4月28日から29日の2日にかけて開催された、ニコニコ動画のファンイベント「ニコニコ超会議」。
ニコニコ動画のほぼ全てを再現するというコンセプトの元、政治経済や学問といったお堅いテーマから、「踊ってみた」「歌ってみた」といった市井のニコニコユーザーによる表現に至るまで、数多くのコーナーが出展された、ニコニコ動画の「一大博覧会」とも言えるイベントであった。
私は、ニコニコ超会議内開催「東方不敗小町」サークル出展者としての参加だが、サークル出展の合間を縫ってフードコーナーで食事したり、陸上自衛隊の出展コーナーにて防弾チョッキの試着を体験したり、限られた時間の中ながらもニコニコ超会議を満喫させていただいた。

とは言え、ニコニコ超会議のコンテンツは極めて広範であり、その全てを包括し論じる事は、極めて困難である。
STRIKE HOLEは「同人誌即売会評論」のサークルであるから、今回のニコニコ超会議を語るに当たっては、ニコニコ超会議内で開催された3つの即売会に絞り、語る事としたい。
今回ニコニコ超会議内で開催された即売会は、ボーカロイドオンリー「VOCALOID M@STER」・東方オンリー「東方不敗小町」・ニコニコ動画オンリー「ニコつく」の3つである。
各イベント共、ニコニコ超会議という親イベントがあり、その枠内の1コンテンツとなる。普段の主催即売会とは勝手が違う難しさがあったと思うが、その制約の中でも上手くやりくりして即売会を完遂したと思う。
今回記事では、STRIKE HOLEとしてサークル出展を果たした「東方不敗小町」をメインに、ニコニコ超会議内で開催された他の同人誌即売会(「VOCALOID M@STER」「ニコつく」)にも触れたい。


【東方不敗小町】

東方不敗小町のニコニコ超会議内での開催は、今年初頭の発表。突如として決定した感がある。
それゆえ募集期間は短く、サークルを集める上ではハンディとなった。
それでも、100spを突破する辺りは流石だとは思うが…

サークル準備の為、開場2時間前に入場。
そこで私が感じた不安は、「配置」であった。
配置と言ってもサークル配置のことではなく、ニコニコ超会議内における「東方不敗小町」自体の配置のことである。
「東方不敗小町」の近くには、「ニコニコ運動会」や「陸上自衛隊」等のコーナーが隣接されておりそれは問題ではないのだが、問題は、近くに存在するライブステージ…

即売会会場におけるステージイベントの開催は、その音量の大きさ故、参加者の注目がサークルから音の出る方に向き、サークル頒布の妨げになる。
酷いケースでは、音量が大きすぎ、サークルスペースでの会話に支障を来すことすらある。
そういう事例を、星の数ほど目の当たりにしてきた。

今回の「不敗小町」自体の配置を見て、ライブの音量が支障を来すのでは…?と嫌な予感がした。
その予感は的中し、ライブ開催中は会話に支障が出るレベルの音響。
頒布時間の1/3ぐらいがそういう状況であり、非常に閉口したものである。
とは言えこれは「不敗小町」の責ではない。「不敗小町」には、ホール内の音響を司る権限が与えられていないからだ。
親イベント・ニコニコ超会議の配置に、その責がある。
不敗小町が、ニコニコ超会議の運営の瑕疵に巻き込まれた。そういう構図で解釈すべきである。

「東方不敗小町」のもう一つの懸念は、このイベントのブースを示すPOPが少なく、目立たず分かりにくかった事にある。
せいぜい、東方不敗小町のポスターが、一カ所に貼ってあった程度だ。
ニコニコ超会議は、数多くのコンテンツを集めた総合博覧会である。そして、「東方不敗小町」は、数多あるコンテンツの中の一つに過ぎない。
数多くのコンテンツがわんさかある中、自分達のコーナーを「分かりやすく目立たせる」工夫が、もっとあっても良かったのではないか。
同じようにニコ超内の即売会として開催された「VOCALOID M@STER」は、壁に巨大なPOPを貼って分かり易く工夫している。
不敗小町も、ポスターを貼る場所を増やす、入り口にノボリを立てる…もうひと工夫があっても良かったと思う。


その二点を除けば、不敗小町は、普段通り順調に運営し得た、良即売会であったと思う。

ニコ超が前日4/28においてさんざん批判された、入場するまでの待ち時間の長さは、入場ゲートの増強もあり、4/29は大幅に改善された。
開場直後は閑散としていたが、30分経つと参加者もだいぶ会場の中に入り、不敗小町も賑わいを見せ始めた。

参加者層としては、とりわけ若い世代が多いという印象。
一般的な東方オンリーも若い世代が多いが、それに輪をかけて若い人たちが多い。
中学生クラスの参加も、決して珍しくはない。

また、普段の同人誌即売会とは違う参加者も多かった印象だ。
ニコニコ超会議というイベントは、同人クラスタだけが参加するイベントではない。
一般人も数多く参加するイベントである。
一回ニコ超に入場しさえすれば、即売会ブースには追加料金無しで入場可能。(パンフレットは全員購入制ではなく任意購入制)
だから、同人クラスタでなくとも、気軽に同人誌の世界に足を踏み入れる事ができる。
そういう事情により、普段同人誌の世界に馴染みの無い方も、多く足を運んで下さった。
これを機に、同人の楽しみに目覚める方々が増えてくれれば嬉しい限りである。

嬉しい誤算だったのは、チラシの捌けが良かった事。
私は地方即売会支援の一環として、他即売会のチラシ配布を請け負う事がある。今回の不敗小町も同様で、請け負ったチラシをチラシ置き場に置かせていただいた。
中には、100枚近く置いたチラシもある。
その殆どが、不敗小町で捌けてしまった。

理由としては、チラシ配布の場所にある。
チラシ置き場は、通路そばに設置され、不敗小町のコーナーに入場しなくとも入手できる環境であった。
ボカロオンリー「VOCALOID M@STER」参加者も不敗小町の横を通るから、ボカロ参加者も手にとってくれる。

不敗小町のチラシ置き場は、人通りの多い場所に置かれた、超の付く「特等席」であった。
ぶっちゃけ、ボーマスでチラシを置かせて貰うよりも、告知効果は高かったのかもしれない。
てゆーか不敗小町の皆さん、良い場所ご用意いただきありがとうございました!

音響を操作する権限がないため、以前注目した、DJを起用した館内アナウンスなどは為されなかったが、ゲームコーナーやアフターイベントは、通常通り実施された。
ニコニコ超会議の中での開催という事で、制約も少なくなかっただろうが、概ね普段通りの「不敗小町」を営む事ができたのではなかろうか。


【VOCALOID M@STER(ボーマス)】

ボーカロイドオンリー最大手「VOCALOID M@STER」も、ニコニコ超会議内で開催された。
かつては大田区産業プラザPIOでの開催中心も、最近はボカロジャンルの拡がりを受け、サンシャインシティでの開催が多い。
年数回ペースの開催で、規模的には400〜600spぐらいだろうか。

ボーマスは、サークルに対しての来訪者数も多く、往時の東方オンリーに匹敵する混雑ぶり。殺伐を極めた即売会であった。
今回は600sp規模と過去最大級。一般来場者も、詳細は不明だが、不敗小町の比じゃない多さなのは間違いない。
ただ、会場を広めに用意できた事もあり、通路幅も広く確保し得た。
その甲斐あってか、普段の殺伐即売会とは様相が異なり、快適にサークル回りができたのではないか。
運営自体も、経験豊富なケットコムの主催だし、(当日を見る限りにおいては)特に大きな問題は無かったと思う。(事前にちょいゴタゴタしてたっぽいが、ニコ超側の問題も含まれてるし…)

気の毒なのは、カタログが余り売れなかった事だろうか。
私が見た時も、カタログを入れた未開封の段ボール箱が、2桁レベルで積まれていた(涙)
…流石に気の毒になってきたので、1冊だがカタログを購入させていただいた。

普段のカタログは全員購入制だが、今回はニコ超入場自体で既に1000円取っている事もあり、ボーマス入場自体は無料。
イベントカタログは、任意購入制で1冊1000円。
ただ、ニコ超入場時に既に1000円支払い、更にもう1000円払おうとする人、果たしてどこまで居るだろうか?(今までカタログが完売だったのは、それがないと会場に入れないから)
購買者の心理や需要の予測を読み誤った事が、今回の失敗であろう。
主催のケットコムは、この手の商売的な需要予測能力に優れた方、という認識はあったが…正直、珍しい事もあるものだ。

アフターイベントでのジャンケン大会実施において、景品受取にはカタログを必要とするなど、カタログの購入を促す施策は取られたようだが、効果も限定的だろう。
もう少し思い切った施策…単価を下げるとか、カタログに記念アンソロジーなり記念CDなり(ジャンル特性を考えると音楽で攻める手も十分アリかと)を入れるとか。カタログを購入したくなる作戦を取れば、もう少し売れたかもしれない。


あ、一部界隈で話題になった、ケットコム主催氏がガタケットのサークル参加呼びかけ文をを改変ツイートした件については、

「とりあえず主催氏は、罰としてガタケットにサークル参加の刑ねw」

とだけ申し上げておきます。新潟の地酒と食い物は美味いですよ。
ぶっちゃけ氏を叩いても、ガタケットには何の足しにもならない。
んだったらガタケに参加していただいた方が、遥かに前向きじゃないかと思う。
ケットコム主催氏には、自身のイベント宣伝を兼ねつつ、新潟の食い物と地酒をご満喫いただける事を、強くお勧めしたいw


【ニコつく】

ニコつくは、私の本拠地であった不敗小町から配置が離れていた事もあり、余り顔を出さなかった。
ただ、不敗小町やボーマス以上に人で溢れ返っていた印象だ。
「ニコニコ動画オンリー」というコンセプトゆえ、ジャンルに専門特化しているボーマスや東方よりも、一般ニコニコユーザーに受け入れられたはず。それが作用しているのではないか。
開催時間は17時までと遅かったが、終盤まで、来場者の絶えないイベントであったと思う。

一つ気になった事としては、イベント内の企画。
「描いてみた」「踊ってみた」「撮影してみた」など、ステージを用意し、ステージ発表の場を用意するという企画は、ニコニコ動画オンリーにふさわしい企画だと思う。
同人の枠に囚われず、様々な表現を許容する事の面白さは、「コミッククリエイション」や「つるかめざっか」等で体験しているが、それに近い雰囲気を感じる。

…ただ、ステージそばには、どうしても人だかりができる。
そして、ステージとサークルスペースの距離は、最短で2〜3メートル。
人だかりが、サークルの頒布を邪魔するという、宜しくない展開となってしまう。スタッフが列整理に励んでいたが、人だかりとサークルスペースの間に、人一人通るスペースを作るのがやっとである。
かつて私は、ステージ企画が、ステージに近いサークルの頒布の邪魔になる危険性について、何度か指摘したが、今回も正にその指摘通りの展開であった。
ここは配置のミスであり、主催側も反省すべき所であろう。


【最後に】

総じて見て、ニコニコ超会議という一種の「博覧会」。
これを親イベントとし、その枠内で同人誌即売会を開催する、という試みは滅多に無い。主催氏及び関係者の苦労も大きかっただろうと察する。

そもそもニコニコ超会議自体も、初めての試み。慣れていないが故の瑕疵も少なくない。
それに振り回された節も、随所に見られた。
不満を漏らす向きの気持ちも分からないでもないが、これは各即売会よりもニコ超に向けるべきだろうか。
即売会側に向けるのは気の毒では?と感ずる事もある。

とは言え、ニコ超も初めての試み。
イベント運営に不慣れなニコ超を責める気も、余りしない。
次があるかは分からないが、次がもしあるのなら、もう少し慣れて洗練されるのではないか。

運営の瑕疵は、初めての試みだから仕方ないものと割り切り我慢しつつ、トラブルも笑い飛ばすぐらいが、ニコニコらしい楽しみ方じゃないかと思えてくる。