世の中、「上には上がいる」という言葉がある。
私も昨年冬には「全都道府県の同人誌即売会を制覇した!全国制覇だ!」などと息巻いていたものだが、私の上を行く方も、当然いらっしゃる。
その方は、私以上に全国各地の同人誌即売会を熟知している。私の知らない同人誌即売会を沢山ご存じだ。
しかもその方、西日本の在住。どこかに足を運ぶにせよ、地勢的な問題から、首都圏在住の私よりも条件は悪い。
にも関わらず、多くの即売会を熟知するその方に、私は一目置いている。
(あ、ちなみにその方と初めてお会いしたのは、北海道の夕張市ですw その次にお会いしたのは山形なw)

その方から、面白い即売会があるよ、3つの即売会をご紹介いただいた。
その内の一つが、今回お邪魔した苫小牧の同人誌即売会「まるうたげ」である。

9月22日は、全国各地で有力即売会・注目即売会が目白押しの日であったが、私はそのどれにも足を運ばなかった。
そして敢えて、苫小牧に足を運んだ。
その方にご紹介いただき、前から気になっていた即売会、この機会に覗いてみよう。そう思い立っての事である。

この即売会、普段は「まるうたげ」名義で開催している。
しかしながら今回は、スペシャルバージョンとしての位置付けなのだろうか。イラスト展示会「職人市場」やスタンプラリー企画を併設する等、動きがアクティブだ。
イベント名も、「やること山盛りまるうたげ」として、名の通り、取り組みも山盛りであるw
コスプレも、今回限りで解禁としている。そのせいか、大きな荷物を抱える方も散見した。

会場は、苫小牧の駅から南に約1キロの「労働福祉センター」。
バスの便は無いので、駅からは徒歩(約15分)かタクシーでのアクセスか。
私は、苫小牧駅構内の観光協会がレンタサイクルを運営している事を聞いたので、自転車で会場入り。約5分の所要時間で、快適なアクセスだったが、冬開催時や雨天時は使いにくいだろうか…雨に遭わず助かったw
駐車場が充分な広さなので、車での来場が多かったとお見受けする。学生さんは、親御さんに車で送って貰った方も、少なくなかったようだ。

苫小牧でチラシ配ってくれ、何故か【西日本方面】のイベント主催から依頼を受けていたので、開場前のチラシ配布を申請。
この時、主催氏にも挨拶させていただいた。
私が関東から来たと申し上げると、驚かれたようで、「どうやって知ったのか」と尋ねられた。
とある遠征参加のサークルさんからの紹介で、と答えたら、更に驚かれてしまった(汗)
基本、地元の方々の集う即売会なのだろうが、時折遠征で訪れる方もいらっしゃるようだ。

主催氏はも気さくな方で、チラシの件も快く受け入れていただき、大変ありがたかった。
私も任務を無事達成し、肩の荷が下りたw


10時30分が開場だが、その少し手前、10時15分頃から、一般参加者の列形成が始まる。
初動は、おおよそ40〜50人ぐらいだろうか。
予定よりも少し遅延したものの、10時45分頃に一般参加者入場、となった。

さあサークル回るか!と思いきや、一般参加者はサークルに寄ってはいけないらしい。
「サークルさんとこに寄り道せずにまっすぐ前に来てください〜」とスタッフからの呼びかけもいただく。
とりあえず言われた通りまっすぐ進み、ステージ台のそばで待機させられる。

ステージ上から、主催氏の挨拶があり、それを拝聴。
また、イベント参加上の諸注意的なものも聞いた。
これが終わったら、解散&自由行動。サークル回りも解禁となる。
地元の方はこのしきたりに慣れてるかもしれないが、私は初めてだったので、少し戸惑ってしまったw

諸注意といっても、そんな重たい性質のものではない。
マナーを守りましょう!といった呼びかけも少々あったが、寧ろ今日のイベントに関するご案内的な要素が強かった。
今日はコスプレやりますよ。このステージがコスプレスペースになりますよ。スタンプラリーやりますから、どんどん交流して、どんどんスタンプ集めて下さいね!
そんな感じの、イベント内容に関する、案内・説明的な要素が強かっただろうか。

一通りの案内が終われば自由行動。お待ちかねのサークル回りだ。
規模的には、65サークル・100spぐらいか。
会場内は机椅子できっちり埋まり、余ったスペースも無いので、おおよそ満了と見て良いだろう。
昨今の、オールジャンル同人誌即売会衰退の潮流を鑑みると、相当健闘していると思う。

ジャンルは、相当バラつきがあり、特に強かったジャンルも見当たらない。
某バスケや進撃の巨人、ボカロ、東方といった地方即売会定番のジャンルは、この即売会においても健在だ。

頒布物傾向としては、本少なめ、グッズ多め。
地場の即売会ありがちの傾向だが、それは苫小牧でも同様だ。
ただ、この即売会に関しては、【便箋】の頒布が目立っていた。
最近は小物グッズ系を頒布するとしても、便箋からポストカードへシフトする傾向を見いだしていたので、少し珍しいな、とも感じた。

参加者は、一般は中学生・高校生といった若い世代ばかり。
スタッフやサークルはもう少し年長で、大学生〜社会人が中心になっている。
男女比は2:8ぐらい、といったところか。

今回はイベント名も「やること山盛りまるうたげ」という事で、楽しみな要素を、色々盛り込んでいる。そこについても取り上げたい。

今回限りということで、コスプレを解禁。ステージ上をコスプレスペースに充て対応した。
ただ、普段からコスプレ可のイベントでないこともあって、そんな多くはなかった。だいたい十数人ぐらいだろうか。
普段私がお見かけする、全国各地の地場の即売会とは、傾向が異なっているようだ。

もう一つの企画「職人市場」は、所謂イラスト展示会である。
イラストは、当日受付にて参加可能。サークル参加者以外も、気軽に参加できる。
テーマは不問。版権もオリジナルもOKだ。
(そう言えば、パンフのイラストはオリジナルの方が良いのでは?みたいな参加者からの声に対し、パンフ上で、ウチでは書きたいものを自由に書いて貰いたいい、と主催氏が述べられていた。書きたい物を好きに書いて欲しい、という部分で相通じるものがあるかな?)
作者の好意で贈呈されるイラストには応募ができる。
また、贈呈の可否に関わらず感想を投稿できるようにもなっており、イラスト展示を通じて「交流」を図れるように取り組んでいる。

そして最後のスタンプラリー。
これが特筆もの…というか主催氏の強い思い、強い願いが込められているように思えた。
普通、即売会のスタンプラリーは、本買ってスタンプ押してもらうのが基本だが、ここは少し違う。
本を買わなくとも、サークルのペーパーを受け取ってもスタンプを押してもらえる。
コスプレイヤーの写真を撮ってもスタンプ対象だし、前述「職人市場」に投稿/応募してもスタンプの対象だ。
スタンプの対象を、「交流に繋がる事全般」に広げ、即売会という場を通じ、皆が積極的に交流を図って欲しい!そんな思いを感じた次第である。
開場時の主催挨拶にて、「どんどん交流して、どんどんスタンプ集めて下さい」という意のお話をいただいたが、これもまた、その思いの表れであろう。


今回の「まるうたげ」に参加してまず感じた事は、当地お住まいの、地元の若者が集う場として頑張っている同人誌即売会、という印象。
それ自体は間違っていないとは思うが、それに加え、参加者皆で交流を図って欲しい!とする主催氏の熱い思いも感じた。
考えてみれば、同人誌即売会というもの、単に物を売り買いするだけの場に非ず。作品を媒介しての「交流」こそが本義である。
今回お邪魔した「やること山盛りまるうたげ」は、同人誌即売会の本来の「原点」を思い起こさせる、そんな即売会でもあったと思う。