【注】すみませんだいぶ豪快な間違いしてました。「四国東方祭」じゃなくて「東方四国祭」ですね。訂正しお詫び申し上げます。

前回、「東方四国祭」の主催の犯した瑕疵について触れると共に、真に問題とすべき部分を指摘させて頂いた。
若い主催、初心者主催相手にここまで厳しく論じるのは気が引けるが、彼らの今後に繋がる事を期待しつつ論じているつもりである。

主催達がやらかしてしまった…いや未熟な人間性を晒してしまったと言うべきか…それは間違いない。
だが、私は彼らに対し「主催業止めろ」「イベント中止にしろ」等と申し上げる気も無ければ、青龍刀で云々等とも申し上げる気も、一切無い。
寧ろ、苦しくとも歯を食いしばって「東方四国祭」を完遂して欲しい。即売会開催という責任を果たす、という意味もあるが、苦しく辛いであろう現状を乗り越えれば、人間としても成長するのではとの期待もある。
相当厳しい事申し上げてはいるものの、 若いからこその期待も抱いている。

それに、彼らには擁護すべき点というか、同情すべき点も、決して少なくはない。今回記事ではその点を取り上げつつ、今回の問題は一主催の人間性や資質の問題に留まらない。同人界隈全体に通じる問題として論じて参りたい。
【的確な助言の出せる相談相手の不在】

先ず、当地・愛媛松山における根本的問題として、即売会の開催件数が異様に少ないという現状がある。
事実上、オールジャンル同人誌即売会の「コミックライブ松山」のみで、たまに男性向けオールジャンルの「ヒメノツキ」が開催されたり、新居浜市でオールジャンルが開催される程度。
…オンリーイベントなんぞ、そもそも存在しないw

(即売会を定期開催してくれるライブのありがたみ、この条件下で「ヒメノツキ」よく開催できたなとの思い、東方四国祭もよくオンリー始める気になったな、等色々思う事はあるが、それは別の話なので割愛する)

オンリーイベントが少ないという事は、自分達がオンリーイベントを開くに当たり、分からない所を聞きに行ける相手、相談できる相手が地元に…というか身近な範囲に居ない事を意味する。

主催が初心者で開催ノウハウが無い程度ならまだしも、相談する人が居ない事、これは例えようも無く不利な状況である。

例えば、都内の男性向けオンリーを見ると、総じてソツ無く開催されている。細やかな瑕疵はあれども、騒ぎになるレベルの瑕疵は無い。
様々な即売会での主催/スタッフ業務で培ってきた経験もさる事ながら、主催・スタッフ同士の繋がりで、困った点があらば他の主催に相談出来る事が大きいだろう。相談を受ける主催達も歴戦の猛者、的確な助言で大事にならずに済むからだ。

北陸で先日開催された同人誌オンリー「北陸本専」は、主催者が【主催初心者】で有りながらも配慮の細やかな運営で好評を博している。
主催者自身がサークル経験や高いメンタリティを有している事もあろうが、周囲にサークル者や主催経験者が居て物を相談出来、助言を得られる環境にあった事も大きいだろう。
北陸本専実行委員ブログ・2008年10月30日「代表のよたばなし」には、主催がサークル申込用紙の試作品を作ったら、他の主催経験者に赤ペン添削という名のフルボッコ食らったという話が掲載されているが、そう言う相手が居るからこそ、今の本専が成り立っている。

東方で言えば、「博多東方祭」が主催経験の浅い方にも関わらず、東方厨2000人を無事に捌き切れたのは、主催氏当人の人脈ゆえ。混雑対応に長けたスタッフを召還し得たのも人脈ならば、周辺に年季の入りまくったスペシャリストなスタッフ関係者に相談でき、的確な助言を得られ、綿密に動線計画を立てられた事も人脈ゆえだ。

今、他即売会の事例を3例挙げたが、周囲に的確な助言を出せる相談相手が居る事の重要性を、少しでもご理解頂ければ幸いである。


翻って、今回の「東方四国祭」はどうなのか?
確かに「相談相手」なら居たかもしれない。
だが、今回の粗相を見るに、経験豊富で的確な助言の出来る人は、残念ながら存在しなかっただろう。締切の前倒しにせよ、無駄に項目が多く意図も意味不明な質問メールにせよ、周りにそういうブレーンが居れば絶対止めるはずだ。
そもそも、愛媛という即売会開催件数自体が少ない土地柄で、経験豊富な人は稀有であろう。そういう人と巡り合えなくとも、仕方無い。

周りに経験豊富、的確な助言を出せる人材が誰も居なかった事。それこそが、今回の東方四国祭の粗相の原因である。
また、私が東方四国祭の主催に同情するのは、彼らの周囲に相談に足る人材が居なかったが故である。
周りに一人でも知恵袋が居れば、主催もこんな目に遭わず済んだかも、とも思う。


【東方四国祭だけではない 相談相手の居ない悲劇】

(経験豊富、的確な助言を出せる)相談相手の居ない事の生む「悲劇」はこの「東方四国祭」に限った話では無い。
地域問わず、全国各地の即売会で起こり得る話である。

大即売会と同日に開催をぶつけるという、銃弾飛び交う戦場のど真ん中に万歳しながら全裸で飛び出すような玉砕行為をしでかしちゃう即売会を、私は過去何度もお見かけした。
大規模即売会の前に敵う筈も無く、サークルも集まらず。当然の如く失敗に終わり、その度に私は心を痛めた。
そして、誰かこの日程を止める人は周りに居なかったのか?そういう人が一人でも居れば、そして主催が然るべき人に日程の事を相談してさえいれば、こんな事態は防げた筈だ、との思いを抱いた。

今年に入り、女性向けオンリーが幾つか開催され、来場者に恵まれたのは良いが、来場者に恵まれ過ぎて会場は混乱。警察官が巡回に来た即売会も有り、ちょっとした騒動になった。
主催は何やっとんじゃ、とその運営能力を責めるのは簡単だ。
まあ、確かに来場者は多いが、博麗神社例大祭・コミケ・サンクリあたりで鍛えられた歴戦の勇士なスタッフ達が何人か居て、彼らが列整理に当たっていれば、或いは事前の動線計画の段階でこれらのスタッフが参加していれば、そこまでの騒ぎにはならず済んだはずだと思う。
女性向けオンリーの主催が、そういう達人たちとのパイプを持ち、彼らにイベント運営の相談が出来れば、こんな騒動にならず済んだのに、との思いを抱いた。

「経験豊富、的確な助言を出せる」相談相手が、主催には必要ではないか。
そういう人材に頭を下げて助言を請えば、有意義な助言を得られ、主催自身による暴走や失敗も、未然に防げるケースも多い。
また、主催経験が多少不足していた所で、カバーし得る。そういうブレーンから運営に関する助言やレクチャーを受け、知識として身に付くからだ。
勿論、それに当っては、主催が人の意見を聞かない人であっては駄目。人の意見に、真摯に耳を傾ける姿勢も必要なのだが。

「相談相手」と申し上げているが、これは「人脈」とも言い換えられる。「人脈」の場合は、「相談相手」たる人材に加え、サークル仲間の人脈(サークル集めに効果を発揮する)もその意味の中に含まれようが。
主催を務めるに当っては、主催としてのノウハウ以上に、人脈が備わっているかが大切に思う。主催として立つ前に、ご自身の人脈を点検する事を勧めたい。そして、それが弱いと感じたら、人脈作りの意識と努力を!と言った所であろうか。



【東方四国祭 主催氏の今後について】

今回の一件は、残念ながら主催者の底の浅さを露呈する結果となった。
他人の立場に立って物を考えられない、特にサークルの立場に立って物を考えられない…という姿勢が明らかになり、「サークル目線」を訴える私の立場からすれば、これを看過する事は出来ず、厳しい論調となってしまった。

その一方で、彼らの過ちは「若さゆえの過ち」と捉え、大目に見たい気持ちもある。
また、愛媛は同人誌即売会の開催が殆ど無く、主催経験をお持ちの方も中々見当たらない。地元という手近な範囲で相談出来る人が居なかった事には、同情せざるを得ない。
そんな環境の地域で、即売会を新規で立ち上げようとする事は、相当のやる気やパワーが無いと出来ない事でもある。その熱意や努力を摘み取りたくない、という思いもある。

これらの思いを全てミックスすると、こういう結論になる。

1.先ずは、苦しくとも歯をくいしばって「東方四国祭」に全力投球を!
⇒一度立ち上げた身、サークルも集まってる。折角申し込んでくれたサークルさんに報いる為にも、頑張って欲しい所である。

2.「東方四国祭」が終わったら、サークルを立ち上げサークル活動を始める、他即売会でスタッフ修行を積む…自らの修行&勉強の機会に充てて欲しい。

⇒サークルを始めればサークルの気持ちも理解し易くなるし、サークル繋がりの交友関係も出来るから、今後主催を営む上で大いにプラスになる。
 スタッフ修行も、即売会の事をより深く理解する為に、積極的に頑張って欲しい。地元四国のおでかけライブにスタッフ参加しても良いが、東京ないし大阪開催・大規模即売会でのスタッフ参加をお勧めしたい。業務はハードだが、そこでスタッフを務める方々は優れた方々が多く、彼らから吸収できる物は多いと考えるからだ。スタッフ人脈の形成にも繋がろう。

ちなみに、ここでの勉強は、学校の勉強とは異なり、「誰かに教えてもらうもの」ではない。自分自身の五感を以て吸収するもの、自らの手で学び取るもの、と考える。「他人から盗む物」なのかもしれない。
そこで自ら学び取る内に、自分のやってきた事の何が不味かったのかに気付けば、その人は大きく成長する。己の身を以て何が悪かったかを痛感し、二度と同じ事をやらかさない、と(上辺だけでなく)心の底から誓うであろうから。

今回は「東方四国祭」で騒ぎになってしまったが、これを機に修行や人脈づくりに勤しみ、時が経った時に成長した姿を是非見せて欲しい。その時は、私も全力を以て成長した主催を応援したいものである。