1月12日、宮城県仙台市で開催の東方オンリー「東方杜郷想」に参加させていただいたので、感じた事を簡単に論じさせていただきたい。

主催は「杜の奇跡実行委員会」。普段、年2回程度、男性向けオールジャンル「杜の奇跡」を開催されており、東北界隈での実績充分の主催である。
杜の奇跡は、サークルに楽しんでいただこうという気持ちからの企画が充実している事、サークル目線に立った運営でサークルをリピーター化できている事、そして東北という市場(人口)規模の比較的小さい地域にも関わらず数多くのサークルを集めている事など、評価すべき点が非常に多く、当ブログ的には最高レベルに高く評価している即売会の一つである。
主催がここなら間違いは無い。ちゃんと良即売会をやってくれるだろう、と見込んでいた。

ただ、今回は普段のように「オールジャンル」ではなく、あの旬ジャンルの東方オンリー。市場規模の小さい地方都市で、でもジャンルは「あの」東方だ
どの程度の人が集まりどの程度の盛り上がりを見せるのだろう?自分の目で確かめたい思いもあり、仙台遠征を決意した、という次第である。
…と綺麗にまとめてみたものの、先週の静岡「小夜衣の詩」でここらへんとかあそこらへんとかが仙台話で盛り上がってたので、それに釣られて参加を決めた、って言う部分の方が大きいがw
今回の会場は、普段杜の奇跡で利用している「仙台市情報・産業プラザ アエル」ではない。アエルなら仙台駅前でアクセスも大変便利なのだが、今回の会場は少し異なる。
仙台市青年文化センター」という会場で、仙台から地下鉄で10分、地下鉄【旭ヶ丘駅】下車である。旭ヶ丘駅の駅前が会場と分かりやすく、案外アクセスは良い。
周囲が緑地帯や広めの道路の為、繁華街に立地・デパートの上の階に立地のアエルよりも待機列を作りやすい、という利点もある。今回の東方に関して言えば、開場前の待機列は数百人規模だったし、この会場で正解だった。

館内の雰囲気を一言で申せば、「東北でサンクリが体感出来るとは思わなかったw」と言えばお察しいただけようかw サンクリとかトレジャーとかそこら辺の殺伐即売会と同レベルって事でw
それだけ賑わっていた…と言えば聞こえは良いが、賑わい過ぎて大変な状況であった。入場制限かけずに済んで良かったね、というレベルであろうw

東北界隈で、これ程人の多く集まる即売会は、滅多に無いのではなかろうか?
入場者数は本家「杜の奇跡」を凌駕し、下手すると地域最大規模の即売会「仙台コミケ」すらも凌いでいるのでは?
…地方であっても、流石は「東方」というべきか。

今回のカタログは、サークルカット含め全ページオールカラー
見映えが良いし綺麗、これで500円は安いかも。とりあえず家宝にしておこうw



参加サークル数は95。相応に集ったとは思うが、今回は10月に開催を急きょ決定。開催期日は1月と類を見ない準備期間の短さである事を忘れてはならない。
即売会でのチラシ配布も、初撒きが11月2日京都開催の「東方紅楼夢」。都内でも都産貿の男性向けオンリーで少々とケットコムのスキマフェスだけ。東北のオールジャンルで2〜3回チラシを撒いた程度、告知先は非常に少ない。
そして、12月初頭にはもう申し込み締め切りだ。幾らオンラインで申込用紙等ダウンロード出来るとは言え、この告知先の少なさ、準備期間の短さで、果してサークルは集まるのか?少し不安に思った事もあった。

だが、それでもサークルは95サークル参加、ほぼ満了だ。
確かに「杜の奇跡」で積み上げし実績も、サークルの参加を後押ししていようが、それだけではこのサークル数の多さは説明し切れない。やはり、それだけ東方の勢いが凄まじい、という事なのだろうか。


杜の奇跡でも恒例だが、イベントパンフに参加サークルの統計が掲載されていた。
特徴的なのは、地元在住者の参加が大変多い事。宮城県内で全体の半分近くの42サークル。東北6県合わせると全体の2/3、63サークルだ。
地方開催の男性向けジャンルは、鳥取のアイマスオンリーが最たる例だが(これは極端な例かもしれないが)、地元よりも他地域、特に東京からサークルを引っ張っている傾向にある。
だが、今回の「杜郷想」にせよ「杜の奇跡」にせよ、東北6県からのサークルが過半数。上記傾向とは異なり、地元サークルが主力参加層である

考えてみれば、東方は若い世代の多いジャンルだ。
これは東方全般を見て感じる傾向だし、「杜郷想」パンフ掲載の参加サークル統計を見ても「杜の奇跡のサークル平均年齢よりも低い」との事。
若い方々は、特に学生さんはそうだが、失礼ながら余りお金を持っていない。従って、東京等、他地域への遠征参加も余り出来ない。若ければ若いほど、東京へのサークル参加を控え、地元イベント中心の参加になるはずだ。

一方、地元開催即売会における東方のサークル数を見てみると、オールジャンルの「仙台コミケ」では東方サークルは二桁行くかどうか。「杜の奇跡」だって、東方サークルは幾ら増えているとは言っても50程度。
明らかに、普段地元の即売会に参加しているサークル以上に、この東方オンリーではサークルが集まっている

普通に考えれば、都内でサークル参加しても、地元では活動していないサークルを呼び込んだ、と見る事が出来る。
ただ、それだけじゃないような気がする。
東方は若い方が多いから、金銭的に遠征するには厳しい人も多いだろう。都心部だけでサークル活動している人を呼び込んだのに加え、【即売会でのサークル活動そのものに参加経験のない人(オンライン専門の絵描きさんとか)をサークル参加として呼び込んだ】という気がするのだが、如何であろうか?

もしこの仮説が当たっていれば、「東方杜郷想」には、地元同人の活性化や東方ジャンルの活性化というだけでなく、地元に眠る東方の絵描きをサークルとして掘り起こした、という意義もあろう。

新潟、札幌、諏訪、金沢、名古屋、博多…。今後、様々な地域で東方オンリーが控えている。
これらの地方東方オンリーでも同様の効果‐地元の眠れる東方サークルの発掘‐が図れるのでは?と期待したい。
地方での東方オンリーの動きには今後も要注目&要期待である。

私は、「地方の男性向けオンリーは地元オールジャンルの告知(←女性向け中心の即売会であっても構わない)と、都内のオンリーや大規模イベントと、両方の告知が大切」とかねがね主張し続けている。
東方においても、その主張は変わらない。

だが、東方の場合は、地元の告知にウェイトを置いた方が良いのかもしれない。
地元での活動をメインとする、若い子の多いジャンルだからだ。実際、女性中心のオールジャンルでも、妙に東方サークルが多い事例を、幾つかの地方都市で確認している。
オンリーも大切なのは言うまでも無い。東方オンリー「だけ」出てオールジャンルに出ないサークルも決して少なくないからだ。

地方東方オンリーにおける、告知の重要度はこんな感じか。

博麗神社例大祭>東方紅楼夢>>>都内の東方オンリー>地元のオールジャンル>他地方の東方オンリー>>>都内のオールジャンル

…まあ、これは自分の見立てなので、間違っているかもしれないし、異議を唱える向きもあろうが、一意見として捉えていただければ幸いである。

次回の「杜郷想」は未定。
まあ年二回の杜の奇跡にプラスアルファだから、主催の負担も増すし、開催も勇気が要るとは思う。
ただ、パンフあとがきの挨拶曰く「参加されるみなさんのご意見も伺いたいなぁ」という事。続けてくれという意見が寄せられるようなら、前向きにお考えいただきたいものである。


【追記/蛇足】
「杜郷想」というネーミング、「杜の都(=郷)を想う」…地元を大事に思う気持ちの伝わるネーミングだな、と最初は勝手に思っていたが、後になって「徒競走」との掛け言葉になってるのに気付きましたw
北海道の「東方道出抄」もそうですが、【漢字三文字】で【郷土を表す言葉を入れ】かつ【掛け言葉にする】ってのは中々難しい
味のあるネーミングだな、と少しニヤニヤさせていただいたw