2011年から札幌市内で立ち上がったオールジャンル同人誌即売会「CO.mix」。
初回が同じ札幌の同人誌即売会「Elysian」と被り「ちょwおまえらその日程で大丈夫か?」と心配になった事もあったが、常時30〜40サークルを集め、結果を残しつつ安定・継続開催を実現している。

また、若い女性陣をメインターゲットに据えての即売会、というコンセプトにも、私は強い興味を持っていた。
若い女性陣は、同人初心者が多い。
同人初心者が気軽に参加できる場の存在は、同人の裾野を広げる働きを持つ。

「CO.mix」の定期・継続開催は、同人者の裾野を広げ、加えて若い同人者に活躍の場を与え、成長させる事にも繋がる。
そういう意義を持つ即売会として、以前より注目し、心中応援していた。

とは言え、私はあくまで男性だ。
若い女の子をターゲットとした即売会に、自分がサークルとして参加するのも「場違い」かな?との気後れはあった。
興味を抱き、機会あれば一度は参加しようとは思えど、一般参加で済まそうとも考えていた。
しかしながら、去年代表氏とご縁有り、メールでのやり取りを若干ながらさせていただいた。
その中で、「一度はCO.mixに参加し挨拶させていただきたいが、私のような野郎、評論サークルが参加しても大丈夫なのか?」という意の事を申し上げたことがあった。
これに対し、代表氏より、最近は男性のサークルさんも増えてるので大丈夫だ、という旨のお話をいただいた。

確かに、実際参加してみて、男女比は1:10ぐらい。女性陣の参加が多数なのは事実だが、地方即売会でそれは当たり前の話。
一般的な地方即売会の男女比と変わりはなく、男性少な過ぎ/女性多過ぎとまでは断言できまい。

男性参加者も居るのなら、私が参加しても大丈夫かな…?
そう判断し、今回、北海道新進の同人誌即売会「CO.mix」にサークル参加させていただく運びとなった。

但し、当日の札幌市内は猛吹雪。道内交通機関の乱れは、尋常ならざるものであった。
翌日は仕事のため、必ずや当日中に帰京せねばならない。そこで大事を取って、11:30にはサークルを撤収させていただいた。
11:00開場だから、僅か30分の滞在に過ぎない。
残念ながら非常に短い即売会滞在ではあったが、その中で見聞きした事をお話させていただきたい。

会場は、大通公園・さっぽろテレビ塔にもほど近い、【札幌市民ホール】。
「テイセンホール」「アスティ」等と共に、同人誌即売会でも多用されている人気の会場だ。
会場代が安い分、サークル参加費も安く抑えられるから、「CO.mix」のような若者向けの即売会にぴったりの会場だ。
また、会場も綺麗なので、女性陣にも好評と聞いている。

立地は、地下鉄大通駅から徒歩7〜8分。テレビ塔や札幌市役所が眼前で、アクセスも便利。
この日は市内も猛吹雪だったが、市民ホールのそばまで地下道が伸びており、屋外を通らずに済んだのはありがたい。
…ただ、それでも、地下道出口から会場入口までの僅か10m歩くのに死ぬ思いだったが…それだけの猛吹雪だった。

主催のガール社は、元々は腐女子界隈の評論を生業とするサークル。当然、メンバーは皆女の子だ。
ガール社刊行の同人誌も拝読したが、彼女らは、腐女子にまつわる理論に長けた方々だと感じる。
だからこそ、若い女の子向けの即売会を開こうとしたわけだし、若い女の子の目線に立った運営ができる訳だが…
ただ、メンバーが皆女の子という事もあり、スタッフも皆女の子。野郎は一人も居ない。
別にそれ自体は成り立ち考えると理解可能だし、納得もできるが、珍しいなとは思った。
重たい荷物を運ぶなど、男手が必要な時は大丈夫かな?との心配もあるが、本当にヤバかったら、チラシ撒きに来ている「カ●スフェスティバル」や「E●ysian」の主催でも強制徴用すれば良いだろうw(ひでぇ

コスプレは可能だが、女性のみ可としている。更衣室も、女性用しか用意されていない。
若い女の子ターゲットの即売会という事もあろうし、スタッフも皆女性だから、男性更衣室の管理はしんどいはず。
珍しい運営形態だとは思うが、これもこのイベントの成り立ちを考えると、自然な流れだとも思う。
ちなみに、最初の30分を見た限りは、コスプレイヤーは皆無だった。
この荒天もあるし、市内余所の会場でコスプレイベントが開催され、バッティングしていた影響もあっただろう。

「CO.mix」のもう一つの特徴は、毎回テーマを決めてのプチオンリーを開催している事だ。
過去は「ヘタリア」だったり「まどか☆マギカ」だったり「マギ」だったり、毎回変わっているが、これは参加者からアンケートや投票を集めて決定する。参加者の意見を聞き、運営に反映させようとする姿勢の現れだ。
今回は「創作」。私もメインが「評論・情報」だから、創作に入るよね!という事でプチオンリーに申し込んだw

また、若いサークルは多ジャンルにまたがり活動を行う「よろず」のサークルが多い。良く言えば「多種多様」だが、「混沌」「雑多」とも言える。
予めプチオンリーのジャンルを決めておけば、よろずサークルの中には、プチジャンルに合わせ何か作品を作ろうと考えるサークルも出てくる。
普段他ジャンルメインでも、プチに合わせ何か作ろうとするサークルも居るだろう。
結果、同時併催のプチオンリーのジャンルが、そのイベントの雰囲気をつくり出し、イベントを引っ張る存在となる。
今回も、創作プチ参加が半数近くに達している。
毎回プチオンリーのジャンルは替わるので、場の雰囲気も、毎回少しずつ変化していると思う。
場の「メリハリ」を付ける効果も見込めるのではないか。

プチオンリーには、「参加サークルは必ず一点、同人誌を出すこと」というルールが設けられている。
このイベントは、若手のサークルが多い。若手サークルだとどうしても小物・グッズ類が多くなりがちだ。
そこで必ず一点本を用意して貰うというルールを定める事により、本づくりの面白さも味わっていただこうとの狙いを感じた。

地方即売会、とりわけ若い方の多い即売会は、全体的に本頒布のサークルが少なく、買い手の不満となりがち。
委託コーナーの同人誌に買い手が群がる、という現象が生じている地域もある。
言わば、買い手とサークルとのミスマッチの発生だ。
「CO.mix」の試みは、本の頒布を促す事により、このミスマッチを是正する効果も期待できそうだ。
(とは言え、主力がラミカで、同人誌は申し訳程度のサークルさんも少なくなかったかな…それでも本にチャレンジしていただけるのは、買い手的には嬉しかったりもする。)

また、買い手の購買を促す意味で、シールラリーの企画も用意されている。
サークルの作品を購入した一般参加者のカタログにシールを貼り、シールを集めると記念品を贈呈するという、定番企画だ。
ただ、「CO.mix」のユニークな所は、サークル参加者が自作のシールを用意する事ができる点だ。
サークルにも、自作のシールを通じ、遊び心や個性を発揮できるという楽しみがある。
勿論、シールをつくる余裕や技量が無くても、運営側がシールを用意してくれるから安心だ。(スタッフが、プチオンリー参加サークルを巡回し、シールを配っていた)

ただ今回は、荒天の影響大きく、一般参加者が少なかった事、これが残念だ。
(とは言っても、私の滞在は最初の30分。尻上がりに参加者が増えていった可能性もあるが…)

一般参加者の初動は、僅かに数人。
よく見ると、サークル参加者ですら、開場直前でも半分程度しか埋まっていない。

ただ、15分〜20分位経つと、サークルも埋まり、一般も幾分埋まってきた。
考えてみれば、この日は荒天ゆえ、札幌近郊見ても、JRは通常の4〜7割に運行本数を間引きしていた。普段より時間がかかるのは当たり前だ。
バスも、この豪雪だ。運行していても、普段より時間を要する筈だ。
遅刻が多かったが故に、初動が小さかったとも考えられよう。
時が経過するごとに、参加者も増えていったと思われる。
(とは言え、この吹雪の中、外出を控える方も少なくなかった筈。多少後半盛り返せたとしても、普段より人出は減っていただろう)

纏めると、「CO.mix」は、「若い女の子をメインターゲット」とした即売会であり、女性に参加しやすい即売会を心がけつつ、男性サークルも歓迎していただける。
プチオンリーの同時併催に見られるように、独自の工夫も見られる。
また、「参加者の声を運営に繋げる」ことは主催としては当たり前のことなのだろうが、プチオンリーのジャンルを参加者からの要望に基づいて決める等、ちゃんと実践している。
そういう地道さがあるからこそ、毎回40サークル近くが集まり安定し、7回も継続できるのだろう。
今後も、若い世代の「受け皿」となる即売会として、頑張っていただきたいと思う。
私も、機会あらばもう一度参加し、今回僅か30分しか滞在できなかった無念の「リベンジ」を果たしたいものであるw