STRIKE HOLE花羅・全国全都道府県即売会制覇の一環として、鳥取の同人誌即売会「月面着陸」にも参加させていただいた。
率直申し上げて、先々週宮崎、先週大分に次いでの3連戦は、金銭的にもそうだが、体力的にも極めて厳しい。

しかしながら、鳥取県内で開催される即売会は、今いささか少ないように思う。
この「月面着陸」以後、即売会の開催予定は無い。
今日現在、この機を逃せば、次いつ鳥取で即売会が開催されるか、分からない。
そういう観点から、無理無理参加する事にした。
(てか自分で言うのも何だが、自分は一体何にとりつかれているのだろう…)

この「月面着陸」は、鳥取市を地盤に開催されている同人誌即売会。
昨年7月に開催されて以来、1年ぶりの開催である。

会場の「鳥取県立福祉人材研修センター」は、鳥取県社会福祉協議会などの公共団体が入る福祉施設だが、何故か市役所や県庁から遠く離れての立地。
今回は鳥取駅からバスを利用してのアクセスだったが、距離にして15km!
市街地から相当離れたロケーションで、鳥取駅から30分もかかった。
…こんな時間かかるとは思わなかったw
たぶん、私が過去参加した即売会の中でも、交通アクセスの悪さは一、二を争う凶悪さであるw

ただし、この会場選定は、主催氏の「こだわり」の賜物でもある。
アクセスの悪さを承知の上、敢えてこの会場にした。それだけの「こだわり」があっての事だ。
その「こだわり」については別途後述させていただきたい。
また、会場は不便ながらも、公式サイト上でバス時刻表へのリンクが掲載される等、交通案内が充実していた事は、特筆すべき親切さと感じた。

バス停を下りると、会場は目の前。広大な駐車場が広がる。
アクセスが不便だと申したが、それは公共交通機関の利用を前提とした話。
車組から見れば、この広大な駐車場は、逆に参加しやすい環境だろう。

そして、その駐車場には、まさに予定調和の如く、様式美とも言えようが、数台の痛車が並ぶ。
見た限り、ジャンルは、化物語・俺の妹がこんなに可愛いわけがない・Fate・東方、そして「とっとりアニカルまつり」の車である。
昨年夏、鳥取県は米子市にて開催された「とっとりアニカルまつり」は、今年も開催される。この中で痛車ミーティングも開催される模様だが、それに合わせてた、アニカルまつり「そのもの」をテーマとした痛車が、一際目を引いた。
車のそばに、「のぼり」を立てている痛車も居たのが、他即売会では余りお目にかかれない、特徴的な光景であった。


会場内に入る。
会場は、照明も明るく、また外の陽の光の明るさも入り込み、屋内にしては相当明るく映える。
男女比は9:1ぐらいで、流石に女性陣優位か。
年齢層としては、主力は中高生だが、年長者のサークルもそこそこ参加している。
中高生サークルにラミカ・シールの頒布が目立つ一方、年長者サークルに本の頒布が目立つ。
買い手を見ると、中学生や小学生も少なくない。
年齢層は、相当上下にバラつきが有りそうだ。
別の見方をすれば、学生参加者が、年長者の作品に刺激を受け、より質の高い作品づくりに挑み、成長する事に期待できよう。

サークル数は28サークル・40spの規模。小じんまりとした規模だが、この規模で安定している。
総参加者は、200超えは間違いなく、250行くかも、との話も聞いた。
閑散でも混雑でもなく、適度に人の出入りのあったイベントと言えよう。

ジャンル傾向は、相当バラバラだ。1ジャンル1サークルの「オンリーワン」が殆どである。
創作、忍たまとfate/zeroが最大手…といっても3サークルに過ぎないが。
他、タイバニ、サンホラ、東方、ボカロ、うたプリ、イナイレと言ったところか。

この「月面着陸」は、主催氏やスタッフのホスピタリティが高いのだろうか?
ささやかながらも気の利いた「親切」が目立つのが特徴の一つだ。

例えば、本部では菓子パンと飲み物・お菓子と言った商品を販売している。
会場内に食堂は無いし、会場周辺にもコンビニ・スーパー等お店が無い。
不便な会場だが、本部で物を売る事で、最低限の供食機能を提供しているので、参加してもお腹を空かせずに済む。
ちなみに、スタッフさんの内の一人が商店を経営しており、そこが出張販売しているという形式のようだ。
飲み物も、お店の備品だろうか、クーラーボックスに詰め込んでおり、冷たいまま提供してくれるのが嬉しい配慮だ。

パンフレット内の読み物も、非常に親切で、かつためになる読み物だ。
「漫画を描いてみよう!」「コピー本をつくってみよう!」と言った、同人初心者をターゲットにした読み物を掲載している。
漫画をつくる/コピー本をつくるノウハウの解説に止まらず、漫画づくりの面白さや、コピー本の楽しさにも触れている。
この読み物を参考にする事で、今までポスカやシール等一枚絵の作品で勝負していたサークルさんが、漫画本にも挑戦してくれれば、サークルさんの表現の幅が、ひいては同人誌即売会即売会自体の表現の幅が広がる。
親切であり、かつ同人文化を育てる、ためになる試みだと思う。

今回は、主催氏とも直接お話する機会に恵まれた。
(そういえば月面着陸の主催氏とは、昔とあるご縁でメールのやり取りしたよな…とご挨拶する段になり思い出したw)
お仕事の都合で鳥取を離れる事になる、という事で次回以降の開催は未定だ、と去年当たりにお聞きはしていたのだが、鳥取市内は最近即売会も無いし…という事で今回の開催を決断したとか。(確かに、今回チラシ置き場を拝見しても、即売会の告知チラシは無かった。)
鳥取を離れても尚、鳥取の同人事情を気遣い、無理してでも即売会の「場」を提供し続ける。その根性に、私は最大級の敬意を払いたい。

事情あり、次回からは会場を移動する方向らしいが、明るい会場、特に野外でコスプレができる会場に「こだわり」をお持ちのようだ。
今回の会場も、外の光の明るさを取り入れるなどし、開放的な明るい雰囲気づくりを目指している。
だからこそ、アクセスの不便さに目を瞑っても、(光度的な意味での)明るさのある、この会場を敢えて選定しているのだろう。

会場の(光度的な意味での)「明るさ」にこだわり、その「明るさ」を以て、会場の雰囲気づくりに寄与したい。
主催側は、そこに「こだわり」を持っている。
今まで光加減のもたらす雰囲気への影響なんぞ考えたこと無かったが、確かに、言われてみれば一理ある。
一つの考え方、価値観として傾聴すべきものである。また一つ勉強になった。

まあ、ただ私としては…アクセス面でバス30分片道500円はなかなか大変なので…次の会場は、もっとアクセスの良い会場を選定いただきたい、とも思うが…

総括してみると、この「月面着陸」は、主催の「こだわり」と「親切」そして「地元鳥取への思い」、これらの目立つ即売会であったと思う。

鳥取県の即売会は、以前はもう少し、個人主催による即売会も多かったが、ここ最近はイベント開催が少ない。
鳥取市も、前はもう少し色々即売会があったはずだが、最近は開催の動きが見られない。
次いつ即売会が開催されるか分からない、と感じたからこそ、私も無理やり鳥取入りしているのだ。

鳥取を離れるなど、今後主催を続けるに制約が大きい事情は承知していても、数少ない定期開催の即売会。かけがえの無い良即売会だ。
何とか頑張って、次回以降も継続いただきたいものである。

鳥取は、西部(米子市など)も定期開催の即売会が減ってるが、それでも兵庫の同人誌即売会「S.I.N.」が米子に進出するなど、新たな動きもある。
仮に米子から即売会が消えたとしても、近隣の松江には、老舗の名即売会「花鳥風月」もある。花鳥風月に参加すれば事足りるかもしれない。
だが、鳥取市など東部は、松江も距離が離れており、若い世代が気軽に行ける環境でもない。
鳥取県東部に住む若い世代が、気軽に参加できる「場」を、松江に担わせるは無理筋である。
やはり、東部の代表都市である鳥取市内にこそ、即売会が必要だ。
その灯を守るためにも、「月面着陸」には頑張っていただきたい、と強い応援の意を申し上げる次第である。


最後に、このブログの記事について、補足で申し上げたい。
当記事は、2012年7月22日の即売会訪問後、帰りの汽車の中で書き上げ、即日アップしている。
しかしながら、急いで書いたせいか粗があり、配慮を欠いた不適切な発言が見られ、ご指摘もいただいた。
他の即売会主催と思しき方からの、自分達のイベントを否定された、とのご立腹のお声も拝見した。

STRIKE HOLEは、地域で頑張る同人誌即売会を応援する、という趣旨である。
そのような意図は決して持たない。というか持ってはならない。
…とは言え、そう申し上げた所で、言い訳にしかならないだろう。
そのように捉えられてしまったのであれば、それは、私の文章の拙さが生んだ自業自得であり、不徳の致す所である。
お叱りのお声は、甘んじて頂戴するつもりだ。

私は、事態を憂慮し、記事を上げた翌日に、一旦記事を取り下げた。
そして文章を精査。レポートの内容の大筋を変えないようにした上で、不適切な表現を見直し、再度掲載した次第である。

私の思慮の無い記事により、鳥取の即売会主催者及び関係者の皆様、そして鳥取の同人者の皆様方に多大なるご迷惑をお掛けした事を、謹んでお詫び申し上げたい。
特に、今回当方の記事に不快の念を示された他主催様には、一度直接お会いして頭を下げたいと思う。
今後仮に即売会を開催されるとするのならば、スケジュールの都合次第だが、サークルとして参加し、会場にて主催氏にお詫びしたいとも考える。
他の地域でチラシを配布すると言うのなら、チラシ配布等協力しても良い。
何かイベント運営の中でお手伝いできる事があれば、協力したい。

現在の鳥取市には、今後開催される即売会の予定は無い。
だが、今後何かしら即売会を開催すると言うのなら、鳥取の同人世界の盛り上がりに繋がる。私も応援したい。
これから、新たな即売会の開催予定が出てくる事を、心から祈念申し上げたい。