同人界…というか東方界隈において、極めて残念なお知らせが舞い込んだ。
静岡県富士市で本年9月開催予定の東方オンリー「Organizing Necessity Illusion」(以下、略称の「ONI」と表記)http://o-n-i.jp/が開催中止を決めた。
「エクストリーム同人誌即売界」と銘打ち、クラブイベントの要素も盛り込んだ、独特かつチャレンジ精神溢れる即売会であり、私自身も、サークル参加も含め、強く興味を抱いていた即売会であった。

この「ONI」の開催中止の報を聞き、私も大変に残念な思いを抱いた。
だが、「開催中止のお知らせ」と称する案内文を拝読し、その残念な思いは、不可解な思いへと変わっていった。


「開催中止」を決めた理由として、ONI主催氏は、「地震の影響」「電力不足の影響」「出演者辞退」「サークル活動への支障」の4点を上げている。
「出演者辞退」がその要因というのは、分からないでもない。このイベントはクラブイベントの要素を強くしたコンセプトであり、出演アーティストの存在も大きいはずだ。
しかしながら、これを除く各点について、その説明に、私は首を傾げざるを得ない。

「地震の影響」…確かに3月下旬に富士宮市でも震度6の地震が起こるなど、【現時点】に限って言えば安全面に不安が残るのも致し方ない。
会場の「ふじさんめっせ」で開催される他イベント「富士コミックチャレンジ」が、4/24を開催中止にしたのは、一つの判断だと思う。
だが、今から5ヵ月後なんて先の話、誰も読めない。
4月を中止した「富士コミックチャレンジ」だって、9月は開催する方向で進めている。
また、5ヶ月の間に安全性を高める方法を模索する、という手もある。
それにも関わらず、現時点で「安全開催が不安定」と断じ開催中止を決めるのは、拙速に過ぎるのではなかろうか。

「電力不足の影響」…確かに、夏になれば電力消費量が上がり、電力不足→計画停電となる可能性。【現時点】に限って言えば、これを否定はできない。
仮に計画停電が回避されたとしても、世間的には「節電」の機運が広まっている。
そして、このイベントは、開催時間も11時〜20時までとロングラン、空調も使うし、クラブイベント的な部分で音響も使う。電力消費量が多いイベントである事は間違いない。

そして、ONI主催氏は、ONI公式サイト上にて、このような考えを述べる。

>長時間開催であり大量の電力を消費する当イベントは、開催内容を下げて開催する事は出来ず、
>このまま開催するのは期待を裏切る結果へとなってしまう為、開催中止を決断致しました。

節電等で開催内容を落として参加者の期待を裏切るぐらいなら中止するべき、との考え方である。主催氏自身の「こだわり」が見え隠れする。

だが、ちょっと待ってほしい。ONI主催氏の個人サイト(ブログ)http://hardcorevillain.blog136.fc2.com/blog-entry-25.htmlにも、ONI中止のお知らせが掲載されているが、この中には、以下のように書いてある。

>サークル参加112サークル、痛車8オーナー、
>期待されて申し込まれましたのに開催に至る事が出来ずに大変申し訳ございません。

既に現時点で、112サークルも申込を受けているとの談。
サークル申込数は極めて快調であり、このイベントへの期待の程を伺わせる。恐らくこのまま募集を続けるとしたら、200サークル以上は集められそうなペースである。

それだけではない。
イベントカタログは、マナー啓発の漫画等重厚な内容を構想されている。10サークルにも及ぶ方々の寄稿をいただき、ONI公式サイトによると、半分近くは制作済みとの事。
生ライブも、2サークルが辞退したものの、5サークルが出演を予定していた。
告知ポスターも、4サークルが協力している。
多くの方々の協力を得、また多くのサークルの期待を集め、ONIは、開催に向け動いていた。

ここまで多くの方々の期待や協力を受けているオンリーイベント。それが「ONI」である。
開催内容を下げて期待を裏切る結果を避けたいから中止を決めたとの事だが、私には、中止する方がよっぽど期待を裏切っているかのように思える。
このイベントには、多くのご協力、多くの参加予定者の期待が存在しているからだ。
その「重さ」に、主催氏は思いを充分巡らす事ができず、軽んじているかのように思える。

私が氏の立場ならば、まだ数ヶ月時間がある。もう少し様子を見るところである。
その間に、好転に向かう新たな動きが起きるかもしれない。
現に、夏の計画停電を止めるべく、官民挙げて様々なアイディアが提案されつつある。皆の努力で、計画停電を回避しようと試みている。そういう動きを見極めてから中止を決めても遅くは無い。
また、計画停電の起きない時期への開催日移行、計画停電の時間を外した開催時間設定など、できる手を全て打つ。
皆の期待を抱えている以上、その期待に応えるべく、必死に足掻くだろう。
主催氏は、そういう努力をせず、極めてあっさりと開催を放棄しているような印象を受ける。
だからこそ私は、この場で異議を唱えるのである。


主催氏は、「サークル活動への支障」という点も中止の理由としている。
「開催は無事に出来ますか?」というサークルの心配を取り上げつつ、強行開催するとサークルの選択肢が増え、かえってサークルの創作意欲にマイナスではないか?という趣旨を、主催氏は述べられている。
…果たしてそうだろうか。

選択肢が増えようと、どのイベントに参加するかは、サークルの自由意志である。
元気なサークルならば、9/11ONI→9/12例大祭SPとハシゴしても良いし、イベント数を絞りたいサークルならば、ONIのみ参加・例大祭SPのみ参加等、自分の判断で参加イベントを絞ればよい。
サークルは、自己の責任に基づき、自己の判断で参加イベントを決めるものであり、選択肢が増えるから云々、と主催に心配される筋合いは無い。

つーか、選択肢が増えるのを問題視するなら、最初からイベント開かなきゃ良いんじゃね?
東方イベントの乱立状態なんぞ、今に始まった事ではない。一昨年ぐらいから続いている事ぐらい、主催氏もご理解の内だろう。


電力不足の問題は確かに気がかりだ。イベントを行うに当たり、大いに不安なのは理解する。
だが、イベントを開くという事は、多くの人々を巻き込んでいる事でもある。
彼らの協力や期待を裏切らない為にも、そして無にしないためにも、イベントが開催できるよう、可能な限り努力するべきではなかろうか。

例えば、被災地・仙台で開催される「杜の奇跡」http://mori-kiseki.com/は、普段の会場が震災で利用不可の憂き目を見るも、別の会場を押さえ、かつ日程の変更も決断し、開催を断行する意向だ。
度重なる余震にもめげず、イベントを楽しみにする参加者の気持ちに応えての決断である。
「杜の奇跡」の努力を見るに、「ONI」の中止決断は「本当に開催に向け最大限の努力をしたのか?」との疑問を呈し、不満を感じる。


ONIについて、もう一つ不満を申すならば、中止決定後の対応だ。

>今後の当イベントサイトは、初夏辺りにイベントサイトを予告無く削除致します。

ちょっと待て。既にONIは、東方オンリー等で多くのチラシを撒いている。チラシの存在で、ONIの存在を知った方も少なくないだろう。
もしかしたら、中止の報を知らず、当日会場に訪れる方もいらっしゃるのではないか?
初夏にイベントサイトを消すのではなく、イベント開催日だった9月まではサイトを残し、中止のお知らせを掲示するべきである。そうすれば、より多くの方に中止が伝わるはずだ。
勿論、当日会場に主催氏が待機。万が一中止を知らずに訪れた参加者には、きっちり頭を下げて中止の旨をアナウンスすべきである。

私は不満だが、中止か決行かを決める決定権は、主催氏にある。
主催氏が中止を決めた以上、我々もそれに従うしかない。
だが、中止をアナウンスして、それで終わりにしてはならない。
「中止を知らずに来てしまった参加者」に思いを馳せ、開催予定だったその日まで、中止を伝え続ける。それが、イベントを立ち上げた者としての「マナー」であり、そして「責任」である。