前回記事では、「夕張まんがまつり」が、北海道夕張市という過疎の町、参加に厳しい立地条件でありながらも、告知努力等を通じてある程度の参加者を集めるに至る過程について、語らせていただいた。
今回は、「後編」という事で、「夕張まんがまつり」が取り組んだ、様々な施策をご紹介したい。
一つ一つは小さな取り組みながらも、その積み重ねが「夕張まんがまつり」の盛り上げに、そして成功に繋がっている、と私は考える。


【地味ながらもきめ細やかな施策の積み重ね】

「夕張まんがまつり」の良き点としては、痛車・コスプレイヤーとの連携を深め数多くの参加者を集めた事、告知努力を徹底し一定サークル数を集めた事。この2つが、真っ先に評価されるべきだろう。
だが、私はもう一つ、見逃したくない、評価すべき点を取り上げたい。
それは、地元との連携を取りつつ、きめ細やかで心遣い豊かな施策を数多く実行した事である。
一つ一つは小さい取り組みも、それを数多く積み重ねる事で、「夕張まんがまつり」の、イベントとしての賑わいや楽しさに繋がっていると思う。

例えば、「ロケーション」という物を、この即売会は極めてよく考えている。
1日目のコスプレ会場は、雪も消え、緑生い茂る夏山の様相を見せるホテル裏のスキー場。
痛車ミーティングの会場もすぐ隣だが、雄大な大自然に抱かれてのコスプレ・痛車ミーティングを楽しめる。

また、連絡通路1本で即売会会場のあるホテルとも直結。
ホテル内でのコスプレ闊歩OKという事もあり、コスプレ組も即売会会場に足を運びやすくなった。
即売会会場は大混雑で盛り上がったが、痛車組・コスプレ組も即売会に顔を出し易い環境が整えられた事もその要因となろう。

即売会会場内での企画も盛りだくさんだ。
「コミティア見本誌読書会」の設置は、即売会来場者の興味を引き付け、会場内の駐留率の上昇に貢献した。
というか、会場回りきって暇になった時の暇つぶしにも適する。

コラボ萌酒「住初かえで 夕張すうぃーと」は、まあ良くある萌え商法の二番煎じといわれればそれまでかもしれないが、【地元名産の夕張メロンを原料としている】【キャラの名前を夕張の地名から取っている】【絵師さんが夕張に縁深い】など、押さえるべきポイントをきっちり押さえた萌え商品に仕上がっている。
限定100本は完売、夕張の町が一押しでプッシュしているキャラ商品「夕張夫妻」売上低迷との対比が際立ったw

#余談だが、「夕張夫妻」ほど萌えない・かわいくないキャラも珍しいw
…人気が出ないのも当然だろう。
私は、現在の「夕張夫妻」には「勇退」いただいた上で、「夕張すうぃーと」の絵師さんに「二代目夕張夫妻」をデザインして貰い、仕切り直しの上で売り込む事を、お勧め申し上げる次第である。
また、最近人気の「メロン熊」の【擬人化もの】を商品化するのも面白いだろう。
夕張市の観光関連業界各位及び、夕張まんがまつり実行委員会様の英断に期待したいものであるw

即売会会場内では、飲酒もOK。会場内で限定萌酒「夕張すうぃーと」を購入し、その場で味わう事も出来るし、参加者間交流の潤滑油にもなった。
会場内を楽しく過ごせ、お祭り感を演出するに、大きく役立った。
…飲み過ぎて酔い潰れる方は出なかった筈だし、まあ、良かったんじゃないかとw

また、遠征参加者を想定し、合宿企画も用意。
近隣の「ホテルシューパロ」に宿を取り、宴会場を借りての宴会企画も、参加者間の交流促進に寄与しただろう。
宿に備え付けのカラオケを利用し、コスプレカラオケもOK…と、ホテルの設備をフルに動員し、いい感じにやりたい放題であったw

ただ、「鉄道史跡ぷち見学会」は参加者が1人しか集らなかったとか。

>まもなくダムに沈む世界的に珍しい「三弦橋」や夕張市内に残る鉄道史跡「三菱大夕張鉄道保存車両」をめぐる鉄道史跡ぷち見学ツアーを催行いたします。

という事で、鉄道ファン向けに美味しい所を押さえた企画で、企画内容も決して悪くない(というか地元の観光関係者が絶賛していた)と思うのだが、日時設定が「氏んでしまえ」の世界。
「集合日時:2010年5月8日 13時30分集合」…即売会開始時間じゃねえかよ!流石にその時間に参加は無茶だわw
札幌・千歳〜夕張間を結ぶチャーターバスの空いた時間を利用して、という事でこの時間としたのだろうが…即売会の時間に被る見学ツアーじゃ、折角の好企画も参加者に恵まれまい。
企画が良いだけに、実施時間は是非再考いただきたい所である。

地元と連動しての企画も、興味深い物が多く目に付いた。
痛車参加者への企画として、会場のホテルマウントレースイ目の前・ガソリンスタンドの給油割引サービス。
「夕張まんがまつり」のカタログ提示で、市内観光地(石炭歴史村、黄色いハンカチロケ地等)の入場割引。
「夕張まんがまつり」2日目の5月9日には、地元のお祭りだが「夕張さくら祭り&植樹祭」が開催され、夕張まんがまつり実行委員会も桜の植樹に参加。まんがまつり参加者も、植樹祭へも参加が出来るように取り計らった。

そして、スタンプラリー企画。
市内13箇所でスタンプを集め記念品をGETする…まあ、やっぱり水戸の二番煎じな訳だが(汗)。
ただ、置いた場所は市内の有名飲食店や、市内の商店、観光名所等。即売会の会場にのみ集中しがちな参加者の視線を、夕張のお店や観光地にも向けて貰おうとする狙いは感じられる。
また、スタンプラリー用に、市内巡回のバスを増発する取り組みも親切だった。

これらの各企画全てに共通する事は、地元と協力関係を築きつつ、イベント会場の「外」にも目を向けて貰おう…いや、単刀直入に言えば、イベント会場の外でお金を落として貰おう、とする狙いを感じる事だ。
まあ、「町おこし」なのだから、その狙いは当たり前なのだが…
これは「企画」ではないが、ドライブイン「北海道物産センター夕張店」や地元商店等、イベントパンフに地元店舗の広告が掲載されている事も、地元との密な提携を示していると思う。


【まとめ】
総じて見て、「夕張まんがまつり」は2日間でのべ700名を集めた。
流石にコミックマーケットの3万人動員には及ばない。
だが、夕張は、人口1万人の小さな町だ。しかも、会場周辺の所謂「本庁(本町)地区」(=夕張駅周辺)だけを見れば1000人程度の人口に過ぎない。そこに700人も集った…地元にとっては一大事件である。
当日は、同人誌即売会としては異例、地元のテレビ局の取材も入ったが、まあ夕張に700人も来れば事件、取材が来るのは当然だw
結果的に多くの参加者を動員し、とりあえずは「成功」と評せられると思う。

コスプレイヤーや痛車の参加者集めに早々成功した事、即売会部門も北海道内中心に告知に熱心だった事、そして、一つ一つは小さいながらも数多くの工夫を凝らした施策…これらの集大成が今回の「成功」であったと言えよう。
これに気を良くしてか、来年2011年の第2回開催を決定、発表した。

だが、今回成功したからと言って、次回の「夕張まんがまつり」を素直に喜び、楽観視する事は決してできない。
先ず、今回の参加者は、初めての取り組み、「ご祝儀」で参加している方も、決して少なくはない。
サークル・一般・コスプレ・痛車…どの参加者層においても、それは言えるであろう。
今回参加していただいた皆さんが、次回も参加いただけるのか…?そこが心配ではある。
参加者へのダイレクトメール等を通じた参加者繋ぎ止め・リピーター確保策は必須だろう。

また、夕張市という手軽に行き辛い場所での開催である以上、参加者にとっては「参加しづらい」環境である事も忘れてはならない。
私のような、変に好奇心旺盛の人間しか、夕張の即売会なんぞに興味を持たない。
普通に通り一辺の告知・営業を図るだけでは、参加者集めは難しい。

私は、来年サークルを集めたいのならば、チラシ撒き等を通じた通常の告知活動に加え、1サークル1サークルに営業を掛けて参加を促す…所謂「1本釣り」も必要だと思う。
「1本釣り」のターゲットとしては、前回参加の全サークルがそれに当たろう。加えて、主催自身の知己友人等、仲の良いサークルさんへの「1本釣り」も欠かせない。

以前も申し上げたが、1サークル集めるのに血の滲む努力が必要であり、その積み重ねが、まとまった参加サークル数に繋がるものである。
「夕張まんがまつり」は、手軽に参加するには敷居の高い即売会である。その事を主催者は自覚していただきたい。
そして、今回以上に参加者集めに工夫を凝らし、立地のハンディを乗り越え、サークル集め、参加者集めに努めていただきたい、と考える。