全都道府県の同人誌即売会探訪を目標とするSTRIKE HOLEの花羅だが、7月22日鳥取来訪をもって、45都道府県目を達成。
残すは山形・山口の両県のみである。

コミケ前という事もあり、都内では余り即売会は無く、サークル参加でもない身としては、正直「暇」である。
そこで今回、東日本大震災の被災地でもある、松島や石巻の観光も組み合わせ、山形の同人誌即売会に顔を出す事とした。

今回来訪の即売会は、「おでかけライブin山形」。
即売会開催の全国展開を継続する企業・ユウメディアが手がける即売会であり、山形を代表する即売会の一つである。
会場は、山形の展示会会場「ビッグウィング」。
山形駅からもバスは出ているものの、土日は本数が少ないので使いづらい。
山形駅から二駅、奥羽線/仙山線の【羽前千歳駅】から少し歩く(徒歩15分)が、羽前千歳ルートの方がまだ使い易いだろうか。

会場に到着したのは、開場の約10分前。
この時点で、初動待機列は約200。
屋内に来場者を並べているが、他イベントの迷惑とならぬよう、外警備スタッフが列整理をしっかり行っている。
そのせいか、大きな混乱も無く、列形成も整然としていた。

また、待機列参加者向けに、カタログ売りも行っている。
参加者も並びながらサークルチェックができるし、入場もスムーズに進むので、参加者にとってメリットも大きい。
他地域のイベントにも、是非見習って欲しい、気の利く取り組みである。

参加者層は、一部中高生も見かけるが、大学生〜20代前半が多く、他地域の即売会よりも「やや高め」の印象。
とは言え、20代半ば以降のベテラン層、年長者層は少なかったような気もする。
男女比は1:9ぐらいだろうか。地方即売会のスタンダードを地で行く、若い女性陣中心の祭事という印象。

また、待機列のカート率は3〜4割。
カートを引く=コスプレ参加、と見なして問題は無いと思うが、3〜4割は他地方の即売会に比べ比率は高いと思う。
コスプレ参加の多さや、やや若めの世代の参加の多さが、この地域の特徴かもしれない。
私は7月15日に、「おでかけライブin大分」にも顔を出したが、参加者層・参加形態等、今回の山形と対照的である。
同じ「おでかけライブ」であっても、地域により違った特徴を持つ。地域差がある所も、参加して面白みを感じる点の一つである。

サークル参加規模は、108sp。地方即売会のサークル規模縮小が進む中、100spを維持できており、健闘していると思う。
最大手はヘタリアで14sp。全国的にイナズマイレブンの台頭が目立つ昨今において、今なおヘタリアが健在な当たりが興味深い。
次いで雑貨12、イナイレ9、忍たま10、ボカロ8…と言った具合。
全国どこでもお見かけするはずの東方Projectは、2サークル程度。珍しいが、こういうケースもたまに見かける。男性参加者比率の小ささも、東方の少なさと因果関係はあるかもしれない。

開場は11時だが、事前に待機列にカタログを売るなど工夫ある取り組みのお陰で、入場もスムーズ。5分もかからず会場入りを果たせたのは有り難い。

先述の通り、参加者の3〜4割が更衣室に消えていったので、入場者数の割には、会場は空いていたような気が。
会場が空いてるのをいいことに、じっくり全スペースを回る。
何故か「夕張まんがまつり」でお会いしたサークルさんとここで再会、全国即売会の情報交換ができたことも、有意義な成果だった。
ただ、頒布物のラミカ率が異様に高かったのも、この即売会の特徴だろうか。いや、一列全てに本無し・ラミカのみなんてのは初めて見たかな…ここまで多いのもまた珍しい。
見た限り年齢層は「やや高め」。年齢層の高さとラミカ率は反比例する傾向にあるが、この傾向と反する現象となり、珍しい思いを抱く。

流石に普段同人誌中心に購買している身。
同人誌分をもう少し補充したいとの思いに駆られ、委託コーナーを漁るw
考えてる事は皆一緒だろうか?委託コーナーは、そこそこ混み合っていた。

過去「おでかけライブ」を見た中では、富山がそれに近いだろうか。
同人誌を求める買い手のニーズと、ラミカ中心のサークルとで、需給のミスマッチが起きている。
逆に言えば、サークルさんにとっては、本に挑戦する「チャンス」ではないだろうか。
買い手が本に飢えているから、手に取って貰える可能性が、高まるからだ。

とこんな感じで「おでかけライブin山形」を語ってみた。
総括すると、地元の同人者にとっての貴重な交流の場であり、若い方々の活気に満ちた良即売会と言えよう。
今後も、継続・安定開催を果たされる事を願いたい。

最後に、一つ申し上げたい事がある。
この「おでかけライブin山形」は、2011年3月11日の東日本大震災発生の際、震災の翌々日に開催を予定していた。
山形も震度6を観測し、交通機関にも影響出る中、中止を決めてもおかしくはなかっただろう。

だが、会場の安全性等を確認。開催に耐える環境たることを踏まえた上で、即売会開催を決行した。即売会を開催する事で、「震災には決して負けない」とのメッセージを世に発信している。
震災に屈せず、頑張り続ける即売会として、この「おでかけライブin山形」は、私の心に深く刻み込まれている。
このような強い思いで頑張る即売会に、全国制覇終盤のこの時期に参加を果たせた事は、私にとって大きな喜びである事を申し上げ、この記事の結びとさせていただきたい。