7月6日は、食べ物や飲み物…所謂【グルメ】をテーマとしたオンリーイベント「グルメコミックコンベンション」(グルコミ)に顔を出した。

この即売会は、2013年5月のスタート。
当初は宣伝も不足気味で、サークル数も少なくこぢんまりとしたものだったが、テーマ・切り口の良さを感じ、今後に期待を持たせる即売会であった。
「食」は誰もが興味を持つ分野だ。老若男女誰でも入り込みやすく、間口の広いジャンルでもある。
評論・情報系中心に、「食」をテーマに本を出すサークルも少なくない。
彼(女)らがよく出店する「コミティア」とかでチラシを撒いて宣伝を強化すれば、このオンリーはきっと伸びる。そう見込んでいた。

ところが、このオンリーイベントは、私が予想し得ない、斜め向こうの方向に進化していった。
…いや【狂ってきた】というべきだろうかw
単に「食」を扱うテーマの即売会では飽きたらず、【サークルによる飲食物の提供】も可能とした。
その中には、アルコール類も含まれる。もちろん、会場内での飲酒もOKとなった。
さらに、会場内には【キッチン】も設置。これにより、サークルが会場内で調理を行い、できたての物を提供する事も可能に…
(保健関連等各種規制のハードルも、詳細は割愛するが、相当知恵を絞り努力を積み重ねクリアーしたようだ)
これが、このオンリーイベントの方向性を決定付けたと言えるだろう…いやはや、とんでもなく「これはひどい」なイベントに育ってしまったようだw

会場は、サンシャインシティ。サンクリ等でお馴染みの会場だが、今回はDホールを分割して利用。
3/4を着物の展示会が占め、残りの1/4がグルコミに充てられている。
見た感じでは、大田区産業プラザPiOの小ホールぐらいの広さであろう。

サークル数は60を超える。初回は20にも満たないサークル数だから、回を重ねる毎に話題を呼んで参加サークルも増えていったという構図だ。
PiO小ホールぐらいの広さに60サークルなら、配置も楽だろう。一見、そう思えるだろう。
ところが、このイベントには、サークルが調理をする為の【キッチン】がある。
キッチンが会場全体の1/3を占める。配置は、残り2/3で賄わねばならず、その結果、ぎゅうぎゅう詰めの配置に(汗)
全体の1/3が調理サークル、残り2/3が本中心のサークルだが、本サークルも地酒を持ち込んだりしており、過半数のサークルが有償/無償の別はあるが、何らかの形で飲食物を頒布している…

開場は11時だったが、キッチンの修羅場が酷いため、開場が5分ほど遅延するw

初動は200〜300人。
皆30代以上の訓練された強者共だ。…というか20代を余りお見かけしないw

この即売会は、飲食物に付随するゴミ処理費用やら、キッチンでの電気代やら、他の即売会に比べコストのかさむ即売会だ。
その分、参加者の負担も大きく、入場パンフが1000円、飲酒許可証ともなるリストバンドが500円と高額だ。
だからこそある程度経済力に余裕のある年長者じゃないと、金銭的なハードルの高いイベントなのだが…それにしてもよく訓練された参加者が揃っているw

列整理要員も殆どいないのに、整然とした列。入場も、軍隊なみに整然として、混乱は無い。
…皆さん訓練されすぎてて怖いですw

開場後、最初の30分はお酒の頒布を禁止している。
お酒が入ると、参加者は気も緩み、どうしても買い物しなくなる。
最初の30分だけでも、本の購入に注力して貰おう、との狙いが込められているようだ。
キッチンではサークルが絶賛調理中で、「食」の提供もまだまだこれからだ。
私も、最初の30分はサークルを回り、本の購入に専念する。

11時35分過ぎになると、お酒が解禁に。
持ち込みのお酒を、無償で振る舞うサークルも多い。
本を買ってくれたら持ち込みの地酒試飲OK、なんて光景も随所で…あれ、これ高知の同人誌即売会「つるかめざっか」と同じ景色だぞw

本部では、サークルさんから提供されたお酒やら、「主催がどや顔で持ち込んだお酒」やらが、無償で振る舞われる。
さらには、生ハムの振る舞いも始まる。豚の足1足を丸ごと持ち込み、これを薄く削りハムとして提供する、という本格的なものだ。
とは言え、削る作業は相当重労働だったらしく、スタッフが数人がかりで代わる代わる頑張っていたようだ。
さらにはかき氷まで振る舞われ、本部に連なる列は、酒列・ハム列・かき氷列に分かれ阿鼻叫喚の様相にw

サークルさんの料理も、少しずつ整い始める。
汁無し坦々麺やら、マグロやら唐揚げやら味噌汁やら。それぞれのサークルさんが、趣向を凝らしたグルメを提供する。
とは言え、料理が出来上がるまでに手間取るサークルさんも、やはりいらっしゃる。
その場で調理してつくるだけに、そして慣れない調理環境だけに…期せずして「時限」となったサークルさんも少なくないw

本部で酒をたかり、サークルで料理を賞味…旨い料理と旨い酒で舌を肥やす展開。
さあ、いよいよ本格的に「宴会」っぽくなってきましたw
スタッフも、お皿やコップなど、ゴミの処分をマメに行い、裏方として「宴席」を支えてくれる。

とは言え、会場が狭く、余分なスペースの無い事が幸いし、飲み過ぎは防げたか。
変にスペースがあるとそこに座り込む。立ち呑みに比べて、座っての酒宴は、酒の消費量を上昇させる。
狭いスペースで、立食形式にならざるを得ず、それが飲み過ぎの防止策となっていよう。
加えて、参加者が年長者で、バカ飲みしない年代というのもあろう。

中盤から終盤に入ると、至る所で団らんが始まる。
サークルの提供料理も底を尽き始め、皆お酒に走る。
年長者が多いせいか泥酔者は出ずに済むが、皆出来上がってくる…。

もはやこれは、即売会ではない。即売会の皮を被った「宴会」である!w
…この言葉、私は2009年の初春に、高知の同人誌即売会「つるかめざっか」に対し呟いた覚えが。
まさにこの「グルコミ」は、高知「つるかめざっか」と同じ臭いのする同人誌即売会即売会…というか「宴会」であろう。
どちらの即売会も、「大人の文化祭」といった趣を持ち、相通じるものがある。

もし宜しければ、「つるかめざっか」を知る皆様には「グルコミ」に足を運んでいただきたい。
「グルコミ」を知る皆様には、「つるかめざっか」に足を運んでいただきたい。
個人的には、そんな風にも感じた。

即売会終了後は、漫画「孤独のグルメ」の原作者・久住昌之氏のトークショーも開催。最後の最後まで熱気溢れるイベントであった。
(イベント中には、久住氏のサイン会も実施された)

この日の様子は、ヤフーニュースでも報じられた。
来場者は、計1000人とか。
(参考リンク/キッチン完備の“飲食系”同人誌即売会に行ってみた!『孤独のグルメ』久住先生も登場(クランクイン!) - Y!ニュース http://t.co/ciPm0PDR9s)
この盛況、久住氏の登場が後押ししたのは間違いないが、それだけでは、ここまではいかない。
ハードルが高いはずの飲食提供を頑張って可能とし、和気藹々とした「宴会」「文化祭」的な雰囲気をつくりあげた事が大きい。
それが口コミで評判を呼んだ。だからこそ、初回とは比較にならぬサークル数・来場者なのだ。
そしてそこに久住氏の存在が後押しし、輪をかけた、と考えられよう。
今後も、スケジュールに都合の付く限り足を運びたい即売会である。