前回記事(前編)において、6月15日北海道夕張市開催「夕張まんがメロン祭り」の参加レポートをまとめさせていただいた。
「夕張まんがメロン祭り」は、事前の期待値の低さに反し(申込時点では余り乗り気ではなかった)、参加して良かったと思える、楽しいイベントだった。

中でも、前回まで下降線ながらも今回劇的に参加者を増やし、オワコン同然だった催事を見事に復活させた点は、特筆に値するだろう。
「夕張まんがメロン祭り」には、全国各地の下降気味で苦戦中の即売会が、復活を果たすための「ヒント」がある。
この点についても、分かり易く指摘できるよう努めていきたい。


【主催「夕張まんがメロン祭り」の運営体制】

ここでまず、「夕張まんがメロン祭り」の運営体制について、触れておきたい。
この催事の運営は、個人主催や企業主催等とは明らかに異なる。
端的に申せば、「複数の団体・企業による連合体」である。

2010年、「夕張まんがまつり」名義にてスタートしたこの即売会。
「男の娘」等のオンリーイベントを主催するイベント主催団体「モノリス」と、北海道を地盤に開催される同人誌即売会「カオスフェスティバル」主催氏とが意気投合し、開催しようという話になったと聞く。
これに、道内でコスプレイベント・痛車企画する「LayerComp」も加わり、「夕張まんがまつり」の盛り上がりに大きく貢献した。

2011年から、「カオスフェスティバル」が、徐々に運営からフェイドアウト。
また、夕張市内で旅行業等を営む「(株)夕張ネクスト」が運営陣に加わった。

2013年頃より、これまで運営に積極関与していた「LayerComp」がフェイドアウト。
代わって、2014年より、東方大手サークル「幽閉サテライト」が運営に加入した。

幽閉サテライトは、2012年から、「夕張まんがまつり」へ企画参加する等協力的な姿勢を見せていたが、本年の「夕張まんがメロン祭り」から、より積極的に運営に乗り出すようになった印象だ。
昨今、「森羅万象ノ宴」名義にて、全国各地で音楽ライブを開催。土地によっては同人誌即売会も併催。
積極果敢な動きが目立つ幽閉サテライトだが、夕張への積極関与も、この動きの一環として良いだろう。
ちなみに、大阪で幽閉サテライト「森羅万象ノ宴」と同時開催し協調を深めている「コスプレ&痛車フェスティバル」も、運営陣に名を連ねている。

また、いつの間にか(たぶん今回から?)、東方オンリー「東方DimensionS」等道内での即売会開催実績を持つ主催団体「Two dimensionS」も運営に参画。
「カオスフェスティバル」や「LayerComp」が抜け、道内在住の関係者が手薄になった穴を埋めたと分析できる。

とこんな感じで「夕張まんがメロン祭り」の運営形態を振り返ってみたが、ずいぶん参画団体が入れ替わっているなあ、とも感じる。
初回から通しで運営に参画しているのは、イベント主催団体「モノリス」ぐらいだろう。(モノリスは、事務作業を一貫して担当し、安定感がある)

この「夕張まんがメロン祭り」は、どこぞの女性アイドルグループが、メンバーが新陳代謝的に入れ替わりながらも、グループとしては息長く存続するのと同じ構図で、長く続いている。
まず、この点を押さえておきたい。


【過去の「夕張まんがまつり」を成功に導いた要因】

「夕張まんがメロン祭り」は、「即売会の開催を通じた町おこし」である。
「町おこし」である以上、人を呼んでナンボ、である。人が来れば成功、来なければ失敗。そう断じて良いと思う。

2010年の「夕張まんがまつり」は、のべ700人以上が参加した。
2011年の「夕張まんがまつり」も、500人は来場していたので、そこそこ成功だろう。
これは、過去の記事でも触れたが、当時運営陣に参画していた、道内でのコスプレ/痛車イベント主催団体「LayerComp」の力に因るところが大きかった。

「LayerComp」は、道内の痛車連合やコスプレイヤーを多数招聘。
これが、当時の高い動員力の源となった。
「LayerComp」の得意分野である痛車・コスプレで集客の成果を得た一方、どちらかと言えば経験の浅い「サークル集め」においては、その力量を発揮できなかった。
ただ、痛車勢力やコスプレイヤーが、最初の1時間だけとはいえ即売会にも顔を出してくれたお陰で、サークルの売上は上々だったという側面もあった。

しかしながら、「LayerComp」が運営から徐々にフェイドアウト。
発揮される筈の彼らの力は弱まり、それは「夕張まんがまつり」の動員力の衰退にも繋がった。
地下アイドルのライブや、幽閉サテライトによるFLASHアニメ上映などテコ入れ企画が打ちだされるも、結果には結び付かなかった。
こうして、事実上のオワコンとなった「夕張まんがまつり」。ここで終わっても、おかしくはなかっただろう。

だが、「夕張まんがメロン祭り」と改題された今回は、これまでとは異なる様相を示した。
前回記事にも触れたように、総来場者は推計700〜800人。サークル数も28サークル39spで、過去最大の規模だ。
一般来場者の大半が、幽閉サテライト主催の音楽ライブ「森羅万象ノ宴」目当てであり、これが高い動員力をもたらした。
【高い動員力を持つ企画を導入】したことが、今回の盛況に繋がったことは、言うまでもない。

加えて、幽閉サテライトの立ち位置の変化と、それに伴う「夕張まんがメロン祭り」の運営体制の変化も、今回の盛況における重要な要素である。
これまでの幽閉サテライトは、企画参加やサークル参加という形で、「夕張まんがまつり」に関与してきた。
だが今回の「夕張まんがメロン祭り」においては、運営陣に参画している。

運営側に立つ事により、「やりたいことがより自由にできる環境」が整った。
もちろん、音楽ライブ「森羅万象ノ宴」もその一つだ。
「森羅万象ノ宴」に知己の音楽サークルを招聘。彼(女)らが即売会側にもサークル参加してくれたから、サークル参加数が押し上げられた。
A-One・幽閉サテライト両サークルがMCを務める夕張行きのバスツアー、なんて企画もあったが、これも、幽閉が運営に参加してやりたいことができる環境になったからこその賜物だろう。

幽閉サテライトの力の大きさは言うまでもないし、どうしてもそこに目を奪われてしまうが、大事なのはそこだけではない。
私は、この「夕張まんがメロン祭り」が、【今までにない新しい力を戦力として受け入れ、新戦力に自由にやらせた事】。この事が「夕張まんがメロン祭り」の活性化に、大きな力をもたらしている、と考える。

新しい人たちは、旧来の運営陣とは違った「引き出し」を持っている。発想が違う。
違った「引き出し」が、今までと異なる新しい機軸の企画を生む。新鮮味があり、マンネリ化の防止効果もある。
新しい力を取り入れ生かす事こそが、即売会活性化に当たっての、大切な事である。

確かに、幽閉サテライトのような、「森羅万象ノ宴」というキラーコンテンツを持つ「新戦力」を生かしたからこその今回の大化けだ。
ただ、「新しい力」に、彼等ほどの力が無くとも、相応に活性化はもたらすだろう。
幽閉サテライトのような力量ある所に出会える機会は中々無いが(夕張はそういう意味では「幸運」とも言える)、もっと身近な所で考えてみれば良い。
サークルやスタッフから、こういう事やってみたい!と声が上がれば、それを積極的に採用するだけでも、イベントに新風を吹き込める筈だ。
大事なのは「新しい力を取り入れ、新しい風を起こす」という姿勢である。
その姿勢こそが、即売会の活性化に繋がる。上手く行けば、今回の夕張のような大当たりも有り得る。
そういう意味で、今回の夕張の成功例は、全国の低迷即売会に対し、活性化を促す貴重なヒントを示唆しているのではないか。


【今後の課題】
多数の来場者を集め、低迷から復活を遂げた「夕張まんがメロン祭り」の成功は喜ばしい。
だが、気になる点も幾つかある。

一つは、「コスプレ」と「痛車」に盛り上がりを欠いた事だ。
そもそも、当初の「夕張まんがまつり」は、コスプレと痛車で動員力を発揮していた。今回は、その頃の面影が全く見えない。
当時は、道内で痛車&コスプレイベントを行う「LayerComp」の存在感が大きく、痛車やコスプレイヤーの動員に大きく貢献した。
しかし現在、「LayerComp」は運営から離脱している。
代わりに「コスプレ&痛車フェスティバル」が運営に入ったが、ここは関西地盤の団体。当日の切り盛りはできたかもしれないが、「LayerComp」のように道内の痛車/レイヤーへの誘致までは荷が重い。
やはり、「LayerComp」のような痛車やコスプレのイベントを手掛ける【道内の主催団体】を、パートナーとして迎え入れ助力を得ないと、彼らの誘致は難しいと思う。

二つ目は、「マンネリとの戦い」だ。
今回は良企画を盛り込み成功を収めたが、同じ事を繰り返すだけでは、動員は縮小するのみ。
それこそ、これまでの「夕張まんがまつり」と同じ道を繰り返すだけになる。
新たな企画を盛り込む。また、新たな戦力を運営に取り込む。そういう努力を重ね、マンネリ化を打破すると共に、更なる活性化を目指すべきであろう。

今回のV字回復を無駄にしないためにも、今後継続させるのならば、これらの課題に向き合う必要があると思う。