5月25日、私は長野県内最大規模の同人誌即売会「コミックファクトリー」にサークル参加させていただいた。
松本で開催される「コミックファクトリー」への参加は、2008年秋以来、実に6年ぶり。
(但し、2010年秋、山梨県での出張開催分に参加している)

過去のイベントレポートは、以下記事をご参照いただきたい。(共に2008年秋の記事です)

元気の出てきた長野県の同人誌即売会 http://blog.livedoor.jp/analstrike/archives/51405719.html
11/23 長野県松本市 COMIC FACTORY http://blog.livedoor.jp/analstrike/archives/51406979.html

今回この記事を書くに当たり、当時の記事を読み返したが、当時と現在とで変わった点も多く、時代の流れを感じずにはいられない。
あの頃に取り上げたイベントの幾つかが消滅している一方、あの頃には存在していなかった「Quest Light」(長野市)が、地道にサークル参加を増やし、成長している。もちろん、今も昔も変わらず続いているイベントもある。

コミックファクトリーも、当然ながら、大幅に変わっていた。
サークル数も、あの頃は180spあったが、その後減少傾向に。2011年時点だと、私の記憶が定かなら130spぐらいだろうか。最近は100sp台前半辺りを推移していた。

これは、主催氏がリアル生活の都合上、松本を離れねばならず、松本での営業活動・告知活動が思うようにままならなかったことが、影響していたと思う。
それでも、副主催を置いていた頃は、副主催氏が事務及び宣伝活動等を代わりに行う等のフォローがあり、それほどの影響は受けていなかったと思う。
この副主催氏は、事務能力が結構高く、氏が居る頃のファクトリーは、事務の滞りも見られなかった。宣伝もしっかりしていた。
だが、諸々の事情あって、副主催氏がコミックファクトリーを抜けてからは(同氏はファクトリーから独立、長野市や松本市を地盤とする同人誌即売会「七味」を立ち上げている)、事務及び宣伝活動が弱くなっていった。
要となるスタッフが抜け、それを埋める体制を整え切れず、宣伝活動が弱体化。そのことこそが、サークル数減少の一因として見做せるだろう。
(今回も、チラシ作成・web更新等サークル募集の本格化は、2月に入ってからであり、5月開催という事を考えると、動きが遅いと言える)

一方、この「コミックファクトリー」は、サークルのロイヤリティ(忠誠心)が高い。
これは、6年前に参加した時も感じた事だが、今も尚変わることはない。
主催氏が、1サークル1サークルを大切にし、各サークルとのコミュニケーションを密に取っている。その結果として、サークルのイベントに対するロイヤリティ(忠誠心)が高まり、サークルも前向きに参加を考えるのである。

昨年冬、コミックファクトリーについて論じられた「せーやさんブログ」http://goo.gl/8tSVwfを拝見した。
この記事は、サークルの立場からの率直な意見であり、サークル目線を養う意味でも、全国全ての即売会主催/スタッフにご一読いただきたいとまで考える良記事だが…
この記事に、こんな事が書いてある。

>コミックファクトリーに参加したサークルなら知ってると思うけど、江戸yはかならずサークルに挨拶に回ります
>そのとき、必ず作品をみていってくれます
>時には感想をくれたり、たまに買っていったりしてくれます
>それは、普段ほとんど相手にされない ピコ手サークルにとって、非常に嬉しいものです

文中「江戸y」とは、コミックファクトリー主催氏のペンネームである。

私は、今年2月に長野市の同人誌即売会「QUEST LIGHT」にサークル参加させていただいた。
この記事を読んだ後だったので、気になってコミックファクトリー主催氏の動きを、サークルスペースから、可能な限り追っていった。
12時半過ぎから1時間弱は会場を離れていたが、それを除くと、11時の開場から、15時の閉会まで、ほぼ誰かしらのサークルと談笑し続けていた…
…この人、よくここまで、会話が続くよなあ(汗)…会話のネタ切れとか、起こさないのかしら?

こうやって、サークルとのコミュニケーションを深めていき、その積み重ねで、コミックファクトリーの「ファン」となるリピーターのサークルを増やしていったのだろう。
だからこそ、たとえ事務が弱くとも、宣伝が弱くとも、或いは他のイベントとくだらない諍いが起きお騒がせしたとしても、それでも崩れる事はない。
減ってはいるものの112spを集め、(ある意味別格な諏訪の東方オンリーを除けば)県内最大規模即売会としての地位を、キープしているのである。

先述せーや氏のブログにもあるが、主催氏は、ただ挨拶するだけでなく、必ず作品にも目を通し、活動内容を把握している。
イベントパンフの後書きを読み返して気付いたが、そこには、チラシイラストや挿し絵等で協力されたサークルさんに、御礼の言葉が記されている。だが、それだけでは終わらない。
一言二言程度だが、このサークルさんはこんな良さがあるから必見だよ!みたいな形で、簡潔ながらも、サークルさんの特長を紹介している。
参加サークルの作品に目を通し、その良さまで含め把握しているからこそ、こういうコメントが出てくる。
こういう感じで、作風まで把握して、1サークル1サークルを大切にしようとするからこそ、サークルのロイヤリティも高いのだろうか?
そしてそれが、多少の粗相があってもその影響を最小限に抑え、サークル参加数に繋げているのだろうと考える。

(今は無き、九州のジャンプ系作品オンリー「ジャンプ大血戦!」の雰囲気に似てるなあ…とも思った。 参照・12/23 福岡モルティ天神開催「ジャンプ大血戦!」に参加しました http://blog.livedoor.jp/analstrike/archives/51161669.html)


「コミックファクトリー」は、参加者間の「交流」も重んじている即売会だ。これも、6年前と変わらない。
6年前は、意識もバラバラになりがちな、サークルとコスプレイヤーとを、いかに交流させ一体感を保たせるかに、苦心していた。
今回は、そこら辺については特段手を打った様子は無かったが、主催氏が「てめーしつけーよ聞き飽きたわそろそろ黙れ」と言いたくなるレベルで、「交流」を連呼していたw
それだけ、皆に「交流」を図って貰いたい、との思いが強いのだろう。
まあそこまで連呼されれば、我々も、「交流せねあかんのかなあ」と意識に刷り込まれるw
私も、普段なかなか会えない遠方の友人に会えたり、また、新たな出会いもあったり…色々なご縁が深まり、収穫も大きかったと思う。
様々な方々との交流こそが、同人誌即売会の「醍醐味」。そう感じさせる同人誌即売会であった。

即売会自体は、全般的にまったり進行だろうか。
人出もそんな多くないし、決して売れるイベントとは言えないが、その代わり、ずっとしゃべり続けていたような気がするw

ジャンル傾向としては、創作・オリジナルが多い。
この即売会は伝統的に創作・オリジナルが多く、そこは6年前と変わらない。
他はバラけており、特に目立って多かったジャンルは無かったと思う。

少し気になるのは、頒布物傾向と参加者層である。
頒布物傾向としては、アクセサリーやラミカ等の小物類が多いのは他の地域と変わりは無い。
ただ、同人誌を頒布するサークルが多いな、とも感じた。

これは参加サークルの年齢とも関連している。
サークルが年長であればあるほど、同人誌を頒布するサークルは増える傾向にあるからだ。
実際、今回のイベントパンフには、「サークル参加者の平均年齢が過去最高」とあり、高齢化傾向が伺える。

常連のサークルは、リピーターとなり付いて来てくれるが、回を重ね年月が経つごとに、当然彼(女)らの年齢も上昇する。
だが、普通の即売会は、年齢がそんな上昇しない。いや、地方の即売会だと「低年齢化」なんて話すら聞く。
普通の即売会は、若い世代が新規に参入するから、常連が高齢化しても、若い世代が平均年齢を下げていく。
逆に言えば、高齢化が進む「コミックファクトリー」は、若い世代の参入や取込が弱い、という事になる。
(実はこれ、新潟のガタケットと同じ現象だ。常連サークルが多いからサークル数の減り具合は緩やかだが、若手少なく、平均年齢上昇という当たり。)
若い世代の参加をいかに促すか?明快な答えは見つからないが、とりあえずは、若い世代をターゲットにした宣伝の強化が必要では?と感じた。
先ずは、サークル募集が遅いので、これを何とかしたい。幾ら何でも、5月開催なのに、チラシ作成やサークル募集が2月スタートは遅いだろう。もう少し早めて、じっくり宣伝の時間を取るべきである。


さて、今回のカタログ末尾には、少しショッキングな事が書いてある。
コミックファクトリー主催氏が、代表を辞任するとの事だ。
即売会の主催やってる事を咎める電話が職場に来ただとか書いてあり、いささか面倒な話になってるが…まあそこら辺は詳しく話すと長くなるので割愛。
ご家庭では二児の父であり、自由に使える時間も少なくなってきた、とも書いてある。松本を離れてから宣伝力が弱くなったのには、そういう家庭の事情もあるのだろう。
正直、自分としては、離れた場所から松本に出向いて活動するのも、辛そうに映っていた。そろそろ新しい主催に移譲する頃合が来たのかもな…とは内心思っていた訳だが、実際そう明言されると寂しいものがある。
とりあえず先ずは、これまでの十数年の主催活動、お疲れ様でした。そう申し上げたい。

次回以降の「コミックファクトリー」は、より若い世代の方に主催を譲るそうな。
新主催は、松本在住の方と聞いている。松本を離れた前主催時代に比べ、より地元密着の告知活動ができるだろうと期待を寄せたい。
お若い方なので、若い感性が良い方向に発揮されれば良いな…とも思う。今後の「コミックファクトリー」は、若い世代の開拓が課題と書いたが、ターゲットにより近い世代の主催という事で、若い世代の発掘も、前主催時代より容易に進むのではないか。

その一方、常連サークルの「離反」が心配だ。
先述したように、前主催は、積極的にサークルと交流を深め、コミュニケーションを密に取ることで、多くのサークルを「コミックファクトリー」に引き寄せてきた。
ならば、【前の主催がいたからこそファクトリーにに参加した】というサークルが存在するであろう事も、容易に想像できる筈だ。
主催を交替するのは良いが、この手のサークルさんの離反が気がかりだ。

これを防ぐには、前主催にもしばらく働いていただくしかない。
今後新主催も、様々な即売会で挨拶回りをされるだろうが、しばらくは、前主催も一緒に同行するべきである。
これまでの前主催の努力の甲斐もあり、前主催と仲の良かったサークルも数多いだろう。彼(女)らを、新主催に紹介し「新しい主催も面倒みてくださいな」と頭を下げ続ける…そういう営業活動が、新体制のファクトリーには必要だろう。
常連サークルの離反を防ぐ為には、前主催から新主催に繋げる活動が欠かせない。

前主催はファクトリーに残るべきであるし、逆にファクトリーを離れるのならば、それこそが無責任だ(もっとも、ファクトリーを離れる意向は無いみたいだが)。
過去私は、「COMIC☆1」「東方椰麟祭」「科学世紀のカフェテラス」など幾つかの即売会で主催が交替する事例を見てきたが、前の主催が、主催を降りたからといってイベント運営までも離れた事例は、殆どお見かけしない。(「博麗神社例大祭」ぐらいかなあ)
通常、前の主催は「相談役」的なポジションに収まるケースが多く、幹部スタッフまたは「ご意見番」として、新しい主催を支えるケースが殆どだ。
「コミックファクトリー」においても、前主催は、新主催をサポートする…そういう役割が求められるのではないだろうか。
いずれにせよ、前主催は、新主催を上手くサポートしながら、新主催によるファクトリーを成功させるべく、豊富な経験を活かし導くべきであろう。
新体制の「コミックファクトリー」にも、今後は、逐一注目していきたいものである。