「大(9)州東方祭」参加レポートの続きです。
今回は、「大(9)州東方祭」内プチオンリーに見られる工夫、また今後の展望や課題について語ります。


【プチオンリーの工夫】

今回の大(9)州では、イベント内プチオンリーとして、グッズオンリー「香霖堂西海市」、音楽オンリー「東方筑音輝」が開催された。
プチオンリーと言っても単に配置を固めただけではなく、知恵を絞り工夫を図っていたので少し取り上げたい。

グッズオンリー「香霖堂西海市」は、2sp申し込み必須・パーティーション付。
ただ、パーティーション活用のサークルが、案外少ないような気がした。
もしかしたら、グッズはかさばりスペース取るから、都産業貿易センターの如き奥行きのある「展示台」サイズの机の方が喜ばれたかも?とも思った次第である。

「東方筑音輝」は、電源を使える形にして、サークルスペースから演奏したり音楽流せたりできる仕組み。
音楽オンリーは、「音」をアピールする。サークルにとっては自身をアピールできる機会が増すので、その発想は、悪く無い。
ただ、音を出すので、他サークルさんへの影響が気になった。
館内巡回する限り、余り問題は感じなかったかな?と個人的には思ったが、参加サークルさんからは、他の筑音輝参加サークルの音にかき消されてしまった…とのお話もいただいた。
サークル配置を少し離せば、そんなことも起こらずに済んだだろうが、離せば離したで、「プチオンリー」としての一体感に欠けるので一長一短か。

課題は残るも、単に配置を纏めたに過ぎないプチオンリーと異なり、他一般申込サークルとの「差別化」を図ろうとする意欲が見られたように思う。
他の主催の皆様にも、プチオンリー開催時の「ヒント」になれば、と思い取り上げさせていただいた。



【大(9)州東方祭 今後の展望と課題】

ますます規模の膨れ上がる 「大(9)州東方祭」。これがピークか、ピークに向かう途上なのか、それは分からない。
但し、「例大祭」や「紅楼夢」といった東方ジャンルのフラッグシップ的なオンリーが、サークル数ベースでは未だに拡大を続けている。大(9)州も、もう少しサークル数が増えるのではないか、と私は考える。

そこで問題になるのは、スペースの問題である。
「大(9)州東方祭」は今回、西日本総合展示場の新館3ホール全てを丸々借りた。新館を目いっぱい使い、その中に即売会部門・ライブステージ・痛車スペース・ゲーム大会・コスプレスペース…様々なコーナーを押し込んだ。
だが、今後もサークル数が増え、サークル部分に割り当てるスペースが拡大する事を考慮すると、将来的なスペース不足が想定される。これらの企画全てを入れる事は、極めて難しくなるのではないか、という気がする。
いよいよ、企画の「リストラ」を考える時期に達しているのかもしれない。本当にこの企画を入れて良いものかどうか?多方面からの再検討をお勧めしたい。
とは言え、闇雲にリストラをしても、その企画をやりたいと欲するスタッフのモチベーション減衰にも繋がりかねない為、慎重にせねばならないので、その点は注意せねばなるまい。

次回の「大(9)州東方祭」は2日間開催。5月7日はステージライブ中心、5月8日は即売会部門中心、という形で開催を予定しているようだ。
ステージライブと即売会を分けるというのも新しい試みだが、上手く工夫すれば、今後不足しがちなスペースの有効活用に繋がるかも、との期待もある。


その一方、スタッフの業務量はますます大変な事になってくる。
現状でも、拘束時間は極めて長いが、2日間開催となると余計に大変な悪寒が漂う。

2010年07月10日付「4/29
福岡県北九州市小倉「大(9)州東方祭」(後編)〜スタッフの存在あって即売会は成立する〜」http://blog.livedoor.jp/analstrike/archives/51660356.htmlにおいて、私はこのような提言をさせていただいた。

>「大(9)州東方祭」は規模も大きく、手間暇かかる、非常に大変なイベントだ。拘束時間も極めて長い。
>私は、コミックマーケットじゃないが、サークルさんでもスタッフ兼任での参加し易いよう、パートタイムでのスタッフ参加を認める等の柔軟な施策を検討しても良いのではないか、とも考える。

具体的には、1日目のみのスタッフ参加・2日目のみスタッフ参加…という感じで、部分的なスタッフ参加を容認するべきと考える。
そうすれば、サークルさんならば、1日目のライブはスタッフ参加・2日目はサークル参加、という選択が取れる。1日目はライブを楽しんで、2日目はスタッフ参加という選択も出来る。
間口を広げる事で、スタッフとして協力してくれる人を増やそうと試みては如何であろうか。


「大(9)州東方祭」は規模が膨れ上がり、右肩上がりの成長を続ける即売会である。
規模が大きくなればなるほどに、業務量は増し、スタッフの拘束時間が長くなるのも自然な流れ。多少はやむを得ない部分もあろうか。

ただその分、スタッフ一人一人の負担も大きくなるので、スタッフへの気遣いはこれまで以上に重要となってくると思う。
また、人手集めもこれまで以上に重要になってくる。人が足りなければ、スタッフ一人一人に課せられし負担も大きくなるからだ。パートタイムでのスタッフ参加を是とするなど、スタッフ参加の間口を広げる工夫も必要だと思う。


総じて見て、まだまだ課題も多いが、九州でこれだけの盛り上がりを見せるイベントは少ないし、九州同人の活性化の一端を担うイベントであった事は間違いない。
若いスタッフの成長により、彼らが自らイベントを立ち上げるとかなってくれば尚面白い。
単に過ごして楽しいのみならず、今後への期待も大きい即売会であったとも言えよう。