九州という場所は、自分的には、「コミックネットワーク」が失策を重ねサークルに見放され、閑散即売会を繰り返した挙げ句、同人「不毛の地」になったという印象がある。
だが、それは九州に対し失礼な見方なのかも知れない。
最近の九州の動向を見ると、決しても捨てたものではない。否、九州同人界のポテンシャルは、案外他地域に比べて高いのではないか?とも感じる。

「コミックネットワーク」関係を除けば、ここ最近の九州は非常に元気で喜ばしい限り。
福岡ドーム開催の「コミックシティ」は年三回の開催を維持し続け、九州の同人界を牽引する存在だ。福岡ドームの手配が大変なようで、今年は8月30日と少し早めの開催だが、コミケ後+春の年三回ペースを維持し続けている。

以前より頻繁に取り上げて来た「tenjin.be」も前回開催も80サークル近くを集め堅調だ。
サンホラオンリーへようこそ」は、地元宮崎県でオールジャンル即売会「comic primary」も主催する小町ありす氏が、東京で安定・継続開催を続ける良即売会だが、今秋は福岡でも開催する模様だ。東京での実績を考えると、福岡でも良即売会になる事が予感され、今から期待が持てる。
大牟田〜久留米といった福岡県の南部地域も、福岡市の即売会とバッティング傾向なのは残念だが、基本的に安定・継続開催の良即売会揃い。
流石にオールジャンルのサークル数低落傾向は、九州にも当てはまろうが、それでもまだまだ元気さを見せていると思う。

唯一の気になる点としては、同人初心者の「受け皿」となる即売会が、福岡界隈では消滅している事か。
他の地域では、「コミックライブ」なり「コミコン」なり、地域に根差した即売会がその役割を担っているが、福岡はシティは若干年齢層高め、「tenjin.be」は明らかに年長者向けだ。女性若年層の広範な受け皿となるべきジャンプオンリー「ジャンプ大血戦」は開催を終了してしまったし、「COMIC KIDS」も3月が開催中止となった。
これらの即売会に代わる、新たな若年層の受け皿となる即売会の存在が、今後の福岡では待望されよう。


今回、九州・福岡界隈の「元気さ」を示す象徴として、私は以下二つの即売会の存在に注目したい。
即ち、3月下旬に開催されたヘタリアオンリー「博多ばんぱく」、そして5月3日に開催を控える東方オンリー「博多東方祭」。
両方とも旬ジャンルゆえ、元気なのは当たり前なのかもしれないが、九州の底知れぬパワーを示す最も顕著な事例として取り上げる事にしたい。
先ず「博多ばんぱく」から。
福岡界隈のオンリー御用達の会場「モルティ天神」を会場とし、募集160spで始めたこのオンリー。
福岡にはオンリーイベントへの進出盛んなユウメディアもヘタリアオンリーを開催したが、これを凌ぐ動員数を叩き出した。
この理由として、(ヘタリアが旬ジャンルたる事を差し引いても)以下の三点が挙げられよう。

1.告知努力
→ヘタリアオンリーやコミックシティでの告知、地元に根差した告知、両方を堅実に行った結果が今回のサークル集めの成功に繋がっている。

2.主催自身、即売会スタッフ/主催経験が豊富ゆえ、運営に安定感を築けた事
→11月のヘタリアオンリー「Get the World!!」や大牟田のオールジャンル同人誌即売会でもスタッフをされていた

3.サークル経験も豊富で、サークル視点に立った運営を行える事

特に2〜3がポイントで、主催者自身が、主催たるにふさわしい素養を備え高いパーソナリティーを有していた。これが、サークルからの信頼感に繋がり、サークル的にも参加しやすい環境となったのだろう。
(私見だが、この「博多ばんぱく」の主催氏は、「サンホラオンリー」「comic primary」の小町ありす氏や、tenjin.beやジャンプ大血戦の各主催氏らと並び、九州トップレベルの力量を持つ主催だとも思う)

率直申し上げて、募集160spは会場キャパシティ的に厳しいのでは?と思った。
そしたら直接参加160sp。本当に満了してしまった。
…会場のモルティ天神は、tenjin.beやジャンプ大血戦で80spレベルが標準。160sp…明らかに極限まで無茶苦茶詰め込んでいる。事前にその話を聞いて、「死亡フラグ」が立ったと思ったw
…普通の即売会ならともかく、ヘタリアは恐ろしいまでに人が来る。一般参加者の来場数は、カタログも早々に完売し正確な数値は出せないが、1000近く用意したノベルティグッズを全て配り切った事から、最低でも1000人は来場した事になろう。

…サークル数もあり得ない数字なら、一般来場者数もあり得ない数字である。
だが、それでも大きな混乱をもたらす事なく、即売会運営を完遂する事が出来た。
これは当然ながら、主催者の力量が充分に備わっている事の結果だが、九州全土からノウハウ豊かな主催達が援軍として駆け付けた事も大きい。(そう言った歴戦の主催を「呼べる」事も主催者の力量の一つとも言えるが)
地元福岡の「Project Arbarest」(tenjin.be)関係者やジャンプ大血戦の主催氏に加え、鹿児島からは過去にヘタリアオンリー「Get the World!!」の主催を務めた11(ニノマエハジメ)氏や、宮崎からはサンホラオンリー主催の小町ありす氏も援軍に駆け付けた。
特にニノマエ氏や小町氏は、東京のヘタリアオンリーを通じ、ヘタリアの殺人的なまでの人出・参加者数を生で体験している。殺伐即売会の存在し得ない九州においては貴重な人材だ。経験を踏んだ彼女らの存在は大きかったのではなかろうか。
(尚、夢彗星の橘あさり氏は今回のお手伝いに含まれていない。…まあ、来たら来たで、上記の主催連中に、昨年1月6日の「川崎ドタキャン」の件でフルボッコされるのがオチだろうし。)

これらの経験豊富な主催達が、来場者の殺到を予見の上、誘導計画を綿密に組み立て実行に移せた事で、混乱を未然に防いだと言えよう。

「博麗神社例大祭」や「東方紅楼夢」は、参加者殺到確実の即売会だったが、綿密な計画を立て導線を引き、日本全国から経験豊富なスタッフを呼び寄せて事に当たった。
「博多ばんぱく」も、「日本全国〜」が「九州全土〜」に変わっただけで、やってる事は一緒である。
即ち、事前に来場者数の多さを読み違えず見積り、それに合わせた綿密な計画の立案、そして有能な人材の確保。口で言うと簡単そうに見え、実際には相当大変な話なのだが…この三点がきっちり出来れば、どんなジャンルでも何処の地域でも、無用の混乱を招く事無く成功に至れるのだろうと思う。

スケールは例大祭に劣れども、事実上の「プチ例大祭」的な運営を行い、無事に切り抜けた「博多ばんぱく」だが…
一番のポイントは、九州という場所で「プチ例大祭」的な即売会が興ったという事実である。
九州にはそれだけのパワーが眠っているし、九州の主催達もそれに立ち向かう力を備えている。
この事が、今回の「博多ばんぱく」の大きな意義であり、そして、「九州の元気さ」を私が見い出した理由でもある。

次回は、「博多ばんぱく」とは別の意味で、九州の同人界にとって意義深い存在になるかもしれない、と期待を寄せている東方オンリー「博多東方祭」について語りたい。


【2009年5月6日追記】
「博多ばんぱく」主催様からのご指摘を頂き、以下2点訂正致します。

1.久留米のオールジャンルでスタッフを務めた→大牟田のオールジャンルでスタッフを務めた、の誤りです。
2.博多ばんぱくの募集100sp→当初から160spが正解です。


該当箇所は修正をかけさせていただきましたのでご了承願います。
また、当方の思い込みにより関係者の皆様にご迷惑をお掛け致しました事、謹んでお詫び申し上げます。

尚、主催様から色々お話を伺いましたが、15時頃までは即売会のみにして、コスプレは即売会が終わった後に、というような工夫もされた模様です。「コスプレの方にはご迷惑をお掛けしてしまった…」とおっしゃってましたが、正直、1000人来場なんて未曾有の事態な以上、場を円滑に進めるためには止む無き措置であったように思います。