「美柑たると。」は、愛媛県松山市で定期開催されている同人誌即売会である。
どちらかというと、「男性向け」の色合いの強いオールジャンル同人誌即売会であろうか。

主催氏は、数年前には松山市内で「ヒメノツキ」という男性向けの同人誌即売会を開催されていた。
地方・男性向けとなるとサークル集めに苦戦するのが普通だが、「ヒメノツキ」は綿密かつ計画的な告知努力が実り、毎回30〜40サークルを集めていた。
松山は、オールジャンルの同人誌即売会「おでかけライブin松山」(ユウメディア主催)が100sp規模で定期・継続開催されているが、「ヒメノツキ」も、地域最大規模の即売会「おでかけライブin松山」の半分近くを集めており、充分健闘していたと思う。

私も「ヒメノツキ」の頃から気にはなってはいたのだが、スケジュールの都合が合わず参加を断念し続けていた。
…しかし、そうして参加を見合わせている内に、「ヒメノツキ」は終わってしまった。
私も、終わる前に参加しとくべきだった…と残念な思いを抱いたものであった。

…しかし、「ヒメノツキ」の終了は、一種の「発展的解消」であった。
しばらくのインターバルを置き、2009年春、「美柑たると。」が開催され、新たなスタートを切った。

これまでの「ヒメノツキ」は、あくまで【同人誌即売会】を主眼に置いたイベントであった。
これに対し「美柑たると。」は、あくまで同人誌即売会をメインコンテンツに置くものの、付随企画が豊富。
ゲーム大会有り、フリーマーケットでの参加も可、物産展や喫茶コーナー有り、痛車展示有り。
あくまで同人誌即売会をメインとするものの、その枠を超え、やりたい事をやりたい放題詰め込みまくって楽しんじゃえ!そんな意図を感じるイベントである。
(個人的には、この詰め込み感やお祭り志向は「大9州東方祭」に通じるものがあり、またそれが生み出すカオス感は、高知の「つるかめざっか」や東京の「コミッククリエイション」に通じるものがあるように思う)

流石に、「美柑たると。」立ち上げ当初は、「ヒメノツキ」時代からサークル数を落とすものの、その後回を重ねる毎に中四国のサークルをリピーター化。
徐々にサークル数を増やし、規模も次第に大きく。四国屈指の良即売会として、その歩みを進めている。

また、「美柑たると。」の主催団体でもある「ふらいんぐたうん」は、「美柑たると。」以外にも活動範囲を広げている。
「東方四国祭」も、2009年夏に開催された時は他の方の手による主催であったが、主催の座を引き継ぎ、現在に至る。
特に、2010年夏「美柑たると。」「東方四国祭」同時併催の折は、100サークル1200人以上の参加を呼び、四国では稀に見る熱気をもたらした。
また、5/29に徳島で開催される「東方四国祭」も、徳島初の東方オンリーという事もあってか、順調にサークルも集まっている模様だ。

これ以外にも、交流会的要素の強いイベント「い〜よ缶」や、オールジャンル同人誌パフォーマンスイベントと銘打った「ComicChange!」等、様々な取組みを深めている。
「美柑たると。」のみならず、多岐にわたる他の活動にも注目したい所である。


今回4月3日に開催された「美柑たると。」は、サークル数も50サークル以上を集め、「美柑たると。」単体としては、過去最高のサークル数を集めた。
また、東方オンリー「博麗神社例大祭」の中止順延を受け、サークルさんの頒布機会を提供しようとの思いから、急遽「東方四国祭2.1」の開催を決定。
元々「美柑たると。」側で申し込んでいた東方サークルも居り、余り多くのサークルは集まらなかったが、10サークルちょいが集まり、総計約60サークルの規模に。

この即売会は、一般入場10時といささか早めだが、初動の待機列は目算で約150。結構来てるな、という印象だった。
特徴的だったのは、明らかに男性向け色のオールジャンル即売会の筈なのだが…女性陣も多かった事。一般参加者は野郎ばかりと思いきや、女性の参加者も3割と健闘している。
主催氏に、何か男性向けな即売会の割には女の子が多くね?と聞いてみたのだが、開催当初からこんな感じで女の子も相応に多いとの事。
数多くある企画の中に、女性陣に魅力のある企画が含まれていたのだろうか。或いは、地元の「おでかけライブin松山」等女性陣の多く参加するで告知を図った事も影響していようか。
要因は断言し辛いが、他の男性向け即売会に無い稀有な特徴という事で記させていただく。

開場して1時間ぐらい経つと、サークルを回る参加者は少なくなる。
サークル的には少し暇になったので、「美柑たると。」ならではの各種企画を見て回る。

プロの漫画家を招いての「漫画教室」が、会場の隅の方で開催される。
松山市内の専門学校と提携協力しての企画だが、参加者がちょい少なめなのが残念。
ただ、松山地盤の同人サークルのレベルアップに繋がる、良企画だと思う。

即売会の会場は1階だが、2階はコスプレ広場兼各種企画コーナー。
主にゲーム大会が開催され、フリープレイコーナーも設けられているのだが、「東方花映塚」「ぷよぷよ」、そして「うみねこのなく頃に」二次創作の格闘ゲーム「黄金夢想曲」と異様に豊富なラインナップ。
関係者からお話を聞くと、松山市内「GAMEショップショコラ」さんの協力…というよりショップさんの方より上がった「やりたい!」との要望を取り上げて開いている模様だ。
この他、カードゲーム「東方銀符律」の講習会等も開催されている。

屋外に目を向けると、日本赤十字の協力を得て、献血コーナーが設置されている。
東日本大震災への協力の一環、という事だが、数十人にご協力いただけた模様。
また、痛車展示会も開催され、二輪・自転車含め総勢十数台。イベントに彩りを添えた。

屋内には調理系の専門学校と提携しての「喫茶コーナー」や、「物産展」と称した「美柑たると」公式萌えクッキー等お土産の販売。
「GAMEショップショコラ」も出店しキャラグッズを販売。
会場内の企画出店も充実していた印象だ。

15時になると、会場内で「踊ってみた企画」が始まる。…所謂「チルノダンス」企画である。
流石に松山ではダンサー20人ぐらいと少なめだが、無駄に動きが揃っており、ダンサー個々のレベルが高い。大9州以上に熟練度高いかも?「少数精鋭」の印象だった。

…とこんな感じで、「美柑たると。」は即売会以外の企画も盛りだくさんのイベント。
企画の数は異常に多いが、それは何故なのか?
主催氏にも直接聞いてみたが「やりたいものを何でもやってみよう」「でも、背伸びはしないでできることをやってみよう」そういう意欲に満ちての企画との事。
そう言えば、パンフの後書きには、「できることからやってみよう」という言葉が繰り返し強調されていた。

その企画の中には、主催が「やりたい事」も当然ある。
或いは、周りのスタッフや協力者が「やりたい事」を吸い上げての企画もある。
ゲーム大会等は、ゲームショップショコラ側が「やりたい事」という事で始まった企画である。

また、企画に関しては「協力者」が多い点も特徴。
喫茶コーナーや漫画教室は専門学校の協力、ゲーム大会はショコラの協力(というか主導?)。献血コーナーは日本赤十字の協力。
上手に多くの人々を「協力者」として巻き込んだとも言えるし、周囲の関係者の活気を絶妙な形で活かしたイベントだとも言える。

一人では即売会は開けない。
皆で力を合わせ、皆の力で出来上がるものである。

「美柑たると。」の周囲のスタッフ・関係者・協力者…皆の力を上手く糾合しての盛り上がり方を見て、改めてその真理を実感した次第である。

今後も、皆の力を合わせ、「美柑たると。」そして四国同人界を盛り上げて頂ける事を願いたい。