同人誌即売会でスタッフ参加する方々。
私の周りを見ても、10年20年のスパンで豊富な経験を積み、神域に達する力量を持つスタッフも、数多い。
彼(女)らは縁の下の力持ち。彼(女)らの的確な事務処理、混雑処理、サークル管理…プロ級の高い実力を以てイベントを回してくれるお蔭で、我々は頒布活動なり購入活動なりが安心して出来る
つい忘れがちになってしまうが、スタッフの皆様の身を粉にしての働きぶりには、我々も、もっともっと感謝の念を抱くべきと心得る。

そんな熟練の、スキルの高いスタッフ達も、最初から今の実力を持っていた訳ではない。
彼らも最初は、右も左も分からぬ初心者だった筈。
だが、場数を踏み経験を積み、諸先輩から学び、その繰り返しで彼らの「今」が在る。

昨今、東方Projectを通じ「同人」を知った方が多く、彼(女)らがスタッフを志願する傾向を、時折見かける。
彼(女)らは当然、スタッフ初心者である。ただ、見方を変えれば、【10年後の名主催・名スタッフの卵】とも言える。
彼(女)ら新人スタッフ達が、先輩方の良い所を盗んだり、場数をこなし経験を積んだりしながら、5年後10年後に運営の中核を担う、或いは自ら良即売会立ち上げる…成長を果たし活躍いただける事に期待したい。
また、先輩スタッフの皆様には、「後進」を育てるという観点を意識いただけるよう、お願い申し上げたい所である。

彼(女)らが育つ為には、何が必要か。やはりそれは、現場での経験を積む事…すなわち「場数」だと思う。

関東在住のスタッフならば、私は余り心配していない。
東京には、サンクリがある、COMIC☆1がある、例大祭がある。オンリーイベントは無数にあるし、そして何よりコミックマーケットがある。
本人さえその気になれば、腕を磨けるイベントは、無数に転がっている
敢えて申し上げるならば、スタッフ数が多数の即売会ばかりだと、分業制なので、即売会の全体が見えにくくなるきらいはある
即売会全体(の流れ)を見渡せる力を養う意味でも、100sp以下の小さなオンリーイベントの経験も積んだ方が良いのでは、と考える。

少し気にしているのは、地方を活動基盤とする、新人スタッフである。
地方は、東京とは異なり、そもそもイベント数自体が少ない。即ち、彼(女)らが経験を積む機会は少ない、という意味でもある。
せっかくスタッフと言う仕事に興味を持ってくれたのに、彼らがそのスキルを高める場は、極めて少ない。
では、どうすれば良いのか?

一つには、(経験を積む)機会を自ら「創る」事。
例えば、広島の東方オンリー「東方椰麟祭」の主催氏は、元々コスプレ方面に造詣が深い反面、即売会方面の経験は浅かった。しかしながら、自身の経験の浅さを自覚し、経験者に教えを請い積極的に学ぶ事で、経験不足を補っている。「東方四国祭」「大(9)州東方祭」といった即売会にスタッフとして参加、スタッフ経験も積み上げを図った。
自らの活動地盤【以外】の地域に積極的に出て、自らが経験を積める機会を「創る」事で、経験を積んでいる。自らの活動地盤で得られる経験が少なければ、他所の地域にて、経験を積む場を求めても良いのではなかろうか。
東京や大阪のイベントでスタッフ参加するのも、新たな知見が得られそうで面白いだろう。これらの地域には、優れたスタッフが大勢居り、彼らと話す事自体が、大変勉強になるからだ。

そしてもう一つは、数少ない(経験を積む)機会を「逃さない」事である。

これは「大(9)州東方祭」のスタッフの動きを見て感じた事なのだが、彼らの過半数は、スタッフ初心者だ。昨年2回の「博多東方祭」「大(9)州東方祭」でしか、スタッフ経験の無い方も多い
彼らが成長してくれないと、「大(9)州東方祭」は幹部スタッフにばかり報告・連絡・相談の案件が集中してオーバーフロー状態に陥る。「大(9)州東方祭」の運営にも、影響が及びかねない。
「大(9)州東方祭」のスタッフの成長は、今後の「大(9)州東方祭」の為にも、いや彼らが今後成長し活動のフィールドも広げ、九州の同人世界活性化に繋げる為にも、必要不可欠である。

という訳で、2009年11月20日「11/15 北九州市小倉・東方オンリー「大(9)州東方祭」(後編)」にて、私はこのような主張をさせていただいた。

>私は、「大(9)州東方祭」の新人スタッフの皆様には、「大(9)州東方祭」以外の即売会でもスタッフ参加し、積極的に知識と経験を積み、勉強して頂きたい、と考える。
>「大(9)州東方祭」の世界に篭っていては、成長も限定的なものになる。
>
>「大(9)州東方祭」は確かに素晴らしい即売会だが、世の中には様々な即売会がある。
>
>他の即売会でスタッフとしての業務をより深く学ぶと共に、他の即売会の長所を学び「大(9)州東方祭」に生かせば、「大(9)州東方祭」は更に素晴らしいイベントになるだろう。

という事で、福岡には「コミックシティ」や「コミックライブ」他様々な即売会が存在する
これら、スタッフ募集の門戸を広く開く即売会に、スタッフとして参加しつつ研鑽を積んでみては?と申し上げた。
まあ、(以前私が推していた)「Project Arbarest」主催の即売会は、内輪色が強まり、新人スタッフが定着し辛いなどの問題もあり、今となっては「大(9)州東方祭」が研修を積むに、お勧めし辛い即売会になってしまったのが残念だが…即売会はそれ以外にも色々ある。
他の即売会で、経験を積み、成長を図っていただける事を望みたい。

個人的には、「大(9)州東方祭」のスタッフが経験を積むのならば、「コミックシティin福岡」が最適と考える。
「コミックシティ」は年3回安定開催を続ける良即売会だが、過大に来る来場者の列形成・整理・誘導や館内頒布物チェック等、「大(9)州東方祭」に通じる業務内容が多いからだ。また、主催者(というか責任者)の見識も高い物が有り、彼らの話の一字一句から学ぶものも非常に大きい、と考える。
シティにスタッフ参加する事で、シティの盛り上げにも寄与し、自らも成長し、そして「大(9)州東方祭」も支える。「大(9)州東方祭」スタッフの皆様には、是非シティにスタッフ参加して頂きたかった

先日1月24日に、福岡ドームにて「コミックシティ」が開催された。
色々な所から話を聞いたが、残念ながら「大(9)州」スタッフで「コミックシティ」にスタッフ参加された方は「ゼロ」との事。

折角の、貴重な勉強の場、経験を積むに最適の場を生かそうとしない事は、正直残念な事である。
「買い手として回りたい」「今回はサークル参加するから」など、各自それぞれの事情はあろうが、もしお時間が余っている様なら、次の「シティ」は5月だ。5月のシティに是非スタッフとして参加し、経験を積み、知見を高めていただける事を願いたい

今回誰も「コミックシティ」にスタッフ参加しなかった事は、経験を積める貴重な「場」を逃しているような気がして、正直残念な思いである。

#尚、「大(9)州東方祭」主催氏の個人サークルが、コミックシティ主催者側と揉めている模様だが、これは【全く考慮する必要が無い】と考える。
個々のスタッフは、自らの信条に基づき行動すべきであり、上の動きに左右される筋合いは無い。いかなるスタンスを取ろうとも当人の自由、と考えるからだ。
(そういう意味では、私の主張にスタッフ諸氏が従う「義務」も無い。強く「推奨」はするがw)


今回の記事後半、「大(9)州東方祭」新人スタッフの事例を取り上げ、長文となってしまったが、私が申し上げたい事の骨子は、「新人スタッフには経験を積んで成長していただきたい」という事。
特に地方は、スタッフ経験を積める機会…すなわち即売会の数自体が少ない。
ならば、貴重な経験の機会は逃さずに。そして、自分の住む地域以外でも経験を積める場を探し求めて
貪欲に経験を積む場を求め、自分自身を成長させるよう努めていただきたい。

そして5年後10年後には、同人世界の後輩達に頼りにされる自分たる事を目指して頂きたい。そう在る事を、強く願っている。