高知で開催される同人誌即売会の主催団体に、「黒潮カンパニー」という団体がある。
この団体は、毎年2月にオールジャンルの同人誌即売会「つるかめざっか」を開催し、8月に「黒潮雑貨」を開催。年2回、定期的に同人誌即売会を開催されている。
ちなみに、「黒潮雑貨」は、「くろしお・こんびにえんす」と読み、略称は「黒コン」とのこと。(以下「黒コン」と表記します

以前、2月開催の「つるかめざっか」には参加した事がある。

参考リンク・2009年02月24日付「2/8 高知市「つるかめざっか」レポ

ただ、8月の「黒コン」への参加は、これまで叶わなかった。
毎年8月下旬の開催という時期設定上、「東京コミティア」「スーパーコミックシティ」等の大規模イベント、或いは地方開催の東方オンリーなどと日程が被る傾向が強く、どうしてもそちらを優先してしまいがちになるからだ。
今年も、「東京コミティア」と被ってしまったが、こっちを優先させてはいつまで経っても「黒コン」に足を運べない。意を決し、私は、コミティアを捨て、「黒コン」を選んだ。
(幸いにも、その後、「日記と言うか雑記と言うか戯言。」バンバン氏のご厚意により、本人不在ながらも「コミティア」へのサークル参加も果たせた)

という訳で、8月末のこの日、「黒コン」にサークル参加させていただいた。
高知にはLCCこそ就航してはいないものの、高松にLCCジェットスターが就航している。これを利用し、高松から空港バスで「ゆめタウン高松」バス停で乗り換え。高速バスで高知に向かうルートが旅費節約の手段となろう。
LCCは片道5000円程度と格安だし、高松から高知への移動費用含めても、1万円を切る。
このルートは、行きは「早明浦ダムを見たかった」という理由により用いなかったが、帰り道で採用した。

「黒コン」は、高知市の中心街に立地する「高知商工会館」での開催だ。
市の中心部の「はりまや橋」からも徒歩圏内、街中のロケーションで、アクセスも便利。車組も、立体駐車場が完備されており安心だ。
唯一難を申せば、コンビニが若干遠目なところぐらいだろうか。

サークル規模は、サークル数ベースで105サークル。スペース数ベースで136spとなかなかの規模。
普段は4階を即売会会場に充てているが、3年連続で4階が満了したとの事。サークル数の急減・急増なく安定している、と言えるだろう。
「黒コン」は、今回で32回目。おおよそ年1回の開催なので、実に30年もの歴史を有する。
それゆえ常連参加者も多く、高知の同人者集う貴重な「場」として親しまれている。サークル数が安定している理由は、そこにあると思う。

高知は8月上旬に大雨に祟られ、河川の氾濫・洪水といった水害に悩まされた。
その傷跡も癒えぬ8月下旬の開催ながら、多くの参加者を集めたことは、このイベントが皆に親しまれていることの、一つの証左と成り得るだろう。

サークルの参加者層として特徴的なのは、老若万遍なく参加者がいる、という事。
「黒コン」のパンフレットを紐解くと、直接参加サークルの「代表者年齢構成表」という棒グラフが掲載されている。
各年齢ごとに、何サークル参加しているかが一目瞭然である。上は55歳から下は13歳まで幅広い年代が参加していることが伺える。
最多サークル数の年齢は、22歳・28歳・31歳が共に7サークル。次いで多いのが30歳が6サークル。5サークル参加は、23歳・26歳・27歳・35歳・36歳。37歳・46歳も4サークルいらっしゃる。

元々地方の即売会は、女子学生の参加者が多く、彼女らが同人誌即売会における主力参加者層である。
「黒コン」も、地方の即売会だし、当然その特徴を有している。
一方、「黒コン」は30年の歴史を有する伝統あるイベントでもある。それゆえ古参のリピーターも多い
この2つの特徴を併せ持った結果が、この異様に幅広い参加者層、という現象に繋がっているのだろう。
ちなみに、平均年齢は31.9歳。ジジババから若いのまで幅広く、平らにならせばこの数字もある意味当然か。

なお、男女比は偏りがあり、男女比は1:6ぐらいである。
ただこれはサークル参加者の数字だ。一般はもう少し男性陣が多いので、体感としては男性も少なくなく、アウェイ感は無かったと思う。

頒布物で特徴的なのは、ラミカ/アクセ等小物類のサークルが極めて少ないところ。
この手の小物系は、地方即売会の「定番」だが、「黒コン」においては見た感じ、全体の2〜3割ぐらいだろう。
これも、年長者の参加の多いというこのイベントの特徴が影響しているだろう。年長者ほど、小物類よりも同人誌を頒布するケースが多い傾向にあるので。

ジャンル傾向としては、何故か「艦これ」が10サークル近くに達して、突出していた。
(ちなみに東方は1〜2サークル程度なので、そういう意味でも艦これの突出は際立つ。)
それ以外は、全体的にバラけており、各ジャンルとも、多くて2〜3サークルのレベルである。
…なんでここまで「艦これ」が多いのかしら?宿毛でやったら地元の方が大勢参集しそうな予感。

一般参加者は意外と多くなく、全般的にまったりムード。
しかし、サークルの方が回って買い物しており、売上も決して悪くは無い。
札幌「Elysian」や金沢「北陸本専」といった「同人誌オンリー」の即売会がそんな傾向だったが、それに近い雰囲気を感じた。

館外に目を遣ると、「痛車」の参加が目立つ。
「痛車」は全国どこでもお見かけするが、この即売会も例外ではない。
俺妹、ルーミア(東方Project)、そに子、ラブライブ、金剛&比叡(艦これ)、そらのおとしもの、エヴァ、ラブプラスとラインナップは多種多様だ。

館内ではお昼になると、おにぎりセットの販売が始まる。
これは商工会館地下のレストランが、イベント用に出しているケータリングのサービスだ。
おにぎり2個とおかず付きで300円と格安。ご飯も暖かく美味。
この会場の唯一の難点が、コンビニが近くに無い事。この欠点をケータリング販売で補う事で、来場者の供食機能を補完している。

そしてコスプレは、このイベントの名物。
13時になるとコスプレショーも始まり、コスプレイヤーがステージ上で出し物を演じる。
この間だけは頒布しにくい環境になるが、そこは割り切って、素直にコスプレショーを楽しむのが吉か。
(コスプレショーは、2月に開催される「つるかめざっか」でも恒例で、やはり小一時間程度の出し物が繰り広げられる)

よく見てみると、この即売会、サークルは全量4階に配置されているが、2階・3階も借りている模様。
興味を持って2階・3階には何があるかを見に行く。

2階は男子更衣室と喫煙所が存在。多くの喫煙者が喫煙所で紫煙をふかせていた。

3階は、会議室を、本部(スタッフ控室)と女性更衣室に転用。また、大広間もあるが、ここはコスプレコーナー兼休憩所兼MAD動画上映会会場。
加えて、同人誌の委託販売も行われていた。

MADドラマ上映会は、愛媛で20世紀に存在した伝説の即売会「いよかん」の元主催氏が手掛けるもので、自ら持ち込みのMADドラマを終日上映、というスタンス。
この方は、「つるかめざっか」でも同種の上映会を行っており、高知・黒潮カンパニー主催イベントの「超常連」ともいえる御方だ。

こうしてこの即売会は、盛況の内に終わったが、やはり以前お邪魔した高知の「つるかめざっか」と比べると、「黒コン」は「普通の即売会」という印象だ。
「つるかめ」のように、場内でアルコールが飛び交う環境ではない。至って普通の即売会、である。
(いや、「つるかめ」のはっちゃけぶりが異様なだけなのだがw)
ただそれでも、老若男女年代を問わず多くの方が参加し、若者も年寄も皆が安心して参加できる環境であり、それゆえ県内の同人者がこぞって参加してくれる、同人者が集う良き「場」である、とも思う。
今後も、この場が末永く続く事を願いたい。