九州は、東方同人が盛んな土地柄である。
「大9州東方祭」は600spで、東方オンリーとしては例大祭・紅楼夢に次ぐ第三位の規模だ。遠征組も決して少なくは無いが、それでも半数は九州島内のサークルだ。
大9州以外でも、NPO法人Project Arbalestの主催した「東方久遠境」も多数の参加者を集め、佐世保・長崎・久留米で開催している。
熊本の「幻想肥後之祭典」も、昨年開催時は100spの大台を突破。今年は現時点で昨年実績を超過し、今月末の締切までにどれだけのサークルが集うかが楽しみなぐらいだ。

…と九州で賑わいを見せ成功した東方オンリーを列挙したが、これまでの開催は、長崎県・熊本県・福岡県と、やや北側に偏っているきらいがある。

ならば、南九州はどうなのか。
一昨年ぐらいから感じていた事だが、私は、鹿児島で東方オンリーやっても良いのでは?と思い始めていた。
鹿児島は、「DREAM MARKET」「Drink Bar」といったオールジャンルの同人誌即売会が、昔から定期的に開催され、開催規模も三桁超え。同人の盛んな地域である。
また、大9州東方祭でも、鹿児島からのサークル参加数は二桁の数字。一定数は居る。
そういう部分を考慮すると、鹿児島で東方オンリーやったとしても、一定のサークルを集められる。充分戦える。そう私は見ていた。

そして遂に、昨年夏の時点で、鹿児島初の東方オンリー「鹿児島神楽祭」の開催が発表された。
私がほぼ皆勤で参加する関西の同人誌即売会「こみっく☆トレジャー」と同日だったため、結構悩んだ。
ただ、鹿児島初の東方オンリーというまたとない機会だ。次があるかは分からない…トレジャーはいつでも行ける…!
断腸の思いで、私は「トレジャー」を断念し、鹿児島神楽祭を選んだ。

鹿児島神楽祭の参加サークル数は、約60。多過ぎとは言えないが、少なくもなく、それなりにサークルも集まったように思う。
九州からの遠征者も多い「こみっく☆トレジャー」とバッティング、九州サークルがトレジャーに吸い取られた事を考えると、充分健闘したと思う。
全国どこの東方オンリーでもお見かけする遠征クラスタのサークルさんもいる。地元鹿児島のサークルさんもいる。ただ、意外に多く目に付いたのは、福岡から遠征参加するサークルさんだったり。
(実際の比率はどれぐらいなのだろう?主催さん教えて下さいw)

会場は、西南戦争の舞台でもある【城山】が眼前に迫る「宝山ホール」。
アクセス的には、市電【朝日通電停】から徒歩5分。繁華街「天文館」にも徒歩圏内で、便利なロケーションである。

チラシ配布やサークル設営等準備を整え、11時に開場。
一般参加の初動待機列は100人ぐらいであろうか。
東方オンリーにしては少なく、サークル的にはどれだけ自分の所に足を運んでいただけるか、不安に思ったものであるw

ただ、一般参加も初動に集中していた訳ではなく、時間が経ってから来訪される方も多かった模様。
サークル通路は幅が狭かった事もあるが(「ろ」「は」間の通路幅が本気で狭かったかも)、通路の血栓はしょっちゅう。
往来に不便を感じるレベルの混雑が、閉会1時間前の14時頃まで続いた。

本部の運営スタッフに聞いてみた所、300刷ったカタログは12時前には完売。
その後も来訪者が絶えなかった事から、私の見立てでは、最終的に、500〜600人は参加したと推察する。
最近は余り見かけはしないが、地域で初めて東方オンリーが開催されると、地元買い手の期待感も高いのか、サークル数の10倍程度が訪れる「殺伐即売会」となる傾向がある。
(この傾向は、大9州前身の博多東方祭や東方椰鱗祭、御射宮司祭、東方四国祭等枚挙に暇がない)
鹿児島初の東方オンリーである「鹿児島神楽祭」も、その傾向に沿った人出であった模様だ。

一般参加者の参加層は、当たり前だが、地元鹿児島の方が多い。
但し、一部九州他県から遠征された「強者」もいらっしゃる。
(九州県外はトレジャーバッティングの影響か、殆どお見かけしなかった)
年齢的には、高校生から大学生ぐらいの若い男性が多い印象。
女性参加者は少なく、全体の1割ちょっとだろうか。他の東方オンリーに比べても、女性参加者が少なく、いささか意外。
また、会場内外では、参加者が持ち込んだと思しき、でかもふ霊夢・でかもふ魔理沙が徘徊し、東方オンリーとしての楽しさに彩りを添えた。

コスプレイヤーは余りお見かけしないか?とも思ったが、混雑対策も兼ねてるのだろうが、(サークルさん以外の)コス開始は12時からとして、少し時間をずらしている。
時間が過ぎれば過ぎるほどに、レイヤーさんも増えていった印象がある。
即売会の閉会は15時だが、15時以降17時までをコスプレ撮影タイムとし、サークル机撤収後広くなった空間を、レイヤー用に提供している。
会場の宝山ホールは、決して広い会場ではない。時差を設け、狭い会場でもサークル頒布とコスプレとを両立させようと、工夫の跡が見られる。

ただ、申し訳ないのだが、スタッフの皆様は一生懸命頑張ってはいたものの、経験の浅さも見え隠れする。(鹿児島は即売会数も少ないから仕方ないかもだが)
例えば、サークル案内。宅配搬入こそ案内したものの、宅配搬出については言及がされていなかった。
サークルから突っ込みを食らったのだろうか?当日会場内で宅配搬出やりますよ、とアナウンスに追われていた。
搬入と搬出は、サークルに案内すべき最重要事項の一つであり、これに抜けがあった事は、少し詰めが甘かったと言わざるを得ない。
これも経験不足ゆえ、致し方ないところか。
次があるなら、今回の経験が活かされ、そこら辺も改善されるだろう。

逆に彼らの成長という観点からすると、神楽祭の「次回」があっても良いと思う。
今回実績から、参加者は計算できるし、今回の経験が生き、より良きオンリーになることも期待できるであろうから。


【蛇足】

最近目に付くのは、東方オンリーとしては成功しても、その東方オンリー主催と、開催地域の地元イベント主催との仲が宜しくない…という事態。決して少なくはないと思う。
既存イベンターの新規参入者への警戒心、成功する東方オンリーへの嫉妬心等、様々な理由が想定されるだろう。
ただ少なくとも、既存イベンターにすれば、「余所者がやってきた」的な心理状態にはなりがちだ。
私見だが、既存イベンターと東方主催とは、【低迷する地方の同人世界を「共に盛り上げる同志」】であるべきと考える。
本来は、互いに協力し合い、地元を盛り上げる【パートナー】たるべきなのだが、残念ながら、互いにいがみ合う地域も存在する、それが現実だ。
地元のイベント主催を敵に回しても、東方オンリー側も得はしない。何とかして関係構築を図るべきところだ。

今回、「鹿児島神楽祭」では、地元の有力イベント「Drink bar」がカタログに広告を出稿。
チラシ置き場には、「イベント名未定(仮)」さん(かごしま県民交流センター1月29日開催)のチラシも置いてある。
交換広告やチラシ配布は、関係構築の第一歩であるが、そこに至らない地域も少なくない。
関係構築の第一歩を築けている事は、神楽祭の良き点の一つとして取り上げても良いだろう。
もし今後も開催される予定をお持ちならば、地元イベントと上手く協力関係を築ければ、安定開催への足場固めになると思う。