3月20日、私は福岡県久留米市開催の、河城にとり中心・東方Projectオンリーイベント「ちかっぱかっぱ!」にサークル参加させていただいた。
サークルも60サークルを集め、多くの東方クラスタの参加を得た良即売会であった。
ただ、このイベントを語るに先立ち、私はこのイベントの主催団体名(=「東方久遠境 時代」)でもあり、前身イベントでもある「東方久遠境」の存在について語るところから始めたい。
「東方久遠境」について語り尽くした上で、「ちかっぱかっぱ!」についても語る事としたい。


【第一期/2009〜2010年】

「東方久遠境」は、2010年2月、福岡県は久留米で開催された東方Projectオンリーイベントである。
当時の主催は、NPO法人Project Arbalest(現在「あるばれすと365」と改称)。当時、福岡市内にて、オールジャンル同人誌即売会「tenjin.be」を開催していた。
地元で既存即売会を率いていた団体が、東方オンリーにも進出、という地方開催の東方オンリーにおいては、よくあるパターンの一つである。

背景としては、前年の2009年に、九州では初めての東方オンリー「博多東方祭」(現「大9州東方祭」)が初開催、成功を収めていた。
これを受け、触発されたものと考えられる。
他地域の東方オンリーでもチラシを配布し、私も「東方紅楼夢」他幾つかの本州東方オンリーでチラシを配布する等のお手伝いをさせていただいた。

ただ、寧ろProject Arbalest側は、【地元での告知】を重視していた節がある。
福岡県内の即売会をこまめに回り、西鉄の駅に久遠境のポスターを貼る等のアプローチも試みた。
また、女性参加者に優しい東方オンリーを目指したい、なんて話もお聞きした。

一応懸念していた点もあった。
もう過去の事だし言ってしまうが、開催動機の一つに、大9州東方祭への反発心らしきものが見え隠れしており、それが私の中では引っかかっていた。
ただ、動機にそういう邪念が含まれていようとも、彼らが一生懸命に告知等の努力を重ね、イベントに向け頑張っていた事もまた事実である。
そう言った努力の甲斐あり、2010年2月に開催された「東方久遠境」は、100サークル/一般1000人参加の「大台」を達成した。
この大台を超える東方オンリーは、東京以外では数えるほどしかない。
この数字を超えたイベントを、大成功を収めた「注目即売会」として私は見ている。
努力を積み重ね結果を出せた事、これは素直に評価すべきである。

ちなみに久遠境は、2010年5月に佐世保でも開催した。
オールジャンル即売会・コスプレイベントとの合同開催の形式で、東方サークルは20程度集った。
長崎県内では初の開催、また佐世保が元々のProject Arbalestの地盤たる事も後押し。福岡に比べ規模は落ちたものの、それでも400人以上が参加。ここでも結果を残した。

久遠境の意義は、単に結果を出せた事だけでは語れない。
私は、既存東方オンリー(というか大9州だが…当時九州にはあそこ以外に東方オンリーは無かったし)と違ったアプローチで結果を残せた、という点に意義を見出している。

九州は、東方ジャンルの盛んな土壌の地域だ。
もっと多くの東方オンリーが出てきても良いのでは?とも思っていた。大9州とは違った切り口の東方オンリーが出ても良いのでは?とも思っていた。
大9州がオンリーワンとして君臨するよりも、複数の東方オンリーが切磋琢磨し合う。その方が、九州の東方界隈も厚みを増し、より安定した賑わいをもたらす、と考えたからだ。
九州の東方オンリーは、大9州だけであってはならない。

「東方久遠境」は、九州に燃え上がった東方の勢いを更に勢い付け、東方人気を安定させた役割を持つイベントとして、私は位置付けたい。

また「久遠境」は、東方オンリー開催をより身近なものとし、他の地域での東方オンリー勃興にも寄与した存在としても、その意義を感じている。

既存の東方オンリー…大9州東方祭は、確かに素晴らしいイベントである。それは間違いない。
だが、500sp以上の規模の巨大な存在。同人サークルの生ライブ等、大掛かりな企画も多い。
大9州の存在に触発されたとしても、気軽に真似できないレベルだ。
大9州は「高嶺の花」過ぎる。

もし九州の東方オンリーが大9州だけだったら、他の東方オンリーも開催しようと言う気になれたかどうか。
九州の東方オンリーは大9州しか存在しない。大9州が、九州東方イベントの「全て」または「スタンダード」となってしまう。
だが、あれだけのイベントと同じ物を求められても、それは厳しいだろう。
「俺も同じように東方オンリーやってみよう!」とはならない。

久遠境は、久留米で100sp規模。佐世保は20sp規模。大9州に比べれば、確かに小規模な存在だろう。
だが、これから東方オンリーを開こうとする向きには、手近な目標となる存在でもある。
久遠境の存在は、東方オンリーが大9州のように巨大でなくとも構わない、という事を教えてくれている。

加えて、久留米や佐世保という、やや小さめの規模の都市で開催を成功させたという点においても、意義深いものがある。
福岡や北九州のような大都市でなくとも、充分開催に耐え得る。久遠境の成功は、この事を証明している。

実際、熊本「幻想肥後之祭典」や鹿児島「鹿児島神楽祭」は、久遠境以後に開催を志している。
特に前者は、久留米で開催された「東方久遠境」を現実的な目標に据え、イベントに臨んでいた。

大きな都市でなくとも、そして大きな規模でなくとも、東方オンリーは開催できる。
久遠境の成功は、このことを示す事により、他の東方オンリーがイベントを立ち上げやすい環境を、結果的に整えている。そう考えられるだろう。


「東方久遠境」は、こうして一定の成果を上げた。
しかし一方、主催団体たるProject Arbalest自体の機動力や行動力は、極めて弱体化していた模様だ。
これまで定期開催を続け、好評を博していたオールジャンル同人誌即売会「tenjin.be」は、前年2009年秋開催をもって打ち止めに。
2010年4月に別イベントを開催したものの、このイベントは手抜きっぷりが酷く、流石に私もボロクソ叩いたぐらいだ。だが、この手抜きも、Project Arbalestの行動力や機動力が衰えていた事の裏返し、とも考えられる。
この年2010年5月の佐世保イベント、そしてオフ会的イベントを以て、Project Arbalest全ての活動が、一旦休止した。

ちなみに、そのオフ会イベント「東方久遠境 町内会」こそが、翌2011年に復活する「東方久遠境」(→これを「第二期」と称す)の伏線的な存在ともなっている。


【第二期/2011年】

2011年2月、突如として「東方久遠境」は復活した。
2011年6月長崎・11月久留米、2つの即売会開催の他、東方を絡めたフットサルイベントの開催等、即売会の枠に囚われない東方イベントも志向していた。

名目上の主催は、これまで通り「Project Arbalest」だ。ただ、主催陣の体制が変化している。
Project Arbalestの中心メンバーは敢えて一線を退き、より若い人達を実質的な主催に据える。
そして、旧来の中心メンバーは、後方支援をしつつ若手にノウハウの継承を図る…。

Project Arbalestは、(これまで中々実現しなかったが)「後進の育成」を考え続けていた節がある。
そのテーマに則り、また実現を図ろうとしての、新体制である。

加えて、第一期の項でも触れたが、Project Arbalestは機動力や行動力が、相当衰えていた。
若手に第一線に立ってもらう事で、Project Arbalestの機動力や行動力の衰えという弱点もカバーできる。
後進を育てつつ、弱点も補う。一石二鳥の新体制だと思った。

私が期待し注目していたのは、新主催陣の中の、1人の女の子(以下、L氏と記す)だ。
彼女が、第二期久遠境の中心メンバーとなるのだが…

2010年「第一期」の最後(2010年5月)に、オフ会イベント「東方久遠境 町内会」が開催されたが、元々は音楽イベント(演奏会)を開催する予定だったそうな。
しかし、諸事情により、開催1週間前に急遽中止。会場は抑えているし、直前だからキャンセルも利かない。
そこで急遽代替イベントとして開催が決まったのが、この「東方久遠境 町内会」であった。
ステージを利用しての「踊ってみた」企画等も用意し、東方好きなら誰でも気軽に集える社交場的イベント、オフ会的なイベントだ。
この「町内会」は、急な立ち上げにもかかわらず、100人以上が来訪し、盛り上がりを見せた。

立ち上げから僅か一週間で成功と評せる所まで持ち込んだ、その巻き返しには驚いたが、この立役者の一人が、第二期久遠境の中心となるL氏であった。
L氏は即売会主催としては初めてとなるが、「町内会」成功の「立役者」と聞いた。
主催経験こそ無いにせよ、町内会の盛り上げに寄与した実績もあり、場を盛り上げる能力が高い方なのでは?とも期待した。

元々、第二期の久遠境は、「毎月久遠境」と題し、即売会の枠に囚われない、多様なイベントの開催を目論んでいた。
その中には、「町内会」のようなオフ会的なイベントも含まれていた筈だ。
同人誌即売会も普通に期待していたが、寧ろ即売会「以外」の分野で、L氏らの若い感性が活きるのでは?との期待も強かった。
最終的には、東日本大震災の余波を受けた、九州東方イベントの開催スケジュール流動化の影響もあったのだろう、開催イベント数は大幅に減少したのだが…
L氏が「町内会」で見せた力量が、充分活かし切れなかったような気も。そこがいささか残念か?

ただ、即売会自体の運営は確実に行われたと思う。
若手が主催として先頭に立ちつつ、Project Arbalestの中心メンバーが持ち合わせている即売会運営のノウハウを以て、若手をサポートした様子が見受けられる。
その甲斐あって、サークルも50〜60サークルは集まった。
長崎開催も、久留米開催も、順当に終わった印象だ。
久留米こそ前回からサークル数を半減させているが、これは会場も小さい箱とし、募集数も抑えている…小規模志向も影響していそう。

なお、余談だが、長崎の久遠境(2011年6月開催)においては、悪の組織としてお馴染みマジキチ軍団【UPFG】が、傘下8サークル合体での申込みを敢行した。
久遠境側もよりによって奴らの合体申込を受けてしまうわ、長崎のイベントは昔からの慣例とかで1spが机1卓割り当てられるわ…結果、机8卓合体、恐怖の【UPFG島】が完成するという悪夢に見舞われるw
主催達の預かり知らぬところで、久遠境には、マジキチ軍団UPFGの悪の魔の手が伸びていたのであったw
…しかもこれ、第三期久遠境(というか2013年3月20日開催「ちかっぱかっぱ!」)を語る上での、何故か「伏線」ともなっているw

いずれにせよ、第二期の久遠境は、若手の行動力や発想、Project Arbalest側の運営ノウハウ、それぞれの強みが相互に補完し合って成功に導かれたものと考える。
若手に仕事を任せ、若手を育てようとする考え方にも、強い共感を抱く。
もっとも、即売会「以外」の分野におけるアプローチに期待が強かったが故、最終的にそれがフットサルのみだったのは些か残念だった。ただ、これはスケジュールの兼ね合い等、諸々事情もありそうだし、仕方ないかもしれない。
こうして第二期は、体制を一新させて無事成功を収めた。

そして、その次に来るのが、「第三期」である。

第三期は、更に体制が変わる。
第三期の新体制での主催達が開催した即売会が、2013年3月20日の河城にとり中心・東方Projectオンリー「ちかっぱかっぱ!」である。
次回は、久遠境の第三期、そして私が参加した「ちかっぱかっぱ!」について詳しく語りたい。