3月12日、私は滋賀県米原市で開催された創作オンリー「びわこそうさくマーケット」にサークル参加させていただいた。

滋賀県の同人事情を申し上げると、県内での同人誌即売会は、数年前の「コミックライブ」撤退以降、皆無に等しい。
一昨年開催された「まいばらこみゅにけっと2010」は、200サークル・約1500人を集めた一大イベントとして成功を収めた。個人的には2010年開催の即売会で三指に入る良即売会、とまで評価してたのだが…その後が無いのが残念。
それ以外では、豊郷町で「けいおん!」オンリーが定期的に開催される程度か。
豊郷の「けいおん!」オンリーは、全般的に好評、成功を収めるものの、あくまでけいおん!好きが集うオンリーイベントだ。滋賀の同人者皆のニーズを満たす役割までは求められないだろう。

いずれにせよ、「まいばらこみゅにけっと」の成功以後も、滋賀の即売会空白状態は変わらない。
そんな中、一年半ぶりに米原で開催された即売会が、創作オンリー「びわこそうさくマーケット&びわこみっ!」である。
(これ以後、略称の「びわこみ」と表記します)


私が「びわこみ」立ち上げの報を聞いた時、米原では久々の即売会開催という事で、大変嬉しく思った。
…ただ、オールジャンルならともかく、創作オンリーというカテゴリーだ。オールジャンル・まいこみのように、サークルがちゃんと集まるのか?との心配も頭を過ぎる。

但し、「びわこみ」は、「まいこみ」のカラーを相当色濃く継承した即売会でもある。
一例を挙げると、会場・滋賀県立文化産業交流会館へのアクセス案内として、車来場者向けに動画での案内を取り入れているが、これは「まいこみ」を踏襲している。
他、サイトの構成・チラシのサイズ(イベントチラシでは珍しいA4サイズ)等、まいこみの雰囲気を受け継いだ部分が極めて多い。
サークルも一般も、事実上のまいこみ後継イベントとして捉えた方も、少なからずいらっしゃるだろう。
結果、今回の「びわこみ」は、「まいこみ」参加組のリピーターが目立つ。
「まいこみ」が良かったから、事実上の後継イベント「びわこみ」にも参加しよう。そういう一種の「リピーター組」が、「びわこみ」の参加サークルを底上げしている。
結果、サークル参加規模は70sp弱。
創作オンリーという限られたジャンルでありながらのこの数字は、中々の健闘であろう。

この「びわこみ」の特徴としては、「創作オンリー」とはいうものの、1キャラのみ、二次創作を許容している事である。
mixi「オタな滋賀人」コミュにて考案された、琵琶湖擬人化キャラ「びわ子」。これの二次創作を可としている。
いや、より正確に申せば、創作オンリー「びわこそうさくマーケット」と、びわ子オンリー「びわこみっ!」の併催という構図だ。
残念ながら、びわ子サークルは、70sp中の数サークル程度で、余り多くはない。
ただ、どのサークルも、滋賀愛に溢れつつ力作揃いだったとお見受けした。

会場は、まいこみと同じ「滋賀県立文化産業交流会館」。米原駅から徒歩5分程度の好立地だ。
まいこみの時は大ホール利用だったが、びわこみは、まいこみほどに規模が大きくない。
大ホール脇にある小部屋「研修室」を利用した。
研修室を2部屋利用しての対応だが、片方は土足厳禁の部屋(普段はダンスや卓球で利用?)だ。床にシートを貼って対応した。
また、この部屋は大きな鏡があるが、鏡には見えず錯覚してしまい、衝突等事故の恐れもある。そこで、黒の衝立を設置し鏡を遮蔽する事で、事故を防ぐ工夫も図られた。

一般来場者は、流石に少なかった。
初動20〜30人程度で、初動数百人のまいこみとは、比ぶべくも無い。
一部色紙サークルに長蛇の列ができた以外は、至って平穏。まったりとした雰囲気で終始した。
ただその代わり、創作オンリーとしての特性もあろうが、参加者は年長者中心。私のサークルの頒布物とは相性良かったのか、何故か多数来場したまいこみよりも売れた…一体何故だw

規模が小さい即売会だからこそ目立つ、良き点も取り上げたい。
これは小規模な即売会だからこそ成し得た事だろうが、主催氏が全サークルに挨拶回りされていたマメさが印象に残った。
「冷暖房の暑さ寒さは大丈夫ですか?」などとお伺いを受けつつ、多少のお話をさせていただく。
主催氏の気遣いに感謝しつつ、マメさにも感心する。
規模の大きい即売会での挨拶回りは難しいが、規模の小さい即売会だからこそできる事である。
参加サークルからの生の声を聞きつつ、顔の見える運営を目指す。そういう姿勢が好印象だった。
小規模だったからこそ、その分参加者とのコミュニケーション、交流が図れた即売会だったと言えよう。

米原は、大阪方面・名古屋方面・そして北陸方面を結ぶ結節点であり、交通の要衝である。
名古屋・関西・北陸三方面それぞれの窓口、とも言える。
見方を変えれば、米原の即売会は、地元の同人者のみならず、名古屋・関西・北陸それぞれから参加者を取り込む事が出来る。そういう地理的なアドバンテージを持つ場所だ。

だからこそ、米原/滋賀県は、同人需要の充分ある土地柄と言える。
一昨年秋まいこみが大成功、今回びわこみも順調に運営している。
運営がちゃんとしてれば、サークルも付いて来る。
後は、誰か継続・定期開催してくれる方がいないのか?そこがポイントだろう。
まいこみは大盛況即売会ながらも一回限りで終わり、びわこみも次が明言されていない。
どちらも主催がサークル者という事もあり、イベントに力を注げば注ぐほどに、自身のサークル活動を犠牲にせざるを得ないジレンマがある。両立できればベターなのだろうが…
滋賀の同人は、即売会の需要は充分ある。後は、ちゃんとした運営で、即売会を継続的に開催できる体制の整備ないしは人材の登場、そこが課題になると思う。