九州の即売会は、最近勢いが増している。
「コミックシティin福岡」は相変わらず安定。「大(9)州東方祭」は「comic1」と同日開催という不利な環境ながらも、前回を凌ぐサークル数を集める。「東方久遠境」も、100サークル・1000人以上の来場者を集め大いに健闘した。
ヘタリアオンリー「博多ばんぱく」も、サークル数ベースならば「大(9)州東方祭」をも凌ぐサークル数を集め、他にも「サンホラオンリーへようこそin九州」など期待の高い即売会が多い。
期待の「seekers」は100sp超程度と振るわず残念だったが、告知も熱心だし、次回は女性向けに特化するとの事。特化方針が奏功すれば…との期待は残る。

九州の即売会は、全般的に好調な物が多い。
そんな中、その勢いに水を差しかねない…いや、明らかに主催を青龍刀で小一時間問い詰めたくなってくる即売会が、登場した。

その即売会の名前は、「tbe pre 0」。
NPO法人「Project Arbalest」が、昨年秋に最終回を迎えた即売会「tenjin.be」の事実上の後継イベントとして、新たに開催する即売会だ。

この即売会は、これまでの即売会の既成概念を打破した、極めて「革命的」な同人誌即売会である。

以下、イベント概要をピックアップする。

>イベント概要
>超省エネ型オールジャンル同人誌即売会
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>コンセプト
>同人誌即売会の運営システムを一から再構築し、省けるものをすべて省いてしまう試み。
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>開催概要
>日時
>2010年04月04日 12:00〜15:00
>
>会場
>都久志会館 4F (401-404)

「超省エネ」と称したこの即売会。
今現在この文言は取り払われているが、申し込みはオンラインのみ、告知は一切せず。(ソーシャルネットワーク等ネット上での口コミのみを想定)
更には、サークルカットも無し(サークルは100字前後のサークルアピールを文章で提示する)。カタログも無し。カタログの代わりに、WEB上でサークルアピール付きのサークルリストを発表。それを各自プリントアウトしてカタログ代わりにどうぞ、というシステムだ。

そして最後に、こんな言葉で締められている。

>おことわり
>この開催モデルは、私たちが提供可能なリソースの現状と福岡市における同人誌即売会事情を勘案した結果、設計されたものです。
>想定する参加サークルは40〜60、総参加者数は100〜200名です。


突っ込み所は色々あると思うが、私は先ず、【何故今さらこのコンセプトで即売会なのか?】という部分を問いたい。

というのは、NPO法人ProjectArbalestは、以前に同様のコンセプトで、2007年10月に「books.tenjin.be」という即売会を実施した事がある。
あの時も、申し込みは事実上オンラインのみ(チラシ兼申込書の配布はほぼ行われず)だし、当日のカタログも無かった(厳密には、カタログは印刷されたものの、印刷会社の手配ミスと主催側の確認作業の緩慢により、同日会場に届かず)。

*参照リンク 2007年10月28日付「10/8 books.tenjin.beについて思う事」 http://blog.livedoor.jp/analstrike/archives/51061655.html

「books.tenjin.be」の参加者は、32サークル・総来場者110人。普段の「tenjin.be」より数字的にも圧倒的に小さく、明らかに失敗している。
既に「省エネ型即売会」は結果が出ており、それを今再び実験する理由がない。

また、主催側はこう記してもいる。

>想定する参加サークルは40〜60、総参加者数は100〜200名です。

「books.tenjin.be」で出ている数字よりも、明らかに過大な想定数である。見積もりが甘過ぎるのではないか。

また、今回のこのコンセプトは、NPO法人「Project Arbalest」の、同人誌即売会主催者としての資質にも、疑問を抱かせた。

先ず、サークルカット無し、というコンセプト。サークルカットは、サークルが自らの存在を皆にアピールする機能を有する。
今回、サークルは100字前後のサークルアピールを文章で…という話だが、一般的な大多数のサークルが「絵描き」である事を、主催側は忘れてはいまいか。
彼らの多くは、イラストで、自身の絵柄で、自らをアピールする。文章で勝負する評論系や小説サークルならともかく、大抵のサークルは、今回の「コンセプト」で、自らをアピールする有力な手段を失っている。
サークル目線に欠けた運営、と断じて当然だろう。

また、主催側はこんな事を語っている。

>この開催モデルは、私たちが提供可能なリソースの現状と福岡市における同人誌即売会事情を勘案した結果、設計されたものです。

オブラートに包んだ言葉だが、「私たちが提供可能なリソースの現状」という事なので、自分達が出来る範囲でしか動きませんよ、という方針なのだろう。
そこにあるのは、自分自身の「都合」のみ。自分の都合に基づくコンセプトであり、即売会である。
サークルにも、一般参加者にも、思いが至っていないのは、明白だ。
(話がズレるが、「福岡市における同人誌即売会事情を勘案した結果」というのも意味不明。福岡の何の即売会を見てこのコンセプトに至ったのか?どう考えても、このコンセプト至れなく思えるのだが…)

更に言えば、サークルリストの掲載をweb上で行ったのは、開催日当日の10時頃。
…私は夢彗星がオンリーイベントを【朝9時】にドタキャンした時に、当日朝9時の告知じゃ皆に伝わらない。告知の内に入らない、と申し上げた事がある。
今回のサークルリスト掲載も、それと同じ論理。
告知した内に入らず、アリバイ作りにしかならない。

サークル案内の発送もメールだが、申し込みを済ませたサークルさんによると、開催日前日に届いたとか…。
開催終了後にサークル案内到着(笑)のコミックネットワークにも匹敵する、青龍刀ものの展開だ。

今回の参加サークルは10前後、一般参加者も初動10人程度。
「books.tenjin.be」よりも更に厳しい数字だが、ここまでサークルを思いやれないコンセプトである以上、そしてこんな酷い運営である以上、この惨状も致し方ない。
個人的には、厨房即売会「御三家」(コミックネットワーク・こみフェスと後一つは空席)に肩を並べる酷さではないか、とも感じている。

私は、NPO法人「Project Arbalest」には多大な期待を寄せ、時として支援もした。
「tenjin.be」への期待も大きく、好意的に評価してきた。また、先日開催の「東方久遠境」も、博麗神社例大祭に日の近い不利な環境下で100サークル・1000人を集め、地元の老舗イベンターとしての意地を見せたと評価している。
過去は過去で評価しており、故に直ぐに「御三家」に入れるつもりもない。
だが、このような即売会が何度も続くようならば、私は、NPO法人「Project Arbalest」を厨房即売会「御三家」の一角に加えざるを得ないだろう。

そして、私が感じた限りにおいて、今後も、NPO法人「Project Arbalest」は、このような運営しか出来ないであろうと言う気がする。
彼らの言う「私たちが提供可能なリソースの現状」が「省エネ型」(と言えば聞こえは良いが、実際には「手抜き」に過ぎない)である以上、それが直ぐに改まるとは思えない。
また、当日参加者からの情報によると、主催氏は「燃え尽きた」という言葉を連発していたとか。
やはり、彼らは、最早マトモな即売会を営むに必要な労力を割けない。そんな余裕も無い。ヤル気も無い。そういう事なのだろう。



ならば、私はこう主張したい。
NPO法人「Project Arbalest」は、即売会主催事業から撤退すべきである。主催氏本人も、主催業から引退ないし休止するべきである。
NPO法人「Project Arbalest」自体は、即売会事業以外にこれと言った事業も無い。即売会から撤退するのならば、同時にNPO法人「Project Arbalest」も清算し、解散すべきである。
NPO法人の解散には、構成員(会員)による決議(株主総会をイメージして欲しい)が必要だが、現在会員の皆様には、NPO法人「Project Arbalest」の現在の惨状を考慮し、賢明なる判断をお願い申し上げる次第である。
これ以上無理に続けて厨房即売会を連発し、これまでの実績の積み重ねを全てひっくり返してしまうぐらいなら、今こそ潔く撤退の決断をすべきであろう。
ズルズル続け、厨房っぷりを晒し世の笑い者になるのを、私はこれ以上見たくはない。
それこそが、かつてNPO法人「Project Arbalest」を応援し支持した人間としての、偽らざる気持ちである。

尚、この件についてのご意見・ご反論等は私に直接聞こえるようにお願いしたい。
どんな立派な事語っても、私に聞こえない場所でならば、それは犬が遠くで吼えてるだけの認識でしかない。私が考えを改めるには、至らないだろう。