9月19日は、全国各地で多数の有力即売会が乱立した日であった。
その中でも、東京ビッグサイト開催の「博麗神社例大祭SP」が最注目。だが私は、敢えて滋賀県米原市開催「まいばらこみゅにけっと2010&まいこみ東方祭」(以下「まいこみ」と表記)にサークル参加させていただいた。

「まいこみ」は、今年1月頃より熱心に告知活動に勤しんでおり、密かに注目していた即売会であった。
滋賀県米原市という同人誌即売会が久しく開催されていない土地に即売会を立ち上げようとする意欲にも、感銘を受けた。
…まあ、有り体に言えば、地方即売会に肩入れする当ブログの食指が動いた、という事だがw
また、少しここは計算が働いたが、東海地方中心に活躍する有力即売会主催「アイノベルシステム」が「後援」とし名を連ね、あそこが後ろに付いてるなら間違いは起こらないよな!という安心感もあったw
これらの理由から、私は2月時点で早々にサークル参加を申し込んだのであった。

行ってみての感想としては、大変充実した、素晴らしい即売会であった。
当ブログ「STRIKE HOLE」は、アレげな即売会に青龍刀突きつける事を生業とはしていない。
このような良即売会を取り上げる事こそが「STRIKE HOLE」本来のお仕事であり、存在意義だと思っている。
「まいこみ」は、「STRIKE HOLE」本来の在るべき評論スタンスを取らせてくれた即売会と言えよう。

さて、「まいこみ」について語る前に、ざっと見た程度だが、米原の即売会事情から語りたい。
2000年代前半の米原は、ユウメディア主催の「米原コミケ」を筆頭に、個人主催のオールジャンルやオンリーイベントも開催され、滋賀同人の拠点都市であった。
だが、2006年に米原コミケが撤退。その後継に名乗りを上げる者も無く、以後四年間、滋賀は即売会空白の地であった。
滋賀の同人者は、ある人は岐阜・名古屋へ、ある人は京都や大阪や敦賀へ、ある人は東京へ…皆散り散りとなった。
そして、そんな中名乗りを挙げたのが、「まいこみ」であった。

今回は、例大祭SPが後出しでバッティングしやがった事もあり(てか俺も例大祭SP行きたかったんだようわーん…ぶつけてきた例大祭SP関係者は後日青龍刀でお仕置きですw)、サークル参加数も多くは望めない。
往時の米原コミケは100sp弱。そこから四年のブランクもあるし、いくらサークル集めようと東方オンリーも併催した所で、東方厨な皆さんは例大祭に吸い取られるだろう。
まいこみ東方祭との合算で、100sp弱集まれば十分御の字だろう。そう思っていた。
実際、「東方名月祭」にてまいこみ主催氏とお会いした時、「余りサークルは集まってないけど…」といったお話を私はお聞きした。確かに聞いた。

…ところが、である。
8月後半に「まいこみ」サークルリストが発表されたが、サークル数はまいこみ東方祭も合わせ200弱。sp数ベースでは230以上。
…あれ、こっちの予想とも違うし、聞いてた話とも違うぞ?
つうかこの規模、当地の最盛期すらも凌いでません…?
…どうしてこうなったw

真面目に分析すると、こんな理由だろうか?

・滋賀県の潜在的需要をすくい上げた
・北陸本専参加組が何故か多数参加 → 何故か知らぬが、北陸本専参加サークルとの相性が良かったっぽい?
・いかに例大祭SPがあれども、東方厨皆が東京遠征する訳じゃない。「まいこみ東方祭」の存在で、地元で活動する関西・東海地方の東方厨をすくい上げた
・初回のご祝儀?

…この辺りが、考えうる理由となろうか?
これらの要因が複合的に絡んでの、この快挙だと思う。
否、同人皆無の地に、往時以上の勢いを吹き込んだのだから、革命的な偉業とすら言えよう。

理由を多数挙げたが、これらは全て一つの要因に纏める事が出来る。
即ち、「主催が告知に熱心だった」事である。
主催が告知を頑張ったからこその、滋賀の潜在的需要の汲み取りであり、東方厨の参加である。
後援としてバックアップしたアイノベルシステム側も、まいこみ主催氏に告知の大切さを説かれたようで、それも影響しているのだろうか。

当日の状況も、関係者の予想を遥かに上回る盛況ぶり。
サークル入場段階では外に4〜5人佇んでいた程度だったが、開場直前には、目算だが300人近くの待機列。…一地方の即売会にしては、異様に多い。
外警の方にお話を伺うに、米原は20-30分間隔で電車が着くが、電車が着く毎に人が大量に押し寄せるとか。予想以上の来訪者数に嬉しい悲鳴を上げていた。…どうしてこうなったw

11時、いよいよ開場。一般参加者の入場開始、である。
流石に東方厨の皆さんも多く参加されてる事だし、どうせ皆さん東方に流れるよなあと思ってたが…その予想は意外な形で裏切られる。
来場者の大半が、チラシ置き場に…チラシ置き場が最大手という、誰もが予想し得ない展開だw
余程滋賀の皆さんはイベントに飢えてるのか…とも思ったが、事の真相は、来場者の何人かがチラシ置き場に置いてあったお持ち帰り自由のまいこみ記念品「びわ子ティッシュ」に目が行き、それに釣られて後続もチラシ置き場に並んでしまった…というオチのようだ。
スタッフが東方の方はこちらにどうぞ〜などと誘導した甲斐もあり、早々にこの混乱は収まった。
ただ、その後もチラシ置き場には永く人がたまり、チラシを手に取る方も多く、やはり滋賀の皆さんは即売会に飢えてるのかな?という印象は抱いた。

ちなみに、「びわ子」とはmixi「ヲタな滋賀人コミュ」発祥の、琵琶湖擬人化キャラ。
「まいこみ」のマスコットキャラとしても起用され、また当日はびわ子コスのスタッフさんもいらっしゃった模様だ。

開始45分過ぎ、カタログ完売・チケット販売による入場への切替がアナウンスされると共に、満場の拍手。
…つか、完売早くね?
12時頃にスタッフさんに聞いてみた所、刷ったカタログは900部。その後この時点までにチケット入場約200人とのことで、既に1100人が入場とのこと。その後の状況は聞きそびれたが、恐らく1300〜1500人ぐらいまで、来場者数は伸びたのではないか?
いや、何度でも言うが、どうしてこうなったw

会場内の特徴を挙げると、年長者から中高生そして家族連れまで、様々な層の参加者が訪れていた事か。
まいこみは、元々男性向け即売会や北陸本専等、比較的高い年齢層への告知が充実しており、年長者が多いのはその結果であろう。
だが、地方開催の即売会の主力参加者層は、中高生なと若い世代だ。若い世代に浸透する東方オンリーを併催した事もあり、若い世代の参加も多い。
両者が程よくブレンドされ、老若男女誰でも溶け込め易い雰囲気になったのかな?と私は見ている。
(ちなみに、若い世代=同人初心者の参加も多いと見越し、サイトに初心者向けの解説ページを設けた動きも、親切な取り組みで見逃せない)

他に注目したい取り組みとしては、BGM。
同人音楽をBGMとして流し、終わった後に、「ただいまの曲は、このサークルさんの作品です」とアナウンスする。なるほど、一つのやり方かな、と思う。
同人音楽系統において、色々応用が利きそうな、「ヒント」になる取り組みだと思う。
展示ものでは、東方の企画もの=東方シリーズの歴史に関する展示が面白かった。衣装の細かい変遷にチェックが入っており、展示側の「こだわり」を感じた。
ちなみに、今回は配置も工夫しており、多数の来場者が想定される東方を奥に配置していた。手前に置かれてもそこで人が滞留し、奥の東方以外のサークルに人が来なくなるからなあ。
3月の水戸コミケで、商業ビルの最上階に大手を配置し、人が余り来ない評論系とかを下の階に置いたのと同じ論理である。

こうして、今回の「まいこみ」は、予想を大きく上回る大盛況に終わった。
これも、主催氏はじめ関係者の努力の賜物だとは思うが、私はここで、敢えて後援に付いた「アイノベルシステム」の役割と功績にスポットを当てたい。
昨年七月のアイノベルシステム主催即売会に参加し、そのカタログに「後進を育てる」ことをテーマにしている旨が書かれてあり、アイノベルシステムの後進育成の取り組みには、密かに注目していた。
アイノベルシステムは、昨年秋に第一回目が開催された「東方名華祭」の支援に乗り出し、結果、「東方名華祭」は今秋に三回目の開催を迎え、軌道に乗った感がある。
そして、まいこみも「どうしてこうなった」を何度も連発しるほどの盛況。
もっと言うと、「TTC準備会」「まったり庵」の系統が主催し、軒並み結果を出している、名古屋開催の各オンリーも、各イベントごとに程度の差はあれども、時折アイノベルシステムのバックアップが入る事もある。
「後進の育成」は、着目される方は余り多くは無いが、同人世界の将来を見つめるのならば、大切なテーマだ。
このテーマに基づき、着実に実績を挙げるアイノベルシステムの取り組みには、STRIKE HOLEとしても、今後も注目したい所である。

カタログにも掲載され、現在はサイトに掲載されている、まいこみ主催氏の挨拶も素晴らしかった。
協力者や助言をしてくれたベテラン主催への感謝の念。
応援してくれた者への感謝の念。
今日のこの結果は、主催自身のお力の賜物でもあるが、同時に、参加者皆の協力の賜物でもある。
即売会は主催一人で成り立っている訳じゃない。皆の協力あって成り立っている。当たり前の真理だが、その事身をもって実感されたが故の挨拶文である。
この事に気付けた事は、主催氏にとって幸運であり、同時に、今後の同人人生にもプラスになると思う。

次回は未定だが、これだけの実績を挙げた以上、次回も開催しない手はないと思う。
…まあ、アンケートに「次回無かったら青龍刀」とか脅し文句書いてしまいましたが…プレッシャーになってたらごめんなさい…
でも、継続は力なり。何回か続ける事で、滋賀の同人世界も活気を取り戻せるのではなかろうか。
今回を滋賀同人復活の「第一歩」と位置付け、二歩目、三歩目と歩みを続けて頂ける事を望みたい。