一口に「同人世界」と言っても、同人世界は決して一つの世界ではなく、様々な世界・様々なコミュニティの集合体であるかのように思う。
男性向け界隈と女性向け界隈では、相当に気質なり考え方なりが異なる。ジャンルが違えば、場合によってはカップリングが異なるだけでも、別世界に感じる時もある。
地方の同人誌即売会を回る立場からすると、地域性の違いを感じるし、年齢層が違っても同様だ。別世界に思えるときもある。
サークルの世界、買い手の世界、コスプレイヤーの世界、スタッフ・主催の世界…参加形態による世界の違いを感じる事もある。

「世界の違い」と申し上げたが、これは「コミュニティの違い」と言い換えても良さそうな気がする。
「同人世界」は、地域や年齢層、ジャンル、参加形態等によって細分化されたコミュニティの「集合体」なのかもしれない。


同人世界の発展を願う立場を貫く当ブログ「STRIKE HOLE」は、地方の同人誌即売会を応援し続け、スポットライトを当てている。
地方の同人誌即売会は、参加層の主力が【学生】である。
同人者の大半は、学生時代から同人に興味を抱き、立派なヲタに育っていく訳だが、それは、学生が参加する地方の同人誌即売会が、同人世界への「入り口」「登竜門」である事を意味する。
若い人々、特に学生の即売会参加数が増えるほど、同人人口も増える。同人の裾野が広がり、長期的に見ての、同人世界全体の活性化に繋がる。

つまり、当ブログの考え方は、同人世界の隆盛を願うからこそ、地方の即売会に注目し、応援するという考え方である。
先の「コミュニティ」の話で申し上げると、「地方」「低年齢」に細分化されたコミュニティの盛り上がりを気にしている、とも言えようか。

福岡市を例に取ると、ヤフードーム開催の「コミックシティ」が安定しており、オンリーイベントも好調。男性向けでは「都久志祭」のような新しい動きもある。一見好況に映る。
しかしながらその一方で、若い学生が気軽に参加できる同人誌即売会の存在は皆無である。
その役目は、昔は「COMIC KIDS」というコミックネットワーク系列の即売会が担っていたが、2007〜08年におけるコミックネットワークの大凋落に伴い、「COMIC KIDS」もフェイドアウト。
以後、学生が気軽に参加できる同人誌即売会に乏しい状況だ。大牟田や小倉にはこのような即売会が存在するも、福岡には存在しない。
福岡は一見活況に見えるが、若者が気軽に集える場が無い事を鑑みると、将来に不安を残す。

逆にこれが、北海道・札幌を見ると、今後に期待が高まる。
札幌の同人誌即売会は、九州ほど規模の大きい即売会も無く、同人者の人口も少ない。最大規模の同人誌即売会も、500spに満たない。

だが、札幌の良い所は、次々と新しい主催団体がイベントを興し、活気に溢れている事。有能な主催も多く育っている。規模は小さいものの、パワーに溢れ小回りの利く即売会が多い。
その点では、主催のなり手が中々いない九州よりも、恵まれているのかもしれない。

特に、札幌が今後に期待できる点として、「学生が気軽に参加できる同人誌即売会」が増えていることである。
これらの即売会が成功し、学生が気軽に同人に参加できる環境が整えば、札幌同人の将来の盛り上がりに繋がる。

元々札幌には、中高生向けの即売会として、イベント主催団体【夢幻通信社】による「ごちゃまぜコミケ」という同人誌即売会が開催されていた。
賃料格安の会場を用い、サークル参加費用も1000円未満に抑え、お金の無い学生でも気軽に参加できる環境を整えていた同人誌即売会であった。
この即売会がフェイドアウトして以降、「中高生が気軽に参加できる低価格のオールジャンルイベント不足」が、一部同人者の間で問題視されるようになった。

これを受けて立ち上がった同人誌即売会が、【ガール社】が立ち上げた同人即売会「CO.mix」http://girlsha.com/comix/である。
「ごちゃまぜコミケ」同様、サークル参加費を抑える等、低年齢層向けのコンセプトを強調した即売会だ。
オールジャンルと「ミニオンリー」(←「プチオンリー」に相当?)の同時開催、という形態を取り、既に第1回目を、2011年1月に開催。40サークル近くを集め成功の内に終えた。

ミニオンリーは毎回別ジャンルにするようだが、どのジャンルで開くかは、参加者の意見を聞いて決めるとのこと。
「北海道でそのジャンルを盛り上げる手助けをしたい」という思いの下、「(ミニオンリー参加は)同人誌の1冊頒布という縛りを入れることで、普段はグッズを作っているサークルさんが同人誌を作るちょっとしたきっかけにしてほしい」「ジャンルの熱気や特色がオールジャンルにも伝われば、相乗効果で毎回少しずつ違った面白いイベントになるのでは」(以下、CO.mix公式サイトより引用)などの狙いを持っての運営のようだ。

パンフレットの表紙を敢えて余白とし、スケブ代わりに使って貰おうとする等、色々と工夫を凝らした姿勢が垣間見え、今後に期待を寄せたい即売会の一つである。機会があれば、私も顔を出して見てみたいものである。

そして「CO.mix」同様、低年齢層向けの即売会として立ち上がったのが「TRIGGER」http://ya46.sakura.ne.jp/trigger/である。
札幌で【同人誌中心オンリー】「Elysian(エリシアン)」http://elysian.dojin.com/を開催する「project暁」、ポストカードオンリーという意欲的な即売会「葉書が君の力になる」http://kiminokoeni.web.fc2.com/を開催した「ボクこえ実行委員会」の2団体が協賛し、バックに付いている。
夏休み期間中、学生も参加しやすい7月31日の開催とし、現在参加サークルを絶賛募集中である。

即売会とは直接関係無いが、「TRIGGER」が情報発信を行っているブログ「TRIGGER準備雑記」http://trigger.sblo.jp/は、個人的には、【全同人者必見】と断言したい。
通常の即売会準備レポートに加え、即売会に対する主催氏自らの考え方なども綴られ、大変勉強になる記事が多い。皆様にも、是非お勧め申し上げたい。
語る内容が濃密かつ知見に富み、読み物としても非常に面白い。
「Elysian」とか良即売会の成功実績を数多く上げた人達だけに、言う事のレベルが高いわ。
また、かつて北日本の同人誌即売会情報を掲載していたフリーペーパー「DOJIN WALKER」(現在廃刊)内に連載されていたコラム「札幌同人ジャンクション」も、同ブログ内に再録されており、これも勉強になる読み物だ。


…ただ、読み物としては非常に優れた記事なのですが…これ、年齢層高めの人が対象じゃね?
「TRIGGER」が低年齢層向けのイベントなので、このイベントでこの読み物は、少しミスマッチな気がする。

実際、今回「TRIGGER」に携わる皆様は、こうもおっしゃっている。(参照リンク・http://ya46.sakura.ne.jp/trigger/0101_about.html)

>所謂「中高生が気軽に参加できる低価格のオールジャンルイベント」の 開催経験を有していません。

確かに、彼らは低年齢向けイベントのノウハウは無い。「Elysian」とかだって、若干上の年齢層向けだ。こと「低年齢層」となると、手探りでの運営なのだろう。
だが、「Elysian」だって、当初はひどく低迷していた即売会、明らかな失敗即売会だった。それでも、丁寧な運営を継続する事で軌道に乗せ、今では優良即売会として名を馳せている。
そういうV字回復の実績ある人達だからこそ、仮に何か失敗したとしても、課題を修正し乗り越えられるのでは?との期待もある。

先に引用した彼らの文章には、続きがある。それも引用する。

>しかし、経験を活かしつつゼロから作り上げていく過程を経ることで、十分所期の目的を達成できると考えています。

「TRIGGER」も、「Elysian」同様の丁寧な運営で、軌道に乗せ成功を収める事を期待したいものである。

札幌は、「CO.mix」そして「TRIGGER」と、低年齢層を対象にした即売会が相次いで興った。
同人者にとって「入門」的な位置づけの、これらのイベントが成功すれば、それは同人を知る北海道民が増える事にも繋がる。
少し先将来だが、札幌同人界隈の活性化にも繋がるだろう。
札幌同人の今後の発展の為にも、両イベントの成功と隆盛を願い、そして期待したい。