日本海側では唯一の政令指定都市でもある新潟市。
ここで長年開催されている同人誌即売会「ガタケット」は、数年前なら常時1000spを集めていた。
東・名・大の三大都市圏以外の地域でこれだけの数を集められる即売会は、他に類を見ない。
「ガタケット」は、地方即売会の「雄」というべき存在だ。

とは言え、地方即売会のサークル急減傾向は、ガタケットと言えども例外ではなかった。
2012年春には、500サークル規模にまで落ち込み、「このままではガタケットは潰れてしまう」とサークル参加を公式サイト上で懇願、一種の「泣き落とし」まで始まったぐらいだ。
流石にこの時は、私も無理してサークル参加したし、他にも同様の支援の動きも広がり、1000sp規模に回復した。
だが、ガタケットが今後も即売会を継続させる為には、その時限りでは、一時凌ぎにしかならない。支援にも、継続性が必要だ。
そう考え、機会を見つけガタケットに参加しようと画策したが、なかなか日程も合わず。あの時から二年余りを経て、ようやく新潟に足を運ぶに至れた。

気になるサークル数は、710sp。
他地域のオールジャンルよりは規模も大きい。三大都市圏たる名古屋のオールジャンルに匹敵する規模であり、大したものだとも思う。
…ただ、10年前の1000sp越え当たり前の時代を知る身としては、やはり昔より少ない事への、寂しさは残る。昔と比較してはいけないのだが…

後述するが、昨今の傾向を鑑みるに、努力して規模縮小を食い止める事こそできても、規模縮小を回避する事は難しいだろう。
サークル数が減っても、他で収入を上げてサークル減少による減収を補う…そうして運営会社としてのガタケットの経営を安定化させる事が、即売会としてのガタケットの存続にも繋がるのだろうと思う。

ジャンル傾向としては、最大手は服飾・アクセサリーの60sp。
次いで黒子42、ジョジョ25、ポケモン22、ボカロ19、弱虫ペダル19、東方17、Free!17、艦これ15、進撃の巨人15、評論14。
…評論が何故か10sp越えという、意味不明の大健闘を見せているw(いや、自分も今回評論ジャンルだけどさ…)
他、10sp規模では、鬼灯の冷徹・ハイキュー!・タイバ二・うたプリなども。
ジャンル傾向は全般的にバラけ気味の印象だ。

今回は、ガタケット内のプチオンリーとして、ひめゴトプチオンリー「ひめハジメました」も開催された。
規模としては、10sp程度の小規模なもの。ファンのサークルによる主催だ。
…ところが、ここに被せてきた、ガタケット名物の展示企画が、空気読み過ぎていたw

この展示企画は、著名漫画家の原画を展示するコーナーだ。
過去には、平野耕太氏ら著名作家の原画が彩られていた。
サークル減に伴うスペースの有効活用という側面もあろうが、新たな来訪者を掘り起こそうという意図もあるようだ。

今回、この展示企画に起用されたのは…「ひめゴト」原作者・佃煮のりお氏である。
佃煮氏が同じ県内の長岡市ご出身というご縁もあり、起用されたのだろうが…ガタケットよ…お前ら空気読み過ぎだろw
さらには佃煮氏本人が降臨。会場の隅の方では、佃煮氏交えてのトークショーも開かれる。
何この美声のきれいなねーちゃんは…と思ったら、その方が佃煮氏だそうな。…「佃煮のりお」ってペンネームだからてっきり男性だとばかり…騙されたw

更には、ひめゴトプチオンリーの企画として行われたはずの「じゃんけん大会」にも、佃煮氏自ら参加。
こうして、ファン有志の集いだったはずの「ひめゴト」プチオンリーは、ガタケットの策略により、事実上準公式イベントになってしまったのであった…めでたしめでたしw
(まあ、盛り上がったようなのでそういう事にして強引に締めておこうw)


ガタケットの会場内の雰囲気に話を戻す。
参加者層としては、サークルは年長者が多めの印象。一般参加者は、年長者から小学生まで多士済々だ。
老若男女問わず、誰でもアウェイ感無く参加できる雰囲気だ。

以前はコスプレイヤーも多い印象だったが、今回は余りお見かけしない。
それもその筈、今回はコスプレ広場を2階に用意していた。
1階が即売会、2階がコスプレと住み分けが図られている印象だ。
コスプレ広場を1階にすると、私のような本の売れないサークルが、「コスプレの奴らのせいで俺らの本が売れないんだ!」と責任転嫁しだす。
流石にそれは極端な話だとしても、コスプレイヤーの多さに圧倒されサークルが居づらくなる、というのはよくある話。
階ごとに住み分ける今のやり方の方が、互いの精神衛生上良いのかもしれない。

久々に参加して感じた事としては、「ガタケット」自体に、以前に比べ「カオスっぷり」や「やりたい放題感」が増している事が挙げられる。

「新潟のゆるキャラ大集合」と称し、着ぐるみのゆるキャラが多々登場。参加者との記念撮影に気軽に応じ、場を和ませる。
と思ったら、スタッフ・オチアイ氏http://gataket.com/cgi/blog のアナウンスがユーモアたっぷりで笑いを誘う。
コミケスタッフが、参加者誘導時に、時折ユーモア満載のアナウンスを発するが、あれに近いノリを感じる。

更には、壁を見ると、壁に甲子園の試合を投射してるw
ちょうど新潟県代表校の試合が行われ、それを食い入るように見る人も…

これらは全て、同じイベント会場の中での出来事である。
これに、先述佃煮氏のトークショーや原画展も加わる。
…果たしてこれは、いったい何のイベントなのだろうw

即売会とは違った方向性だ、と批判する方もいらっしゃるだろうが、私は、これはこれでいいんじゃないかと思う。
昨今、即売会の衰退傾向が進む中、少しでも変化を付け、マンネリ化の予防や新たな来場者の開拓に努めたい、とする意欲の現れと私は捉えている。
ぶっちゃけ、何もせず「即売会衰退」の波に流されるままなよりは、遥かにマシだ。
カオスっぷりややりたい放題感は、色々チャレンジしようとする意思の現れではないか。
その挑戦の中には、勿論ハズして失敗するものもあろうが、そういうのは撤退させ、好評なものを伸ばせば良い。そしてそれは、ガタケットの活性化に繋がる筈だ。

とは言え、即売会活性化の妙薬は、やはり「売買の活性化」だろう。
サークル参加して作品が売れれば、サークルは手応えややりがいを感じる。次もまた来よう、という気になる。
ガタケットも、サークル作品の購入を促すべく、新たにシールラリーを導入し、サークル作品宣伝用のアピールボードを用意した。
ただ、これらの施策に参加しているサークルは数えるほど。私はたまたま偶然気付き利用させて貰ったが、危うく存在に気付かず終わるとこだったw
買ってくれた人からも、シールを求める声はなかった。
…シール10個集めれば(10サークルで購入すれば)、ガタケのカタログ無料券が貰えるとか、奮発してるのに…
せっかくの施策、知名度の向上が今後の課題となろう。


あと、久々にお邪魔して気付いたのは、会場内の売店が撤退していたこと。
併設のレストラン共々、しばらく前に撤退していた…あそこでタバコ買ったり、ご飯買ったりしてたのに…
タバコは、1キロ離れたコンビニに買いに行く事で賄う(涙)
ご飯は、市内のホテル「イタリア軒」の外販部門が出店。パンや丼ぶりものの弁当を販売。供食機能は維持された。

こうして久々に参加した「ガタケット」だが、色々と感じ、考える事も多々あった。
老若男女誰でも馴染める即売会、という雰囲気は、昔ながらの良さを今に残していると思う。
そこは変わらぬ、ガタケットの長所である。

ガタケット自体も、昔に比べ新しい取組が増えている。
2年前の「泣き落とし」の一件で相当の支援を得たとは言え、同じ手は二度と使えない。
すなわち、「後が無い」という事でもあり、尻に火が付いたのだろう。何とか活性化を図ろうと、多様にチャレンジしている様子が伺える。

しかしそれでも尚、サークル参加は減り続けている。
全国どこの即売会も、オールジャンルは縮小傾向の中、今も尚700spを集めるガタケットの頑張りは、明らかに群を抜いている。
健闘している事は間違いないが、それでも現状は厳しい。
即売会を継続するためには、サークルの減少を織り込んだ上で、即売会以外で食っていく術を見つけ、運営会社を安定させる、という方向性で行くしかないと思う。運営会社が安定すれば、即売会も存続できる。


私は過去のガタケットの危機の時に、幾つかの提言を行った。

ガタケットは今後どうあるべきか〜その方向性と論点〜
(前編)http://blog.livedoor.jp/analstrike/archives/51876023.html
(中編)http://blog.livedoor.jp/analstrike/archives/51876538.html
(後編)http://blog.livedoor.jp/analstrike/archives/51876752.html

今もこの提言から、そんな考えは変わっていない。
改めて読み返して見ると、提言を参考にしていただいた節も見受けられる。

この中で私は、「ガタケットコスプレパーク」の活性化や有効活用が必要と論じている。
勿論そこも今後のガタケ存続のポイントだろうし、それ以外の「食っていく道」を探すべきだろう。
幸いにも、ガタケットは、市内施設の指定管理者に選定された。5年契約とのことで、ここから得られる収入も、運営会社の経営安定化に寄与するだろう。

即売会が規模縮小傾向なのを回復させるのも、なかなか難しい。
そこの減収を、即売会以外の分野で補うしかないのである。
指定管理者なりガタケットコスプレパークなり、即売会以外でどれだけ収入を上げるか…それがガタケットの存続を占うと思う。