まとめ】

総じて見て、奈良と名古屋どちらにも共通している事だが、一定サークル数を集め、かつ継続開催を続けている点。ここは高く評価したい。
(大学的な意味での)サークル活動・部活という事もあり、毎年新入生の入学と共に人材が補充でき、かつ代替わりが行われる(というか代替わりしなくちゃいけないが)点が、個人主催との大きな差異だろう。個人主催は主催が潰れたら即売会もTHE ENDだが、団体主催ゆえそういう心配がない、そこが継続開催の秘訣だろう。
もっとも、代替わりを強いられる為、過去のノウハウが蓄積されづらいというデメリットもあるが。
今後も、地域の若者達の受け皿として、即売会を継続いただきたいものである。

驚きなのは、参加年齢層がほぼ同じにも関わらず、奈良と名古屋で地域差が顕著だった事。
本が見当たらない奈良、若い素質が芽吹く名古屋、両者が非常に対照的だった。
この地域差の理由を考察するも、全く見当が付かない。
強いて言えば、名古屋が高レベルのサークル集う東京によりアクセスしやすい環境である事、デザイン系の専門学校のイベントゆえ生徒全員が表現者、表現者の層が厚い事。この辺りに原因を求められるが…それだけじゃないような気がする。少し謎が残る。

とは言え、良即売会たる事に変わりは無いので、今後も頑張って頂きたいものである。