元々北海道の東方オンリー「東方神居祭」へのサークル参加を決めていたSTRIKE HOLEであったが、同日に「Elysian」がバッティングしているとの話を思い出した。
バッティング自体は残念ではあるものの、折角開催しているのなら2年ぶりに顔を出してみようと思い立ち、「東方神居祭」への遅刻を覚悟で「Elysian」にも顔を出す事とした。

※2年前に参加した時のレポートは、以下ご参照いただきたい。

2009年03月15日付「3/1 札幌市「Elysian」 アフターイベント「座談会」議事録

2009年03月19日付「3/1札幌開催「Elysian」の躍進の秘密に迫る

2009年03月25日付「3/1 北海道札幌市 本オンリー「Elysian」参加レポ
以前参加した時は、プチオンリーという形式ながらも、北海道初の東方オンリーが開催された効果もあり、初動100〜200人。カタログも速攻完売の大盛況即売会であった。
しかし、常連参加サークルさんに言わせると、「あれはあの時だけの特別な状況」だったとのこと。
今回の「Elysian」はそこまでの大入りではなく、かといって2008年以前の「初動3人」の伝説ももはや過去のもの。今回は初動50人弱で、100〜200sp規模の即売会では、普通の人出であったように思える。

サークル参加数は、ここ最近は160〜200sp前後で推移し、会場も少し広めの「札幌コンベンションセンター」に移しての開催を続けるも、前回昨年秋の開催時には130spと謎の失速。
(失速の原因は、色々考察しているが推察が難しい。運営にもこれといった問題点がないし、何が原因か判断が難しい)
今回2012年冬は、冬だから雪道を歩かなくても済む様、札幌駅から地下道経由でアクセス可能な「アスティホール」に会場を再移動(札幌コンベンションセンターは駅から表通りを10分近く歩く)。サークル数も160sp規模に持ち直した。
上下はあるにせよ、160ps前後で安定しての開催を継続している良即売会と言えよう。


かつて私がブログで取り上げ賞賛したElysianの理念は、今もなお健在である。

>字義通りの「同人誌即売会」を地方都市において開催する
>継続開催を志向し、「常に進化する」即売会を目指す
>参加者(サークル・一般・スタッフ)全員が「創り上げ」、「楽しめる」即売会を目
指す

例えば、アフターイベントの合同打ち上げは、今回会場内にて、アフターイベントとして開催された。会場の撤収・片付けにも時間が取られる中、スタッフの皆様は随時顔を出し、参加者の声に耳を傾けていた。
アンケートを通じて、参加者の意見を広く取り入れようとする姿勢も、健在であった。

Elysianが打ち立てている数々の豊富な企画群について、私は2年前、Elysianの理念2行目の【「常に進化する」即売会を目指す】、3行目の【参加者全員が「創り上げ」、「楽しめる」即売会を目指す】が動機となっていることを指摘した。
この企画についても、手を変え品を変え、新鮮味を持たせるよう工夫している。

Elysian2012



上記は、2009年以降の開催企画を一覧表としたものである。
正直、2009年のElysian11の段階で、企画群は相当多数に膨れ上がっている。これ以上企画を増やすことは、運営側としても負担が多く厳しい。企画数は頭打ちになるだろうと思っていた。
これまでのように、企画を増やす事で新鮮味を打ち出すことは、もはや難しいだろう。
かといって、同じものを何度も続けた所で、マンネリとなり、参加者も飽きてしまう

ただそんな中、工夫を凝らし、新鮮味を持たせる工夫の形跡が、「Elysian」には見られた。
Elysian12で新設された「川柳コンテスト」は、これは絵描きでない、文字のみのサークルさんにも気軽に参加して貰えるようにとの狙いから開始された企画と聞く。エントリー数が少なくなった事もあり、Elysian18で終了となった。
但し、イラストコンテストも同時に終了させ、Elysian19からは「サークルカットコンテスト」「一コマセリフコンテスト」という企画を新設。両者を発展的に解消させ、新しい企画とすることで新鮮味を持たせている。
Elysian16以降、ビンゴ大会を止め抽選会に代えたことも、これと同じ文脈で捉えられよう。
企画のスクラップ&ビルドを行う事で、新鮮味を打ち立てられるよう工夫している。

この他、Elysian13では2日間連続開催であることを生かした「合同交流集会」を開催。表には書いていないが、Elysian19では東方オンリーの見本誌読書会を急遽併設するなど、継続性はないかもしれないが、スポット単位でのユニークな企画を打ち出している。



「Elysian」の課題は、サークルから多く寄せられた「一般参加者が少ない」との声にいかに応えるかである。
一般参加者が少なければ、サークルとしても本を手にとってくれる機会が減るのだから、サークルの要望としては当然なのだが、これの解決は中々難しい。

そもそもこの手の「同人誌中心オンリー」は、地方即売会がグッズ・コスプレ中心となり、同人誌サークルが居辛い環境になった事の不満から開催されている。
主催も、経験豊富なイベンターが立ち上げたものではなく、サークル者が主催しているケースが大半である。
言わば、サークル主導で盛り上がって成立した即売会である。
だからこそ、サークルは集めるもの、サークル数の割に、一般参加者は伸びが弱い。これは構造的なものであり、同人誌中心オンリーの宿命とも言える。

それに、一般参加者の増加は、主催でコントロールできるものでもない
確かに単純に数を増やそうとするのならば、ゲーム大会やライブを開催する・コスプレ参加者を呼び込む・有名企業や大手サークルを呼び込むといった方法も考えられる。
しかし、数は増えても、増えた一般参加者が同人誌を手にとってくれなければ、サークルの不満は募るだけである。
それこそ、既存の地方即売会の、【グッズ・コスプレ中心】に対する不満を、再燃させるだけで終わってしまうだろう。

★いや最近色々な主催さんから、サークルは増えても一般参加者が増えないどうしよう、という声をお聞きするのだが、正直、上手い方法が見当たらないのですが…。

Elysian側も、今回は数十ページ単位のカタログとせず、10ページ程度のカタログを刊行。印刷費を節約できた分、カタログ代も200円と大幅に軽減した。
これは参加者を少しでも多く呼び込もうとしての取り組みだが、来場者数を見る限り、上手く機能したとは言い難い。


私は、【一般参加者を増やす】という方向で考えるのではなく、【来てくれた参加者にいかに本を手にとって貰えるか】という方向に発想を転換するべきではないかと考える。
来場者の頭数を増やすのではなく、来場者一人当たりの購入額を増やす、という考え方である。

「Elysian」とほぼ同じコンセプトである「北陸本専」の取り組みを思い起こすと、サークルさん向けにアピールボードを用意し、頒布物のアピールを行う場を設けている
或いは、頒布物の見本誌を任意で提供してもらい(強制としない所がポイント)、見本誌を自由に閲覧できる場を設けている。
こういった工夫は、「Elysian」にも応用できるであろう。

また、「スタンプラリー」という形式は、よりダイレクトに参加者の同人誌購入を促す
サークルさんの同人誌を購入しスタンプを貰い、魅力的な記念品を用意することで、一般来場者の購入意欲を高める狙いである。
これが恐ろしいまでに成功したのは、1月8日インテックス大阪で「コミックシティ」内にて開催された鏡音プチオンリー「かがぺろ!」である。
スタンプラリー景品の引き換えに、シティスタッフの武力介入が発動されるほどに長蛇の列ができていた盛況ぶりは、紛れもなく超の付く大成功である。

「かがぺろ!」の超大成功は、サークル等の協力も得て、魅力的な景品を揃えた事にある。
いかに魅力的な景品を揃えるかが鍵だが、参加が多ジャンルにまたがる「Elysian」においては、万人受けする景品を選定する事の難しさが付きまとうだろう。
その一方、複数ジャンルでの購入をスタンプラリーでの景品提供の要件にすれば、特定ジャンルのみの同人誌を購入する参加者に、他のジャンルに目を向けてもらう手助けともなる
複数ジャンルにまたがるからこそのメリットも、また存在する。


正直、来場者数を増やす、というかサークルの作品を手にとって貰う機会を増やす。
主催でコントロールできる領域を超えており、主催でこれをどうこうするのは相当に難しい。
私も、主催さんより相談をいただく機会が多いが、名案が思い浮かばず申し訳ない思いが募る。
ただ、もし「Elysian」にその気があるのならば、上記の取り組みに挑んでみても良いのでないか。結果を保証する事はできないが、挑む価値はあると思う。