地方で開催される同人誌即売会はどこも苦戦傾向にある。
しかしながら、新潟で開催される「ガタケット」http://gataket.com/は、苦戦する地方即売会の中でも、最も健闘している部類に属しているであろう。

サークル参加数は、800〜1000sp程度。
全盛期の2500sp時代に比べれば見劣りは否めない。
だが、人口80万都市というマーケットで開催される即売会にしては、集めるサークル数は群を抜いて多い。
他の同規模人口の都市で開催される即売会は、おおよそ100〜300spであり、これと比較すると、ガタケットの健闘は顕著に際立っている。
というか、東名大の3大都市圏以外において、800spだの1000spだの集められる即売会は、ガタケ以外には皆無同然である。(他には福岡コミックシティの約1600〜2000spぐらいだろう)

サークル参加数の多さに加え、昔からの歴史と伝統もある。
また、自治体と連携しての活動、同人誌即売会主催達による全国組織「同人誌即売会連絡会」の発起人となる等、イベント外での積極的な活躍も目立つ。
これらが相まって、「ガタケット」という同人誌即売会は、只の一地方で開催される同人誌即売会に留まらず、同人誌即売会の世界を代表する即売会、【地方即売会の雄】としての地位を築いていった。

私個人の「ガタケット観」を申し上げるならば、ガタケットについては、低迷する地方即売会の中でも、参加サークルの減少を最小限に抑え、神がかり的な健闘を見せている即売会。そう捉えている。
他の即売会が100spだ200spだのご時世、ガタケットはそれでも800〜1000spだ。明らかにケタの違う動員力だ。他の即売会に比べて、圧倒的に成功を見せている即売会と位置付けている。
「地方即売会の雄」という表現は決して間違ってはいないにせよ、寧ろ私は、「地方即売会成功の手本」としてこの即売会を捉えたい。

そのガタケットが、ホームページ上で悲鳴を上げたのは、3月末の事であった。
以下、その文面を一部抜粋する。

>「ガタケット121」の参加サークル総数が500〜550サークルでほぼ確定

>ここ数年の参加サークル数でこのまま推移していくとなると、ガタケットの運営維持は向こう1年以内に行き詰まります。

>もし皆さんが今後のガタケットの存続を願い、ご協力を頂けるのであれば、不都合の多い日程である事は十二分に承知していますが、どうか「ガタケット121」へのサークル参加をお願い致します。


ガタケットが、今のままでは一年以内に運営が行き詰まるであろう窮状を述べ、サークル参加という形での支援を求める、言わば「泣き落とし」の文面である。

開催日4/29は、同日に幕張の「ニコニコ超会議」と被るのみならず、以後に「SUPER COMIC CITY」「COMIC☆1」「コミティア」と大規模即売会が続々と控える日程だ。
サークル的には、大規模即売会合わせの原稿を優先させ、ガタケを控えるサークルも少なくはない。
この日程条件の悪さこそ、普段に少なくとも800sp集める即売会が、500〜550まで数を落とす理由である。
だが、会場の新潟市産業振興センターは、1000〜1500spは収容できる広さ。今のままでは、会場の半分程度しか埋まらず、極めて厳しい状況。どう考えても、大赤字確定である。

そこで地方即売会を応援する立場を貫く「STRIKE HOLE」としては、同日のニコニコ超会議内東方オンリー「東方不敗小町」にサークル参加の立場ながらも、ガタケットへのサークル参加を決意した。

ガタケットに関し論をこねくり回す事はいつでも出来る。それよりも先ずは行動だ。
何としてでもサークル参加し、ガタケットを支援したい。そう思うようになった。

問題は、誰に足を運んでいただくか、である。
私自身は、先述のように幕張メッセの「ニコニコ超会議」内「東方不敗小町」サークル参加予定を入れている。当日新潟に足を運ぶ事は不可能だ。
幸いにも、北陸地盤に活動されている評論サークル「横浜新聞研究所」様のご協力をいただき、売り子の目処は付いた。
2spで申し込み、横浜新聞研究所様の作品も置いてOKという事にした。事実上、STRIKE HOLEと横浜新聞研究所様との合同spという按配だ。
こうして、STRIKE HOLEは、急遽4/29「ガタケット」にサークル参加する事に決定した。


さて、ここで私が申し上げたい事が一つある。
即売会が泣き言漏らし助けを求めるからと言って、STRIKE HOLEは必ず支援するという訳ではない。
相手が悲鳴を上げ、助けを求めている状況を放置するのもいたたまれないものあるが、最終的には、その即売会の有り体を総合的に見て、支援に値するかどうかを自ら判断している。

例えば昨年秋頃には、とある地方で、震災後参加者が半減したという即売会があり、主催氏が泣き言を漏らしていた。
あと半年以内に状況が好転しなければイベントを止めるとアナウンス。会場内で、イベント資金のカンパも募っていた。
だが、私はこの即売会に対しては、一切手を差し伸べなかった。
運営の粗相が極めて多く、STRIKE HOLEでも批判した事あったが、一切の改善が見られない。
サークルの離反も顕著で、4〜5年前立ち上げ当初の半分以下に減少。一度も上昇に転じた事がない。
自業自得の感強く、支援しても回復の見込み無しと判断した。
こういうイベントに助けを求められても、流石に私も断らざるを得ない。


では何故、ガタケットを支援すべき、と私は判断したのか?
他にも苦しいイベントは沢山ある。それを差し置いて、何故ガタケットだけを支援するのか?
それは、ガタケットを【特別に支援すべき存在】と判断したからだ。

そもそもガタケットは、これまでも800〜1000spと数多くのサークルを集め、他の地方に比べても賑わい豊かな即売会であった。
【地方即売会の雄】という言葉も用いたが、ガタケットは、地方開催の即売会の中でも、【最も賑わい成功している即売会】である。「地方即売会成功のお手本」でもある。
ガタケットの存在が励みになり、また或いは刺激を受けた、地方即売会主催も少なくない。
…そんな存在のガタケットが、仮に潰れたならば、これまでガタケットに刺激を受け頑張ってきた即売会主催に、どんな影響を与えるだろうか?
「ガタケットが駄目ならウチはもっと駄目だ」と動揺し、萎縮するのではないか。悪影響しか与えない。
ガタケットが潰れるだけならまだしも、それが他の地方の即売会に波及し、連鎖する。
私はそこを重んじ、ガタケットを支援する事にした。

それ以外にも、過去何度かガタケットに参加し、雰囲気の良さを知っていた。
良即売会としての印象強く愛着も強い即売会だった事もある。
また、ここで動かねば、地方同人誌即売会を応援するSTRIKE HOLEとしても、普段から申している「地方同人誌即売会を応援する」という文言も、掛け声だけに聞こえるかもしれない。行動を起こす事で、口先だけだとの批判を受けるのを回避したいとの思いもあった。
そういう思いもまた、私の心中を駆け巡り、ガタケット参加を後押しした。
だが、やはり一番大きな理由は、他の地方即売会への波及を恐れて、である。


この文面の後、反響も大きく、支援の輪も広がった。
最終的なサークル数は、「直接860サークル・委託183サークル」との事。sp数ベースでは、久々に1000の大台を超えただろう。
ちなみに、件の告知以後に申し込んだサークル数は、【直接参加360サークル・委託参加120サークル】との事。
とりあえず、今回のサークル数減少という問題に関して言えば、これで切り抜けられたと言えよう。

だが、これで終わりではない。
サークルが集まり結果に繋がったからといって、そこで安心してはならない。
今回立ち上がったサークルも、ガタケットで作品を手にとって貰えなければ、次回以降参加してくれるだろうか?
今回せっかく参加してくれるサークルをリピーター化させる為にも、一般参加者に来て貰う努力が必要だ。
何もサークル参加だけが、ガタケット支援ではない。一般参加者としてガタケットに参加する事も立派に支援だ。引き続き、ホームページ上で一般参加で来て頂く事を通じての「支援」をお願いするのも手である。
地元の同人ショップ等にチラシを撒く、ポスターを貼る等、人目に触れる努力も必要だ。
ガタケットの公式サイトを見ると、次回7月1日に原画展を実施するとか告知されていたが…そんなのより直近イベントの人集めの方が先決だろう。
「人集め」は、サークルを集めてそれで終わりじゃない。一般参加者もまた、イベントを構成する重要な要素である。そこにも目を向けねば片手落ちとなる。


#蛇足/今回の参加だけが、ガタケット支援ではない。ガタケットは今後も続いていく。次回以降参加し支援しても良いと思う。


そもそもサークル数の減少は、少子化等により引き起こされる構造的な問題だ。
今の状況を放置すれば、同じ事がまたきっと起こるだろう。
その時に、今回のような人情に訴える手法は、きっと使えない。
使っても「またか」で終わり、今回のような呼応は見られないだろう。

次回記事では、ガタケットの今後の「在り方」「方向性」について、幾つかの論点を交えながら論じて参りたい。