2月12日、私は広島市内で開催された東方オンリー「東方椰麟祭」に参加した。

STRIKE HOLEは、今回所用の入る可能性あり、一旦は、サークル参加を事実上断念した。
だが、都久志祭実行委員会様と協議の上、都久志祭実行委員会様の売り子をすることを条件に、STRIKE HOLEの作品を頒布できる、という内容で合意。急遽作品持参で参加する事とした。

椰麟祭は、一昨年2月に第一回目が開催された。広島では異例の150sp1500人が参加し盛況を見せた。
主催者が皆素人ながらも、主催経験者からノウハウを熱心に勉強、或いは東方オンリーを中心に全国各地即売会にて熱心に告知…他に類を見ない努力で、主催初心者のハンディを挽回。サークルを集めつつ、見事に運営をこなしていった事は、称賛と驚嘆をもって論じるべきであろう。
昨年開催時は、前回実績に倍増の300sp・2000人の来場で成功を収めた。
この規模より大きい東方オンリーは、例大祭・紅楼夢・大9州の3つのみ。「ククク…奴は東方オンリー四天王中最弱…」とは言え四天王の一角に名を連ねた、と個人的には思う。
今回は290sp台と微減だが、落選サークルを数十サークル出している。申込数ベースでは、前回以上の勢いだ。

一般参加者も、前回以上に足を運ぶ方が増えた模様だ。
朝9時過ぎには、屋内待機列は収容可能数の約300人を突破。
屋内に入りきらない一般参加者は、屋外(ビッグサイト等でのシャッター前に相当?)に誘導するが、屋外への誘導を始める時間は前回よりも早まったそうな。
また、昨年はカタログが残ったようだが、今回はカタログ前売りを実施できたこともあろうが、12時少し前には完売との事。
恐らく、前回比で2割増しぐらいの来場者と推定される。
参加者層としては、中高大と学生男子がやや多い印象もあるが、老若男女満遍なく来訪していたと思う。


前回の椰麟祭において、私は幾つかの問題点を指摘した。
サークル案内の発送の遅さや、スペースナンバー・配置場所の分かりにくさと言った、サークルに対する案内の不親切さを、反省点として取り上げた。
しかしながら、今回の椰麟祭においては、その点は大幅に改善された模様だ。

また、個々のスタッフの動き等、運営面におけるオペレーションも、相当向上している。
過去の椰麟祭での経験もあるし、大9州東方祭や東方四国祭等他地域イベントで経験も積んだ方もいらっしゃる。
経験の蓄積により熟練度が上がり、運営力が向上した、と考えられよう。

思えば椰麟祭の主催達は、同人イベント運営経験無しの初心者だった。サークル経験もスタッフ経験も、皆無同然だった。
しかし彼らは、熱心な努力と頑張りで初心者としてのハンディを埋め、今に至っている。
確かに、元々の経験が浅いので、その経験の浅さが表出し失敗する事もある。
だが経験を積み、或いは失敗や反省点の改善にも励んでいる。
そういう努力の結果として、イベントの運営力も少しずつだが成長していると思う。


椰麟祭の名物企画として、「幻想郷物産展 廣島の市」http://toho.momiman.com/というものがある。
広島名物の製品と「東方」とをコラボさせた物販企画である。

一番人気は、広島名物もみじまんじゅうの東方バージョン「東方椛饅頭」。
元となるもみじまんじゅうの品質の良さも相まって、第一回目からの定番企画として未だ衰えぬ人気。今回も、椛饅頭に長蛇の列が押し寄せた。
椛饅頭は、椰麟祭最大の名物であり、かつ他地方から椰麟祭への遠征者を呼び込み、椰麟祭の来場者を底上げする原動力の一つになっている。

昨年からは、ケータリングサービスも実施された。
昨年は八雲一家に因んだお弁当や、秋姉妹に因んだ大学芋など、東方キャラに絡めたメニューを提供するが、需給の読みが甘かったのか、売れ残りを多く出したのが残念だった。

これに対し今年は、椰麟祭新主催の意向もあるが、遠征者の多さにも配慮してか、東方から離れ広島B級グルメのメニューを提供した。
お稲荷の中にうどんが入る変わり種の「遍照寺うどん」や、お好み焼きの一種「しゃもじ焼き」、さらにはその場で炭火焼きにて、瀬戸内海の名産でもある牡蠣まで提供された。
値段も一品あたり200〜300円程度、全般的に安価である。
広島の味覚を手軽に味わえるこれらのメニューは、総じて好評だったものの、調理に時間が掛かりすぎたのが難点。
注文を受けてから調理を始めるシステムのため、一回注文してから給仕まで数分レベルでかかる。
動かぬ牛歩列が形成され、30〜60分待ちは当たり前。これは何とかして欲しかった。
お弁当等、注文即給仕の出来る屋台を出し選択肢を広げる、ケータリング屋台の数を増やし商品の供給力を強化する、それが出来ないなら提供メニュー数を調理に時間を要しないものだけに絞る…そういった工夫が必要に思えた。
ただ、ここの料理の味はなかなか悪くない。今回諦めたり料理にありつけなかった皆様は、広島市内で店舗を構えているから、そこでリベンジされると良い。
「KOUBOUICHIスタジアム広島」というお店で、広島駅近くの「カープロード」にお店を構えているとのこと。


さて、今回の椰麟祭、「主催が交代した」という話は皆様ご存じだろうか。
前回までの主催が一身上の都合で主催を降り、前回までの副主催が主催に昇格し、催事に当たった。
同人イベントというものは、主催のキャラクターによって左右される。言わば属人的な性質を持つ。そういう傾向にある。
だから、主催が変わるという事は、イベントに新風を吹き込める一方、その変化に参加者が戸惑うリスクもある。
既に出来上がってるものを引き継ぐ、という難しさもある。

しかしながら、今回の椰麟祭、運営形態に大きな変更は無い。
確かに新主催になり、ケータリングの内容が変わる、スタッフさんから参加サークルに椰麟祭特製パッケージのチロルチョコが配られるサービスが登場、コスプレイヤー向け集合写真、イラストコンテストの登場…小さい変化は散見した。
しかし、全体のカラーに大きな変化は無い。
穏やかな変化であり、参加者も戸惑うことなく済んだ思う。

現主催も、前主催の時代から幹部スタッフとして貢献してきた。
また、前主催は、今回も幹部スタッフとして現主催を支えた。
主催が変わったとは言え、実質的には役割分担の割合が少し変わっただけの話だ。
だからこそ主催が変わっても、イベントのカラーが変わらず、ソフトランディングで済んだのだろう。
主催が変わっても、イベントはこれまでのカラーを維持。これも、継承の一つの在り方であろう。

椰麟祭は今回も無事に終了、成功を収めた。
では、次回以降はどうなるのか。最後に、今後の「課題」について論じたい。

三回続けて、「椰麟祭」というイベントの、即売会としての個性や形も見えてきた。
無事成功を収め、東方椰麟祭というイベントは、完成の域に達したと言えよう。

但し、その完成度は「落とし穴」ともなり得る。
完成されたイベントは、変化を好まない。今上手く行ってるものを、わざわざ変えようとは思わないものだ。
だが、その変化の無さが故にマンネリを生み、飽きが来る。
成功し完成されたイベントの多くがその罠に陥り、規模縮小や衰退の憂き目を見ている。
椰麟祭が直ちにそういう状態になるとは決して思わないが、今後開催を繰り返す内に、そういう事態に陥る危険性はある。
…つまり、人気と勢いが持続している今の内に、先の事も少し考えてみようではないか?という事だ。

今後どういう変化を付けマンネリを防ぐべきか?
そういう観点から、2〜3年先を考えてみても良いだろう。

また、椰麟祭の将来的なビジョンについて考えても良いだろう。
具体的には、2年後、3年後、5年後…椰麟祭はどう在るべきなのか?どのぐらいの規模の即売会にしたいのか?将来的にはどんな即売会を目指したいのか?
そんな論点から、将来の椰麟祭像を模索する。
「その先」のビジョンを描いてみれば、今後椰麟祭を営む上での目標が定められ、運営のモチベーション維持に繋がるといったメリットもある。
漫然と即売会を開くとマンネリになりそうだが、目標を持って即売会に臨めば、漫然さも消える。マンネリ防止にもなろう。

色々考えて頂きたいが、考えに詰まったら、サークル参加者にお礼の挨拶回りでもしながら、サークルさんの声を聞くのも良いだろう。
参加者の生の声が、ヒントとして生きるような気もする。
あ、個人的な要望としては、今後の広島の同人界を「主催」「スタッフ」として支えていける「後進の育成」についても考えて欲しいと思ってみたり…


これまでの努力の甲斐あってか、椰麟祭は成功を収め、即売会としても完成の域に達した。
しかし、そこで気を良くするだけでは何も変わらない。
「勝って兜の緒を締めよ」という言葉もある。イベントが成功した今だからこそ、少し先を見据え「将来」について考える事をお勧めしたい。