3月18日、私は名古屋市内で定期・継続開催されている東方オンリー「東方名華祭」にサークル参加させていただいた。

会場の「サンライフ名古屋」は、名古屋で長年に渡り、小規模なオンリーイベントを中心に多くの同人誌即売会で愛用され続けてきた会場だ。
名華祭も、この会場ならやりたい事が色々できるという事で、この会場を愛用し、そしてこの会場にこだわり続けてきた。
募集spを超過しても、敢えて会場拡大を行わず、落選サークルを出しても尚、この会場での開催にこだわり続けていた。

今回の名華祭は、今まで愛用してきた会場「サンライフ名古屋」の最後のイベント。サブタイトルに「〜さよならサンライフ〜」と銘打たれての開催だ。
同様に、会場への送別を兼ねた同人誌即売会に、新大阪センイシティのクローズを受けて企画された「新大阪送別会」というものがある。
これと名華祭、どちらに参加すべきか迷ったが、この日3月18日は、東方シリーズ原作者・神主ことZUN氏の誕生日という記念すべき日である。(ちなみに私の誕生日でもあるw)
神主の誕生日という記念すべき日、という部分が決め手となり、名華祭への参加を決意した。

やはり今回は「最後のサンライフ」という名華祭にとっては節目の時。
最後だし参加しようとするサークルさんも多かったようで、サークル申込は約200と大変多い。募集spの倍の申込みだ。
流石に私も抽選落ちを覚悟したが、運良く当選し、無事にスペースをいただける事となった。
当選の僥倖に、心底感謝したいものである。

「最後のサンライフ」という効果は大きく、一般参加者も例年より多い。
サークル入場開始後の朝10時の時点で、一般待機列は約200人。
サンライフ一階の駐車場を待機列に充てての運用だが、駐車場は頑張っても300人が限界。駐車場から溢れたら、道路を挟んで対面の歩道に列を形成した。
一般入場開始直前には、350〜400人は並んでいたと推察される。

とはいえ、サンライフは狭い会場だ。
400人以上いっぺんに入れたらパンク必至である。
そこで駐車場待機者約300人を1班としての「入れ替え制」を取った。1班に付制限時間は1時間、時間を過ぎれば後の待機者と入れ替えという構図だ。
実は、前回の名華祭も入れ替え制だったが、前回は2回の入れ替えで済んだ。
だが、今回は3回目の入れ替えに突入…!
3回目の入れ替えが落ち着き、13時30分頃にようやく、カタログ完売&フリー入場となった。

フリー入場が宣言された後も、1〜2回目の入場者が復帰し落ち穂拾いを始めた事もあって、会場内は人が絶えることは無い。
カタログが完売したので正確な人数は不明だが、総参加者は1000の大台越えは確実。1200〜1300以上行っている可能性もあろう。
前回を凌ぐ盛況…いや殺伐・阿鼻叫喚の宴であったw

名華祭の特色は、狭い会場を効率的に活用し、楽しくかつ凝った企画を実現させている所だ。
以前私は、名華祭について、「会場をフルに使って楽しい事やってる欲張りイベント」と評した。
…だが私は、その評価を訂正したい。
名華祭は、「欲張りイベント」と言うよりも、寧ろ「やりたい放題なイベント」と評すべきであろうw

名華祭の名物に、東方カラオケというものがある。
名華祭を「欲張りイベント」「やりたい放題イベント」たらしめている象徴的存在のこの企画。
東方アレンジ曲をカラオケで歌えるという人気の企画で、大9州東方祭に招聘された事もある。
サークル名・曲名・原曲等から検索可能で、字幕やプロモーション動画も完備。カラオケボックス顔負けの優れものだ。
以前は2階の実験室で営まれていたが、今回は、3階の第2研修室での営業。
カラオケボックスちっくなソファーが用意され、雰囲気も、よりカラオケボックスらしくなる。
空いた実験室は、コスプレ更衣室として運用。会場活用における無駄の無さもまた、名華祭の特長である。

2階の体育館は、以前のように、昼はコスプレ広場。夕方はアフターイベント会場としての活用。

そして1階の活用もまた、隙がないw
今回は1階和室も活用している。
PCを10台以上設置、「緋想天則」のフリーゲームコーナーとして運用している。
…この名華祭という即売会、会場のサンライフ名古屋を隅から隅まで知り尽くし、活用し尽くしている。
ここまで徹底的に、限られた会場を使い尽くした即売会は、正直他に見ないw
…そりゃあこの会場にこだわりたくなるよなあ、と妙に納得である。

この即売会の「やりたい放題」のクライマックスは、14時30分・即売会終了時の演出である。
突如として会場内にプロモーション動画が上映される。
会場の参加者皆が戸惑うが、曲が分かると、会場内から「えーりん!えーりん!」の掛け声。
やがてそれは会場全体に広がり、会場全体が「えーりん!えーりん!」の大合唱…!
それが、今回の名華祭終了の合図となった。…別の意味で終了してそうな気もするがw
うーん、まあ、盛り上がったからこれでいいのかな(汗)

こうしてサンライフ最後の名華祭は、無事に終了した。
次回の開催は未定、主催氏に聞いても言葉を濁されてしまったので(汗)、恐らく検討中なのだろう。

名華祭の特長は、東方カラオケ等に見られる徹底的な「やりたい放題」感、そして、それがもたらす会場内の雰囲気の良さ・楽しさだと思う。
その良さを維持するためにも、これらの企画を受け入れてくれる会場を探すところから始めるべきだろう。
但し、今の名華祭の企画全てを受け入れてくれる会場も皆無のはず。多少の企画削減も、仕方ない事かもしれない。

せっかくこれだけ多くの人々が参加してくれる即売会だ。
何とか次の会場を見つけ、次回開催を決めていただきたい。
そして、会場が変わる以上、従来の企画全てを今まで通り行うことは難しいだろうが、可能な限り企画も残していただきたい。私はそう考える。

最後に、今回名華祭で見られた、心温まる光景について触れたい。

名華祭は今回、先述した新大阪センイシティの送別会的即売会「新大阪送別会」とバッティングしてしまった。
新大阪送別会でも、東方・レティプチオンリーが開催されており、僅かながらも名華祭とはサークルの食い合いになっている。
しかしながら、両即売会ともバッティングをいがみ合う事無く…逆にお互いが、開催への祝意を示す花を贈り合い、敬意を示し合っている。
★尚、これはあくまで【スタッフの有志からの贈呈】という形であり、イベントの会計から出たものではない。スタッフ個人個人がポケットマネーで費用を捻出している。

互いが互いの即売会の成功を願う、一種の「エールの交換」と言えよう。
バッティングに陥いるのは残念だが、決していがみ合う事無く、互いの開催を祝うその姿勢は、大変清々しい。
最近私は、とある即売会の関係者が、同日開催の他イベントの参加者を罵る…なんて恥ずかしい事例を拝見し残念な思いを抱いていた。
そんな中だからこそ、名華祭・新大阪送別会両イベント間(の有志)に見られたこのエピソードは、非常に心打たれる物として映ったのであった。