2010年11月25日付記事「同人誌即売会の日程バッティングに関する一論考」の「続編」に当たろうか。
本日は、同人誌即売会の日程バッティングについて、少し物申したい。

日程バッティングは、参加者の食い合い等デメリットも多く、興行的にもマイナス。即売会成功の阻害要因となりかねない。
全国各地で毎週多数の即売会が開催されし現状、100%のバッティング回避は不可能だろう。
それでも、せめて近隣地域・同一ジャンル等、棲み分けが成されず牌を奪い合う可能性が高いイベント同士だけでも、日程バッティングは避けて欲しい、と願うものである。

過去の記事では、こうも述べた。

>後出しする側に選択権があるにも関わらず、バッティングを選択したのだから、バッティングの責は後出し側になる。

STRIKE HOLEの考え方としては、基本的に、後出しで発表した側に、バッティングの責はあるものとしている。
故に、後出しした側に対し、批判的な論調となる傾向となる。

勿論、個々の案件ごとのケースバイケースで判断するため、この傾向に反する論調となることもある。
最近のバッティングについては、どちら側に責があるのか、単純に発表時期の早い遅いだけでは、判断に難しいケースが少なくない。

一例を挙げる。
やや小さめのイベントAと、やや大きめ(Aの5〜8倍規模)のイベントBとが、同日同一地域にてバッティングした。
ところが、イベントA・B双方の関係者のお話を伺うと、Aに言わせれば「Bが後からぶつけてきた」、Bに言わせれば「Aが後からぶつけてきた」とのことだ。
どちらが正しいのか?

私は話を聞いて、どちらも正しいし、どちらも正しくない。そういう結論に至った。
そもそも私がこの日のイベントの話を聞いたのは、イベントAが先である。開催日の、おおよそ一年前の事である。
但し、その発表は、イベントAのサイトに一行だけ、申し訳程度に記されていたのみである。
先のことだし詳細も発表されてないし、正直あまり気にもとめていなかった。
ケットコム等に捕捉もされていなかったし、積極的な告知も行われず。
そしていつしか、そのイベントの存在も記憶から忘失していた…

一方のイベントBは、開催半年前の発表だ。告知も積極的で、その存在は多くの人の知る所となった。ケットコム等にも登録された。
イベントAの募集要項の発表や募集開始、ケットコム等への登録は、その更に後である。

イベントAの立場からすると、自分達が開催を発表していたにも関わらず、後からイベントBがバッティングしてきた訳で、まあ面白くはないだろう。
一方、イベントBの立場からすると、ケットコム等で開催情報をリサーチし(但し一行告知のイベントAの存在は捕捉しきれず)、他のイベントの無い日に自身のイベントを入れたにも関わらず、である。
後になりイベントAの存在が告知されるようになった日には、イベントAが日程ぶつけてきたように映る。当然面白くはない。
(私も、イベントAの話が後になって出てきた時は、過去に開催発表した事も忘れており、「イベントAがイベントBにぶつけてきた…何考えてるんだ!」と思ってしまったw)

結果として、AB両イベント共に、バッティングされた!となるわけである。

こうなると、どちらにより責があるのか、発表順の前後で判断する事は難しい。
ただ、イベントAはもっと早い内から告知をしっかりすべきだったと思う。
詳細発表は先としても、少なくとも、【ケットコム等即売会情報サイトへの登録】はしておくべきだった。
それをやっておけば、イベントBが開催日を検討するに当たり、ケットコム等でリサーチする筈だから、バッティングを未然に防ぐ事はできただろう。

また、これはイベントBにも言える事だが、両イベント間はパイプが無い訳ではない。互いに顔見知り以上の交友関係があった。
知らぬ間柄では無いのだから、お互いイベント開催を発表する前に、【簡単で良いから事前の連絡を】しておきたかった。
それが出来ていれば、バッティングは未然に防げたのではないか。
バッティングを防げなかった結果が、より規模の大きいイベントBへの参加者流出、イベントAの動員の弱さに繋がった。残念な話である。

別の事例を挙げるならば、同一地域のイベントCとイベントDは、不幸にもバッティングした。
両主催に話を聞いてみると、イベントCもイベントDも、同じ事を語っていた。

「気がついたら日程被っていた」と。

どうしてこうなったのか、詳細を把握しきれていないので断言はしかねるが、恐らく、イベントA/Bのバッティングに似たことが起きていたものと推察される。
幸いにも、両イベントは棲み分けが上手くできており、両イベントの来場者に影響は及ばず。どちらも成功に終える事ができた。
ただ、どちらも参加者に好評を博す良即売会だ。現在の好調を維持いただくためにも、今後は可能な限りバッティングを回避いただくことが望ましい。
今後は、両イベント共、事前の連絡を密にする、早めの告知や情報サイトへの登録などを心掛ければ、同じような事は起こらずに済むだろう。

以上が、バッティングを防止するという観点からの論考となる。
この論考が、無用のバッティング、そしてそれに伴う参加者の食い合いを防ぐ一助となれば幸いである。

とは言え、可能な限りバッティングは避けて欲しいとは思えど、100%バッティングを防ぐ事は難しい。
そこで今度は、バッティングが起きた場合の対応策について考えたい。

私が7月に、大9州東方祭に参加した時の事である。
実はその時、北海道からお越し(!)の「東方神居祭」の主催氏にお会いした。

「神居祭」は、道内最大規模を誇る東方オンリー。
現在では200sp規模で推移し、道内で最も勢いのある即売会の一つである。
余談だが、私が1月29日の神居祭にサークル参加を決めたのは、神居祭の勢いの良さに加え、この大9州でのご縁が大きな要因となっている。

大9州にて、神居祭主催氏とお話した時、確か道内の即売会事情について意見交換した流れだったと思うが…神居祭の主催氏から、札幌の同人誌即売会「Elysian」とバッティングしてしまった事を聞かされた。
「Elysian」も、神居祭同様に多くのサークルを集める人気即売会である。
「北陸本専」などと同様に、「同人誌の頒布」をメインとしており、常に何らかの進歩を心がける姿勢と、丁寧な運営が光っている即売会だ。3年前に私も、サークル参加している。
東方オンリーの神居祭と、オールジャンルのElysian、最終的に棲み分けができるかもしれないが、どちらも道内屈指の元気な即売会。できればバッティングは避けたい所だが、もう既に双方発表した後で、今更日程の変更・調整は難しい。

ただ、神居祭の会場は、札幌駅北口から徒歩5分のテイセンホール。
一方、Elysianの会場は、札幌駅南口駅前の、アスティホール。
両イベント間の移動には、歩いて10分もあれば事足りる。互いのイベントのハシゴも、決して難しくは無い。

そこで私は、神居祭主催氏に対し、僭越ながらもこうご提案した。

今更バッティングは、どうにかできるものではない。
しかしながら、両イベント会場は10分以内の距離で、参加者のハシゴも見込める。
交換広告・交換チラシなど、互いのイベント間の参加者の移動を促し、相乗効果を持たせるような施策を取ってはどうだろうか?
神居祭の200spとElysianの160spを合わせると360spの一大規模。札幌駅の北と南を一つの会場と捉え、360spの大規模イベントを開くつもりで、前向きに善後策を考えた方が良い!


…うーむ、今改めて書き起こすと、私も相当思い切り良すぎる事を言ってしまったような気がする(汗)
ただ、起こってしまったバッティングを嘆くよりも、前向きに今後を考えた方が実りある。その事だけは自信を持って申し上げる事ができる。

私の提案が参考になったかどうかは分からないが…
ただ、1月29日の両イベントのカタログを拝見すると、神居祭カタログには「Elysian今日開催だよ!」と広告が掲載され、Elysianカタログには「神居祭今日開催だよ!」と広告が掲載。交換広告を通じ、相互のハシゴを促している。
両イベント共、不幸にもバッティングはしたものの、前向きに動くその姿勢は、他のイベント主催の皆様にも参考になるだろう。

「Elysian」に関して申せば、過去には女性陣をターゲットとしたオールジャンル「co.mix」(これも札幌開催)とバッティングするも、両イベントで連動企画を実施するなど、前向きな対応に努めている。
バッティングになると、ぶつけられた!とばかりに相手方を根に持つ大人気ない主催も少なくないが、Elysianにせよ神居祭にせよ、バッティング後の対応が前向きである。
バッティング後の対応策の一例として、参考になる取り組みとして評価したいものである。