先日、「コミケットスペシャル」の開催予定地が、茨城県の水戸市と決定した。
本日は、この「コミケットスペシャル5」開催に関する【雑感】と【妄想】を申し上げたい。
【「コミケットスペシャル」とは】

5年に1回開催の「コミケットスペシャル」。普段の夏・冬の年2回、東京ビッグサイトで開催するコミケとは一線を画し、お祭り色を加えた「コミケ」の特別版的位置付け。
2000年春のコミケットスペシャル3では、「リゾートコミケ」と称し沖縄で出張開催(前夜祭を全日空ホテルの「ラグナガーデンホテル」で開催、即売会は翌日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターにて約300sp)。2005年春には「24時間耐久コミケ」との異名を持つ「コミケットスペシャル4」をビッグサイトにて開催。2部制で企画参加もOK、飲酒OKと文化祭的色合いが強い反面、女工哀史に匹敵するスタッフの酷使っぷりが涙を誘ったw
大規模化し過ぎた普段のコミケでは決して出来ない事にチャレンジしている、という印象もあろうか。

今回のコミケットスペシャル5、夏コミ前の拡大準備集会で「次のコミケットスペシャルはどうするのか?」などと話が飛び出し、準備会側も「次は何処かで遠征コミケなど…自治体に公募でもかけようか」等と冗談半分に応答されていたのを記憶している。
ちなみに、拡大準備集会の後、同人ブロガー諸氏と飯食ってた時の話題が「次のコミケットスペシャルは何処になるのか」で盛り上がり「宮崎あたり箱(=会場)も宿も備わってるし良さげな感じがするね」みたいな話になっていたのを記憶している。

そしてその年の9月、本当に公募始めやがった
…いや、拡大準備集会のお話はまさか冗談だろうと思っていたら、それが真になってしまい、少し驚いた、というべきであろうか。

更に驚いたのは、立候補した地域が約20箇所にも上った事。私はせいぜい5〜6地域での争いではないか、と踏んでいたのだが…予想外だった。
もっとも、この立候補数の多さは、同人世界以外でも、コミックマーケットは注目を集めるべき存在となっている事も示している。コミックマーケットの存在がそれだけ偉大という事か。

9月に公募開始、10月の書類選考を経て、11月上旬には開催地は内定した模様だ。
当初は冬コミでの発表を予定していた模様だが、拡大集会での質疑応答によると、地元との調整が付いていないとの事で発表は先送りされた。
そして1月16日に入り、ようやく【茨城県水戸市】に正式発表と至ったが、その翌日の「サンクリ情報漏洩事件」発覚により皆の関心はそっちに集中
…折角発表に至ったのに、スペシャルに誰も関心が向かないという悲しい事態に陥っている。

…まあ、事が事だけに、サンクリに関心が向くのも仕方ないのだが。
取り敢えず、来年3月のスペシャルも忘れないで下さい、という事で、今日はコミケットスペシャル5について語ってみたい。


【「茨城県水戸市」という場所について】

先ず、場所選定における個人的雑感を少々。
正直、前々回沖縄のイメージが強いせいだろうか、(東京から)遠方で行うイメージが付いており、今回の【水戸市】は、思った以上に近い場所で、少々意外な感もある。
東京から遠い場所を期待していた向きは「近すぎる」とがっかりかもしれないが、その一方で、都心に近いので参加しやすい方が多い所がメリットだろうか。
東京から特急で1時間ちょい、高速バスでも約2時間。日帰りでも充分参加可能な地の利の良さである。


さて、この水戸という場所、即売会を開催するには案外難しい場所である。
先ず、適度な会場…所謂「箱」が無い事。コンベンションセンター、多目的ホールの類は中々見当たらず。県で最大規模のコンベンションセンターは「つくば国際会議場」、他には神栖市(鹿嶋市の隣)の「鹿島セントラルホテル」位で、県都たるはずの水戸には、これといった箱が見当たらない。…日本は箱モノ行政の国なのになんで箱が見つからないのだろうw
(そう言えば、2chのコミケットスペシャルスレで正式発表1ヶ月前の12月頃、「水戸」という単語が漏れていたが…箱が無いからとか否定され、誰も相手にしていなかったなあw)
過去、水戸ではユウメディアにより「コミックライブ」が開催されていたが、適度な箱が無く開催を中断していた時期もあったぐらいだ。(現在は完全撤退)


では、「箱」となる会場は一体何処なのか?
準備会からの会場に関する正式発表は無いが、公式サイト上で準備会はこう述べている。

>2008年12月上旬に現地の会場予定地となる商業ビルを拝見させていただきました

「商業ビル」…予想もし得ない大胆な提案である。
いや、普通は会場として、平屋の多目的ホール等を想定するのだが…そこを敢えて「商業ビル」というのはどういう事なのか?詳細は明らかにされていないが、一体どんな会場になるのか?興味を持たざるを得ない。

(男性向けオンリーの盛んな都産業貿易センター・浜松町館は何層にも階の分かれたホールを即売会として利用している。都産の運営に近い方式なのだろうか?)

しかし、ここで感じた事が一つ。
この「商業ビル」って発想、(同人誌の世界においての)「素人」じゃないと絶対出せない発想、「玄人」には絶対出せない発想なのではないか。多少即売会の事を知ってる人間なら、コンベンションセンターや多目的ホールを探して提案するだろう。

素人の発想や意見は、時として玄人のそれを凌駕する。
物を知ってるのは確かに武器、アドバンテージである。
しかし素人は、何も知らないからこそ、逆に固定観念に囚われず、一歩外から引いて物を見る事が出来るし、斬新かつ柔軟な発想を打ち立てられる。それは物を知ってる人は決して太刀打ち出来ない発想。それこそが素人にしか持ち得ない「武器」となろう。
そして、その素人の提案が、20箇所の候補争う大激戦を勝ち抜け、コミケットスペシャル開催地として選出に至った。コミケットスペシャル水戸決定は、素人ならではの斬新な提案の勝利なのかもしれない。

今後どのような展開を見せるのか、全く予想の付かないこの「コミケットスペシャル」。状況の推移に注目したい。
また、私自身に関して申せば、時が経つにつれ同人の世界に慣れる一方、外の視点から同人世界を眺める感覚の薄れを感じるし、固定観念に囚われる傾向も出始めている。水戸の柔軟な発想を見習いたい、と感じた次第である。


【気になる事、懸念点】

…いや、何処をどう考えても懸念点だらけなのだがw
そもそも「商業ビル」という段階で、待機列どうすっぺ、館内誘導どうすっぺ、そして地元との連携どうすっぺ…山ほど課題はあろう。

もっとも、コミックマーケット準備会は人材の宝庫。2000人以上のスタッフの中には特定分野に精通する方も多い。彼らの力を結集させれば、大抵の課題はクリアできると思う。(今までのコミケットも、あれだけの大規模即売会であれ、スタッフ皆の力を結集し無事開催し得た訳だし)

今回の記事では、コミケットの運営とは別視点で、一つの懸念点について取り上げてみたい。
それは、【痛車】の存在。

…どう考えたって【アキバエクスプレス】みたいな糞痛い車がコミケットスペシャル合わせで来場しそうなのは容易に想像出来るのだがw
あーいうのが当日会場の周りをうろつかれた日にゃ、一般参加者は見て楽しめるかもしれないが、周辺道路の交通状況にも影響する。
個人的には、「あうとさろーね」みたいな形で誰かしら開いてくれて、「痛車展示会」という形で押し込めた方が、準備会に与える混乱もまだ少なく済むと思うのだが。

ただ、痛車展示会を開くにしても、会場何処にするか、という話である。
会場周辺に広い駐車場があればまだ良いが、市街地の商業ビルという事で、そもそも駐車場の絶対数も少なそう。
となると少し離れた場所の駐車場を使う事になろうが…一番怖いのが、水戸駅近くの【偕楽園】【仙波公園】で痛車展示会始めるんじゃないか?という所。

いや、だってその時期、偕楽園は梅まつりの開催期間だっぺ。駐車場書き入れ時だっぺ。仙波公園も偕楽園も梅まつり見に来る一般客で満杯だっぺよ

…頼むから、痛車関係、仙波公園と偕楽園だけは自重してくれ。一般の梅まつり見に来る観光客にマジ迷惑かかる。まだ水戸の駅前とかの方がマシだろう。

一番良いのは、ちょっと離れるが「ひたちなか海浜公園」辺りだろうか。
海浜公園でイベントが無ければ、駐車場は余裕があるだろうし。


痛車の動向にせよ、今後のスペシャルの動きにせよ、コミケットスペシャルの今後には、目を離せない。
色々な意味で、不安もあるが、期待や楽しみも膨らむ「コミケットスペシャル」。「五年に一度の本気の祭り」という事で、「祭り」を楽しみにしたいものである。